若手を3人採った。研修も用意した。それでも、この助成金が出るとは限りません。採用した経路が、都の就職支援事業からの紹介でなければ対象外になるからです。
東京都の若者世代職場定着促進助成金は、東京労働局管内に事業所を持つ中小企業が、都の事業を通じて34歳以下の若者を正規雇用し、育成の仕組みを整えたときに出ます。基本は1人20万円で最大3人の60万円、制度づくりや賃上げの加算を全部取ると126万円です。令和8年度の申請期間は5月1日から10月31日で、終わっています。
来年度に向けて動くなら、見るのは採用の経路、採用後の育成計画、加算に使える制度整備の順です。
若者世代職場定着促進助成金の要点まとめ
正式名:東京都若者世代職場定着促進助成金
だれが
- 申請者
- 事業者(東京労働局管内に事業所のある中小企業等)
- 対象業種
- 業種指定なし
- 利用目的
- 若者の正規雇用後の育成、制度整備、賃上げ
- 対象地域
- 東京労働局管内に雇用保険適用事業所がある事業主
- 従業員数
- 中小企業事業主(資本金か常時雇用者数が基準以下)
いくら
- 補助上限額
- 126万円
- 補助率
- 定額(人数・加算項目に応じた積算)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年5月1日〜2026年10月31日
自分の会社は対象になる?
次の6つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ ハローワークや求人媒体で採用した
- ✕ 事業に参加する前に内定が出ていた
- ✕ 事業主か取締役の3親等以内を採用した
- ✕ 令和6年3月以前に雇った
都の事業は、ものづくり産業人材確保支援事業、キャリアチェンジ再就職支援事業、成長産業人材雇用支援事業の3つです。ただし令和8年度の手引きには、成長産業人材雇用支援事業は「7年度終了」と書かれています。これから使えるのは前の2つと考えておくと無難です。どの事業でも、東京しごと財団から受託した事業者の職業紹介を受けて就職した人が対象になります。
中小企業事業主とは、資本金か常時雇用する労働者数のどちらか一方が基準以下の事業主です。基準は、製造業などが資本金3億円または300人、卸売業が1億円または100人、小売業(飲食店を含む)が5,000万円または50人、サービス業が5,000万円または100人です。
正規雇用とは、期間の定めのない契約で、所定労働時間が通常の労働者と同じ(週30時間以上)で、長期雇用を前提とした待遇が適用されている働き方です。非正規で採用し、6か月未満で正規に転換した人も含まれます。
ほかに、採用前の6か月から採用後1年のあいだに会社都合の解雇をしていないこと、3年以内に同じ事業所と雇用関係がなかったこと、法人都民税・法人事業税の未納がないことも要件です。
いくらもらえる?
基本額は対象労働者の人数で決まります。
| 対象労働者数 | 基本額 |
|---|---|
| 1人 | 20万円 |
| 2人 | 40万円 |
| 3人以上 | 60万円 |
4人以上を採用しても、基本額は60万円で止まります。加算は次の4つです。
| 加算 | 条件 | 金額 |
|---|---|---|
| 退職金制度整備 | 新たに退職金制度をつくるか、中退共に加入する | 10万円 |
| 結婚・育児支援制度整備 | 新たに結婚・育児の休暇を2つ、または休暇と一時金を1つずつ整える | 10万円 |
| 介護支援制度整備 | 新たに有給の介護休暇を整え、社内に周知する | 10万円 |
| 賃上げ | 時間単価を60円以上上げる | 1人12万円(最大3人で36万円) |
退職金・結婚育児・介護の3つは、1事業主につき1回ずつです。計算例を3つ置きます。
- 3人採用して加算を全部取る:60万円 + 10万円 + 10万円 + 10万円 + 36万円 = 126万円
- 1人採用し、退職金制度と賃上げ(1人)を加える:20万円 + 10万円 + 12万円 = 42万円
- 2人採用して加算なし:20万円 × 2人 = 40万円
加算は、制度整備を申請の時点で持っていないことが前提です。すでに退職金制度がある会社は、退職金の加算を取れません。
採用のあとは何をする?
