令和8年度のコンビナート等再生Pre-FEED補助金は、民間事業者向けの公募を2026年6月10日18時に終えています。次の公募の予定は、事務局サイトにも公募要領にも書かれていません。
Pre-FEEDは、プラントを建てる前の初期検討のことです。この補助金は、GX戦略地域の有望地域で新事業を考える民間事業者と自治体のチームに、設計と採算評価の費用の1/2以内を出す国の制度でした。1件あたりの上限額はなく、予算は全体で約27.66億円です。
コンビナート等再生Pre-FEED補助金の要点まとめ
正式名:コンビナート等再生Pre-FEED補助金(令和8年度)
だれが
- 申請者
- 民間事業者と選定自治体のコンソーシアム(幹事は民間1社)
- 対象業種
- 指定なし(コンビナート等再生型の有望地域で事業を行う民間事業者)
- 利用目的
- 設備投資前の基本・詳細設計、採算性評価、事業計画の策定
- 対象地域
- 全国(GX戦略地域のコンビナート等再生型の有望地域)
- 従業員数
- 規定なし(公募要領に人数の定めなし)
いくら
- 補助上限額
- 1件あたりの上限なし(総予算約27.66億円)
- 補助率
- 1/2以内(交付決定額が上限)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年5月11日〜2026年6月10日(終了)
- 事業の完了
- 交付決定日〜2027年2月26日
正式名称は「令和8年度GX戦略地域制度におけるコンビナート等再生に向けた事業化促進事業(コンビナート等再生Pre-FEED補助金)」です。
経産省の公募と事務局の公募、どちらの話?
この制度の公募は2段に分かれていました。検索で先に出てくる経済産業省のページは、1段目の話です。
- 国が事務局を選ぶ公募(経済産業省→事務局になる団体。2026年2月12日〜3月11日)。補助金を民間へ配る役目の団体を選ぶ公募で、設計費の補助を受ける事業者向けではありません。定額補助で上限30億円、採択は1件でした
- 事務局が民間事業者を選ぶ公募(事務局→民間事業者と自治体。2026年5月11日〜6月10日18時)。補助率1/2以内で、個別の事業者が応募できたのはこちらです
個別の企業が応募できなかったわけではなく、応募の窓口が2段目の事務局だったという整理になります。2段目の公募はJグランツ(国の補助金の電子申請システム)で受け付けGビズIDプライム(国の電子申請に共通のID)が必要でした。
Pre-FEEDは、プラントを建てる前の初期検討のことです。本格的な設計(FEED)に進むかどうかを決めるために費用の見積もりと採算を詰める段階を指します。この補助金は、その初期の設計と採算性評価にかかる費用が対象でした。
うちは対象になる?
次の5つがそろえば、対象の見込みでした。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 事業の実施場所が海外
- ✕ 自治体が幹事会社になる
- ✕ 固定資産の取得を含む設計
- ✕ 応募の後に内容を変える
GX戦略地域制度は、国が脱炭素の電源や産業の集まりを核に「新たな産業クラスター」をつくる仕組みです。コンビナート等再生型は、電力と用水と道路が整っているのに使われていないコンビナートの土地を活かす類型です。
法人格があれば、会社でなくても申請できます。一般社団法人やNPO法人や事業協同組合や大学法人などです。債務超過でも申請はできますが事業を進める経営基盤があると示す必要があります。外資系でも国内で登記された法人で国内に事業地があれば対象になり得ます。
自治体は必ず共同申請者に入ります。幹事会社は共同事業者の管理義務を負い進捗の管理や事務局への報告をまとめます。経営層のコミットメント(直筆署名などの書面)は必須の審査項目でした。自治体には推薦状の提出が求められ、自治体のコミットメントは加点の対象です。
4つの類型のうち、自分の事業はどれ?
応募は1事業ごと、1類型ごとに申請書を分けます。複数の類型に応募することもできましたが事前に事務局へ相談する決まりでした。
- 燃料転換:自家発電設備やエチレン製造設備や工業炉や高炉などの燃料を替える投資の設計と採算評価。売電目的の自家発電設備は対象外です
- 製造プロセス転換:化石由来の原料を使わない化学製品の製造設備への転換。ケミカルリサイクルとバイオケミカルとCO2の分離回収と有効利用が対象の方式です
- GX製品の製造・研究開発:分野別投資戦略に当たるGX製品の製造や研究開発
- 共用設備・施設の稼働:共用ユーティリティの拡張や延伸、共用施設の設備投資。GXに関わる事業による使用占有率50%以上を目指す計画が条件です
どの類型でも、投資の意思決定とオフテイカー(製品を買う側の事業者)の確保につながる計画であることが前提です。製造プロセス転換とGX製品の2類型では、事業の終了から10〜15年度後を目途に商用生産を始める計画が求められました。燃料転換では、同じ頃までにCO2排出の削減を達成できる見込みが条件でした。
いくら戻る?
