研究開発費の3分の2を、最大8,000万円まで3年間受け取れる事業です。ただし令和8年度の受付は2026年9月3日17時に終了しました。次の募集は、公式ページで確認できていません。
申請の入口になるのは、自社単独ではなく、他企業・大学・公設試験研究機関との連携を含む開発であることです。この条件を満たさない計画は、技術が優れていても対象になりません。
TOKYO戦略的イノベーション促進事業の要点まとめ
正式名:TOKYO戦略的イノベーション促進事業(令和8年度)
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)・都内で創業予定の個人
- 対象業種
- 業種の指定なし(開発支援テーマに沿う開発)
- 利用目的
- 都市課題の解決につながる技術・製品の研究開発
- 対象地域
- 東京都内(都内の本店・支店で実質的に事業をしている)
- 従業員数
- 中小企業者の基準内(業種ごとに上限あり)
いくら
- 補助上限額
- 8,000万円(申請下限1,500万円・最長3年間の合計)
- 補助率
- 対象と認められる経費の2/3以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年9月3日17時に終了(エントリーは7月9日〜8月12日)
- 事業の完了
- 2030年2月28日まで(助成対象期間は2027年3月1日から)
自社の開発は対象になるのか
募集要項の「助成対象事業」の要件を、すべて満たす必要がありました。次の5つに当てはまれば、対象の見込みでした。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
テーマは東京都のイノベーションマップに載っています。連携先は他企業・大学・公設試験研究機関などで、形は委託、外注、共同研究です。事業化は販売などで収入が発生することを指します。
事業の期間は申請日の基準日(2026年8月1日)に都内で実質的に1年以上かを見ますが、創業1年未満の法人・個人事業者も申請できます。開発の場所は自社の事業所や工場で、原則として都内です。連携先や委託先の施設は実施場所にできません。
次のどれかに当たると、対象外です。
- ✕ 連携先がなく自社だけで進める
- ✕ 生産・量産用の設備導入が目的
- ✕ すでに量産段階にある技術
- ✕ 事業化済みで収益が出ている技術
- ✕ 開発の全部または大部分を外注する計画
- ✕ 医薬品・医薬部外品やそれに類するもの
医薬品などは原則として対象外です。
大企業の関連会社など、いわゆるみなし大企業(大企業が株式の一定割合を持つなどで、中小企業でも対象外になりやすい会社)も、この事業では申請できます。一方で、同じテーマで公社の別の助成事業にも申し込むことはできず、申請は1企業につき1件です。国や自治体の別の助成金とは同じテーマで重ねて申請できますが、両方に採択されたときはどちらかを選びます。
なお、中小企業者の基準は業種で変わり、資本金か従業員数のどちらか一方を満たせば該当します。製造業・建設業・運輸業などは資本金3億円以下または300人以下、卸売業は1億円以下または100人以下、サービス業は5,000万円以下または100人以下、小売業は5,000万円以下または50人以下です。
勘違いされやすいのは「どのテーマに入るか」と「連携先」
開発支援テーマは9つあり、防災・減災、インフラメンテナンス、安全・安心、スポーツ振興、子育て・高齢者・障害者の支援、医療・健康、環境・エネルギー、観光・金融、交通・物流が並びます。例示はあくまで一例で、複数のテーマにまたがる開発や、部品・部材などの周辺技術の開発も対象でした。
ただし、どのテーマに当たるかは公社に聞いても回答してもらえません。募集要項に「申請時において開発支援テーマに該当するかどうかは回答できません」と書かれており、テーマとの適合そのものが審査項目だからです。自分でイノベーションマップ(東京都が策定した、成長産業分野の開発支援テーマと技術動向の指針)を読んで判断することになります。
連携先は大企業でも、都外の企業や大学でも構いません。ただし系列会社は連携先になりません。連携先は1つ以上、必ず設定します。
いくら受け取れるのか
助成の上限は8,000万円、申請の下限は1,500万円です。補助率は対象と認められる経費の2/3以内なので、経費の規模で受取額が決まります。
- 製造業が試作と評価に3,000万円かける:3,000万円 × 2/3 = 2,000万円
- 下限に当たる最小の規模:2,250万円 × 2/3 = 1,500万円
- 大型の開発に1億5,000万円かける:1億5,000万円 × 2/3 = 1億円 → 上限の8,000万円
申請額が1,500万円に届かない小さな計画は、申請の対象外です。上限に届くのは、対象と認められる経費が1億2,000万円のときです。
