福井県の収益力強化事業補助金(正式名は企業活動分析による収益力強化事業補助金)の第9回は、2026年8月28日で受付が終わりました。県のページにも「受付終了」と書かれています。
自社の商品やサービスの付加価値を高める取組に、最大500万円が出る制度でした。従業員がいる事業者は、最も低い枠でも2か月続けて一人当たりの給与を前年より2.0%以上増やすことが条件でした。次の回に備えて、枠の分け方と条件を残しておきます。
福井県企業活動分析による収益力強化事業補助金の要点まとめ
正式名:企業活動分析による収益力強化事業補助金(第9回)
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 業種の指定なし(商工会・商工会議所の会員)
- 利用目的
- 経営分析にもとづく付加価値向上の取組
- 対象地域
- 福井県内
- 従業員数
- 通常枠は制限なし。前向き枠・大規模枠は5人以上
いくら
- 補助上限額
- 最大500万円(通常枠100万円・前向き枠200万円)
- 補助率
- 2/3(協力が認められれば3/4)。大規模枠は3/4(4/5)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年7月15日〜2026年8月28日(受付終了)
- 事業の完了
- 2027年1月15日まで
受付は終わりました。次の回について
申請期間は、7月15日から8月28日まででした。交付要領の9章に、この期間が書かれています。
福井県のページは受付期間を「受付終了」とし、福井県商工会連合会のページにも「今年度の募集は終了しました」とあります。連合会のページには、第1回から第9回までの採択事業者の一覧も載っています。
第10回の案内は、どちらのページにも見当たりません。回を重ねてきた制度ですが、次の回があるかは公表された資料からは読み取れません。
編集部は、所属の商工会・商工会議所に早めに声をかけておくことを勧めます。事業計画は、会と一体になって作る決まりだからです。問い合わせは、福井県商工会議所連合会(0776-33-8283、平日9時から17時)か、県の経営改革課経営支援グループ(0776-20-0367)です。
3つの枠のどれに当たったのか
賃上げの幅と従業員数で、枠が分かれていました。
| 枠 | 補助上限額 | 補助率 | 主な条件 |
|---|---|---|---|
| 通常枠 | 100万円 | 2/3(3/4) | 従業員がいれば給与2.0%増。付加価値額は年率平均3%以上 |
| 前向き枠 | 200万円 | 2/3(3/4) | 従業員5人以上。給与2.0%増。付加価値額は年率平均5%以上 |
| 大規模賃金引上枠 | 300万円 | 3/4(4/5) | 従業員5人以上。給与6.0%増など |
| 大規模賃金引上枠 | 400万円 | 3/4(4/5) | 同上。給与7.0%増 |
| 大規模賃金引上枠 | 500万円 | 3/4(4/5) | 同上。給与8.0%増 |
カッコ内の率は、県広報への協力に同意して発注者目線の取組事例を出し、審査で認められた場合です。全部の枠で使えました。
300万円の枠は、給与6.0%増の代わりに2つの条件のどちらかでも足りました。「ふくい女性活躍推進企業プラス+」に登録し、女性役員・管理職の割合を前年度の1.2倍以上にする(0%から20%以上になる場合も可)条件です。割合は、令和8年4月以降と令和7年度を比べます。もう1つは、通算3か月以上の育児休業を取った男性の従業員が1人以上いる条件です。
給与は、基本給と賞与だけで見ます。月28万円の従業員なら、2.0%は月5,600円です。残業代や手当は、数えません。
対象は誰だったのか
次のすべてに当てはまると、対象の見込みでした。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 9
中小企業者からは、みなし大企業が除かれます。パートナーシップ構築宣言は、申請の時点で登録し、ポータルサイトに宣言が公表されている必要がありました。商工会議所の会員は、福井・敦賀・武生・大野・勝山・小浜・鯖江のいずれかの商工会議所に、申請の時点で入っている必要がありました。対象になる事業は、令和8年7月15日以降に着手したものだけです。
付加価値額は補助事業のあと3年間の年率平均で見て、前向き枠・大規模枠は5%以上です。給与の条件は通常枠で従業員がいる場合のもので、任意の連続する2か月の平均給与を前年の同じ期間と比べます。
次のどれかに当たると、対象外でした。
- ✕ 令和8年度にこの補助金で採択済み
- ✕ 同じ募集で設備投資補助金にも申請
