運輸部門は、日本全体のCO2排出量の約2割を占めます。電動化などの技術は進んでいますが、関係者の連携や社会の受け入れが追いつかず、実際の現場に広がっていません。この事業は、そのすき間を実証で埋めるための環境省の公募です。
二次公募の受付は2026年8月31日17時に終わりました。対象になるのは、事業が終わったらすぐ実用化・製品化できる成熟度の技術だけです。基礎研究の段階や、事業後にさらなるスケールアップ実証が要る技術は、原則として認められません。
運輸部門等の脱炭素化先進的システム社会実装促進事業の要点まとめ
正式名:令和8年度運輸部門等の脱炭素化に向けた先進的システム社会実装促進事業(二次公募)
だれが
- 申請者
- 民間企業、地方公共団体、独立行政法人、一般社団法人など
- 対象業種
- 業種の指定なし(運輸部門等の脱炭素に資する技術・サービス)
- 利用目的
- 運輸部門等の脱炭素化に資する技術の開発・実証
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 公式ページに記載なし(環境省 脱炭素モビリティ事業室へお問い合わせください)
いくら
- 補助上限額
- 上限額の記載なし。予算は約14億円の内数
- 補助率
- 補助率1/2以内(委託は費用の対価として委託費を支払う)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年8月31日17時まで(公募開始は7月31日)
- 事業の完了
- 原則3年度以内(延長が認められる場合あり)
うちは対象になる?
次の4つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
対象となる機関は、民間企業・地方公共団体・独立行政法人・一般社団法人・一般財団法人・公益法人・法律により直接設立された法人などです。公募要領は個人事業主に触れていません。個人で応募できるかは、環境省に確認が必要です。なお、共同で実施する側(共同実証事業者)には、個人で技術開発・実証を実施する人も認められています。
実証代表者とは、提案の責任者です。審査の連絡や、共同で実施する参画者のとりまとめを担います。年齢や役職は問いませんが、機関に常勤で所属している必要があります。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 基礎研究の段階にある技術
- ✕ 破産などの申立てを受けている機関
- ✕ 類似の事業を他で実施中
破産などの申立ては「原則」としての条件です。類似の事業は、環境省を含む他の公募で実施中のものを指します。応募後に他の公募で採択されたときは、環境省へ連絡が要ります。
委託と補助は、どう選ぶ?
この事業は、委託と補助の2つの形があり、提案に応じて自分で選んで応募します。
委託は、環境省に代わって実証を行い、データや成果を報告する対価として委託費を受け取る契約です。備品費は原則として認められません。事業で設置した設備は、最終年度の終わりに原則として撤去(リースは返却)します。
補助は、実証のあとも設備を使い続ける前提の形です。公募要領は、事業後も設備を使う予定なら補助の利用か併用を検討するよう求めています。
これは財源の事情に由来します。財源はエネルギー対策特別会計で、使い道は国内のエネルギー起源CO2の削減に貢献する技術開発・実証に限られます。削減への貢献を示せない提案は、審査で説明が難しくなります。
いくらもらえる?
補助の上限額は、公表された資料に書かれていませんでした。分かっているのは、予算が約14億円の内数であることと、補助率が1/2以内であることです。内数とは、約14億円の枠の中に収まるという意味です。
- 補助対象経費が2億円の場合:2億円 × 1/2 = 最大1億円(残りの1億円は自己負担)
- 補助対象経費が6,000万円の場合:6,000万円 × 1/2 = 最大3,000万円
実際の補助額は、評価委員会の審査をもとに決まります。計画や事業費の変更を条件に付けられる場合もあります。
事務費は、工事費・設備費・業務費の合計に率をかけた額までです。5,000万円以下の部分は6.5%、5,000万円超から1億円以下の部分は5.5%、1億円を超える部分は4.5%です。たとえば5,000万円なら、5,000万円 × 6.5% = 325万円が事務費の上限になります。
複数年度の事業でも、契約や交付決定は年度ごとです。2年目以降の事業費は、予算が措置されなければ減額される可能性があります。
何に使える?
