後継ぎがいなくて会社を畳むか迷う経営者がいます。同業の会社を譲り受けて売上を伸ばしたい経営者もいます。どちらの場合も仲介会社への報酬や相手先の調査費用が見積に並ぶと手が止まります。
秋田県の「M&A支援事業」は、この費用の2分の1(小規模企業は3分の2)を補助します。上限は買い手(譲受型)が200万円で、売り手(譲渡型)と成約後の統合作業(PMI型)が100万円です。提出は令和9年1月15日の第7回までです。ただし令和8年1月以降に売上が落ちた月か仕入れ値が上がった月が、ひとつも無いと申請できません。
秋田県 M&A支援事業の要点まとめ
正式名:令和8年度 秋田県M&A支援事業
だれが
- 申請者
- 事業者(M&Aを行う県内の中小企業)
- 対象業種
- 業種の指定なし(性風俗・接待飲食は対象外)
- 利用目的
- M&Aの費用(譲渡・譲受・成約後の統合)
- 対象地域
- 秋田県内(本店か主たる事業所が県内)
- 従業員数
- 規定なし(小規模企業は補助率が上がる)
いくら
- 補助上限額
- 譲受型200万円/譲渡型・PMI型100万円
- 補助率
- 中小企業1/2、小規模企業2/3
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年4月1日〜2027年1月15日(回ごとの期限あり)
- 事業の完了
- 交付決定後〜2027年2月末
うちの会社は対象になる?
次の5つにすべて当てはまれば対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
中小企業者は業種ごとに資本金と従業員数の上限が決まっていて、どちらか一方を満たせば該当します。製造業その他なら資本金3億円以下か従業者300人以下です。個人事業主も個人向けの書類の定めがあり対象に含まれます。雇用保険の条件は従業員を雇っていない小規模企業者には求められません。
売上と仕入れの条件は、令和8年1月以降のどれか1か月について令和5〜7年の同じ月より売上高が減っているか主な原材料などの仕入価格が上がっていれば足ります。確認書と裏づけの資料を申請に添えます。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 令和8年度に譲渡型か譲受型を申請済み
- ✕ 県外に本店・主たる事業所がある
- ✕ 接待を伴う飲食店などの営業
- ✕ 不動産や設備だけの売買
譲渡型と譲受型は1社につき令和8年度に1回だけです。同じ会社が両方を出したときも審査されるのはどちらか一方です。PMI型は別枠です。交付決定の取消しを受けた場合も例外になります。物的資産だけの売買は事業譲渡に当たりません。
労働保険料の滞納や労働関係法令の違反がある会社も対象外です。破産などの手続きの申立て中の会社と、厚生労働省の雇用関係助成金で不正受給の処分から3年以内の会社も同じです。
どの型で出す?いくら戻ってくる?
型は会社が動く場面で選びます。
| 区分 | 向く場面 | 上限額 |
|---|---|---|
| 譲渡型(売り手) | 会社や事業を譲る | 100万円 |
| 譲受型(買い手) | 会社や事業を譲り受ける | 200万円 |
| PMI型 | 令和6年度以降に成立したM&Aで譲り受けたあとの統合 | 100万円 |
PMIは、M&Aが成立したあとに組織や業務やシステムをひとつにしていく統合作業のことです。補助額には10万円の下限があり、端数は千円単位で切り捨てます。
経費に補助率をかけた額が補助額です。上限に届く条件は次のとおりです。
- 中小企業は譲受型なら経費400万円以上で、譲渡型とPMI型なら200万円以上
- 小規模企業は譲受型なら経費300万円以上で、譲渡型とPMI型なら150万円以上
金額の例です。経費は消費税を除いた額で考えます。
- 売り手の中小企業が仲介契約と企業概要書の作成に120万円:120万円 × 1/2 = 60万円
- 買い手の中小企業が調査と成功報酬などに450万円:450万円 × 1/2 = 225万円 → 上限の200万円
- 買収後の統合を進める小規模企業が専門家の支援に180万円:180万円 × 2/3 = 120万円 → 上限の100万円
譲受型でM&Aが期間内に成立しなかったときは、補助金額の2分の1が限度で、下限は5万円です。経費300万円の中小企業なら成立すれば300万円 × 1/2 = 150万円で、成立しなければ最大75万円になります。
何に使える?