基本額を受け取るには、支援期間の3か月のあいだに次の4つをやります。
- 3年間の指導育成計画書をつくる(支援期間の開始日から1か月以内。所属長と本人が面談のうえ自署)
- 計画に基づく2時間以上の研修をする(1時間を2回でも可)
- チューター(新人の教育とサポート役)を選ぶ(開始日から2週間以内が目安)
- 3回・3日以上の指導をする
加算を狙うなら、同じ3か月のうちに制度整備や賃上げも済ませます。賃上げ加算は、支援期間の2か月目と3か月目の時間単価が、前の2か月の平均より60円以上高く、かつ東京都の最低賃金を60円以上上回っていることが条件です。昇給の通知日は、交付決定日から支援期間2か月目の末日までに収める必要があり、決定日より前の通知は対象になりません。
結婚・育児支援は、結婚休暇、母子保健健診休暇、妊娠出産休暇、出産支援休暇、子どもの看護等休暇の5つから2つ、または休暇1つと一時金1つを選び、就業規則に入れます。一時金(結婚祝い金、新居の移転一時金、出産祝い金、入学祝い金)を2つ選ぶことはできません。休暇は有給で、金額の決まっていない一時金も認められません。
介護支援は、有給の介護休暇を1時間単位でも取れる形で規定します。取れる日数は、対象家族が1人なら年5日、2人以上なら年10日です。
どの制度も、就業規則を変えたら労働基準監督署に届け出ます。施行日と受付印の日付が支援期間の外だと、加算になりません。
申請の流れ
- 都の就職支援事業で採用する(事業者→都の3事業の参加者。内定を出すのは事業に参加した後)
- 採用から1か月たったら、受付回と期間を確かめる(事業者→TOKYOはたらくネットの手引き)
- 交付申請書を出す(事業者→東京都正規雇用化推進窓口。電子申請、郵送、窓口持参のいずれかで、各回の受付期間内に)
- 交付決定を受け、支援期間の3か月で取組を進める(事業者。計画、研修、チューター、指導。交付決定は受付期間の終了後1か月ほどで届く)
- 実績報告書を出す(事業者→窓口。各回の実績報告期間内に)
- 額の確定と支払いを受ける(都→事業者)
令和8年度の日程は次のとおりです。第6回だけ、実績報告の期間が短くなっています。
| 回 | 交付申請 | 支援期間 | 実績報告 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 5/1〜5/31 | 7/1〜9/30 | 10/1〜10/25 |
| 第2回 | 6/1〜6/30 | 8/1〜10/31 | 11/1〜11/25 |
| 第3回 | 7/1〜7/31 | 9/1〜11/30 | 12/1〜12/25 |
| 第4回 | 8/1〜8/31 | 10/1〜12/31 | 1/1〜1/25 |
| 第5回 | 9/1〜9/30 | 11/1〜1/31 | 2/1〜2/25 |
| 第6回 | 10/1〜10/31 | 12/1〜2/28 | 3/1〜3/16 |
支援期間の中で取組を終えられないときや、実績報告の期間に出せないときは、助成金を受けられません。
電子申請はJグランツで行い、gBizIDプライム(国の電子申請に共通のID)が要ります。IDの発行に時間がかかるので、早めに取るのが無難です。電子で出すと、実績報告も電子になります。郵送や窓口で出した場合は、そのあとの書類も電子では出せません。
必要な書類
準備できた 0 / 12
印鑑証明書と履歴事項全部証明書は、発行から3か月以内のものを出します。個人事業主は、登記簿のかわりに雇用保険適用事業所設置届の控えを出し、印鑑証明書と個人都民税の納税証明書は区市町村で取ります。法人の納税証明書は、法人都民税と法人事業税の2つです。同じ年度に何回申請しても、原本は毎回出し直します。労働条件通知書には「期間の定めなし」の記載が必要です。
就業規則は、加算を申請するときだけ要ります。全文を出し、労働基準監督署の受付印があり、施行日が申請日より前のものにします。10人未満の事業所も同じです。非正規で採用して6か月未満で転換した場合は、非正規で雇った証明書類も加わります。セルフチェックリストは提出が任意ですが、書類のそろい具合を確かめるのに使えます。
実績報告では、様式第6号の報告書、指導育成計画書、チューター選任・指導報告書、研修実施報告書、支援期間3か月分の出勤簿を出します。賃上げ加算には賃金支払実績確認表、賃金台帳、労働条件変更通知など、結婚・育児と介護の加算にはそれぞれの整備確認票と、受付印のある就業規則が加わります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 採用の経路が違う:ハローワークや民間の求人媒体で採った人は対象外です。都の事業に参加した後に、その事業の紹介で就職している必要があります。
- 支援期間中に辞めた:対象労働者が支援期間の終わりまで、都内の事業所で継続して勤務していないと対象外です。
- 制度整備が先に済んでいた:加算は、申請の時点でその制度がなく、支援期間中に新たに整えた場合だけです。類似の規定があっても認められません。
- 賃上げが60円に届かない:2か月目と3か月目の両方で、60円以上の増額が必要です。片方だけでは加算になりません。
- 労働関係法令を守れていない:最低賃金、36協定、時間外労働の上限、年5日の年次有給休暇などの違反があると対象外です。
- 国や都の助成金と重なる:同じ事由で国や都の別の助成金を受ける場合、併給はできません。
対象労働者を変えたり増やしたりできるのは、撤回届の提出期限までです。期限後に事業を中止すると、年度内の申請回数に数えられます。
令和8年度の変更点
令和8年度は、介護支援制度整備加算が新設されました。有給の介護休暇を新たに整える会社に、10万円が加わります。加算の最大額が増え、令和8年度の上限は126万円です。
また、手引きでは成長産業人材雇用支援事業が「7年度終了」とされています。対象になる就職支援事業の入口が、ひとつ減った形です。
要綱は令和7年4月に施行され、令和8年4月に改正されています。来年度の募集の有無と金額は、TOKYOはたらくネットで確認するのが確実です。
よくある質問
ハローワーク経由で採用した若者は対象になりますか?
