発電機や備蓄品を買えば、それだけでこの助成金は使えるのか——結論から言うと、使えません。東京都「BCP実践促進助成金」は、事前にBCP(事業継続計画)の策定講座を受けるか、国の「事業継続力強化計画」の認定を受けていることが申請の前提条件です。
物品を選ぶ前に、まず自社がこの前提条件を満たしているかどうかで、話が大きく変わります。単独で申請する「単独型」と、他社と連携して申請する「連携型」では、要件も助成率も上限額も別物です。
BCP実践促進助成金の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主) |
| 制度名 | BCP実践促進助成金(東京都中小企業振興公社) |
| 対象業種 | 業種指定なし(NPO法人・学校法人・宗教法人・社会福祉法人・医療法人・政治経済団体等は対象外) |
| 利用目的 | BCP実践のための物品・設備導入(備蓄品、発電機、安否確認システム、感染症対策物品、止水板、転倒防止装置、データバックアップ・クラウド化、耐震診断等) |
| 対象地域 | 都内に本社または事業所がある事業者 |
| 従業員数 | 中小企業基本法上の中小企業者・小規模企業者(業種ごとに資本金または従業員数の上限があり、製造業その他は資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業は1億円以下または100人以下、小売業は5,000万円以下または50人以下、サービス業は5,000万円以下または100人以下。どちらか一方を満たせば該当。小規模企業者は原則従業員20人以下、商業・サービス業は5人以下) |
| 補助上限額 | 単独型:500万円(下限10万円)/連携型:1,000万円(下限10万円) |
| 補助率 | 単独型:中小企業者1/2以内、小規模企業者2/3以内/連携型:中小企業者1/2以内 |
| 申請受付 | 第2回:令和8年9月9日〜15日、第3回:令和9年1月8日〜15日(第1回は終了) |
| 公式サイト | 東京都中小企業振興公社「BCP実践促進助成金」 |

単独型と連携型、対象になる/ならないの線引き
この助成金は「BCPを実践する準備ができている企業」だけを対象にしています。逆に言えば、BCP策定講座を受けていない、かつ事業継続力強化計画の認定も受けていない企業は、物品を買う前の時点で対象外です。
| 区分 | 単独型 | 連携型 |
|---|---|---|
| 申請要件 | BCP策定講座の受講、または「事業継続力強化計画」の認定 | 複数社共同の「連携事業継続力強化計画」の認定 |
| 助成率 | 中小企業者1/2以内、小規模企業者2/3以内 | 中小企業者1/2以内 |
| 上限額 | 500万円 | 1,000万円 |
「事業継続力強化計画」とは、中小企業庁が認定する、自社の防災・減災の取組をまとめた計画のことです。単独で計画を立てるか、取引先や同業者と共同で計画を作るかで、選べる型が変わります。連携型を選べば上限額は単独型の2倍の1,000万円になりますが、複数社での計画策定という手間が増えます。1社で完結させたいなら単独型、サプライチェーン全体で備えを固めたいなら連携型、という選び方になります。
対象経費についても線引きがあります。備蓄品・発電機・安否確認システムのように「災害・感染症への備え」に直結する物品は対象になりますが、日常業務のためのIT機器更新やオフィス改装のように、BCPと関係のない支出は対象になりません。基幹システムのクラウド化やデータバックアップは対象経費に含まれますが、あくまで事業継続のための冗長化が目的である必要があります。
よく誤解されるポイント
「防災用品を買ったから申請しよう」という順番では通りません。先にBCP策定講座を受けるか事業継続力強化計画の認定を取り、そのうえで物品を導入する、という順番が前提です。認定には一定の期間がかかるため、申請を検討し始めたら、まず認定申請から着手する必要があります。
もう一つ誤解されやすいのが助成対象の組織です。NPO法人や学校法人、医療法人などは、中小企業と同じように地域で事業を営んでいても、この助成金では対象外です。都内で事業を営む会社・個人事業主に限られる制度だと理解しておく必要があります。
よくある質問
BCP策定講座を受けていなくても申請できますか?
できません。単独型は「BCP策定講座の受講」または「事業継続力強化計画の認定」のいずれかが申請要件です。どちらも満たしていない場合は、先にそちらを済ませる必要があります。
単独型と連携型はどちらが有利ですか?
上限額は連携型(1,000万円)のほうが単独型(500万円)より大きいですが、連携型は複数社共同の計画認定が必要です。1社だけで完結させたいなら単独型、取引先や同業者と共同で備えを整えたいなら連携型を検討します。
第1回の受付は終了しましたが、まだ間に合いますか?
第2回(令和8年9月9日〜15日)と第3回(令和9年1月8日〜15日)が予定されています。認定取得には時間がかかるため、次回の受付に向けて早めに準備を始めることをおすすめします。
