総務省の「新たな日常」の定着に向けたケーブルテレビ光化による耐災害性強化事業は、同軸ケーブルの網を光ファイバへ置き換える費用を、事業費の1/2(第三セクター法人は1/3)まで交付する制度でした。令和3年度当初・補正予算と令和4年度当初予算の分の公募は、2022年2月4日12時で終了しています。
申請できるのは市町村、その連携主体、第三セクター法人などで、自治体の出資を受けていない民間のケーブルテレビ事業者が単独で出せる制度ではありません。この記事では、終了した公募の条件と後継の公募の調べ方をまとめます。
ケーブルテレビ光化耐災害性強化事業の要点まとめ
正式名:「新たな日常」の定着に向けたケーブルテレビ光化による耐災害性強化事業
だれが
- 申請者
- 市町村・連携主体・第三セクター法人・承継事業者
- 対象業種
- 規定なし(ケーブルテレビ網を所有・運営する主体)
- 利用目的
- 同軸ケーブル網の光化による耐災害性の強化
- 対象地域
- 離島・過疎地域などの条件不利地域を含む地域
- 従業員数
- 規定なし
いくら
- 補助上限額
- 上限額の定めなし(交付額の下限は100万円)
- 補助率
- 市町村・連携主体は1/2、第三セクターは1/3
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2022年1月17日〜2022年2月4日(受付終了)
誰が申請できた?
次の条件を満たす事業が対象でした。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
連携主体とは、複数の市町村が組む実施主体のことです。第三セクター法人は、都道府県か市町村から出資を受けている民間事業者を指します。公設民営でも、ネットワークを市町村が所有していれば対象です。
財政力指数は、一般に市町村の財政の強さを表す指標で、小さいほど財政が弱いとされます。公募要領に定義は書かれていません。実施マニュアルによると、原則として申請する年度の前々年度の値を使います。0.5を超えていても対象になり得る地域があります。合併前の旧市町村の単位で0.5以下だった地域と、南海トラフ地震の津波避難対策特別強化地域のように災害対策が特に求められる地域です。
地域の条件は、離島・豪雪地帯・辺地・山村・半島・特定農山村・過疎地域のどれかを含むことです。地域防災計画は、災害対策基本法にもとづいて市町村が定める防災の計画です。その中にケーブルテレビの位置づけが書かれている必要があります。記載がないときは、改正が確実だと示す書類を付けます。改正後の計画は実績報告までに出す扱いでした。
4K・8K放送は、実施時期や対象エリアまで決まった計画は要りません。ただし予算より申請が多いときは、比較審査で計画の有無や具体性が見られます。地方公共団体の国土強靱化地域計画に光化が書かれているかも、審査で加味される要素でした。
令和4年度当初予算からは、承継事業者も実施主体に加わりました。公設ネットワークの譲渡を受けて、ケーブルテレビの役割を引き継ぐ事業者です。既存の加入者へサービスを続けることなどを、市町村との協定書で示します。
次のどれかに当たる事業は対象外でした。
- ✕ ケーブルテレビに当たらない通信網の光化
- ✕ 通信目的に当たる部分の光化
- ✕ 光ファイバから光ファイバへの更新
- ✕ 引込線の切替だけを行う事業
- ✕ 事業費が下限に届かない事業
いくら交付される?
交付額は、市町村と連携主体が事業費の1/2、第三セクター法人が1/3を上限とします。上限額の定めはありません。下限は交付額で100万円です。事業区分ごとに、市町村・連携主体は事業費200万円以上、第三セクター法人は300万円以上が対象でした。
- 市町村が幹線の光化を1,000万円で行う:1,000万円 × 1/2 = 500万円
- 第三セクター法人が局舎設備の更新を含む光化を900万円で行う:900万円 × 1/3 = 300万円
- 市町村が小さな区間の光化を150万円で行う:150万円 × 1/2 = 75万円 → 下限の100万円に届かず対象外
3つ目の事業は、事業費が200万円に届かないため、区分を分けた申請でも対象になりません。事業区分の切り方は、実施マニュアルで確かめます。
何に使えた?