対象になりません。対象になるのは、都の就職支援事業(ものづくり産業人材確保支援事業、キャリアチェンジ再就職支援事業、成長産業人材雇用支援事業)に参加し、東京しごと財団から受託した事業者の職業紹介を受けて就職した人です。成長産業人材雇用支援事業は、令和8年度の手引きで「7年度終了」とされています。ハローワークや民間の求人媒体だけで採用した人は含まれません。
何歳までの人が対象ですか?
採用した日の満年齢が34歳以下の人です。3つの就職支援事業とも同じ年齢の条件で、要綱に書かれています。非正規で採用してから正規に転換した場合は、非正規で採用した日の満年齢で判定します。35歳になった後に正規へ転換しても、採用日が34歳以下なら条件を満たします。
令和8年度の受付は終わっていますか?
令和8年度の申請期間は5月1日から10月31日までで、この期間は過ぎています。募集は第1回(5月)から第6回(10月)までの受付期間に月ごとに分かれていて、予算を超えた場合は、期間内でも受付を終了することがあると案内されています。令和9年度に同じ内容で募集があるかは、TOKYOはたらくネットで確認してください。
4人以上採用したら、4人分もらえますか?
基本額は、3人以上で60万円です。4人目以降を採用しても、基本額は増えません。1年度に受け取れる基本額の上限は、1事業所あたり60万円で、申請できる人数も3人までが限度です。加算は別に付くので、人数を増やすより、退職金や育児、介護の制度整備、賃上げのほうが金額に響きます。4人以上採用する会社も、基本額は3人分で考えると整理しやすくなります。
非正規で雇ってから正社員にした場合も使えますか?
使えます。非正規として採用した日から6か月未満のうちに正規雇用へ転換した人は、正規で採用した人と同じ扱いです。ただし、転換の日から支援期間の終わりまで同じ事業主に継続して雇われ、都内の事業所に勤務している必要があります。非正規で雇った証明書類も、申請のときに出します。
結婚・育児支援制度の加算は、どう取りますか?
休暇5つ(結婚、母子保健健診、妊娠出産、出産支援、子どもの看護等)から2つ、または休暇1つと一時金1つを、就業規則に新たに入れます。一時金を2つ選ぶことはできません。休暇は有給であることが条件で、金額の決まっていない一時金は認められません。申請の時点でその制度や類似の規定がないこと、支援期間中に整備して労働基準監督署へ届け出ることも求められます。
賃上げ加算の条件を教えてください。
支援期間の2か月目と3か月目の時間当たり賃金を、前の2か月の平均より60円以上高くします。賃上げ後の時間当たり賃金が、東京都の最低賃金を60円以上上回っていることも必要です。昇給を対象労働者に書面で通知する日は、交付決定日から支援期間2か月目の末日までに収めます。残業代、臨時の賃金、1か月を超える期間ごとの賃金は賃金額に含めません。加算は1人12万円で、最大3人分です。
同じ人について、何回も申請できますか?
できません。同じ事業主が、同じ対象労働者について交付決定を受けられるのは1回までです。申請は1事業年度につき、雇用保険適用事業所ごとに3回が限度です。基本額の交付上限は1年度60万円なので、人数が多い会社は、どの回に誰を入れるかを手引きで確かめてから申請します。
国の助成金と併用できますか?
同じ事由で要件を満たす国や都の助成金とは、併用できません。国や都が他団体に出資や委託して実施するものも含まれます。雇い入れに関わる国の助成金を使う予定がある会社は、申請の前に窓口へ電話で確認すると、あとから返還を求められるおそれを減らせます。
電子申請と郵送は、途中で切り替えられますか?
切り替えられません。電子申請で交付申請を出すと、実績報告書、撤回届、中止申請書も電子で出します。郵送や窓口で出した場合は、そのあとの書類を電子では出せません。FAXやメールでの受付はありません。郵送は送達記録の残るレターパックなどを使い、信書を送れないメール便や宅配便は避けます。
中小企業の範囲はどう決まりますか?
資本金か常時雇用する労働者数の、どちらか一方が基準以下であれば該当します。製造業などは資本金3億円または300人、卸売業は1億円または100人、小売業(飲食店を含む)は5,000万円または50人、サービス業は5,000万円または100人です。主たる事業の業種で判断します。
問い合わせ先はどこですか?
東京都正規雇用化推進窓口の若者世代職場定着促進助成金担当です。電話は03-6205-6730で、平日の午前8時30分から午後5時15分に受け付けています。12月29日から1月3日は休みです。所在地は新宿区歌舞伎町2丁目のハローワーク新宿5階です。最新の手引きと様式は、TOKYOはたらくネットに載っています。
