「特許を取るほどではないが、この構造は真似されたくない」。物品の形状や構造にちょっとした工夫を加えた製品を作る事業者にとって、実用新案はよく使われる権利です。東京都の「外国実用新案出願費用助成事業」は、この実用新案権を海外で取得する費用を助成する制度です。
外国実用新案出願費用助成事業の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主・中小企業団体等) |
| 制度名 | 外国実用新案出願費用助成事業 |
| 対象業種 | 指定なし(実用新案を海外で活用し、権利侵害リスクへの対策を図る都内中小企業者) |
| 利用目的 | 知的財産(海外での実用新案出願費用) |
| 対象地域 | 東京都内(都内で事業を営んでいること) |
| 従業員数 | 中小企業基本法第2条第1項に規定する中小企業者に該当する規模(業種ごとに資本金・従業員数の上限があり、どちらか一方を満たせば該当。詳細は公社へお問い合わせください) |
| 補助上限額 | 60万円(1年度1社1出願) |
| 補助率 | 2分の1以内 |
| 申請受付 | 第1回:令和8年5月8日~5月22日/第2回:令和8年10月1日~10月16日(いずれも17時締切) |
| 公式サイト | 東京都中小企業振興公社「外国実用新案出願費用助成事業」 |

実用新案は「審査なしで早く権利化できる」のが特許との違い
実用新案権は、物品の形状・構造・組み合わせに関する考案を保護する権利です。特許と違って実体審査(新規性や進歩性の詳しい審査)を経ずに登録されるため、権利化までのスピードが速いという特徴があります。その分、権利の有効性を裁判等で争う場面では、特許より慎重な扱いが必要になる場合があります。「早く海外で権利を押さえておきたいが、特許ほど高度な技術ではない」という製品に向いた制度です。
対象経費は国際調査・国際予備審査手数料まで含む
助成対象は、外国出願手数料・代理人費用・翻訳料・先行技術調査費用に加え、国際調査手数料・国際予備審査手数料まで含まれます。PCT(特許協力条約に基づく国際出願制度で、1回の出願手続きで複数国への出願を可能にする仕組み)を使って複数国に同時出願するケースを想定した経費構成です。進出予定国が複数あるなら、PCTルートでの出願を代理人(弁理士等)に相談する価値があります。
特許・意匠・商標とは別枠。「構造の工夫」を守りたい場合はこちら
東京都には権利の種類ごとに別の海外出願助成があり、特許は「外国特許出願費用助成事業」、意匠は「外国意匠出願費用助成事業」、商標は「外国商標出願費用助成事業」が対応します。物品の構造・形状に関する考案を海外で守りたい場合は、この実用新案出願費用助成事業が該当します。同じ製品について特許と実用新案のどちらで出願すべきか迷う場合は、代理人(弁理士等)への相談が先になります。
よくある質問
特許と実用新案、どちらで出願すべきか迷っています
判断は技術の内容によって変わります。制度の窓口では出願先の判断そのものは行っていないため、代理人(弁理士等)や公社の知財相談での相談をおすすめします。
「1年度1社1出願」に、1回のPCT出願で複数国を指定する場合も含まれますか?
対象経費の合計が上限60万円の範囲内であれば、1回のPCT出願手続きでの複数国指定は1出願として扱われる運用です(正確な取扱いは公社へお問い合わせください)。
出願後に実用新案が無効と判断されたら助成金は返還が必要ですか?
出願・申請手続きにかかった費用への助成であり、その後の権利の有効性は助成の対象外として扱われるのが一般的です。返還の要否は個別のケースによるため、公社へ事前にご確認ください。
