ワクチンの製造拠点を整える費用の9/10を、国が補助する。実際にそんな制度がありました。
募集は令和4年(2022年)3月25日から5月27日までの1次公募で、すでに終了しています。 翌年(2023年)にも2次公募があり、こちらも終わっています。補助率は事業の種類で変わり、ワクチン製造拠点の整備は9/10以内、そのほかの3事業は大企業2/3以内、中小企業等3/4以内でした。補助の上限額は、公式の資料では確認できませんでした。
ワクチン生産体制強化補助金の要点まとめ
正式名:ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業費補助金
だれが
- 申請者
- 事業者(バイオ医薬品・ワクチン関連の製造拠点を整備する企業)
- 対象業種
- 製造業
- 利用目的
- ワクチン・治験薬・製剤化充填・部素材の製造拠点の整備
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 制約なし(大企業・中小企業等で補助率が異なる)
いくら
- 補助上限額
- 公式資料に上限額の記載なし(公募要領で確認)
- 補助率
- 製造拠点9/10以内/他3事業は大企業2/3・中小3/4以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2022年3月25日〜2022年5月27日(1次公募・終了)
- 公式サイト
- 経済産業省「ワクチン開発・生産体制強化」
どの事業なら応募できた?
制度は4つの事業に分かれていました。自社の設備がどれに当たるかで、補助率が変わります。
| 事業 | 内容 | 補助率 |
|---|---|---|
| ワクチン製造拠点の整備 | 平時はバイオ医薬品を作り、有事にワクチン製造へ切り替えられる設備(デュアルユース設備)を持つ拠点 | 9/10以内 |
| 治験薬製造拠点の整備 | 治験薬を作る拠点 | 大企業2/3以内・中小企業等3/4以内 |
| 製剤化・充填拠点の整備 | ワクチン製造に欠かせない製剤化・充填の設備を持つ拠点 | 大企業2/3以内・中小企業等3/4以内 |
| 部素材等の製造拠点の整備 | 医薬品の製造に必要な部素材などを作る設備を持つ拠点 | 大企業2/3以内・中小企業等3/4以内 |
「うちはワクチンを作っていない」という会社でも、製剤化・充填や部素材の設備なら別の事業に当たる可能性がありました。
自社は対象だった?
次の点を確かめるところから、応募が始まりました。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
応募資格の細目は公募要領に定められています。原本を確認できていないため、ここには書いていません。
次のどちらかに当たると応募できませんでした。
- ✕ 公募要領の応募資格を満たさない
- ✕ 1つの案件を複数事業者で別々に申請する
いくら補助された?
かかった設備費に、事業ごとの補助率をかけた額です。上限額は、METIの基金シートや事務局のページでは確認できませんでした。以下は計算の見方を示すための仮の数字です。
- ワクチン製造拠点:100億円 × 9/10 = 90億円
- 中小企業等が治験薬製造拠点を整備:10億円 × 3/4 = 7.5億円
- 大企業が部素材の製造設備を整備:10億円 × 2/3 ≒ 6.7億円
1次公募では、17件・約2,265億円の採択が2022年9月30日に公表されました。単純に割ると、1件あたり約133億円の規模です。
申請の流れ
- GビズIDプライムを取得する(事業者→GビズID。jGrantsでの申請に必要)
- 公募要領を読み、事前着手が要るか決める(事業者。必要なら事務局に事前相談)
- jGrantsで応募する(事業者→事務局。2022年5月27日まで)
- 審査を受ける(外部有識者の第三者委員会)
- 採択結果を待つ(1次公募は2022年9月30日に公表)
事前着手を行うときは、必ず事前に事務局へ相談することが公募要領19頁に書かれています。やむを得ない理由がなければ、承認されない場合があります。
必要な書類
準備できた 0 / 3
もらえなくなるのはどんなとき?
- 事前着手を無断で進めた:事前に事務局へ相談が要ります。やむを得ない理由がないと、承認されないことがあります。
- 複数の事業者で別々に申請した:1つの案件に対して、複数の事業者が登録・申請することはできません。共同申請では、申請事業者のアカウントから申請します。
- 推奨ブラウザ以外で申請した:Internet Explorerでは、添付資料が正しくアップロードできない事象がありました。Edge、Chrome、Firefoxなどを使います。
2次公募では何が変わった?