補助事業の経費の区分は、公募要領の別表に載っています。
対象にならないもの
- 事業に必要な用地を確保する経費
- 建屋の建設費(簡易なものを除く)
- 市場で一般に販売されている車両と太陽光発電パネルの経費
- パソコン・机・椅子など、汎用性の高い備品の購入費
- 学会や講演会など、事業と関係のない会議の旅費
- 事故や災害の処理にかかる経費
- 特許出願料などの登録免許に関する経費
対象になるもの
- 工事費(本工事費・付帯工事費・機械器具費・測量及試験費)
- 設備費(設備・機器の購入と据付け)
- 業務費(機器やシステムの開発のための調査・設計・製作・試験)
- 事務費と一般管理費
交付決定の前に契約や発注をした経費は、補助の対象になりません。
応募から採択までの流れ
- 公募要領と様式を取る(応募者→環境省の公募ページ。PowerPointとExcelの様式があります)
- 5点の書類を、事務局へメールで送る(応募者→事務局。2026年8月31日17時まで)
- 書面による事前審査を受ける(環境省→応募者。公募要領の予定は9月上旬から中旬ごろ)
- ヒアリング審査を受ける(評価委員会→応募者。公募要領の予定は9月中旬から下旬ごろ)
- 採択が決まる(環境省→応募者。公募要領の予定は10月下旬ごろ)
- 採択後に交付申請し、交付決定を受ける(応募者→環境省。交付決定のあとに事業を始めます)
応募は電子申請ではなく、メールでの提出です。5点すべてが届いた時点で受理され、1点でも欠けると応募は完了しません。受付期間のあとに届いた書類は、遅れの原因が環境省側にない限り受け付けられません。
必要な書類
準備できた 0 / 5
概要資料はPowerPoint、詳細資料はExcelの様式です。納税証明書は、実証代表者が所属する機関の直近3年分です。法人税が免除されている機関は出す必要がありません。承諾・承認書は、押印した原本を採択の内示を受けたときに提出します。それまでは機関で保管します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に契約・発注した:交付決定より前に始めた事業は、補助の対象になりません。
- 応募書類に虚偽を書いた:不採択や採択の取消し・委託契約の解除・費用の返還や減額の対象です。
- 事業者の都合で事業を中止した:支払われた委託費や補助金の全額または一部を返す場合があります。
- 補助金で取得した財産を無断で処分した:売却や転用、廃棄の前に環境省の承認が要ります。
- 応募書類が5点そろわなかった:1点でも欠けると、応募は完了とは見なされません。
- 他の補助金と同じ経費を計上した:補助対象経費に、国の他の補助金の対象経費を含めてはいけません。
次の公募を待つ人へ
環境省の事業ページには、令和6年度から令和8年度までの一次・二次・三次公募の案内が並んでいます。年度ごとに複数回、公募が行われてきました。次の公募があるかは、ページに書かれていません。
令和8年度は、一次公募が2026年3月30日に案内され、5月15日17時に締め切られました。二次公募は7月31日から8月31日まででした。次に応募するなら、環境省の事業ページの更新を見て、公募要領の公開に合わせて動くことになります。
この事業は、財産処分の制限が補助事業にかかります。補助事業で取得した財産は、処分の前に承認を受けます。帳簿と証拠書類は、補助事業の完了後5年間保管します。
よくある質問
この事業は、補助金ですか。委託ですか。
どちらもあります。公募要領は、提案に応じて委託か補助かを選んで応募するよう求めています。補助は補助率が1/2以内です。委託は環境省の代わりに実証を行い、その成果を報告する対価として委託費が支払われる契約です。備品費は原則として認められず、事業で設置した設備は、最終年度の終わりに撤去が必要です。
個人事業主は応募できますか。
