設計担当5人が、外部講師を呼んだ6時間のCAD研修を受ける。東京しごと財団は、その研修に「5人×6時間×800円=2万4,000円」を助成します。助成額は研修の費用ではなく人数と時間で決まり、代表者や個人事業主本人の受講分は数えません。
事業内スキルアップ助成金の要点まとめ
正式名:令和8年度事業内スキルアップ助成金
だれが
- 申請者
- 事業者(都内の中小企業等・個人事業主・団体)
- 対象業種
- 指定なし(都内の中小企業等)
- 利用目的
- 自社で企画する従業員向け研修(OFF-JT)の実施
- 対象地域
- 東京都内
- 従業員数
- 業種別に上限あり(小売・飲食は50人以下など)
いくら
- 補助上限額
- 150万円(事業外スキルアップ助成金と合算)
- 補助率
- 助成対象受講者数×研修時間数×800円
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年3月1日〜2027年2月28日(研修開始の1か月前まで)
- 事業の完了
- 研修は2027年8月31日までに終了
自社は対象になる?
次のすべてに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 代表者・個人事業主本人が受講する
- ✕ 同じ研修で他の助成を受ける
- ✕ 研修の開始日までに交付決定が出ない
中小企業の範囲は業種ごとに決まっていて、資本金か従業員数のどちらか一方を満たせば足ります。小売・飲食は5,000万円以下または50人以下、サービス業は5,000万円以下または100人以下、卸売業は1億円以下または100人以下、その他の業種は3億円以下または300人以下です。どの業種に当たるかは、募集要項の業種分類表(日本標準産業分類にもとづく)で確かめます。みなし大企業とは、大企業が株式や出資の2分の1以上を持つなど、実質的に大企業が経営を支配している会社のことです。個人事業主も申請できます。
受講者の条件は別にあります。研修を受ける人は、都内の事業所に常時勤務する従業員で、研修時間の8割以上を受講した人だけが助成の対象です。役員は雇用保険に加入している場合に従業員として扱われます。代表取締役の家族でも、雇用契約書などで雇用関係が確かめられれば対象です。過去の申請で同じ研修を受けた人は数えません。
申請の日から実績報告までの間は、最低賃金や36協定、年5日の有給取得といった労働関係法令を守っている必要があります。過去5年に重大な法令違反がないことも条件です。
いくら助成される?
計算式は「助成対象受講者数 × 研修時間数 × 800円」です。中小企業の場合、講師への謝金や会場費がいくらかかっても、式は変わりません。
- 営業5人が6時間の研修を受ける:5人 × 6時間 × 800円 = 2万4,000円
- 営業・企画の20人が9時間のデータ分析研修を受ける:20人 × 9時間 × 800円 = 14万4,000円
- 9時間の研修に延べ208人が出席する:208人 × 9時間 × 800円 = 149万7,600円(上限の150万円にほぼ届く)
1回の研修は10時間未満なので、上限の150万円に近づけるには研修を何回も開きます。上限に達するまで、複数回に分けて申請できます。事業外スキルアップ助成金の分と合わせて150万円なので、両方を使う場合は合計で数えてください。DXリスキリング助成金の上限は別枠です。
9時間の研修なら、受講者に数えられるのは7.2時間以上出席した人です。途中で抜けた人が多いと、見込みより助成額が減ります。
どんな研修が対象?