対象にならないものから挙げます。
- 消費税と地方消費税
- 委託契約書に貼る収入印紙
- 金融機関への振込手数料
- 通常の生産・営業活動にかかる経費
- 補助事業の分と区別できない経費
対象になるものは別表で次の区分に分かれます。
- 謝金(専門家に払うもの。専門家は士業や大学の博士・教授等)
- 旅費(実費の交通費と宿泊費)
- 委託費(FAの着手金・月額報酬・成功報酬、企業概要書の作成、デューデリジェンス、最終契約書の作成、不動産鑑定評価、定款変更等の登記、社内研修、データ引継作業など)
- 許認可等の取得にかかる経費
- 会場の使用料やマッチングプラットフォームの利用料
- 表明保証保険の保険料
FAは、M&Aの進行を助けるファイナンシャル・アドバイザーです。デューデリジェンスは買う前に相手の財務や法務や契約を調べる作業を指します。表明保証保険は、契約で相手が表明した事実が違っていたときの損害を補う保険です。
県の案内ページと実施要領が型ごとに挙げる費用は次のとおりです。
- 譲渡型:仲介契約の締結、企業概要書の作成、相手先探索
- 譲受型:デューデリジェンスの実施、登記変更・許認可取得、仲介契約の成功報酬
- PMI型:経営統合や信頼関係づくり、業務統合の支援
案内ページは譲渡型を「M&Aに向けた準備や成立に係る費用」としていますが、仲介の成功報酬が対象になるとは書いていません。別表の委託費の例には成功報酬が入っています。申請の前に担当課へ確かめるのが確実です。
申請の流れ
提出期限は回ごとに決まっています。第4回以降は譲渡型・譲受型・PMI型のどれでも出せます。
| 回 | 提出期限 | 審査会 |
|---|---|---|
| 第4回 | 2026年10月30日(金) | 11月 |
| 第5回 | 2026年11月30日(月) | 12月 |
| 第6回 | 2026年12月25日(金) | 2027年1月 |
| 第7回 | 2027年1月15日(金) | 2027年1月 |
- 型を決めて出す回を選ぶ(事業者。後ろの回ほど事業に使える期間が短くなります)
- 申請書類をそろえる(事業者。決算書は直近2期分)
- 申請書を県に出す(事業者→産業労働部 新産業創造課。回ごとの提出期限まで)
- 審査会で採択され交付決定が通知される(県→事業者。予算の範囲内)
- 事業を行い銀行振込で支払う(事業者。交付決定後から2027年2月末まで)
- 実績報告を出す(事業者→県。完了から15日以内か2027年2月末日の早いほう)
- 完了検査のあと金額が確定して請求する(県→事業者。請求から約2週間で振込)
補助金は後払いです。着手金や報酬はいったん自社で全額を立て替えます。
交付決定の前に動き出したいときは、申請書に「交付決定前着手届」を添えます。認められれば令和8年4月1日以降の着手日から経費の対象です。届を出さずに交付決定の前に発注や支払いを済ませた費用は対象になりません。
必要な書類
準備できた 0 / 12
交付決定前着手届は早く着手する場合だけ要ります。生産性向上計画書は譲受型で、譲り受けを示す書類はPMI型で添えます。決算書を出しにくい個人事業主は、収受印のある確定申告書の写しで代えられます。親会社と子会社が共同で申請するときは、資本提携の状況を確かめられる書類も要ります。
税の滞納がある場合や、県・公的金融機関への返済が滞っている場合は、課税庁か債権者が認めた納入計画か返済計画を、任意の様式で添えます。誓約書の注記に書かれています。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 譲渡型と譲受型を両方出した:審査されるのはどちらか一方だけです。令和8年度にすでにどちらかを申請していた場合も原則として出し直せません。
- 交付決定前着手届を出さずに動いた:交付決定の前に発注から支払いまで済ませた費用は対象になりません。
- 現金で払った:支払いは銀行振込が原則です。1万円程度の少額は内訳の分かる領収書があれば認められる場合があります。
- 補助の分が区別できない:他の費用とのまとめ払いなどで補助対象分を特定できないと対象外です。
- 完了検査で証拠が出せない:見積書から振込明細までの書類をなくすとその経費は対象外になります。
- 審査会の点が足りなかった:委員の評価点の平均が、譲渡型とPMI型は6割、譲受型は7割を下回ると選ばれません。基準を超えた中から、得点の高い順に予算の範囲で選ばれます。
- 予算が尽きた:交付決定額が予算に達すると提出期限の前でも募集が終わることがあります。
譲受型には、あとから続く宿題がある
譲受型で出す会社は、補助事業の期間を含む3年間、毎年2%以上、労働生産性を伸ばす計画書を出します。労働生産性は働いた時間あたりに生み出す成果のことです。
M&Aが成立して補助金を受けた会社は、3年間、事業年度の終了日から4か月以内に決算書を添えて達成状況を県へ報告します。伸びが基準に満たないときは理由を聞かれることがあります。
よくある質問
譲渡型と譲受型、両方に申請できますか?
できません。令和8年度に譲渡型か譲受型のどちらかを申請した会社は原則としてもう一度は申請できません。同じ会社から両方が出されたときも審査されるのはどちらか一方です。売り手と買い手を同時に進める会社は今回どちらに力を入れるかを先に決めます。PMI型は別枠で、譲渡型や譲受型を出していても申請できます。交付決定の取消しを受けた場合も例外です。
小規模企業かどうかは、どう決まりますか?
中小企業基本法の小規模企業者に当たるかで決まります。目安は常時使用する従業員が製造業その他で20人以下、商業・サービス業で5人以下です。当たると補助率が2分の1から3分の2に上がります。たとえば経費120万円なら中小企業は60万円で、小規模企業は80万円です。ただし上限額は変わらないので、上限に近い大きな案件では差が縮まります。
売上減や仕入値上がりの条件は、どう確かめますか?