交付決定(審査を通って助成対象と決まる通知)で示される金額は、受け取れる額の上限にすぎません。完了検査で経費を精査して額が確定するため、予定額より減ることがあります。
何に使えるのか
対象にならない経費から先に確認します。
対象にならないもの
- 工事費、施工監理費、建物・施設の取得費、不動産賃借料、備品費(設備の整備・改修に係る経費)
- 消費税、振込手数料、通信費、光熱費などの間接経費
- 資料収集、調査、会議費、消耗品費、旅費交通費などの事務的経費
- 親会社・子会社・グループ会社など、資本関係のある会社との取引にかかる経費
対象になるもの
- 原材料・副資材費、機械装置・工具器具費
- 委託・外注費、専門家指導費
- 直接人件費
- 規格等認証・登録費、産業財産権出願・導入費
- 展示会等参加費、広告費
規格等認証・登録費、産業財産権出願・導入費、展示会等参加費、広告費は、助成金の申請額の合計が全体の2分の1までです。展示会等参加費と広告費は合わせて1,000万円まで、直接人件費は1年につき1,000万円までです。
見積書は、税抜100万円以上になる経費(機械装置・工具器具費、委託・外注費、専門家指導費、規格等認証・登録費)で2社分以上が要ります。
申請から助成金の受け取りまでの流れ
令和8年度の日程を基準にまとめます。次回以降は日程が変わる可能性があります。
- GビズIDプライムを取る(申請者→デジタル庁。発行に原則2週間程度かかるので、エントリーの前に)
- 申請エントリーを出す(申請者→公社のWebフォーム。2026年7月9日〜8月12日17時、厳守)
- 申請書類を作って出す(申請者→Jグランツ。8月14日〜9月3日17時。持参・郵送・メールは不可)
- 一次審査(書類)と二次審査(面接)を受ける(公社→申請者。一次審査は9月上旬〜12月上旬、二次審査は12月下旬〜2027年1月上旬)
- 採択と交付決定の通知を受ける(公社→申請者。2027年3月上旬の予定)
- 開発を進め、完了後に実績を報告する(申請者→公社。終了日から15日以内)
- 完了検査を受け、確定通知のあとに請求する(公社→申請者。助成金は事業完了後の払いです)
必要な書類
準備できた 0 / 18
申請書には実施計画・資金計画・アンケートを含み、様式は公社の事業ページからダウンロードします。登記簿謄本は履歴事項全部証明書の原本で、発行後3か月以内のものです。確定申告書と決算書類は、事業開始2年未満なら直近1期分です。
源泉徴収票と納税証明書は原本を出します。資金保有の裏付けは銀行口座の残高証明書などで、社歴書は会社案内でも構いません。見積書は税抜100万円以上の経費で2社分、補足説明資料はA4で30枚以内です。特許等の証拠書類は、申請書に自社の特許を書いたときに出します。
法人・未決算法人・個人事業者・創業予定者で、出す書類が変わります。マイナンバーが載った書類は受け取ってもらえないので、黒塗りにして出します。全体の一覧は募集要項の「補足2」にあります。
もらえなくなるのはどんなときか
- 目標に届かなかった:研究開発の達成目標を設定し、届かなければ助成金は支払われません。展示会への出展のような、開発でない目標は設定できません。
- 自社単独の開発になっていた:連携先を1つ以上置けない計画は対象外です。
- 対象期間のうちに支払いまで終えなかった:契約から支払いまでが助成対象期間内に終わっていない経費は、支払われません。
- 開発した試作品を売った:助成期間中の試作物の販売は認められません。事業が取り消されることがあります。
- 不採択だった:2027年3月1日以降は契約を結べますが、採択されなければ費用は自己負担です。
令和8年度の特徴と、次の募集に向けて
この事業は令和3年度から実施されています。令和8年度は、イノベーションマップの公開が7月中旬、エントリー締切が8月12日、書類の締切が9月3日でした。令和9年度以降の募集は、公式ページに載っていません。
準備に時間がかかるのは、GビズIDプライムの取得、連携先との合意、見積書の取得です。募集が始まってからでは間に合わないものを、編集部は先に進めることを勧めます。
最新の募集は、東京都中小企業振興公社 助成課(電話 03-3251-7894)に確認できます。
よくある質問
令和8年度はまだ申請できますか?
申請できません。申請エントリーは2026年8月12日17時に、申請書類の提出は9月3日17時に終了しました。公式ページにも「令和8年度の申請受付は終了しました」と書かれています。次回の募集があるかは、東京都中小企業振興公社のページと助成課(03-3251-7894)で確認してください。募集が始まってからだとGビズIDプライムの取得(原則2週間程度)が間に合わないので、先に作っておくと安心です。
個人事業主でも申請できますか?
