難病やがんの治療をしながら働く人を、新しく雇う場合と、休職から復職させる場合で、使う区分が分かれます。採用なら採用奨励金、復職なら雇用継続助成金です。
どちらも最大70万円で、治療と仕事の両立に必要な制度を新しく入れると、最大30万円が加わります。支援計画書は、雇入れ日か復職日の翌日から2か月以内に出さないと受け付けてもらえません。
東京都 難病・がん患者就業支援奨励金の要点まとめ
正式名:東京都難病・がん患者就業支援奨励金
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 業種不問(都内の事業所で雇用する事業主)
- 利用目的
- 難病・がん患者の採用、復職の受け入れ
- 対象地域
- 東京都内(本人が都内の事業所で勤務)
- 従業員数
- 採用は規模不問、復職は中小企業のみ
いくら
- 補助上限額
- 最大100万円(70万円+制度導入加算30万円)
- 補助率
- 定額支給
いつ・どこへ
- 申請受付
- 随時受付(予算がなくなり次第終了)
- 事業の完了
- 雇入れ・復職から6か月以上の雇用継続
うちの会社は対象になる?
次の6つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ A型事業の利用者として雇う
- ✕ 過去3年以内に雇った人を採用
- ✕ 3親等内の親族を採用
- ✕ 大企業が復職で申請する
- ✕ 都税の未納がある
採用と復職で、条件が変わります。
採用奨励金は、難病かがんの人を週の所定労働時間10時間以上で新たに雇った場合です。企業の規模は問われません。都内のハローワークの紹介は、現在の手引きに要件として載っていません。
雇用継続助成金は、中小企業の事業主だけが使えます。週20時間以上で継続して雇っていた社員が、連続して10日以上休職し、復職した場合です。復職後は週10時間以上で働いてもらいます。
A型事業は、就労継続支援A型事業のことです。雇用契約を結んで働く、障害のある人の事業所です。その利用者として雇う人は対象外です。
雇う人は、無期雇用か、更新ありの有期雇用にします。雇用保険と社会保険は、加入の要件を満たす働き方なら入れます。
中小企業の範囲は、業種ごとに資本金か従業員数の上限で決まります。小売・飲食は5,000万円以下か50人以下、卸売は1億円以下か100人以下、サービス業は5,000万円以下か100人以下、その他は3億円以下か300人以下です。どちらか一方を満たせば足ります。会社以外の法人や個人は、従業員数で判定します。
いくらもらえる?
金額は、本人の週の所定労働時間で2段階に分かれます。
| 区分 | 週20時間以上 | 週10時間以上20時間未満 |
|---|---|---|
| 採用奨励金(雇入れ時) | 70万円/人 | 45万円/人 |
| 雇用継続助成金(復職時) | 70万円/人 | 45万円/人 |
これに制度導入加算が付きます。治療と仕事の両立に配慮した制度を新しく入れると、1制度で10万円、最大30万円です。加算だけでは申請できません。
- 週30時間で採用し、3制度を導入:70万円 + 30万円 = 100万円
- 週15時間で2人を採用、制度の導入なし:45万円 × 2人 = 90万円
- 復職時に週15時間へ短縮し、通院有給休暇を導入:45万円 + 10万円 = 55万円
最大の100万円に届くのは、週20時間以上で、制度を3つ入れたときだけです。
支給額は手引きの改定で変わります。以前のリーフレットには、60万円と40万円の区分が載っています。古い資料の金額は使わず、最新の手引きを確かめてください。
採用と復職は、どう使い分ける?