- ✕ 自己負担分に国や県の他の補助金を使う
- ✕ みなし大企業
- ✕ 暴力団の関係者
同じ募集で重ねられないのは、中小企業設備投資補助金です。自己負担分に使えないのは、国や福井県の他の補助金です。
中小企業者は、中小企業基本法第2条第1項の定めです。業種ごとに資本金と従業員数の上限が決まっていて、どちらか一方を満たせば該当します。詳しい上限は、中小企業庁の案内で確かめます。
みなし大企業は、中小企業でも対象外になる会社です。同じ大企業が株式の2分の1以上を持つ会社が当たります。複数の大企業が3分の2以上を持つ会社や、大企業の役員か職員を兼ねる人が役員の2分の1以上を占める会社も同じです。
付加価値額は、営業利益と人件費と減価償却費を足した額です。減価償却費は、機械などの購入費を使える年数に分けて毎年の費用にする分です。
従業員は、雇用保険に入っている人を指します。会社役員(従業員との兼務は含む)と個人事業主本人は数えません。同居の親族や、休業・休職中の人も数えません。
令和5〜6年度にこの補助金で採択を受けた事業者は、成果報告書(様式第9)を申請の時までに出す必要がありました。令和8年度に採択された事業者は、申請できませんでした。
いくら補助されるのか
補助額は、対象経費に補助率をかけた額です。上限は枠ごとに決まります。消費税は、対象経費から除きます。
- 通常枠で、対象経費150万円:150万円 × 2/3 = 100万円
- 通常枠で、県広報への協力が認められ、対象経費120万円:120万円 × 3/4 = 90万円
- 前向き枠で、対象経費360万円:360万円 × 2/3 = 240万円 → 上限の200万円
- 大規模賃金引上枠(500万円)で、対象経費700万円:700万円 × 3/4 = 525万円 → 上限の500万円
- 通常枠で、対象経費60万円:60万円 × 2/3 = 40万円
最後の例のように、小さな事業でも申請はできました。下限の額は、交付要領に書かれていません。
上限に届く経費は、通常枠で150万円、前向き枠で300万円です。補助率が3/4なら、通常枠は約134万円で上限に届きます。大規模枠(500万円)は3/4で約667万円、4/5で625万円です。
何に使えたのか
対象にならないもの
- 光熱水費、飲食費、接待費、交際費、遊興・娯楽に使う費用
- 保証金、敷金、保険料、税金(消費税を含む)
- 販売する商品の原材料費、予備品、商品券、フランチャイズ加盟料
- 不動産・構築物・株式の購入費
- この補助金の書類を作る代行の費用
- 汎用性があり、目的外にも使えるものの購入費・レンタル費
- 自動車・車両系建設機械・船舶・航空機の購入・修理・車検の費用
- 国や自治体の他の補助金・助成金を使う事業の経費
- パソコン・タブレットの購入・レンタル、ネットオークションでの購入
- 専門家の謝金のうち、顧問契約に含まれる取組みの分と源泉徴収の税額分
対象になるもの
- 建物費:事務所・店舗・工場の改修、撤去、原状回復、移転
- 機械装置・システム構築費:機械装置、器具、備品、ソフトウェア、情報システム
- 専門家経費:依頼した専門家に払う費用(謝金は1日5万円まで)
- 外注費、技術導入費、原材料費(試作品の開発に必要なもの)
- 広報費:広告の作成と掲載、展示会への出展、マーケティングツール
- 研修費、印刷製本費、運搬費、会議費、特許の弁理士費用
たとえば、来客の動線を見直す店舗の改装は建物費に入ります。経営の分析を専門家に頼む費用は、専門家経費に入ります。
支払いは口座振込が原則でした。現金は小売店での購入など振込が難しいときだけで、1取引10万円(税別)を超えると使えません。小切手・手形・相殺・ポイント払いは対象外です。クレジットカードは、口座からの引き落としが事業の期限までに済むものに限ります。支払予定額が100万円(税込)を超える発注は、2社以上の見積と契約書が要りました。中古品は金額に関係なく、2社以上の中古品販売事業者から見積を取ります。
審査では、自社の企業活動の分析が妥当かを見ました。分析の結果から課題と方針を出せているか、事業計画に実現性があるかも見ました。評点の7割を基準点にして、予算の範囲で採択しました。
申請の流れ
2026年7月15日から8月28日までの受付で、求められた手順は次のとおりです。
- 所属の商工会・商工会議所に相談する(事業者→商工会・商工会議所。事業計画を一緒に作る。商工会議所の会員は、計画書ができたら所属の会議所で書類の不備を事前に確かめてもらう)
- 自社の企業活動を分析して、事業計画を作る(事業者。強み・顧客のニーズ・課題と方針を整理する)