できます。対象者は「都内の本店又は支店で実質的な事業活動を行っている中小企業者(会社及び個人事業者)等」と、都内での創業を具体的に計画している個人です。個人事業者は、税務署に提出済みの開業届の写しで、納税地や主たる事業所が都内にあることを示します。基準日(2026年8月1日)に、都内で実質的に1年以上事業をしているか、1年未満の創業であることが条件でした。
自社だけで開発する場合は対象になりますか?
対象になりません。募集要項は「自社単独での開発は対象となりません」と書いています。他企業・大学・公設試験研究機関などとの連携(委託、外注、共同研究によるノウハウの活用)を計画に入れ、主たる連携先を1つ以上決める必要があります。連携先は大企業でも、都外の企業や大学でも構いません。系列会社は連携先になりません。
自社の開発が開発支援テーマに当たるか、事前に確認できますか?
公社には確認できません。募集要項に、申請時に開発支援テーマへ該当するかどうかは回答できないと書かれています。テーマへの適合は審査項目の一部だからです。東京都が出しているイノベーションマップを読み、9つのテーマと例示に照らして自社で判断します。複数のテーマにまたがる開発や、部品・部材の開発も対象になります。
設備投資にも使えますか?
生産・量産用の機械設備を入れること自体が目的の計画は、助成対象事業になりません。ただし、開発のために必要な機械装置・工具器具の費用は助成対象経費に含まれます。工事費、建物・施設の取得費、不動産賃借料、備品費は対象外です。開発のための装置か、量産のための設備かで分かれるので、計画書では開発に必要な理由を書き分けてください。
補助率と、受け取る額の決まり方を教えてください。
補助率は対象と認められる経費の2/3以内で、上限は8,000万円、申請の下限は1,500万円です。交付決定で示される額は上限にすぎず、完了検査で経費を精査して確定します。確定額は、経費区分ごとの実際の助成対象経費に2/3を掛けた額と交付予定額を比べて、低いほうです。千円未満は切り捨てになるので、予定額より減ることがあります。
助成金はいつ支払われますか?
事業が終わったあとです。完了報告を出して完了検査を受け、助成金額の確定通知が届いてから、請求書を出します。中間検査のあとには助成金は支払われません。期を設けた場合は、期ごとに完了検査があり、期ごとに交付されます。期の長さは1年以上です。開発の途中で使うお金は、先に自社で用意しておく必要があります。
採択前に契約や発注をしてもいいですか?
助成対象期間は2027年3月1日からです。3月1日以降なら契約を結べますが、採択されなかった場合、その費用は申請者の負担になり、公社の助成金は出ません。助成対象になる経費は、対象期間内に発注または契約、取得・実施、支払いまでが終わったものだけです。期間より前の契約や支払いは、対象になりません。
審査ではどこを見られますか?
経理審査と技術審査です。経理審査は財務内容、事業予算、資金確保の状況を見ます。技術審査はイノベーションマップとの適合性、新規性、優秀性、市場性、実現性、計画の妥当性を見ます。一次審査は書類、通過した申請者は二次審査の面接に進み、総合審査会を経て助成対象者が決まります。審査の内容や結果の個別の問い合わせには回答してもらえません。
行政書士などに申請を頼めますか?
Jグランツ上の代理申請機能に限り、第三者が申請を作成できます。申請者はGビズIDで委任の手続きをし、「同意書(代理申請用)」を提出します。申請の確認と提出、受付以降の手続きは申請者自身が行います。助成対象経費に関わる外注先の事業者や、公社の職員・相談員は代理申請を請け負えません。申請書類の連絡先は、雇用保険加入の従業員か取締役以上の役員です。
採択後に公社の支援はありますか?
あります。連携コーディネータが月1回程度、採択事業者を訪問して、進捗の確認や助言、中間・完了検査へのフォローをします。連携コーディネータは、採択後に公社が派遣します。交付決定のあとに事前支援として、公社の担当者が実施場所を訪れて、事務処理の説明などをします。四半期ごとの報告も求められます。
問い合わせ先はどこですか?
助成事業については、東京都中小企業振興公社 助成課(電話 03-3251-7894、平日9:00〜17:00)です。制度全般は、東京都産業労働局 商工部 創業支援課(電話 03-5320-4745)が窓口です。GビズIDの取得や技術的な質問は、GビズIDヘルプデスク(0570-023-797)に聞きます。
