天神や博多駅周辺のビルに植栽を入れるとき、費用の一部を福岡市が負担してくれるのか。負担します。対象経費の1/2で、上限は3,000万円です。
ただし交付申請は着工の前に出す決まりで、契約や工事を先に進めると対象から外れます。公道や人が入れる場所から見えない緑化も対象外なので、計画の段階で線引きを確かめてください。
この記事は都心部の業務施設・商業施設・宿泊施設などの緑化助成(上限3,000万円)の話です。マンションのベランダ緑化(上限20万円)は同じ事業の別メニューで、後半で違いを説明します。
グリーンビル促進事業の要点まとめ
正式名:福岡市グリーンビル促進事業(都心部のオフィスビルなどへの緑化助成)
だれが
- 申請者
- 建物・土地の所有者、建築主、またはその承諾を得た人
- 対象業種
- 指定なし(都心部の業務・商業・宿泊施設などが対象)
- 利用目的
- 公道などから見える緑化(空地・壁面・バルコニー等)
- 対象地域
- 福岡県福岡市(天神・博多駅周辺などの都心部)
- 従業員数
- 規定なし
いくら
- 補助上限額
- 3,000万円(1敷地・1会計年度あたり)
- 補助率
- 対象経費の1/2
いつ・どこへ
- 申請受付
- 公募。締切日は公式ページに記載なし
- 事業の完了
- 申請した会計年度内
- 公式サイト
- 福岡市「グリーンビル促進事業」
うちのビルは対象になる?
次の6つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 一年草や菜園による緑化
- ✕ 既存樹木の植え替え
- ✕ この補助を過去に受けた敷地
- ✕ 国や自治体が所有する建物
都心部とは福岡市都市計画マスタープランのエリアです。天神、博多駅、博多ふ頭・中央ふ頭を中心に東は御笠川、南は百年橋通り、西は大正通りに囲まれた範囲を指します。
敷地が1,000㎡以上なら、緑化率(敷地に占める緑化の割合)5%以上も必要です。この5%には必須緑化だけを数えます。
「承諾がある」とは建物の所有者や建築主、土地の所有者から緑化の承諾を得ている場合です。入居テナントが申請するときは承諾書が要ります。
どこで対象になり、どこで外れる?
| 項目 | 対象になる | 対象にならない |
|---|---|---|
| 場所 | 都心部の業務・商業・宿泊施設 | 都心部の外のビル、住宅 |
| 見え方 | 公道や、人が自由に入れる場所から見える | 外から見えない場所だけの緑化 |
| 植物 | 高木・中木・低木・芝、地被類、多年生草本 | 一年草、菜園 |
| 工事の内容 | 新しい緑化 | 既存樹木の植え替え |
| 申請の時期 | 着工前 | 着工後、契約後 |
| 義務の緑化 | 法令の基準を超える部分 | 法令で義務づけられた部分 |
| 敷地 | 初めて補助を受ける敷地 | 過去にこの補助を受けた敷地 |
見えるみどりを増やすこと自体がこの事業の狙いです。だから公道や、人が自由に出入りできる場所から見えることが条件になります。
法令で緑化が義務づけられている場合は、基準を超えた分だけが対象になります。
いくら戻ってくる?
補助額は、次の2つのうち少ないほうです。
- 補助対象経費の1/2
- 上限の3,000万円
計算例は次のとおりです。
- 低層ビルの前庭に高木と植栽帯をつくる:2,400万円 × 1/2 = 1,200万円
- 大型ビルの壁面と敷地内を緑化する:7,000万円 × 1/2 = 3,500万円 → 上限の3,000万円
- 上限に届く経費:6,000万円以上かかると、上限の3,000万円に達します
上限は1敷地・1会計年度あたりの合計です。空地緑化・壁面緑化・バルコニー緑化・屋内緑化・花壇整備を組み合わせても、合計が3,000万円までです。
交付申請額は1,000円未満を切り捨てます。補助対象経費のうち、消費税の仕入控除ができる分が明らかなときは、その分を減らして申請します。
屋内緑化と花壇整備は必須緑化とセットでなければ補助されません。この2つは効果促進緑化と呼ばれます。要綱の補助金額の欄には、効果促進緑化は「必須緑化にかかる費用の1/3を上限とする」とあります。この1/3が経費の枠なのか補助額の枠なのかは、表記だけでは読み分けられません。屋内緑化や花壇を計画に入れるなら、みどり推進課で計算のしかたを確かめてください。
何に使える?
