特許や商標の出願は、調査にも出願にも代理人への支払いが先に出ていきます。その費用の最大2分の1を、福島県産業振興センターが助成する制度です。
この記事で扱う第2回は、2026年9月30日17時で受付を終えています。次の第3回はこちらの記事にまとめました。
出願人の本社が福島県内にあれば、複数の出願を合わせて出願費の上限が総額100万円になります。
特許等調査・出願経費助成事業の要点まとめ
正式名:特許等調査・出願経費助成事業(国内出願・先行技術調査助成)
だれが
- 申請者
- 福島県内の中小企業者(グループも可)
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 先行技術調査と、特許等の国内出願の費用
- 対象地域
- 福島県(県内に本社・研究開発拠点・生産拠点等)
- 従業員数
- 公式ページに記載なし(中小企業者であること)
いくら
- 補助上限額
- 最大100万円(県内本社の複数出願。調査は別に15万円、1件は25万円)
- 補助率
- 助成対象経費の1/2以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年8月3日〜2026年9月30日(17時必着)
- 事業の完了
- 2027年2月28日まで(経費の支払期限)
うちの会社は対象になる?
次の4つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
中小企業者は、業種ごとに資本金と従業員数の上限が決まっています。詳しい基準は、福島県産業振興センターの技術総務課に確かめてください。
県内に本社がなくても、研究開発拠点や生産拠点が県内にあれば対象です。発明者は、県外の本社や事業所に所属していても構いません。
次のどちらかに当たると対象外です。
- ✕ みなし大企業に当たる
- ✕ 外国への出願だけを行う
みなし大企業とは、大企業が実質的に支配している会社です。実施要領は、同じ大企業が株式の2分の1以上を持つ会社、複数の大企業が3分の2以上を持つ会社、役員の2分の1以上を大企業の役員か職員が兼ねる会社を挙げています。資本金や従業員数が中小企業の基準に収まっていても、対象になりません。
グループで申請するときは、構成員の3分の2以上が中小企業者である必要があります。
いくらもらえる?
助成率は、対象経費の2分の1以内です。上限は調査と出願それぞれに決まっています。経費は消費税を除いた額で数え、助成額は千円未満を切り捨てます。以下の費用は仮の税抜き金額です。
- 調査費20万円を払う:20万円 × 1/2 = 10万円
- 調査費40万円を払う:40万円 × 1/2 = 20万円 → 上限の15万円
- 出願費40万円を払う:40万円 × 1/2 = 20万円
- 1件の出願費が70万円:70万円 × 1/2 = 35万円 → 上限の25万円
- 県内本社で複数件、出願費の合計が220万円:220万円 × 1/2 = 110万円 → 総額の上限100万円
調査と出願の上限は別枠です。実施要領の表では、調査15万円と出願100万円を合わせた最大が115万円です。
他社との共有特許は、減額されます。助成対象者以外との共有では、持分比率か費用負担額の低いほうに応じて、対象経費が減ります。たとえば出願費40万円を半分ずつ負担する共有なら、対象経費は20万円です。助成額は20万円 × 1/2 = 10万円になります。
出願費の上限が25万円から総額100万円に上がるのは、出願人の本社が福島県内にある場合だけです。
何に使える?
対象にならないものを先に挙げます。
- 消費税と地方消費税
- 日本国特許庁以外への出願の費用
- 出願後の補正にかかる費用
- 事業期間(2026年4月1日〜2027年2月28日)の外に払った費用
- 同じ権利で同じ内容の調査を、翌年度以降にもう一度した費用
対象になるもの
- 先行技術調査の費用(弁理士・特許事務所への報酬)
- 特許・実用新案・意匠・商標の国内出願の費用(弁理士への報酬、出願料、特許の審査請求料)
- 弁理士に払う審査請求の軽減申請手数料と、早期審査の事情説明書の提出手数料
- 電子化手数料など、センターが必要と認める経費
調査と出願の組み合わせは、原則2通りです。調査だけを申請するか、調査と出願を同時に申請します。調査は、自社でする簡易なものでなく、弁理士か特許事務所の調査を勧めています。
申請の前に調査を済ませていて、結果の詳細が分かる調査結果報告書などを出せるなら、出願費だけの申請もできます。
交付決定の前でも、2026年4月1日以降に調査や出願をして支払いまで済ませた分は、対象になります。申請は1申請者につき1件です。県内に本社がある会社は、1件の申請の中で複数の調査と出願をまとめられます。
申請の流れ
- 申請書と添付書類を出す(事業者→福島県産業振興センター 技術支援部 技術総務課。9月30日17時必着)
- 審査会を待つ(センター→事業者。10月中旬の予定で、書面審査)
- 助成案件の決定を受け取る(センター→事業者。11月上旬の予定)
- 費用を代理人に払う(採択された事業者→弁理士など。採択の前に払っても構わない)
- 報告と領収証を出して、助成額を確定してもらう(事業者→センター。結果報告書と支払内訳が明確な領収証など)
- 助成金を受け取る(センター→事業者。振込)
助成金は後払いです。調査や出願の費用は、まず自社で立て替えます。
必要な書類
準備できた 0 / 10
登記簿謄本は会社の場合です。個人事業者は住民票の写しと直近の確定申告書の控え、事業協同組合等は定款と組合員名簿を出します。会社の概要は、パンフレットでも構いません。
見積書は、事業が済んでいれば請求書と支払の証拠書類の写しに替わります。調査結果報告書は調査済みの場合、出願書類は出願済みの場合、持分の契約書は共有の場合に出します。交付決定通知書は、同じ年度に交付決定を受けた分があるときです。
押印は不要です。書類はA4の片面で、左肩をクリップで留めます。ステープラ留めは避けてください。記入例はセンターの公募ページにあります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- みなし大企業だった:中小企業の基準を満たしていても、大企業が実質的に支配していると対象外です。
- 発明者が申請企業の所属でなかった:対象の出願の発明者(考案者、創作者)が、申請企業に所属している必要があります。
- 調査の資料なしで出願費だけを申請した:出願費のみの申請は、調査済みで結果の詳細が分かる資料を出せる場合に限ります。
- 年度をまたいだ、または支払が遅れた:前の年度に調査や出願をして今年度に払った分は対象外です。2月末までに払えなかった分は、採択されていても助成されません。
- ほかの補助と重なった:センターや他の公的機関の補助と、助成の範囲が重なってはいけません。
- 締切に間に合わなかった:申請書一式は、9月30日17時までに窓口へ届く必要があります。
福島県の出願人が使える早期審査
福島県の出願人は、震災復興支援早期審査・早期審理の対象になります。特許出願の審査期間は、平均約10か月から平均約2〜3か月に短縮されると、案内に書かれています。地震で被災していなくても使えます。
早期審査の事情説明書を弁理士に頼む手数料は、この助成の対象です。第3回は別の記事で説明しています。
よくある質問
第2回の受付はまだ間に合いますか?