| 区分 | 使える場面 | 使える事業主 | 最大額 |
|---|---|---|---|
| 採用奨励金 | 難病・がんの人を新しく雇った | 規模不問 | 70万円 |
| 雇用継続助成金 | 休職した社員が復職した | 中小企業のみ | 70万円 |
| 制度導入加算 | 両立のための制度を新設した | 上の2つと同時 | 30万円 |
制度導入加算は、単独で申請できません。採用か復職のどちらかと一緒に出します。
加算の対象は、次の制度です。雇入れ日か復職日より後に新しく入れ、就業規則などに明記して運用している必要があります。
- 就業の制度:フレックスタイム、通勤緩和、テレワーク、短時間勤務
- 休暇の制度:病気有給休暇、通院有給休暇、時間単位の年次有給休暇
- 産業保健スタッフへの相談体制:両立支援コーディネーター基礎研修を修了したスタッフ、または産業医・保健師と直接相談できる仕組み
国にも、障害者介助等助成金の「職場復帰支援助成金」があります。この助成金を同じ事由で受けていると、雇用継続助成金と制度導入加算は重ねて受け取れません。都の別の奨励金にも、加算と重ならないものがあります。
申請の流れ
- 本人と話し合い、医師の診断書をもらう(事業主・本人。情報提供書1・2をもとに主治医と相談する)
- 支援計画書を出す(事業主→都の就業推進課。雇入れ日か復職日の翌日から2か月以内)
- 配慮しながら6か月以上、雇用を続ける(事業主。都の職員が就業場所を訪ねることがある)
- 支給申請書を出す(事業主→都。雇入れ日か復職日から5か月たった日から1か月以内)
- 実績報告書を出す(事業主→都。6か月の雇用が続いた日の翌日から1か月以内)
- 支給の決定と額の確定を受ける(都→事業主)
4月1日に雇った場合は、支援計画書が4月2日〜6月1日、支給申請書が9月1日〜9月30日、実績報告書が10月1日〜10月31日です。提出日が閉庁日なら、翌開庁日まで出せます。
申請書類は、郵送、持参、電子申請(Jグランツ)のどれかで出します。郵送は簡易書留などで、持参は事前に電話予約が要ります。Jグランツには、gBizIDプライムが必要です。発行に2〜3週間かかります。社労士などの代理申請は、システムの都合で使えません。
必要な書類
準備できた 0 / 15
上の表は、提出の順に並べています。計画書の段階では、診断書、契約書、登記事項証明書(3か月以内)、チェックリストを出します。雇用継続助成金では、雇用保険の通知書と出勤簿の写しも要ります。
個人事業主は、登記事項証明書の代わりに開業届の写しと、常時雇用する人数がわかる資料を出します。支給申請では、社会保険の資格取得届の写しも要ります。電子申請なら、印鑑証明書は出さなくて構いません。制度導入加算では、導入前と導入後の就業規則の写しを出します。
様式の最新版と全書類の一覧は、都の申請の手引きにあります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 計画書の提出が遅れた:雇入れか復職の翌日から2か月以内です。期限を過ぎると、受け付けてもらえないおそれがあります。遡って適用はされません。
- 6か月の勤務実績が足りない:6か月たつだけでは足りません。週平均の実労働時間が、所定の5割以上で、かつ8時間以上(週20時間以上の人は16時間以上)の必要があります。
- 過去に雇った人を採用した:過去3年間に、雇用、請負、委任の関係があった人や、3か月を超えて実習を受けた人は、採用奨励金の対象外です。
- ほかの助成金と重なった:同じ事由で、国の職場復帰支援助成金などを受けていると、重ねて受け取れません。
- 予算がなくなった:予算の範囲を超えると、申請期間内でも受付が終わることがあります。
よくある質問
採用と復職の、どちらにも使えますか?
使えます。難病やがんの人を新しく雇ったときは採用奨励金、休職していた社員が復職したときは雇用継続助成金です。同じ人に両方を使うことはありません。採用は企業規模が問われませんが、復職は中小企業の事業主だけです。どちらの場合も、本人と話し合って支援計画書を作り、6か月以上雇用を続けることが条件です。
都内のハローワークを通さずに採用した人は対象ですか?
現在の手引きと要綱には、ハローワークの紹介を求める条件がありません。自社の募集や民間の紹介で雇った人も、ほかの要件を満たせば対象になります。ただ、古いリーフレットには、ハローワークの紹介を雇入れの条件とする記載があります。手引きの改定で変わった点なので、申請の前に就業推進課へ、自社の採用経路でよいかを確かめると確実です。
支援計画書はいつまでに出しますか?