対象経費は、交付要綱の別表で決まっています。実施マニュアルでは、局舎・伝送路設備・送受信装置・ヘッドエンド装置・電源設備の設置費と、調査設計や施工にかかる附帯工事費が挙がっています。加入者宅のONUやSTBと引込線の工事も、補助事業者の所有になるものは対象です。令和4年度第2次補正予算からは、光化と同時に行う辺地共聴施設のケーブルテレビエリア化に必要な伝送路設備なども加わりました。
対象にならないものも決まっています。
- 交付決定日より前に契約や着工をした工事(仮契約も含む)
- 電柱の使用料、保守・維持管理費、電波利用料などの運営費
- 第三セクター法人が負担する消費税
- 新しくケーブルを引く地区の整備(既存の加入者の光化に限る)
- 離島への海底光ファイバケーブル
目的はケーブルテレビを通じた災害時の情報伝達の確保と、4K・8Kの視聴環境づくりです。そのため、通信サービスのための光化は認められません。
申請の流れ
- 公募の提案書類を作る(実施主体→自分で。公募申請書、交付申請書、補助事業の概要、見積書、工事を伴う場合は工事概要書)
- 管轄の総合通信局などか、Jグランツで出す(実施主体→総務省。2022年2月4日12時必着)
- 有識者の意見を聞いた審査を受ける(総務省→実施主体。全体の申請状況と予算額もふまえて選ぶ)
- 採択候補の内示を受け、本申請をする(実施主体→総務省。令和3年度分は2022年3月中旬、令和4年度当初分は6月中旬の想定)
- 交付決定を受けて契約し、整備する(総務省→実施主体。契約は交付決定の通知日以降に結ぶ)
- 実績報告をして、額の確定後に受け取る(実施主体→総務省。補助金は事業の終了後に精算払い)
公募の段階では、正式な公文書は出さなくて構いませんでした。補助事業は単年度で、翌年度への繰り越しは原則認められません。
必要な書類
準備できた 0 / 7
工事概要書は、工事を伴う場合だけ出します。見積書は、総括表と内訳表の2つを実施主体が自分で作ります。地域防災計画の写しは、ケーブルテレビの記載がある部分です。公式ページには、整備エリア図、回線系統図などの様式と記載例も載っています。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に契約した:交付決定日より前に結んだ契約と着工は、事前着工として対象外です。
- 使い道を変えた:補助金は、申請書で定めた使途以外には使えません。経費の配分を20%超動かすときは、先に変更の承認を受けます。
- 事業費が下限に届かない:交付額が100万円に届かない事業は、そもそも対象になりません。
- 通信目的の光化を含めた:ケーブルテレビに当たらない網や、通信目的に当たる部分は認められません。
- 交付決定が取り消された:補助金は返還になり、年10.95%の加算金も加わることがあります。
後継の公募を調べるときの見方
総務省のポータルサイトには、令和2年度第3次補正予算から令和5年度当初予算までの交付決定と公募の案内が載っています。公募期間が2024年1月15日から2月2日までとなっている公募要領もあります。
補助率は1/2と1/3、交付額の下限は100万円と、今回の公募と同じ内容です。実施マニュアルには、令和5年度当初予算の公募で予算を上回る要望があったときの選び方も書かれています。市町村などのマイナンバーカード交付率も考慮するというものです。
年度ごとに要件や実施主体が変わります。次の公募を調べるときは、その回の公募要領を開いて確かめます。
よくある質問
今から申請できますか?
この記事で扱う令和3年度当初・補正予算と令和4年度当初予算の分の公募は、2022年2月4日12時の必着で終了しています。後継の事業は、総務省のケーブルテレビ政策ポータルサイトの「ケーブルテレビ光化による耐災害性強化事業」のページで確かめられます。新しい公募があれば、そのページに公募要領と様式が載ります。公募ごとに期間と要件が違うので、必ず最新の公募要領を読んでください。
民間のケーブルテレビ会社は申請できましたか?
自治体の出資を受けていない民間の会社が、単独で申請する制度ではありませんでした。実施主体は、市町村と市町村の連携主体、第三セクター法人です。第三セクター法人は、都道府県か市町村から出資を受けている民間事業者を指します。令和4年度当初予算からは、市町村などの所有するネットワークの譲渡を受けて役割を引き継ぐ承継事業者も加わりました。公設民営の網を運営する民間会社は、所有する市町村が申請します。
個人事業主は対象でしたか?