対象にならないもの
- 一年草や菜園による緑化
- 既存樹木の植え替え
- 緑化工法や緑化資材の営業を目的とするもの
- ほかの助成を受けている緑化
- 法令で義務づけられた基準分の緑化
対象になるもの
- 基盤整備と灌水施設の工事費
- 材料・土壌・樹木の購入費
- 樹木の植栽費
- 上の3つに付随する諸経費(3つの合計の30%以内)
緑化の種類は次の5つです。壁面緑化でつる植物を使う場合は1mあたり3本以上植えます。
- 空地緑化(敷地内の空地)
- 壁面緑化(建物の外壁面や前面)
- その他緑化(バルコニーなど)
- 屋内緑化(広く一般の人が常時立ち入れる屋内)
- 花壇整備(外から見える場所)
材料の単価は建設物価(建設物価調査会編)、労務の単価は公共工事設計労務単価表が目安です。実際に行える水準の単価でなければなりません。
申請の流れ
- 要綱と様式を確かめ、みどり推進課に相談する(事業者→福岡市 みどり推進課)
- 緑化計画をつくり、見積を取る(事業者・施工業者。見積は市内中小企業者から取るよう努める)
- 交付申請を出す(事業者→みどり推進課。着工前に、メール・郵送・持参のいずれか)
- 交付決定の通知を受ける(福岡市→事業者)
- 工事を行い、同じ会計年度内に終える(施工業者)
- 実績報告を出す(事業者→みどり推進課。契約書・工事写真・領収書の写し)
- 補助金額の確定通知を受け、支払請求書を出す(事業者→みどり推進課)
持参するときは事前に電話で日時を予約します。交付決定の前に購入や発注をしたものは対象外になります。
補助を受けた事業は、市の緑化事業の普及のため、事業を活用した旨が分かる表示を掲出する決まりです。写真提供などの依頼があれば協力します。
市内中小企業者とは福岡市中小企業振興条例で定める中小企業者のことです。詳しい基準は市の公式ページでご確認ください。
必要な書類
準備できた 0 / 7
緑化関係図は敷地平面図・建物等配置図、緑化場所の位置図・平面図・緑化求積図・植栽計画図・断面図などです。
検査済証か確認済証は壁面緑化とバルコニーなどの緑化をするときに要ります。承諾書は所有者以外が申請するときです。建物が未完成のときは施工前写真を実績報告に添えることもできます。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 着工してから申請した:申請は着工前です。先に購入や発注をしたものは、対象になりません。
- 年度内に完了しなかった:申請した会計年度内に事業を終える見込みが条件です。
- 緑化を壊した・転用した:補助を受けた緑化施設を故意に壊したり、緑化以外に転用したりすると、交付決定が取り消されます。
- 偽りや目的外使用があった:虚偽その他不正な手段、補助金の別用途への使用は、取消しと返還の対象です。
取り消されると、すでに受け取った補助金は期限を決めて返還を求められます。申請書の誓約には、市税等を滞納していないこと、福岡市暴力団排除条例に違反していないこと、これらを関係機関に照会されることに同意することも入っています。
よく誤解されるポイント
同じ事業に「ベランダ緑化」の別メニューがある
福岡市のグリーンビル促進事業には、2つのメニューがあります。
| 項目 | 都心部の緑化助成(この記事) | 集合住宅のベランダ緑化 |
|---|---|---|
| 場所 | 都心部の業務・商業・宿泊施設 | 福岡市内の集合住宅のベランダや専用庭 |
| 上限額 | 3,000万円 | 20万円 |
| 補助率 | 対象経費の1/2 | 対象経費の1/2 |
| 申請の方法 | 書類を作ってメール・郵送・持参 | オンライン申請もできる |
ベランダ緑化は令和8年6月1日から、より使いやすくなりました。上限額も条件も別なので、2つを取り違えないでください。
容積率を緩和された計画は、一部しか対象にならない
グリーンボーナス、天神ビッグバンボーナス、博多コネクティッドボーナスの認定を受けて容積率の緩和を受けた計画があります。容積率とは敷地に対する延べ床面積の割合です。
これらの認定で容積率緩和を受けた計画は緑化率10%を超える部分だけが補助対象経費になります。緩和の見返りとして求められる緑化の分は対象に入りません。
工事を先に進めると、あとから申請できない
見積を取っただけなら問題ありませんが、契約や発注、着工に進むと対象外になります。市の案内にも、交付決定前の購入・発注は対象外と書かれています。
申請者はビルのオーナーとは限らない
対象者は建物の所有者、建築主、土地の所有者です。所有者などから承諾を得た人も申請できます。入居するテナントでも承諾書があれば申請できる可能性があります。
よくある質問
どの範囲が「都心部」ですか?