- 交付申請書(様式第1)を出す(事業者→交付団体。商工会の会員は所属の商工会へ。商工会議所の会員は福井商工会議所の補助金事務局(福井南郵便局留め)へ郵送し、窓口への持参はできない。8月28日の当日消印有効)
- 審査と交付決定を待つ(交付団体→事業者。県広報への協力などを審査)
- 事業を行う(事業者。2027年1月15日までに終える)
- 実績報告を出して、補助金を受け取る(事業者→交付団体。完了から30日後か1月15日の早い方まで)
実績報告のあと、交付団体が額を確定します。事業者が精算払の請求書を出すと、補助金が支払われます。
必要な書類
準備できた 0 / 12
様式は福井県商工会議所連合会・商工会連合会のページにあります。宣誓書は補助率の引き上げを希望する人だけ、成果報告書は令和5〜6年度の採択者だけが出します。
登録画面の写しは、「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトで取ります。納税証明書は県税も地方消費税も直近3か月以内で、地方消費税は法人が「その3の3」、個人事業主が「その3の2」です。決算書は法人の損益計算書と貸借対照表で、個人事業主は確定申告書の写しを出します。
現在事項全部証明書は支店登記されているもので、本社が県外で県内に事務所がある事業者だけ出します。従業員数を示す書類は、雇用保険に入っている従業員のリストや賃金台帳などです。今までに補助を受けた計画との違いは過去の採択者だけが書き、形式は窓口に確認します。
この一覧は、福井県商工会議所連合会のページに載っているものです。商工会の会員は、所属の商工会にも書類を確かめます。
事業が終わったあとの書類は別です。実績報告書(様式第4)には、契約書・請求書・振込依頼書の控えなどを付けます。精算払請求書(様式第5)は、連合会のページの様式です。実績報告は郵送で出し、当日消印有効です。商工会議所の窓口への持参はできないとされていました。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 給与の引き上げが足りなかった:補助対象期間のうちに給与の増加率を満たせないと、補助金は交付されません。選んだ枠は、申請のあとに変えられません。
- 補助金を別の用途に使った:取り消しのうえ返還です。受け取った日から年10.95%の加算金が付きます。
- 計画を勝手に変えた:経費の配分の変更は事前の承認が要ります。補助対象経費どうしで20%以内の変更は例外です。
- 成果報告を出さなかった:事業の完了した年度の翌年度から3年間、毎年2月末までに、事業成果報告書を出します。
- 設備を勝手に処分した:取得価格が50万円(税抜)以上の財産は、耐用年数に準じた期間、事前の承認が要ります。
併用と申請の制限
1回の募集で申請できるのは、1件だけです。中小企業設備投資補助金との同時申請はできませんでした。
自己負担分には、国や福井県の他の補助事業の補助を使えません。経理の書類は、事業の完了した年度の終了後5年間保存します。
よくある質問
福井県の収益力強化事業補助金は、申請できますか?
申請できません。第9回の申請期間は、2026年7月15日から8月28日まででした。福井県のページは「受付終了」、連合会のページは「今年度の募集は終了しました」と案内しています。第10回の案内は、どちらのページにも見当たりません。回を重ねてきた制度なので、所属の商工会・商工会議所に早めに声をかけておくと、次の動きをつかみやすくなります。最新の状況は福井県商工会連合会のページで確かめます。
通常枠・前向き枠・大規模賃金引上枠は、何が違いますか?
賃上げの幅と従業員数が違います。通常枠は上限100万円で、従業員がいれば給与2.0%増が条件でした。前向き枠は上限200万円で、従業員5人以上かつ給与2.0%増です。大規模賃金引上枠は5人以上が条件で、給与6.0%増なら300万円、7.0%増なら400万円、8.0%増なら500万円でした。付加価値額の増加計画は、通常枠が年率平均3%で、前向き枠と大規模枠が5%です。付加価値額は営業利益と人件費と減価償却費を足した額です。
補助率が3/4や4/5になる条件は何ですか?
県広報への協力に同意し、発注者目線の取組事例を出して、審査で認められた場合です。通常枠と前向き枠は2/3から3/4に上がります。大規模賃金引上枠は3/4から4/5に上がります。取組事例は、価格交渉を受け入れるための自社独自の取組が対象です。他の事業者も使える内容で、具体的な成果が認められ、法令に違反せずお手本になることが求められました。取組事例の審査基準は交付要領の別表3に載っています。
商工会・商工会議所の会員でないと申請できませんか?
