テレワークのルールを決めたのに、出社する人としない人の間で不満がくすぶる。そんな会社が、ルールを見直す手間に対して定額を受け取れる制度です。機器の購入費やシステムの導入費を補う補助金ではありません。
基本額は20万円です。テレワークができない従業員の不公平感を和らげる制度(出社手当や時差出勤など)を就業規則に定めると、さらに20万円が加算されて最大40万円になります。令和6年度から令和8年度に一度でも受給した企業は、申請できません。
テレワーク定着強化奨励金の要点まとめ
正式名:令和8年度テレワーク定着強化奨励金
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 業種の指定なし(風俗営業などは除く)
- 利用目的
- テレワークルールの策定と定着
- 対象地域
- 東京都内
- 従業員数
- 常時雇用999人以下(都内勤務2人以上)
いくら
- 補助上限額
- 40万円(基本額20万円+加算額20万円)
- 補助率
- 定額支給
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年5月29日〜2027年2月26日
うちの会社は対象になる?
次の6つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 令和6〜8年度に受給済み、または申請中
- ✕ 風俗営業などを行っている
風俗営業は、風営法が定める風俗営業・性風俗関連特殊営業・接客業務受託営業と、これに類する事業を指します。
このほか、過去5年に重大な法令違反がないこと、最低賃金を守っていること、暴力団と関係がないことも要件です。都内での営業実態がなく法人都民税が免除されている法人は、対象外です。就業規則を作っている会社は、労基署に届出済みである必要があります。
常時雇用とは、期間の定めなく雇っている人と、1年を超えて雇っている(雇う見込みの)有期の人を指します。登録型派遣の人は数えません。2人のうち1人は、申請日の時点で6か月以上続けて雇っていて、雇用保険に入っている人である必要があります。
「東京ルール実践企業宣言」は、都のサイトで登録するテレワークの宣言制度です。宣言書に「テレワーク推進リーダー設置」の表示が出ていることが条件になります。規定の整備が間に合わないときは仮登録ができますが、申請までに本登録を終えなければ申請できません。
個人事業主も対象です。都内の税務署に開業届を出していることが条件です。同じ代表者の別法人からの申請は、同じ企業からの申請とみなされます。別の法人で受給済みの場合は、窓口に確かめると安心です。
いくら受け取れる?
支給額は、かかった費用では決まりません。取組を終えれば基本額の20万円、加算の条件を満たせば20万円が上乗せされます。加算額だけの申請はできません。
- 調査から社内周知までを終えただけ:20万円
- 上に加えて、現場手当を就業規則に定めて届け出た:20万円 × 2(基本額+加算額) = 40万円
- 加算の制度を導入したが、取組の順番を守っていなかった:0円
加算の対象になる制度の例として、募集要項は次の4つを挙げています。
- テレワーク規定の対象者を、一部の職種から全職種へ広げる
- 時差出勤制度を入れる
- 出社手当を入れる
- 現場手当や暑さ手当を入れる
どれも、テレワークができない従業員が入っていることが前提です。制度は就業規則や規程に定め、申請日までに労働基準監督署へ届け出ます。従業員が10人未満の会社も同じです。かかった費用の領収書は、提出書類に入っていません。
申請までの流れ
取組は順番どおりに進めます。順番を入れ替えると受給できません。
- 実践企業宣言に登録する(事業者→宣言サイト。取組の前に)
- 従業員調査をする(事業者→全従業員。必須の15項目を残らず聞き、集計表にまとめる)
- プロジェクトチームを作り、解決策を決める(従業員を1人以上入れる。メンバーは研修動画を見る)
- 決めたルールを試して、検証する(事業者→従業員。気づきを申請書に書く)
- 必要なら見直す(見直さなくても、その経緯を申請書に書く)
- 社内に周知する(一斉メールや社内の掲示でよい。ルールが変わらなかった場合も周知する)
- 申請する(事業者→東京しごと財団。2027年2月26日まで)
- 支給決定を受け、請求する(財団→事業者。請求後1か月程度で振込)
つまずきやすいのは、取組を始める時期です。募集要項が出る前(2026年5月29日より前)に済ませた取組は、対象外です。すでに社内で調査をしてしまった場合は、改めてやり直す形になります。
研修動画は、プロジェクトチームの設置後から課題の検討が終わるまでの間に見ます。宣言サイトのマイページから見られるので、登録が先です。
申請は電子と郵送のどちらかです。併用はできません。電子申請にはGビズID(国の電子申請で使う共通のID)が要り、発行までに時間がかかります。IDが間に合わなくても期限は延びないので、その場合は郵送に切り替えます。社労士や行政書士などが代行する場合も、郵送のみです。
必要な書類
準備できた 0 / 11
加算申請書は、加算を申請するときだけ出します。根拠になる書類の添付も要ります。雇用保険の確認通知書は事業主通知用で、2人分です。就業規則は、常時雇用が10人以上なら必須で、10人未満の会社は作っている場合だけ出します。テレワーク規定は10人未満でも必須です。どちらも、労基署の届出印があるものを出し、取組で改定したときは新旧対照表を付けます。履歴事項全部証明書は発行から3か月以内のものです。登記上の本店と本社機能のある事業所が違うときは、事業所で営業している証明として水道光熱費の請求書や賃貸借契約書なども要ります。
個人事業主は、履歴事項全部証明書の代わりに開業届と住民票記載事項証明書を、法人都民税の代わりに個人都民税と個人事業税の納税証明書を出します。代理人が出すときは委任状(様式第7号)が加わります。支給が決まったあとは、請求書兼口座振替依頼書(様式第6号)と印鑑証明書(原本)を出します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 順番を守っていない:Step①から⑤を項目順にすべて行っていないと、受給できません。
- 研修を受けていない:プロジェクトチームのメンバーが研修動画を見ていないと、受給できません。
- 調査の項目が欠けた:必須の調査項目が1つでも抜けていると、受給できません。
- ルールを定めなかった:取組の結果、テレワークを続けないと決めた場合は、対象外です。目的はテレワークの定着だからです。
- 外部の人が主体になった:各Stepは、申請する会社が自分で進める必要があります。
- 予算が尽きた:受付期間内でも、予算を超える申請があれば受付が終わります。
あわせて知っておくこと
この取組をして、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」に登録・公表している中小企業は、都の制度融資「女性活躍推進融資」の対象になります。信用保証料の3分の2が補助され、利率の優遇も受けられます。
よくある質問
従業員が2人だけの会社でも申請できますか?