補助率は1/2以内で、1件あたりの上限額と下限額は設けられていませんでした。補助金の交付決定額が上限になり確定額がそれを下回ることもあります。
事務局が公表した採択事業者の一覧から、補助対象経費と補助金の組み合わせを3つ挙げます。
- 太陽石油(使用済みタイヤのケミカルリサイクル):260,000,000円 × 1/2 = 130,000,000円
- 東ソー(廃棄物の焼却熱を蒸気で回収):4,640,000円 × 1/2 = 2,320,000円
- 南渡田拠点整備検討(川崎市の共用施設):1,294,414,364円 × 1/2 = 647,207,182円
一覧は川崎市と兵庫県と山口県の17件でした。補助金の額は最小が約208万円、最大が約6億4,720万円です。一覧の金額はいずれも上限で、実際の交付額とは異なる可能性があります。
何が対象経費になる?
対象にならないものから先に確認します。
- 旅費と交通費
- 土地や建物の取得費
- 事務所の家賃と光熱水費と通信費
- パソコンなど目的外にも使える汎用品
- 税理士や弁護士への支払い
- 応募申請の書類づくりにかかった費用
- 固定資産の取得を含む本格設計(配管計装図、施工図など)
対象になるのは、次の3つの区分です。
- 人件費(基本・詳細設計と費用の試算と採算性評価と事業計画づくりに充てる自社の人の費用。時間単価は利益を除いたもの)
- 委託・外注費(同じ作業を外部の会社や個人に頼んだ費用)
- その他(実験に使う小規模な設備や備品や消耗品。貸借対照表に資産として載るものは対象外)
成果物の例として、ブロックフロー図や概略のプロセスフロー図や概略の配置図や単線結線図や投資額と運転費の概算見積やリスクの一覧や許認可と環境影響の洗い出しが挙げられています。LOI(買う側が購入の意向を示す書面)を取るためのサプライチェーンの評価と交渉の費用も対象です。
申請から入金までの流れ
この公募は終了していますが、進み方は次のとおりでした。
- 事前着手届出を出す(事業者→事務局。任意。2026年6月10日18時まで。Jグランツ)
- 応募する(事業者と自治体→事務局。2026年6月10日18時まで。Jグランツ)
- 審査を受ける(第三者委員会が書面で審査し、必要なら面接。6月11日から)
- 採択後に交付申請を出す(採択者→事務局。2026年8月31日まで)
- 交付決定のあとに発注する(事業者→委託先。3者見積をとって最安値に発注)
- 設計と採算評価を終えて実績報告を出す(事業者→事務局。終了から30日か2027年2月26日の早い方)
- 確定検査のあとに入金される(精算払。事業終了後)
事務局は、事業期間中の11月末ごろに進捗を確認します。
必要な書類
準備できた 0 / 11
事務局サイトの「提出書類一覧チェックシート」(5月21日更新)にある必須書類を挙げました。様式第1と第2は事務局の表計算ファイル、様式第3は事業計画書で、経営層のコミットメントは様式第3にまとめても別ファイルでも出せました。決算報告書は貸借対照表と損益計算書の直近3年分です。法人税申告書の別表1は3期分の写しで、税務申告を税理士に任せていない場合は要りません。別表4も3期分の写しです。共同申請の民間事業者は、様式第2の事業者概要シート、事業概要の資料、履歴事項全部証明書、定款、決算報告書、法人税申告書、出資者と役員の一覧、経費明細、算出根拠を、幹事会社とは別にそれぞれ出します。事業計画書の本編と様式第1は、幹事会社の分だけです。
賃上げ表明は加点項目で、実施しなくても応募はできました。賃上げは、大企業で3%以上、中小企業で1.5%以上の引き上げを従業員に表明する内容です。表明したときは、社内通知文書などの根拠資料の提出が必須になり、共同申請者の全員が実施する必要がありました。
経営基盤の健全性を示す補足書類は、提出が推奨されていました。公認会計士の監査報告書、会計に関する指針のチェックリスト、税理士法33条の2の添付書面、会計参与報告書のどれか1つです。審査では経営基盤の健全性が重視されます。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に発注した:交付決定日より前の発注は原則対象外です。発注先への内示も発注とみなされます。
- 相見積を取らなかった:3者見積が必須で、最安値以外に発注するには合理的な理由が要ります。
- 自社や共同申請者に発注した:利益を除いた原価で計上します。除いていないと対象外です。
- 事前着手が受理されたのに不採択だった:受理は採択を約束しません。受理通知の日より前の経費も対象外です。
- 賃上げ表明を飛ばした:応募で賃上げの表明を選ぶと、交付決定までに従業員へ表明しなければ、原則として交付決定が出ません。表明した計画を年度の終わりに達成できなかったときは、補助金の返還を求められる場合があります。
事前着手届出は、交付決定の前でも、受理通知の発行日以降の経費を対象にできる仕組みでした。受付は2026年6月10日で終わっています。
次の公募を待つなら
事務局サイトには、公募の終了(2026年6月10日)、交付規程の公開(8月19日)、採択事業者一覧の公開(9月11日)が告知されています。次の公募の予定は書かれていません。事務局のFAQは、次回以降の公募を実施するかは未定とし、このPre-FEED事業のあとの政府の支援については詳細は答えられないとしています。
編集部としては、公募の有無にかかわらず、有望地域の自治体の窓口に早めに話を通しておく手を勧めます。自治体が共同申請者に入ることが前提の制度だからです。
よくある質問
今から申請できますか?
