まだ日本国内でも出願していない発明を、いきなり外国に出願する計画には使えません。すでに日本国特許庁へ出願済みであることが、この補助金の大前提だからです。
公益財団法人福岡県中小企業振興センターが実施するこの事業は、日本国内で出願済みの特許・実用新案・意匠・商標について、優先権を主張するなどの方法で外国特許庁等へ同一内容の出願を行う場合に、その費用の一部を助成します。令和8年度は年2回の募集があり、この記事で扱うのは第2回募集です。
福岡県海外出願支援事業(令和8年度第2回)の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主)※中小企業者等 |
| 制度名 | 福岡県海外出願支援事業(令和8年度第2回) |
| 対象業種 | 指定なし(中小企業者。業種ごとの資本金・従業員数基準は下記表を参照) |
| 利用目的 | 特許・実用新案・意匠・商標の外国出願にかかる費用の助成 |
| 対象地域 | 福岡県内(主たる事業所が福岡県内にあること) |
| 従業員数 | 中小企業者(業種ごとに資本金または従業員数いずれかの基準を満たすこと) |
| 補助上限額 | 300万円(1企業あたり。1出願ごとに特許150万円、実用新案・意匠・商標60万円などの上限あり) |
| 補助率 | 2分の1以内 |
| 申請受付 | 令和8年7月21日(火)〜8月21日(金)17:00必着 |
| 公式サイト | 福岡県中小企業振興センター知的財産支援センター「令和8年度福岡県海外出願支援事業(第2回)募集案内」 |

「中小企業者」の範囲は業種で変わる
対象となる中小企業者の範囲は、業種ごとに次のとおり決まっています。どちらか一方の基準を満たせば該当します。
| 業種 | 資本金の額または出資総額 | 常時使用する従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業(下記除く)・建設業・運輸業・その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| ゴム製品製造業(一部除く) | 3億円以下 | 900人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業(一部除く) | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| ソフトウエア業・情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
また、大企業が実質的に株式や役員を通じて経営に関与している「みなし大企業」は、規模が小さくても対象外になります。大企業が発行済株式の2分の1以上を単独で持っている場合などが該当します。
上限300万円の内訳は「1企業」と「1出願」の二重構造
補助率は対象経費の2分の1以内で、上限額には2つの階層があります。
- 企業単位の上限: 1企業あたり300万円
- 出願単位の上限: 特許出願150万円、実用新案登録出願・意匠登録出願・商標登録出願60万円(抜け駆け対策商標は30万円)
たとえば特許1件を2か国に出願する場合、1出願あたり150万円が上限なので、2か国分で合計300万円まで使える計算です。対象経費には外国特許庁への出願手数料、現地代理人費用、国内代理人費用、翻訳費用などが含まれますが、採択(交付決定)日より前に発生した費用は対象外です。出願手続きは交付決定を受けてから始める必要があります。
よくある質問
PCT国際出願を利用している場合も対象になりますか?
対象になります。パリ条約に基づく優先権主張のほか、特許協力条約(PCT)に基づく各国移行、ハーグ協定、マドリッド協定議定書に基づく出願も対象方法に含まれています。
仲介業者を通して現地代理人に依頼しても補助されますか?
原則として対象になりません。本補助金は国内1事務所・現地(出願国ごと)1事務所の代理人体制を前提としており、第三者の仲介業者を介在させる場合の手数料は、特段の事情がある場合を除いて補助対象外です。
出願を採択後に取りやめることはできますか?
やむを得ない事情を除き、認められていません。採択後に出願をとりやめる場合は、事前に財団の承認が必要です。出願予定国数を減らす、現地代理人を変更するといった計画変更も同様に、事前連絡と承認が必要です。
