町工場が新しい機械を入れたい、というレベルの話で使えるのか。使えません。 「ディープテック・スタートアップ支援事業(DTSU)」は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実施する制度で、対象は技術の確立までに長期かつ大規模な資金を要するディープテック・スタートアップ企業に限られます。一般的な設備投資や販路開拓を探している中小企業向けの制度ではありません。
「ディープテック」とは、大学や研究機関で生まれた基礎研究の成果を、実用化まで時間とお金をかけて育てる必要がある技術のことです。半導体、宇宙、バイオ、量子といった分野が典型で、実用化までに10年単位の期間がかかることも珍しくありません。
ディープテック・スタートアップ支援事業の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(技術確立に長期・大規模な資金を要するディープテック・スタートアップ企業) |
| 制度名 | ディープテック・スタートアップ支援基金/ディープテック・スタートアップ支援事業(DTSU) |
| 対象業種 | 指定なし(半導体・宇宙・バイオ・量子等のディープテック分野が中心) |
| 利用目的 | 実用化に向けた研究開発、量産化実証、海外展開のための技術実証等 |
| 対象地域 | 全国 |
| 従業員数 | 公式ページに記載なし(スタートアップ企業であることが前提) |
| 補助上限額 | フェーズ①(STS)3〜5億円以内/フェーズ②(PCA)上限5億円(条件により10億円、一気通貫支援で30億円)/フェーズ③(DMP)上限25億円。1件当たりの累計上限は30億円 |
| 補助率 | フェーズ②は3分の2以内(フェーズにより異なる) |
| 申請受付 | NEDOの公募スケジュールに準ずる(年複数回) |
| 公式サイト | NEDO「ディープテック・スタートアップ支援基金」 |

対象になる/ならないの線引き
| 対象になる | 対象にならない |
|---|---|
| 技術の実用化に長期・大規模な資金と時間を要するスタートアップ | 既存技術を組み合わせただけの製品開発 |
| 半導体・宇宙・バイオ・量子など、大学発の基礎研究に由来する技術 | 一般的な機械設備の入れ替え・IT導入 |
| フェーズ(STS/PCA/DMP)ごとに研究開発・量産化実証を段階的に進める計画 | 単発の試作・改良にとどまる計画 |
この線引きがある理由は、制度の狙いが「民間の投資だけでは資金が届きにくい、時間のかかる技術」を国が下支えすることにあるためです。 補助上限が最大30億円という桁違いの規模なのも、そもそもの対象が数億〜数十億円規模の研究開発を必要とする企業だからです。
よく誤解されるポイント
「スタートアップ」なら誰でも申請できるわけではない
創業して間もない会社という意味の「スタートアップ」全般を指すわけではありません。対象は技術の確立に長期かつ大規模な資金を要する「ディープテック」企業に限られます。一般的なITサービスやアプリ開発のスタートアップは対象外になる可能性が高い制度です。
フェーズによって補助率・上限額がまったく違う
DTSUは1本の制度に見えて、STS(フェーズ①)・PCA(フェーズ②)・DMP(フェーズ③)と段階が分かれ、それぞれ補助率・上限額の設計が異なります。自社が今どの段階(実証前研究か、量産化直前か)にあるかによって、申請すべきフェーズが変わります。
よくある質問
Q. 創業間もない中小企業ならどんな分野でも申請できますか?
いいえ。 対象は技術の確立に長期・大規模な資金を要するディープテック分野の企業です。半導体・宇宙・バイオ・量子といった分野が中心で、一般的な製品開発やサービス開発は対象になりにくい制度です。
Q. 上限30億円は誰でも到達できますか?
到達しません。 30億円はフェーズ①〜③を通じた累計の上限であり、審査を経て段階的に採択される仕組みです。多くの案件はフェーズ①の3〜5億円規模から始まります。
Q. 一般的なものづくり補助金との違いは何ですか?
ものづくり補助金は設備投資や試作開発が中心で、補助上限は数千万円規模です。DTSUは実用化までに長期間かかる研究開発そのものが対象で、上限額の桁が異なります。