対象ではありませんでした。実施主体は、市町村・連携主体・第三セクター法人・承継事業者に限られます。個人でケーブルテレビの設備を持っていても、個人として申請する制度ではありません。自分の地域の光化に関わりたいときは、市町村や運営会社に、この事業を使う予定があるかを聞くのが近道です。
補助率は事業者の種類で変わりましたか?
変わりました。市町村と市町村の連携主体は事業費の1/2、第三セクター法人は1/3を上限として交付します。承継事業者が実施主体になる場合は、公募要領の「市町村」を「市町村の承継事業者」に、「第三セクター法人」を「第三セクター法人の承継事業者」に読み替えます。どの区分に当たるかで、同じ事業費でも交付額が変わります。第三セクター法人は、消費税が補助対象外です。
交付額の下限とは何ですか?
交付額には、1事業区分ごとに100万円の下限があります。交付額が1/2の市町村と連携主体なら事業費200万円以上、1/3の第三セクター法人なら事業費300万円以上の事業が対象です。小さな工事を細かく分けても、区分ごとに下限を超えなければ対象になりません。複数の区分をまとめた申請が100万円を超えていても、1つの区分が100万円未満ならその区分は対象外です。
どんな地域が対象でしたか?
離島・豪雪地帯・辺地・山村・半島・特定農山村・過疎地域のどれかを含む地域です。あわせて、地域防災計画にケーブルテレビの位置づけが書かれた市町村であることと、財政力指数が0.5以下の市町村など(特に必要と認める地域を含む)であることが条件でした。国の概要資料では、これらをすべて満たす地域が対象地域です。自分の地域が当てはまるかは、総合通信局などに確かめられます。
新しくケーブルを引く地区も対象でしたか?
対象ではありませんでした。実施マニュアルによると、この事業は市町村や第三セクター法人が所有するネットワークの同軸部分を光ファイバへ置き換えるためのものです。いまネットワークがない地区に新しく整備する事業は、補助の対象になりません。例外は、光化と同時に辺地共聴施設をケーブルテレビエリア化する場合です。このときは、共聴施設までの伝送路設備と、共聴施設エリア内のネットワークが対象になります。
光化なら通信サービスの設備も対象でしたか?
対象になりませんでした。この事業の目的は、ケーブルテレビを通じて災害時の情報を確実に届けることと、4K・8Kの視聴環境づくりです。そのため、ケーブルテレビに当たらない通信網の光化は認められません。ケーブルテレビの網の中でも、通信目的に当たる部分は同じです。幹線のうち通信線は原則として対象外で、他事業と併用する場合は費用を案分します。線引きは、実施マニュアルを読んで総合通信局に相談します。
提出先と方法はどこでしたか?
提出先は管轄の総合通信局などで、電子メールか大容量ファイル転送システムで出しました。Jグランツ(補助金の電子申請システム)でも出せました。令和3年度・令和4年度の公募の期限は、2022年2月4日12時の必着です。公募の段階では、正式な公文書を出す必要はありません。採択候補の内示を受けたあとに、交付の本申請をする流れでした。
補助金はいつ支払われましたか?
補助金は、事業が終わったあとに支払われます。事業の終了後すぐに実績報告書を出し、総務省が補助金の額を確定します。その後に請求して、精算払いで受け取る流れです。整備にかかる費用はいったん実施主体が立て替えるため、資金計画を前もって立てておく必要があります。
高度無線環境整備推進事業と一緒に使えますか?
公募要領には、併用のために高度無線環境整備推進事業を申請したいときは、先に総合通信局などへ相談すると書かれています。実施マニュアルでは、併用はできるが事業ごとに別の申請にすると説明されています。局舎の合築なら専有面積、伝送路の共用なら使う芯線の数で、費用を比例して分けるのが原則です。
交付決定の前に工事を始めてもいいですか?
始められません。交付決定日より前に結んだ契約や、始めた工事は、事前着工として補助の対象外になります。契約日か仮契約日が交付決定日より前のものも同じです。契約は交付決定の通知日以降に結びます。契約の形は原則として一般競争入札で、随意契約にするときはやむを得ない理由を明確にします。