2023年3月17日から5月19日正午まで、2次公募が行われました。1次公募の採択結果を受けて、製剤化・充填拠点と部素材等の製造拠点を重点的に採択する方針でした。2次公募では23件・約955億円の採択が、2023年9月20日に公表されています。
よくある質問
今から申請できますか?
できません。1次公募は2022年3月25日から5月27日、2次公募は2023年3月17日から5月19日までで、どちらも終了しました。同じ事業の公募が再び出るかは、経済産業省 生物化学産業課や事務局のページで確かめてください。過去の要件をそのまま当てはめないようにしましょう。
対象になる事業はいくつありましたか?
4つです。ワクチン製造拠点の整備、治験薬製造拠点の整備、製剤化・充填拠点の整備、部素材等の製造拠点の整備に分かれていました。平時はバイオ医薬品を作り有事にワクチン製造へ切り替えられる設備を持つ拠点が中心で、ワクチンの製造に欠かせない周辺の設備も対象に入っています。
補助率はいくらでしたか?
ワクチン製造拠点の整備は9/10以内です。治験薬製造拠点、製剤化・充填拠点、部素材等の製造拠点は、大企業が2/3以内、中小企業等が3/4以内でした。たとえば中小企業等が10億円の治験薬製造設備を整えるなら、10億円 × 3/4 = 7.5億円が補助の上限の目安になります。実際の補助額は審査と交付決定で決まります。
補助の上限額はいくらでしたか?
METIの基金シートや事務局のページでは、上限額を確認できませんでした。補助率が決まっていても1件あたりの額は事業の規模で大きく変わります。1次公募の採択は17件・約2,265億円で、単純に割ると1件あたり約133億円です。額の定めの有無は、公募要領の原本で確かめる必要がありました。
中小企業でも使えましたか?
使えました。治験薬製造拠点、製剤化・充填拠点、部素材等の製造拠点は、中小企業等の補助率が3/4以内と、大企業の2/3以内より高く設定されていました。ワクチン製造拠点の整備は9/10以内で、大企業と中小企業等の区別はありません。中小企業等の範囲は、公募要領で定められていました。
ワクチンを作っていない会社でも対象になりましたか?
製剤化・充填の設備や、医薬品の製造に必要な部素材の製造設備なら、ワクチンそのものを作らない会社でも別の事業として応募できる可能性がありました。応募資格の細かい条件は公募要領にありますが、ここでは原本を確認できていません。自社の設備がどの事業に当たるかは、事務局に聞くのが確実です。
1次公募の倍率はどれくらいでしたか?
事務局のお知らせ(Jグランツ掲載)によると、1次公募には41件の応募がありました。採択は17件なので、単純に割ると倍率はおよそ2.4倍です。外部有識者の第三者委員会が審査しました。採択の公表は、応募が多く審査に時間がかかったため、事務局が当初示した時期より遅れ、2022年9月30日になっています。
事前着手とは何ですか?
採択や交付の決定より前に、設備の発注などを始めることです。この事業では、事前着手を行う際は必ず事前に事務局へ相談するよう、公募要領19頁に書かれていました。やむを得ない理由がない場合は、承認されないことがあります。補助金では、承認なく先に始めた分は対象にならないおそれがあるので注意が必要です。
申請の窓口はどこでしたか?
申請は電子申請システムのjGrantsで受け付けていました。事務局はみずほリサーチ&テクノロジーズ(株)で、電話は03-6825-5477です。応募にはGビズIDプライムが必要です。制度の趣旨に関する問い合わせは、経済産業省 商務・サービスグループ 生物化学産業課が受けていました。
複数の会社で共同申請できましたか?
1つの案件に対して、複数の事業者で登録・申請することはできませんでした。共同申請の場合は、申請事業者のアカウントから申請します。申請事業者と共同申請者の間で、申請者IDを共有することもできません。設置事業者とリース会社の共同申請では、設置事業者が申請する決まりでした。
2次公募では何が重点でしたか?
2次公募は2023年3月17日から5月19日正午までで、1次公募の採択結果を踏まえて、製剤化・充填拠点と部素材等の製造拠点を重点的に採択する方針でした。採択は23件・約955億円で、2023年9月20日に公表されています。2次公募の内容は、別の記事で詳しくまとめています。