福岡市都市計画マスタープランに示されたエリアです。要綱では天神、博多駅、博多ふ頭・中央ふ頭を中心に東は御笠川、南は百年橋通り、西は大正通りに囲まれた範囲と説明されています。計画地が境目に近い場合は地図の線上かどうかを、申請の前に福岡市のみどり推進課で確かめてください。住所だけでは判断できないことがあります。
住宅やマンションも対象になりますか?
この記事の都心部の助成は、業務施設・商業施設・宿泊施設、商業系用途複合施設などが対象で、マンションは含まれません。マンションのベランダや専用庭の緑化には同じ事業の別メニューがあり、上限は20万円です。対象場所は福岡市内の集合住宅で、都心部に限りません。目的に合うほうのメニューを確かめて申請してください。
緑化の規模に下限はありますか?
あります。必須緑化として高木・中木・壁面緑化による緑化面積を10㎡以上にする必要があります。敷地面積が1,000㎡以上の場合はさらに必須緑化だけで数えた緑化率を5%以上にします。低木や芝だけで10㎡を満たすことはできません。計画を立てる段階で高木・中木・壁面のどれで面積を確保するかを決めておいてください。
申請はいつまでに出せばよいですか?
市のページに申請の締切日は書かれていません。補助対象者は公募により募集すると要綱にあり、着工前に交付申請を出す決まりです。事業は申請した会計年度内に完了する必要があるため、工事の期間を逆算して余裕をもって出す必要があります。受付の時期や回数はみどり推進課に電話で確認すると確実です。この要綱は令和11年3月31日で廃止と定められており、その後の継続は終期までに判断される予定です。電話番号は記事の最後に載せています。
申請は、オンラインでもできますか?
都心部の緑化助成は、市のページ上では、必要書類を作成してメール、郵送、持参のいずれかで申請する形です。持参するときは事前に電話で申請日時を予約します。オンライン申請の案内があるのは、ベランダ緑化のほうです。申請様式はWordファイルで、市のページからダウンロードできます。送付先はみどり推進課です。
見積は何社から取ればよいですか?
要綱は、見積書について市内中小企業者から徴収するよう努めなければならないと定めています。社数の定めは、確認した範囲では見つかりませんでした。「努めなければならない」という表現のため、義務ではなく努力目標と読めます。ただし、書類審査で価格の妥当性が見られるため、複数社から取っておくと、説明しやすくなります。
設計費や諸経費も補助の対象になりますか?
諸経費は対象です。基盤整備と灌水施設の工事費、材料・土壌・樹木の購入費、植栽費の3つの合計の30%以内で含めることができます。設計費そのものを対象経費として挙げた記載は要綱で確認できませんでした。設計費を計上できるかは計画書の書き方にも関わるため、申請の前にみどり推進課へ確認してください。
屋内緑化だけの計画でも補助されますか?
補助されません。屋内緑化と花壇整備は効果促進緑化に分類され、空地緑化や壁面緑化などの必須緑化と併用する必要があります。さらに効果促進緑化には必須緑化にかかる費用の1/3という上限があります。屋内の植栽が中心の計画でも外から見える緑化を一緒に計画に入れなければなりません。
補助を受けたあと、緑化を撤去できますか?
自由には撤去できません。補助金額の確定通知日から財産処分の制限期間が終わるまで補助を受けた緑化施設は保全に努める必要があります。この期間は減価償却資産の耐用年数等に関する省令に定められた期間です。故意の破壊や、緑化以外の用途への転用があった場合は、交付決定が取り消され、補助金の返還を求められることがあります。
以前に補助を受けた敷地は、もう一度申請できますか?
都心部の助成ではできません。要綱には本補助事業による助成を受けたことのある敷地等における緑化事業は補助金を交付しないとあります。ベランダ緑化のメニューだけはこの制限の例外です。同じビルで追加の緑化を考えている場合は計画のタイミングを分けても対象にならないため、最初の申請で必要な内容をまとめておく必要があります。
国や県の補助金と併用できますか?
補助の対象になる緑化が、ほかの助成等を受けていないことが条件です。同じ緑化工事にほかの補助金を受ける場合は、この事業の対象になりません。別の工事に別の補助金を使えるかは公式ページに明記がありません。併用を考えている場合は申請の前にみどり推進課へ相談してください。
問い合わせ先はどこですか?
福岡市 住宅都市みどり局 みどり推進部 みどり推進課です。電話は092-707-1295で、メールはmidorisuishin.HUPB@city.fukuoka.lg.jpです。所在地は福岡市中央区天神1丁目8番1号です。持参する場合は事前に電話で日時を予約します。計画が対象になるか、規模の条件を満たすか迷ったときは、申請書をつくる前に相談しておくと、手戻りを防げます。
