「宇治市で開業するなら180万円もらえるらしい」——そう聞いて調べ始めた方に、先に言っておきたいことがあります。この補助金は、開業するだけでは対象になりません。 日本政策金融公庫の融資を受けること、市の指定するセミナーを受講すること、京都信用保証協会の対象業種であることなど、複数の条件をすべて満たして初めて対象になります。
ここでは、どこまでが対象で、どこからが対象外なのかを具体的に線引きします。
宇治市創業支援補助金の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(個人事業主・法人) |
| 制度名 | 宇治市創業支援補助金 |
| 対象業種 | 京都信用保証協会の対象業種・企業規模に該当する事業(農業・林業・漁業・金融保険業の一部などを除く) |
| 利用目的 | 新規創業・第二創業に必要な店舗改装・備品購入・家賃・広報費 |
| 対象地域 | 宇治市 |
| 従業員数 | 業種ごとに上限あり(例: 小売業・飲食業は50人以下) |
| 補助上限額 | 最大180万円(基礎分100万円+加算分80万円) |
| 補助率 | 基礎分は対象経費の3分の1(加算分は定額加算) |
| 申請受付 | 2026年6月29日〜9月30日17時必着 |
| 公式サイト | 宇治市「令和8年度宇治市創業支援補助金のご案内」 |

「開業すれば対象」ではない。3つの必須条件
この補助金でつまずきやすいのは、開業要件を満たしていても、それ以外の要件を見落として申請できなくなるケースです。特に次の3つは見落とされがちです。
- 日本政策金融公庫の融資、または保証協会の保証がある融資の利用が必須。 自己資金だけで開業する場合は対象になりません。しかも融資は2027年1月31日までに実行されている必要があります。
- 「特定創業支援等事業」の受講が必須。 宇治商工会議所の「創業塾」や「うじ創業セミナー」など、市が認定する4つのプログラムのいずれかを修了する必要があります。申請段階では未受講でもよいのですが、実績報告までに受講を終えて証明書を受け取る必要があります。
- 京都信用保証協会の対象業種・企業規模であること。 農業(園芸サービス業を除く)、林業(素材生産業を除く)、漁業、一部の金融・保険業などは、そもそも保証協会の対象外のため、この補助金も使えません。
対象になる/ならないの線引き
対象になる
- 2026年3月1日〜2027年1月31日に新規創業する個人・法人
- 既存事業の後継者が2025年9月1日〜2027年1月31日に事業を引き継ぎ、新事業を開始する第二創業
- 市内に事業所を設置し、個人事業主なら市内に住所、法人なら市内に登記がある事業者
- みなし大企業に該当しない中小企業者(大企業が株式の過半数を持つ等の会社を除く)
対象にならない
- フランチャイズ契約に基づく事業(本部から標準化された仕組みで開業するため、市の趣旨とする「独自の創業」に当たらないという扱いです)
- 既に事業を営んでいる個人・法人が、既存事業と同じ業種の新法人を作るケース(「新事業」の開始が条件のため、日本標準産業分類の細分類が既存事業と異なる必要があります)
- 市税を滞納している事業者
- 他の創業に関わる補助金・助成金を受けている事業者(創業目的以外の補助金との併用は経費が重複しなければ可能です)
対象経費になるもの・ならないもの
補助対象経費にも明確な線引きがあります。同じ「備品購入」でも、対象になるかは品目次第です。
| 区分 | 対象になる例 | 対象にならない例 |
|---|---|---|
| 工事費 | 店舗の外装・内装工事費用 | 住居兼店舗のうち住居部分の工事費 |
| 備品購入費 | 店舗・事務所で使う専用の備品 | パソコン・カメラ・ソフトウェアなど汎用性の高いもの、消耗品費、車両購入費 |
| 家賃 | 店舗・事務所・駐車場の賃借料 | 敷金・礼金・保証金 |
| 広報費 | パンフレット印刷費、展示会出展費用、求人広告費 | 切手購入費用 |
パソコンやカメラが対象外という点は見落としやすいポイントです。 「業務に使うから」という理由だけでは通りません。市の判断基準は「汎用性が高く、この事業のためだけの支出と特定できないもの」を除外する、という考え方によるものです。
基礎分と加算分、上限180万円までの積み上げ方
補助金は「基礎分」と「加算分」の2段構えです。
- 基礎分: 対象経費の3分の1、上限100万円
- 加算分: 以下の要件を満たすごとに定額を加算(補助率ではなく定額)
| 加算要件 | 加算額 |
|---|---|
| 市外からの移住(2025年3月〜2027年1月に市内へ移住) | 10万円 |
| 創業者が40歳未満(若者) | 10万円 |
| 市内での正規雇用1人あたり(最大3人まで) | 10万円×人数(最大30万円) |
| 空き家等(概ね1年以上使用されていない物件)の活用 | 30万円 |
例えば、事業費300万円の店舗改装で基礎分の上限100万円に達し、そこに「若者」10万円と「空き家活用」30万円の加算が付けば、合計140万円の補助になります。 すべての加算要件(移住・若者・雇用3人・空き家活用)を満たせば、理論上は基礎分100万円+加算分80万円で上限の180万円に到達します。
審査は書類選考とプレゼンテーションの2段階
この補助金は申請すれば必ず交付されるわけではなく、一次選考(書類審査)を通過した事業者だけが二次選考(プレゼンテーション審査)に進みます。 2026年度はプレゼンテーション審査が11月13日に予定されており、発表時間は3分以内、質疑応答を含めて10分以内です。日程が合わない場合は審査を辞退したものとして扱われるため、応募前にスケジュールを確保しておく必要があります。
審査の着眼点は、事業の独創性・実現可能性・収益性・継続性・資金調達の可能性、そして地域貢献策の内容です。2026年度の予算額は1,400万円で、応募状況によっては指定されない場合があります。
よくある質問
自己資金だけで開業する場合は使えますか?
使えません。日本政策金融公庫の融資、または京都信用保証協会の保証がある融資の利用が必須条件です。融資を受ける予定がない場合は、まず金融機関への相談から検討する必要があります。
特定創業支援等事業をまだ受けていませんが、申請できますか?
申請できます。補助金の申請段階では未受講でも構いませんが、実績報告の時点までに受講を終え、証明書の発行手続きを完了させる必要があります。
フランチャイズで開業する場合は対象になりますか?
対象になりません。フランチャイズ契約またはこれに類する契約に基づく事業は、募集要項で明確に除外されています。