対象にならないものを先に挙げます。
- 1人しか受けない研修
- 業務の中でそのまま教わる研修(OJT)
- 3時間未満、または10時間以上の研修
- 一般的なビジネスマナーなど、職種を問わない社会人の基礎研修
- 経営方針や自社商品の説明など、通常業務に付随する研修
- 特別教育のように、法令で実施が義務づけられた研修
- 趣味や教養が目的の研修、通信(添削方式)の研修
- 講習なしで単独で受けられる資格試験
- 定額制(サブスクリプション)で受け放題の研修
- 雇用関係のない人(内定前の人、派遣先の社員など)への研修
- 交付決定の前に始まる研修、すでに始まっている研修
対象になるのは、次の条件を満たす研修です。
- 通常の業務と区別できる研修(OFF-JT)である
- 集合研修か、同時かつ双方向のオンライン研修である
- 専門的な技能や知識を持つ講師が教える
- 業務命令で、労働時間内に、賃金を払って行う
- 研修費の全額を申請した会社が負担している
- 2027年3月31日までに始まり、2027年8月31日までに終わる
「事業内」という名前でも、社内の講師に限りません。外部の研修機関が作ったプログラムを自社に呼んで受けるのも対象です。教育機関の指定や条件はなく、都外の事業者でも構いません。
総研修時間数に入れないのは、昼休憩のように賃金が出ない休憩だけです。小休憩は引かなくて構いません。1つの研修を複数日に分ける場合は、1回を30分以上にします。
申請の流れ
- 研修の日程と内容を決める(事業者。開始日の1か月前が申請の期限)
- 交付申請書などを出す(事業者→東京しごと財団。Jグランツか郵送。開始の1か月前まで)
- 交付決定の通知を受ける(財団→事業者。順調でも申請から約3週間)
- 研修を開き、出席簿に受講者が自署する(事業者)
- 実績報告書を出す(事業者→財団。研修の最終日から2か月以内)
- 額の確定通知を受け、助成金を請求する(事業者→財団。通知から1か月以内。入金は請求から約1か月)
財団は交付決定の前に研修を始めることを禁じていません。ただし募集要項は「交付決定前に実施されるもの」を助成の対象外としていて、書類の不備が直らず開始日までに決定が出ないと不交付になります。書類は申請から約3週間を見て、余裕を持って出してください。予算の範囲を超えると、受付期間の途中でも受付が終わることがあります。予算の額は公式ページに記載がありません。
Jグランツ(国の電子申請システム)を使うには、gBizIDプライム(国の電子申請に共通で使うID)が必要です。申請方法は最初の申請で紙か電子かを選び、請求まで同じ方法で続けます。電子申請の請求はJグランツの請求フォームから、紙申請では額の確定通知に同封された請求書兼口座振替依頼書で行います。財団は電子申請を勧めています。
必要な書類
準備できた 0 / 13
印鑑証明書、登記簿謄本(履歴事項全部証明書)、納税証明書、会社案内、組織図は、各年度の最初の申請のときに出します。印鑑証明書と登記簿謄本は発行から6か月以内のものです。印鑑証明書は、電子申請なら出さなくて構いません。納税証明書は法人事業税と法人都民税の2つで、1枚にまとまっていても構いません。個人事業主は、開業届の写しと、個人事業税と個人都民税の納税証明書を出します。出席簿と研修風景の写真は研修の当日に用意し、実績報告で出します。写真は1研修に1枚以上で、全受講者と講師が写り、撮影日時が分かるものにします。労働時間確認書は、週休日に研修を開く場合や、1日の研修が所定労働時間を超える場合に要ります。受講証明書は、教育機関の証明に8割以上の受講が書かれていないときに、財団の様式で作ってもらいます。募集要項の14ページ以降に提出書類の一覧があります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 代表者を受講者に数えた:代表者と個人事業主本人は対象外です。数えた分は助成額から外れます。
- 対象外の内容の研修を計画した:ビジネスマナーのような社会人の基礎研修や、法令で義務づけられた研修は助成されません。
- 受講者が8割に届かなかった:総研修時間の8割に満たない人は数えません。2人以上の条件を割ると、研修ごと対象外です。
- 他の助成と重ねた:同じ研修に国や自治体の助成を使うことはできません。
- 交付申請書の内容と違う研修をした:計画どおりに実施する決まりです。やむを得ない変更は、期限までに事務局へ連絡し、変更承認申請書を出します。
- 実績報告が期限に遅れた:研修の最終日から2か月以内です。事前の相談なく遅れると、交付決定が取り消されることがあります。
- 予算がなくなった:予算の範囲を超えると、受付期間の途中でも受付が終わることがあります。
よくある質問
個人事業主本人の研修は対象になりますか?
対象外です。個人事業主本人と、会社の代表者は助成対象の受講者に数えません。個人事業主が雇っている従業員は対象になります。代表取締役の家族は、雇用契約書などで雇用関係が確かめられれば対象です。役員は雇用保険に加入している場合に従業員として扱われます。受講者名簿を作る前に、誰を数えるかを整理しておくと、助成額の見込みがずれません。
事業外スキルアップ助成金とは両方使えますか?