申請できます。条件は、都内に勤務する常時雇用の労働者が2人以上いることです。そのうち1人は、申請日の時点で雇用してから6か月以上たっていて、雇用保険に入っている必要があります。2人目は6か月未満でも構いません。確認のため、雇用保険の確認通知書を2人分出します。雇用保険に入っている人が1人だけのときは、もう1人分は労働契約書か労働条件通知書で代えます。
個人事業主でも対象になりますか?
対象です。ただし、都内の税務署に開業届を出していることが条件です。申請書には、事業所の所在地に加えて住民票記載事項証明書のとおりの住所を書きます。納税証明書は、個人都民税の居住地分と事業所地分、個人事業税の3つが必要です。非課税のときは、確定申告書の写しなど、課税されない理由が分かる書類を出します。
過去に受給したことがあります。もう一度申請できますか?
申請できません。令和6年度から令和8年度のどこかで本奨励金を受給した企業と、申請中の企業は対象外です。申請は1つの事業者につき1回かぎりで、重複して出すと先に出した方が有効になります。同じ代表者の別法人からの申請も、同じ企業からの申請とみなされます。代表者が同じ法人をほかにお持ちの場合は、財団の窓口(03-5211-0395)に先に聞くと確実です。
加算額だけをもらうことはできますか?
できません。加算額は、基本額の要件を満たしたうえで上乗せされるものです。加算を受けるには、様式第1号別紙と、制度を入れたことが分かる書類が要ります。導入した制度の対象に、テレワークができない従業員が入っていないと加算にはなりません。就業規則などに定めて、申請日までに労基署へ届け出ておく必要もあります。
登録が間に合わないとき、どうすればいいですか?
仮登録の手続きがあります。テレワーク規定の整備が間に合わない場合に、先に仮登録をして、規定は後からマイページに提出する形です。ただし、規定を提出して本登録が済んでいないと、奨励金の申請はできません。宣言書に「テレワーク推進リーダー設置」の表示が出ているかも確かめます。登録の窓口は「テレワーク東京ルール」実践企業宣言事務局(03-6380-8581)です。
すでに決めているテレワークルールがあります。取組はやり直しですか?
募集要項が出る前(2026年5月29日より前)に済ませた取組は対象外なので、従業員調査から実施する必要があります。調査の結果、今のルールを変えないという結論になっても構いません。その場合でも、変更がないことを社内に周知します。反対に、テレワークを続けないという結論にした場合は対象外です。
従業員調査はどんな形で行えばいいですか?
方法は自由です。テレワークができる人とできない人で聞く項目が分かれ、全部で15項目あります。1項目でも抜けると受給できません。提出するのは、調査日と調査項目、結果をまとめた集計表で、形式は問われません。各従業員の回答用紙は出さなくて構いません。テレワークができる人には「不公平さを感じるか」も聞きます。
電子申請と郵送、どちらがいいですか?
財団は電子申請を勧めています。電子は受付期間の最終日の23時59分まで、郵送は最終日の消印まで有効です。併用はできません。電子申請にはGビズIDが要り、審査に時間がかかるため、期限が近いと間に合わないことがあります。間に合わなければ郵送に切り替えます。社労士などの代行は、郵送のみです。来所しての持参提出は受け付けていません。
申請はいつまでにすればいいですか?
2027年2月26日までです。ただし、予算を超える申請があると、期間内でも受付が終わります。1月と2月は申請が多く、審査にかなり時間がかかる見込みと財団が案内しています。調査から周知までを順番どおりに終えてからでないと申請できないため、早めに調査を始めておく方が安全です。
申請してから振り込まれるまでは、どのくらいかかりますか?
審査の結果は書面で届き、支給決定のときは決定通知書に請求書兼口座振替依頼書が同封されます。請求書に記入して印鑑証明書(原本)を添えて郵送すると、不備がなければ請求後1か月程度で振り込まれます。審査では、不支給になったり、申請額と決定額が違ったりすることもあります。審査の経過に関する問い合わせには応じてもらえません。
社労士などに頼んで申請してもらえますか?
頼めますが、申請方法は郵送のみです。委任状(様式第7号)を支給申請書類に添えます。財団からの通知書は、代理人ではなく申請する会社あてに届きます。電子申請(Jグランツ)は、自社の在籍者以外による代行ができません。社内の担当者が申請するのであれば、電子申請を使えます。
問い合わせ先はどこですか?
奨励金そのものは、東京しごと財団 企業支援部 雇用環境整備課 テレワーク定着支援係(03-5211-0395)です。平日の9時から17時までで、12時から13時は除きます。「令和8年度テレワーク定着強化奨励金について」と伝えるよう案内されています。実践企業宣言の登録に関することは、宣言事務局(03-6380-8581)に問い合わせます。