間に合いません。第2回の受付は2026年9月30日17時必着で終わっています。事業期間は2026年4月1日から2027年2月28日で、募集の回が変わっても、費用を払える期間は同じです。次に申請できる回は第3回です。募集期間は2026年10月7日から11月30日17時必着で、別の記事に詳しくまとめました。
調査だけの申請もできますか?
できます。申請は、調査だけか、調査と出願の同時申請が原則です。先行技術調査は、出願の前に似た技術がすでにないかを調べる作業です。調査の費用の上限は15万円で、助成率は2分の1以内です。出願をまだ決めていない段階でも、調査だけを申請して費用を軽くできます。
すでに調査を終えていても申請できますか?
できます。申請前に出願に向けた先行技術調査を済ませていて、調査結果報告書など、結果の詳細が分かる資料を出せる場合は、出願費だけの申請が可能です。資料が出せないと、出願費のみの申請は認められません。調査を頼んだ代理人に、報告書をもらえるか早めに確かめてください。
みなし大企業とは何ですか?
大企業が実質的に支配している会社のことです。同じ大企業が株式の2分の1以上を持つ場合などが当たります。資本金や従業員数が中小企業の基準に収まっていても、この助成では対象になりません。株主の構成や、大企業との関係に心当たりがあるときは、申請の前に技術総務課へ相談してください。判断は窓口が行います。
発明者が別の会社の所属でも申請できますか?
申請できません。対象の出願の発明者(意匠なら創作者、実用新案なら考案者)が、申請企業に所属していることが条件です。申請企業の県外にある本社や事業所に所属していても構いません。共同で出願するときは、申請する会社の所属の発明者がいるかを確かめてください。
複数の出願で上限100万円になる条件は?
出願人の住所(本社)が福島県内であることです。複数の出願を助成対象にでき、出願費の上限は総額100万円になります。県内に本社がない場合の上限は25万円です。調査費の上限15万円は別枠です。実施要領の表では、調査15万円と出願100万円を合わせた最大が115万円になっています。
共有特許だと助成額はどうなりますか?
減額されます。助成対象者以外の人と共有する特許等は、持分比率と費用負担額のうち、低いほうに応じて対象経費が減ります。たとえば出願費40万円で持分が半分なら、対象経費は20万円です。助成額はその2分の1の10万円になります。共有の相手との費用の分け方は、出願の前に決めておくと計算しやすくなります。
商標や意匠の出願も対象ですか?
対象です。特許、実用新案、意匠、商標の4つの産業財産権が、国内出願の対象です。出願先は日本国特許庁に限ります。外国への出願は、この助成の対象ではありません。センターには外国出願の補助金が別にあるため、海外で権利を取りたいときは、そちらの案内を確かめてください。
助成金はいつ振り込まれますか?
採択のあとです。流れは、採択を受けて企業が代理人に出願経費を払い、領収証をもとに助成額が確定してから、振り込まれる順番になります。第2回の交付決定日は2026年10月26日でした。その後に結果報告と領収証を出して、助成額が確定します。費用を立て替える期間が数か月あるため、資金の準備は先にしておいてください。
費用はいつまでに払えばよいですか?
事業期間の終わりの2027年2月28日までです。助成対象経費の支払期限が、この日に設定されています。事業期間は2026年4月1日からなので、期間の中に調査や出願をして、払った費用が対象になります。2月末までに払えないと、採択されていても助成されません。採択の前に払った費用も、期間内なら対象です。
審査はどのように行われますか?
書面審査です。第2回では、10月中旬に審査会が開かれる予定で、申請書と添付書類をもとに審査が行われました。案内には、選定委員会での書面による質疑応答とあり、面接の記載はありません。申請書の記入例がセンターの公募ページにあるため、記入例を見ながら、調査や出願の内容が伝わる書き方にしてください。
申請書はどこで手に入りますか?
福島県産業振興センターの公募ページで、申請書と記入例をダウンロードできます。第2回の案内には、青色の部分をクリックすると各書類をダウンロードできると書かれています。募集案内と実施要領も同じページにあります。申請書は、記入例と見比べながら書き、提出前に調査や出願の内容が伝わるかを確かめてください。
問い合わせ先はどこですか?
福島県産業振興センター 技術支援部 技術総務課(電話 024-959-1929)です。郡山市待池台1-12の福島県ハイテクプラザ内にあります。対象かどうか、書類の書き方、上限額の考え方で迷ったときは、申請の前に電話で聞いてください。知的財産の一般的な相談は、INPIT福島県知財総合支援窓口(電話 024-963-0242)が無料で受けています。