使えます。上限は事業内と事業外を合わせて、1申請企業あたり150万円です。同じ研修に両方を重ねることはできません。事業内は自社で企画する研修、事業外は公開研修に社員を派遣する研修と分かれています。DXリスキリング助成金の上限は別枠なので、そちらで100万円を受けても、事業内と事業外の150万円は影響を受けません。
外部講師を呼んで研修をしても対象になりますか?
対象になります。「事業内」は、自社が企画した研修という意味です。社内の担当部署が考えたメニューも、外部の研修機関が作ったプログラムも、通常の業務を離れて受けるなら対象に入ります。教育機関の指定や条件は財団にありません。都外の事業者が講師でも構いません。ただしサブスクリプション(定額制)で提供される研修は対象外です。
1人だけが受ける研修は対象になりますか?
対象になりません。研修ごとに、2人以上が総研修時間の8割以上を受ける必要があります。受講者の人数に上限はありません。受ける人が1人だけの研修は、時間が条件内でも助成の計算に入りません。2人で受ける予定が、1人の欠席で成り立たなくなることもあります。決定後に受講者を追加することはできないので、予備を含めて、少し多めに申し込んでおくと安心です。
研修時間は何時間なら対象ですか?
1研修あたりの総研修時間が、3時間以上10時間未満の研修です。昼休憩のように賃金が出ない休憩は時間に入れません。小休憩は引かなくて構いません。1つの研修を複数の日に分けるときは、1回あたり30分以上にします。たとえば9時間の研修を、1日目に午前3時間と午後3時間、2日目に3時間と分けて開くのは、条件に合います。
すでに始まっている研修は申請できますか?
申請できません。交付申請は、研修の開始予定日の1か月前までに出します。すでに始まった研修は対象外です。日程が決まっていない段階でも申請はできません。日程を含めて計画が固まってから申請します。決定後の日程変更は、変更承認申請書と必要書類を出せば認められることがあります。変更できるかどうかには条件があるので、早めに事務局へ連絡してください。
交付決定の前に研修を始めてもいいですか?
財団は禁じていませんが、募集要項は交付決定前に実施される研修を助成の対象外としています。書類の不備や不足が直らず、研修の開始日までに交付決定が出ないと、不交付になる可能性があります。審査が順調に進めば、申請から交付決定までは約3週間です。開始日の直前に出すと間に合わないことがあります。余裕を持って、研修の1か月以上前に申請してください。
助成金はいつ振り込まれますか?
研修が終わり、実績報告をして、財団から額の確定通知を受けたあとの請求で振り込まれます。請求は通知から1か月以内に出します。請求書兼口座振替依頼書を財団が受け取ってから、おおむね1か月かかります。複数の研修をまとめて申請した場合、助成金が出るのは全研修の終了後です。入金時期の見通しは、申請をまとめるか分けるかで変わります。
勤務時間外や休日の研修も対象ですか?
研修は業務命令として労働時間内に行い、所定の賃金を払うことが条件です。実施する時間の決まりはありませんが、週休日に開く場合や、1日の研修が所定労働時間を超える場合は、実績報告に労働時間に関する確認書を付けます。確認書には、受講者ごとに、休日や所定時間を超えた勤務の扱いを書きます。残業代の扱いを決めてから日程を組むと、報告の手戻りが減ります。
本社が都外で、都内に事業所がある場合は申請できますか?
申請できる場合があります。都内の事業所が登記されているか、その事業所について都税事務所に事業開始等申告書を出していれば対象です。後者の場合は、都税事務所が出す「事業開始等申告書提出済証明書」を付けます。助成の対象になる受講者は、常時勤務する事業所が都内にある人だけです。オンライン研修の場合は、受ける場所は問われません。
内定者や派遣社員への研修は対象ですか?
入社前の内定者への研修は、雇用関係がないので対象外です。入社後の研修なら対象になることがあり、受講者一覧の備考欄に内定済みと書きます。財団が入社の事実を確かめたり、雇用契約書の提出を求めたりします。契約している派遣会社の社員に開く研修は対象外です。派遣元の会社が自社で雇う派遣社員に開く研修は、対象になります。
申請の問い合わせ先はどこですか?
東京しごと財団 企業支援課の「スキルアップ助成金」事務局です。電話は03-5211-0391で、平日の9時から17時に受け付けています。12時から13時と、土日・祝日、年末年始は休みです。電話では「事業内スキルアップ助成金」と伝えてから質問してください。来所や訪問での説明も頼めます。対象になるか迷う研修は、申請の前に確かめておくと安心です。