令和8年1月以降のどれか1か月について、令和5〜7年の同じ月と比べて売上高が減っているか主な原材料などの仕入価格が上がっていれば足ります。月ごとの売上や仕入れが分かる帳簿を用意し、県の様式の確認書とあわせて出します。月次の数字を残していない会社は、会計ソフトから出し直す作業が先に要ります。
PMI型は、どんなM&Aのあとなら使えますか?
令和6年度以降に成立したM&Aで事業の一部か全部を譲り受けた県内の中小企業が対象です。PMIとは、成約後に組織や業務やシステムをひとつにしていく統合作業のことです。専門家への謝金やコンサルティング料やデータ引継の委託費などが経費になります。上限は100万円です。M&Aの成立を確かめられる書類を申請に添えます。
譲受型で、期間内にM&Aが成立しなかったらどうなりますか?
補助金額の2分の1が限度になり、下限は5万円です。たとえば経費300万円で補助率1/2なら、成立すれば150万円で、成立しなければ最大75万円です。調査をしたあとで交渉が止まるケースもあるため、未成約でも一部は出ると考えると資金計画を立てやすくなります。ただし譲受型は、成立を見込んだ生産性向上計画を出すことが前提です。
交付決定の前に動き出してもいいですか?
交付決定前着手届を出して県に認められれば、令和8年4月1日以降の着手日から経費の対象になります。届を出さずに発注や支払いを済ませた費用は対象外です。仲介契約の着手金のように早く払う費用があるときは、申請書と一緒に届を出しておく手があります。届を出しても採択が決まるわけではないので、結果が出る前に払う額は慎重に決めます。
補助金はいつ受け取れますか?
後払いです。事業が終わったら実績報告を出して県の完了検査を受け、金額が確定してから請求書を出します。請求のあとおおむね2週間ほどで指定の口座に振り込まれます。着手金や報酬や調査費用は、いったん自社で全額を立て替える形です。実績報告は、完了から15日以内か2027年2月末日の早いほうまでに出します。
個人事業主でも申請できますか?
申請できます。対象は県内に本店所在地か主たる事業所がある中小企業者で、個人事業主も含まれます。決算書を出しにくい個人事業主は収受印のある確定申告書の写しで代えられます。従業員を雇っていない小規模企業者は、雇用保険の適用事業所であるという条件も外れます。売上減か仕入値上がりの確認書は個人事業主も同じように必要です。
消費税や振込手数料も補助されますか?
されません。消費税と地方消費税、委託契約書に貼る収入印紙、金融機関への振込手数料は対象外の経費です。見積書が税込みなら税抜きの金額に補助率をかけて考えます。たとえば税抜き200万円の委託費は、中小企業なら200万円 × 1/2 = 100万円です。支払いは原則として銀行振込なので、振込手数料はかかる前提で資金を見ておきます。
譲渡型で、仲介会社の成功報酬は対象ですか?
県の案内ページは、譲渡型の対象として仲介契約の締結や企業概要書の作成や相手先探索などを挙げています。成功報酬が譲渡型に入るかは案内ページに明記がありません。実施要領の別表では、委託費の例に着手金と月額報酬と成功報酬が並び、譲受型では仲介契約の成功報酬が対象に挙がっています。譲渡型で成功報酬を入れたいときは、申請の前に県の担当課へ確かめます。
株式譲渡のときは、誰が申請しますか?
株式譲渡で経営資源を譲り渡す場合は、株式を発行している県内の会社(対象会社)と、1者で議決権の過半数を持つ支配株主が共同で申請できます。この場合は両方が申請資格のすべてに当てはまる必要があります。親会社が過半数の議決権を持つ子会社がある場合も、親会社と子会社の共同申請ができます。親子で共同申請するときは、資本提携の状況を確かめられる書類を添えます。
譲受型の生産性向上計画とは何ですか?
補助事業の期間を含む3年間、毎年2%以上、労働生産性を伸ばす計画を書いた計画書です。労働生産性は働いた時間あたりに生み出す成果を指します。M&Aが成立して補助金を受けた会社は、3年間、事業年度の終了日から4か月以内に決算書をつけて達成状況を県へ報告します。伸びが基準に届かなかったときは理由を聞かれることがあります。
どの回に出せばよいですか?
第4回以降は、譲渡型・譲受型・PMI型のどれも各回で受け付けます。提出期限は2026年10月30日と11月30日と12月25日と2027年1月15日です。補助の対象期間は2027年2月末までなので、後ろの回ほど事業に使える期間が短くなります。着手金など早く動かす費用があるときは、前の回に出すか交付決定前着手届を添えます。
問い合わせ先はどこですか?
秋田県 産業労働部 新産業創造課 スタートアップチームです。電話は018-860-2225、メールはshinsan@pref.akita.lg.jpです。対象になるか、書類の書き方、交付決定前着手届の扱いで迷ったときは、申請の前に相談すると出し直しを減らせます。交付決定額が予算に達すると募集が終わることがあるため、残りの枠もあわせて確かめます。