公募要領に個人事業主を対象とする記載は見当たりませんでした。補助事業の申請者は、民間企業・地方公共団体・独立行政法人・一般社団法人・一般財団法人・公益法人・法律により直接設立された法人などです。そのほか、大臣が適当と認める者も含まれます。共同で実施する側には、個人で技術開発・実証を行う人も認められています。個人での応募を考えている場合は、環境省 脱炭素モビリティ事業室へ、メールで確認してください。
基礎研究の段階の技術でも、対象になりますか。
原則として対象になりません。事業が終わった時点で、すぐに実用化・製品化・社会実装ができる成熟度が求められます。基礎研究の段階にある技術や、事業の終了後にさらにスケールアップした開発・実証が必要な技術は、認められないと公募要領に書かれています。応募の前に、自社の技術がどの段階にあるかを整理しておくと判断しやすくなります。
補助の上限額は、いくらですか。
公表された資料には、1件あたりの上限額が書かれていませんでした。分かっているのは、公募全体の予算が約14億円の内数であることと、補助率が1/2以内であることです。実際の補助額は、評価委員会の審査をもとに決まります。計画の内容や事業費、実施体制の変更が条件に付く場合もあります。上限の目安は、環境省に問い合わせるしかありません。
事業の期間は、どのくらいですか。
原則として3年度以内です。複数年度の事業では、毎年度の達成目標を決め、年度末ごろに中間評価を受けます。評価で事業を続けられるかが審査されます。契約や交付決定は年度ごとに行われ、2年目以降は予算が措置されることが前提です。天災などで遅れた場合は最大1年、成果が極めて良好な場合は最大2年の延長が認められることがあります。
応募書類は、どこへ、どう出しますか。
事務局のメールアドレスに、5点をまとめて送ります。電子申請ではありません。提出先は、環境省 水・大気環境局 モビリティ環境対策課 脱炭素モビリティ事業室です。ファイルの上限は10MBで、超える場合は分割するか事業室に連絡します。持ち込みでの提出は、原則として受け付けられません。数日たっても受領の返信がなければ、電話で確認します。
審査では、何を見られますか。
評価委員会が見るのは、課題設定の適切性・政策的意義・実証手法と目標の妥当性・実施計画と体制・出口戦略と波及効果・CO2削減などの環境負荷の低減です。あわせて、経費の妥当性や費用対効果を含む総合評価も行います。評価は10点満点で、6点以上が採択してよい水準です。2050年のカーボンニュートラル目標の設定やデコ活への参画で、加点があります。
車や太陽光パネルの購入費は、補助されますか。
市場で一般に販売されている車両と太陽光発電パネルの経費は補助対象になりません。パソコン・机・椅子など汎用性の高い備品も同じです。用地の確保費や、簡易なものを除く建屋の建設費も対象外です。対象は、事業を行うために直接必要な工事費、設備費、業務費、事務費などです。実証のために開発する設備や、その設置にかかる経費が中心になります。
採択された後に、守る義務はありますか。
あります。成果の発表や報告への協力、事業の中間評価や事後評価、事業終了後3年間のフォローアップ調査への協力が求められます。補助事業では、完了から30日以内または翌年度4月10日のいずれか早い日までに、実績報告書を出します。事業の終了後3年間は、成果の活用状況を毎年度4月30日までに報告します。帳簿類は5年間保管します。
複数の事業に同時に応募できますか。
補助事業は、複数の事業に応募しても構いません。委託事業は事情が違い、1人の実証事業者が複数の委託事業の実証事業代表者として応募・参画することはできません。また、環境省を含む他の公募事業ですでに実施中の事業と、内容が類似している事業には応募できません。応募の後に類似の事業が他の公募で採択された場合は、直ちに環境省へ連絡が必要です。
問い合わせ先は、どこですか。
環境省 水・大気環境局 モビリティ環境対策課 脱炭素モビリティ事業室です。公募全般への問い合わせは、メール(zerocarbon-mobility@env.go.jp)で受け付けています。電話は03-5521-8301です。ただし、個別具体的な応募内容に関する相談には、原則として答えられないと公募要領に書かれています。制度の仕組みや書類の扱いに絞って問い合わせます。