雇入れ日、または復職日の翌日から2か月以内に、都の就業推進課へ出します。期限を過ぎた計画書は、受け付けてもらえないおそれがあります。計画書は、医師の診断書や意見書をもとに、本人と話し合って作ります。雇い入れが決まった時点で、診断書の依頼から始めてください。診断書の費用は、事業主の負担です。
休職は、どのくらいの期間が要りますか?
雇用継続助成金は、連続して10日以上休職した社員が復職する場合です。令和5年3月31日以前に復職した場合は、2週間以上が要りました。古いリーフレットには、1か月以上と書かれたものもあります。昔の資料と今の手引きで違うため、最新の手引きの日数で判断してください。休職がわかる出勤簿やタイムカードの写しも、計画書と一緒に出します。
パートタイムでも対象になりますか?
なります。採用では、週の所定労働時間が10時間以上なら対象で、20時間未満は45万円です。復職は、もともと週20時間以上で雇っていた人が対象で、復職後に週10時間以上20時間未満になった場合は、45万円です。週10時間に満たない働き方は対象外です。所定労働時間は、雇用契約書などで確かめます。
制度導入加算は、何をすれば付きますか?
治療と仕事の両立に配慮した制度を、雇入れや復職に合わせて新しく入れると付きます。1制度につき10万円で、最大30万円です。短時間勤務、通院有給休暇、テレワークのほか、産業医や保健師と直接相談できる仕組みも対象です。雇入れ日か復職日より後に導入し、就業規則などへの明記と運用が条件です。導入前と導入後の就業規則の写しを出します。
制度導入加算だけで申請できますか?
できません。採用奨励金か雇用継続助成金と一緒に出す加算です。採用や復職の実績がなく、制度だけを新しく作った場合は、対象になりません。採用か復職が決まっているときに、あわせて制度を導入する形が前提です。加算が3制度分付けば、最大の100万円に届きます。支援計画書に書いた制度の数や内容が変わるときは、支給申請の前に変更理由を書面で出します。
難病やがんは、どこまでが対象ですか?
難病は、指定難病のほか、都の医療費助成の対象疾病や、障害者総合支援法の対象疾病が示されています。一覧は都の公式ページにあります。がんは、医師から悪性新生物(上皮内新生物を含む)と診断され、就業時の配慮を求められている人です。15歳以下で発症したがんの合併症や後遺症も、医師が配慮を求めていれば対象です。診断書か情報提供書で、本人が対象の疾患であることを示します。
6か月たつ前に、辞めてしまった場合はどうなりますか?
要件は、6か月以上雇用を続けることです。短い期間で雇用が終わった場合の扱いは、手引きに細かい記載がありません。個別の事情で変わるため、辞める話が出た時点で、都の就業推進課へ相談してください。支給申請は5か月たった日から、実績報告は6か月続いた後に出します。実績報告の時点で6か月続いていることが前提です。
申請はどこで受け付けていますか?
東京都産業労働局 雇用就業部 就業推進課の障害者雇用促進担当です。電話は03-5320-4663(代表)、所在地は新宿区西新宿2-8-1の都庁第一本庁舎21階北側です。受け付けは平日の午前9時から午後5時までで、正午から午後1時までは除かれます。郵送、持参、Jグランツ(電子申請)のどれかで出します。持参は、事前に電話予約が要ります。
他の助成金と一緒に使えますか?
同じ支給事由で別の助成金を受けていると、重ねて受け取れません。雇用継続助成金では、国の職場復帰支援助成金が該当します。制度導入加算では、国の職場復帰支援助成金のほか、都の働く人のチャイルドプランサポート制度整備奨励金、働きやすい職場環境づくり推進奨励金、魅力ある職場づくり推進奨励金のうち、同じ制度に係るものが該当します。迷う場合は、先に就業推進課へ伝えてください。
大企業でも使えますか?
採用奨励金は、企業の規模が問われません。大企業でも、要件を満たせば使えます。雇用継続助成金は、中小企業の事業主だけが対象です。資本金や従業員数の上限は、業種ごとに決まっています。復職で申請を考えている場合は、自社が中小企業に当たるかを、復職日の時点で先に確かめてください。
