海外に進出する企業がまず直面するのが、「現地で特許を取り直さなければならない」という事実です。日本国内で特許を取得していても、その効力は海外には及びません。東京都の「外国特許出願費用助成事業」は、この海外での特許出願・中間手続にかかる費用を助成する制度です。
外国特許出願費用助成事業の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主・中小企業団体等) |
| 制度名 | 外国特許出願費用助成事業 |
| 対象業種 | 指定なし(優れた技術等を有し、海外で広く活用しようとする都内中小企業者) |
| 利用目的 | 知的財産(海外での特許出願費用) |
| 対象地域 | 東京都内(都内で事業を営んでいること) |
| 従業員数 | 中小企業基本法第2条第1項に規定する中小企業者に該当する規模(業種ごとに資本金・従業員数の上限があり、どちらか一方を満たせば該当。詳細は公社へお問い合わせください) |
| 補助上限額 | 400万円(出願経費のみの場合は300万円)、1年度1社1出願 |
| 補助率 | 2分の1以内 |
| 申請受付 | 第1回:令和8年5月8日~5月22日/第2回:令和8年10月1日~10月16日(いずれも17時締切) |
| 公式サイト | 東京都中小企業振興公社「外国特許出願費用助成事業」 |

上限額が「400万円」と「300万円」の2段階になっている理由
上限額には400万円と300万円の2種類があります。この差は、助成の対象経費に何を含めるかの違いです。出願手数料に加えて、審査請求料・中間手続費用・代理人費用・翻訳料・先行技術調査費用・国際調査手数料・国際予備審査手数料まで幅広く申請すれば上限400万円、出願にかかる経費だけに絞れば上限300万円という設計です。中間手続(審査官とのやり取り)まで見込んで申請するかどうかで、上限額が変わると考えてください。
「1年度1社1出願」。複数国への同時出願は対象経費の積み上げで対応
助成率は2分の1以内、上限は前述のとおりです。「1年度1社1出願」という条件は、1つの出願案件について複数国への同時出願にかかった費用をまとめて申請できるという意味で運用されています(1か国ずつ別案件として申請できるわけではありません)。進出予定国が複数あるなら、どの国への出願をまとめて今年度分とするか、事前に整理しておく必要があります。
国内出願の助成とは別枠。「AI×データ知財取得支援」との違い
東京都には、AI・データ関連の特許について国内出願の費用を助成する「AI×データ知財取得支援事業」など、別の知財系助成も用意されています。この「外国特許出願費用助成事業」は分野を問わず、海外への出願だけを対象にしている点が違います。国内・海外の両方で出願を予定している場合は、それぞれ別の助成制度に申請することになります。
申請はJグランツと郵送の両方。GビズIDの取得が最初のハードル
申請方法は、デジタル庁の電子申請システム「Jグランツ」での交付申請と、申請書類の郵送(簡易書留など記録が残る方法)の両方が必須です。Jグランツの利用にはGビズIDプライムアカウント(国の電子申請で共通して使うID。発行に2〜3週間かかる)が前提になるため、第1回募集(5月8日〜5月22日)に間に合わせるなら、募集開始のかなり前から準備しておく必要があります。
よくある質問
出願する国の数に制限はありますか?
制度案内では国の数を限定していませんが、対象経費の合計が上限額(400万円または300万円)の範囲内であることが前提です。出願予定国が多いほど、上限に達しやすくなります。
すでに出願してしまった特許の費用も対象になりますか?
対象になるのは募集期間中に申請し、交付決定を受けたあとに発生した費用が基本です。交付決定前に契約・発注した費用は対象外になるため、代理人への依頼は交付決定後に進めるのが安全です(正確な取扱いは公社へお問い合わせください)。
意匠や商標もあわせて海外出願する予定です。同じ枠で申請できますか?
できません。意匠は「外国意匠出願費用助成事業」、商標は「外国商標出願費用助成事業」と、権利の種類ごとに別の助成制度が用意されています。それぞれ個別に申請する必要があります。