申請できません。対象は、商工会か商工会議所の会員で、事業計画をその会と一体になって作った事業者でした。会員でない事業者は、申請の前に入会の相談が必要です。申請書は、商工会の会員なら所属の商工会へ出します。商工会議所の会員は、福井商工会議所の補助金事務局(福井南郵便局留め)へ郵送します。入会の手続きに時間がかかることもあります。次に募集が出たときに間に合うよう、早めに窓口へ相談しておきます。会員かどうかは所属の窓口に聞くとすぐに分かります。
従業員がいない個人事業主でも申請できますか?
通常枠なら申請できました。給与を2.0%増やす要件は、申請の時に従業員がいない事業者には求められません。ただし付加価値額を年率平均3%以上増やす計画は必要です。前向き枠と大規模賃金引上枠は従業員5人以上が条件なので、対象外でした。個人事業主本人と同居の親族は、従業員の数に入りません。従業員は、雇用保険に入っている人を指します。通常枠の上限は100万円なので経費の目安は150万円です。
給与の引き上げは、どの給与でいつの比較ですか?
給与は、基本給と賞与だけです。残業代や各種の手当は入りません。比較する期間は、2026年4月1日から補助対象期間の終わりまでの間で、連続する任意の2か月です。それぞれの月の一人当たりの平均給与を、前年の同じ月と比べます。比べる従業員は、前年から続けて雇っている人です。育児休業中や休職中の人は、数に入りません。賞与の月が入るかは、窓口で確かめます。雇用保険に入っている人だけが比較の対象になります。
「パートナーシップ構築宣言」とは何ですか?
取引先との共存共栄をめざす取組を、企業の代表者の名前で宣言する仕組みです。この補助金では、申請の時点で宣言を登録し、ポータルサイトで公表されていることが条件でした。登録していない会社は、申請より前に登録を済ませる必要がありました。宣言が公表されるまでにかかる期間は、交付要領に書かれていません。次の募集に備えるなら、今のうちに登録を考えておくと安心です。
設備投資だけをしたい場合も、この補助金を使えますか?
この補助金は、自社の企業活動の分析にもとづいて付加価値を高める取組が対象でした。分析と計画が前提なので、設備だけを入れ替える目的には向きません。福井県の同じページには、中小企業設備投資補助金という別の制度も並んでいます。ただし2つの制度に同時に申請することはできませんでした。どちらで申請するかを、先に決める必要がありました。書類作成の代行費用は専門家経費にも入りません。
コンサルタントに書類の作成を頼んだ費用は補助されますか?
書類を作る代行の費用は対象外でした。事業計画書・申請書・報告書など、交付団体に出す書類の作成と提出にかかる費用が当たります。一方で、分析や事業の進め方を専門家に依頼する費用は、専門家経費として対象になります。見積書や請求書で、どちらに当たる費用かを分けておく必要がありました。判断に迷う費用は、発注の前に窓口へ確かめておきます。実績報告には契約書・請求書・振込依頼書の控えを添えます。
事業はいつからいつまでに行えばよいですか?
補助対象期間は、2026年7月15日から2027年1月15日まででした。この期間に事業を行い、経費を使います。実績報告は、事業が完了した日から30日を過ぎた日か、同じ年度の1月15日の早い方までに出します。完了が遅くなるほど、報告までの余裕がなくなります。工事や外注の日程は、1月15日から逆算して組むと無理がありません。
採択されるかどうかは、どう決まりましたか?
評点の7割を基準点にして、基準点を満たした事業を予算の範囲で採択しました。見られた点は、自社の企業活動の分析、分析結果の方向性、事業計画の有効性、対象経費の透明性の4つです。これまでに採択されていない事業者は加点されました。エネルギー・資源価格の高騰の影響を、事業が和らげる場合も加点です。審査の結果についての問い合わせには、応じない決まりでした。
採択されたあとに、報告などの義務はありますか?
あります。事業を終えた年度の翌年度から、交付決定の日から数えて3年の間、毎年2月末までに事業成果報告書を出します。経理の書類は、事業の完了した年度の終了後5年間保存します。事業の完了から3年未満で廃業するときは、交付団体への報告が必要です。交付団体のホームページなどで、事業名や概要が公表されることもあります。財産の処分に事前の承認が要る点も合わせて覚えておきます。
