事業承継・M&A補助金は、事業を次の代に引き継ぐ費用を支援する制度です。専門家費用・設備投資・廃業費用まで、立場に応じた4つの枠があります。通常の補助上限は150万円〜1,000万円、特例で2,000万円までです。
この記事では、検討を始めるときの進め方をまとめました。枠別の金額・締切は、記事後半で姉妹記事に内部リンクしています。

この補助金の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象業種 | 全業種 |
| 利用目的 | 事業を引き継ぎたい |
| 対象地域 | 全国 |
| 従業員数 | 中小企業・小規模事業者(業種により異なる。目安300人以下)(常時使用する従業員が20人以下、商業・サービス業は5人以下) |
| 補助上限額 | 通常150万円〜1,000万円が中心。特例で最大2,000万円 |
| 補助率 | 1/2〜2/3(枠・要件で変動) |
| 前身の制度 | 経営資源引継ぎ補助金(R2)→事業承継・引継ぎ補助金(R3〜5)→現行(R6〜) |
| 公式サイト | shoukei-mahojokin.go.jp |
旧名称で検索して出てくる要件は使えません
この補助金は、名称が2度変わっています。
- 経営資源引継ぎ補助金(令和2年度第1次補正予算)
- 事業承継・引継ぎ補助金(令和3〜5年度補正予算)
- 事業承継・M&A補助金(令和6年度以降・現行)
古い名称で検索すると、当時の解説記事が上位に出てきます。そこに書かれている対象経費・補助上限・締切は、現行制度には使えません。必ず現行名で公募要領を確認してください。
対象も広がっています。第15次公募(2026年7月24日17:00で受付終了)では、専門家活用枠に「小規模売り手支援類型」が新設されました。個人事業主が店舗を売るような小規模なM&Aも、対象に入ります。
現在は16次公募が開示されています。申請受付は2026年10月2日(金)から11月6日(金)17:00までです(公募要領で確認)。事業承継促進枠は、公募申請期日から5年後までに事業承継を完了する見込みの事業者が対象で、承継を終えてからでは申請できません。補助下限額は100万円で、補助対象経費に補助率をかけた額が100万円を下回る申請は受け付けられません。

制度の全体像(4つの枠)
現行制度には、4つの枠があります。立場によって、使える枠が変わります。
| 枠 | こんな立場の人向け |
|---|---|
| 事業承継促進枠 | 承継後に設備投資や経営革新に取り組みたい後継者 |
| 専門家活用枠 | M&Aの買い手・売り手(仲介手数料やデューデリジェンス費用) |
| PMI推進枠 | M&A成約後、統合作業(PMI)を進めたい買い手 |
| 廃業・再チャレンジ枠 | 承継・M&Aに伴い既存事業を廃業する事業者 |
補助上限額・補助率の細部(通常150万円〜1,000万円、特例で2,000万円まで)は枠ごとに異なります。詳しい金額・要件は、姉妹記事にまとめています。
似た制度との違いを整理する
新製品開発や設備投資の補助金は、事業を「伸ばす」ためのものです。この補助金は承継そのものを支える「つなぐ」側で、新規開業は対象になりません。
事業計画書で強調するのは、新しさより「事業をどう途切れさせないか」です。
早く動くほど選択肢が多い
帝国データバンクの調査(2025年)では、後継者が決まっていない企業は50.1%。廃業した企業の51.1%が黒字でした。
もうかっているのに畳む会社が、半分以上を占めます。承継先を探す時間が足りず、選べる相手がいないまま期限が来るためです。買い手探しにも、専門家への相談にも時間がかかります。動き出しが早いほど、選べる相手は増えます。
検討を始めるときの進め方
- 誰に(親族・従業員・第三者)どう引き継ぎたいかの方向性を整理する
- 承継・M&Aに伴って必要になる費用(専門家費用・設備投資・廃業費用など)を洗い出す
- 費用の中身から、自社が対象になりそうな枠を仮に絞り込む
- 姉妹記事や公式サイトの公募要領で、その枠の対象経費・補助上限を確認する
- 専門家(税理士・M&A支援機関登録済みの仲介業者など)に相談しながら事業計画をまとめる
早めに動いたほうがいい理由
後継者との合意形成には、時間がかかります。専門家探しも、同じです。
申請準備だけを急いでも、承継そのものが整っていなければ意味がありません。申請準備と承継の計画づくりは、並行して進めるものです。そう考えてスケジュールを組むことをおすすめします。
承継後の事業をどうしたいかを先に考える
申請要件を満たすことより、大事なことがあります。承継した後、その事業をどう営んでいくかというビジョンです。
売上や顧客をどう維持し、広げていきたいか。先に固めておくと、専門家への相談もスムーズになります。事業計画書の説得力も、自然と高まります。
従業員や取引先との関係を、どう引き継ぐか。この点も、早い段階から考えておきたいところです。

よくある質問
Q1. この補助金は今年度が初めての制度ですか?
いいえ。前身は令和2年度の経営資源引継ぎ補助金にさかのぼります。名前を変えながら、対象を広げてきた制度です。過去の実績を引き継ぐ形で、現行の事業承継・M&A補助金があります。
Q2. 親族内承継とM&A、どちらでも対象になりますか?
はい。現行制度は、親族内承継・従業員承継・第三者へのM&Aのいずれも対象です。 立場(後継者・買い手・売り手)に応じて、使える枠が変わります。詳しくは制度の全体像の章をご確認ください。
Q3. 具体的な補助金額を知りたいのですが、どこを見ればいいですか?
枠別の補助上限額・補助率・直近の公募スケジュールは、姉妹記事「事業承継・M&A補助金はいくらもらえる?」に一次情報で整理しています。あわせてご確認ください。
採択される事業計画には"制度の目的への位置づけ方"があります
同じ承継・M&Aでも、事業計画書に「制度の目的」をどう位置づけるかで、審査での見え方は変わります。
事業承継・M&A以外にも、設備投資や販路開拓で使える補助金がないか気になる場合は、他の補助金もあわせて探してみるのも有益です。
事業承継の検討は、一人で抱え込むものではありません。事業計画の作り方や進め方に迷ったら、専門家に無料相談するのも一つの方法です。