できません。民間事業者向けの公募は2026年6月10日18時に終了し、事務局サイトに「公募申請は終了しました」「事前着手届出申請は終了しました」と出ています。採択事業者の一覧も2026年9月11日に公表されました。次の公募の予定は、確認した事務局サイトにも公募要領にも書かれていません。事務局のFAQは、次回以降の公募を実施するかは未定と答えています。最新の情報は事務局サイトで確かめられます。
個別の企業が直接申請できますか?
民間事業者は応募できました。ただし窓口は経済産業省ではなく、選ばれた事務局です。経産省が2026年2月に出した公募は、この事務局になる団体を選ぶためのもので、民間企業向けではありません。民間事業者は、有望地域で事業を行う会社として、選定された自治体と組んで事務局の公募に応募する形でした。単独の応募ではなく、自治体との共同申請が必須です。
経産省の2月の公募と、5月の公募は何が違いますか?
2月12日〜3月11日の公募は、補助金を民間に配る事務局を選ぶもので、定額補助、上限30億円、採択1件でした。5月11日〜6月10日の公募は、その事務局が民間事業者と自治体から応募を受けるもので、補助率は1/2以内、予算は約27.66億円です。民間の会社が関わるのは後者です。
Pre-FEEDとは何ですか?
プラントなどの建設に進む前に、事業の実現可能性、概算の費用、技術の課題を整理する初期検討のことです。本格的な設計がFEEDで、その手前がPre-FEEDです。この補助金は、Pre-FEEDとFEEDの初期を対象にしていました。事業化の可能性を調べるFS(実現可能性調査)も、対象に含まれると事務局のFAQにあります。固定資産の取得を含む本格設計は対象外です。
自治体と組まないと申請できませんか?
できません。公募要領は、事業を行う民間事業者1社を幹事会社とし、必ず選定地方公共団体を共同申請者にすると定めています。選定自治体というのは、GX戦略地域制度でコンビナート等再生型の有望地域に選ばれた自治体のことです。幹事会社と自治体だけで事業が成り立たない場合は、複数の事業者で共同申請できました。共同申請者の数に上限はありません。
複数の事業に同時に応募できますか?
複数の類型にまたがる申請は可能でしたが、1事業ごと、1類型ごとに申請書を分ける決まりでした。複数の類型を検討する場合は、事前に事務局へ相談するよう求められていました。燃料転換、製造プロセス転換、GX製品の製造・研究開発、共用設備・施設の稼働という4つの類型があり、事業内容によってどれに当たるかが変わります。様式に書ける共同実施者は選定自治体を含めて4社までで、4社を超える場合は事前の相談が必要でした。
債務超過でも申請できますか?
申請はできます。事務局のFAQは、直近の決算で債務超過になっていても可能と答えています。ただし、公募要領が定める「事業の円滑な遂行に必要な経営基盤を有し、資金等について十分な管理能力を有していること」を示す必要があります。審査では経営基盤の健全性が重視され、財務状況の補足書類の提出が推奨されていました。
交付決定の前に発注しても対象になりますか?
原則として対象になりません。交付決定日より前の発注、契約、支出は対象外で、発注先への内示も発注とみなされます。例外は事前着手届出です。期間内に届け出て事前着手受理通知を受ければ、通知に書かれた「事前着手開始日として認める日」以降の経費は対象になる場合がありました。受理は採択を約束せず、受付は2026年6月10日で終わっています。
発注の相見積は必須ですか?
必須です。同じ仕様で3者から見積を取り、最安値の事業者を選びます。相見積が難しい場合は、選定理由書で代えられる可能性があります。ただし最安値以外に発注するには合理的な理由が要り、過去の発注実績による随意契約は原則認められません。申請事業者の自社製品の購入や共同申請者への発注は、利益を除いた原価で計上します。
ほかの補助金と併用できますか?
内容が異なる別の事業なら、同じ事業者が他の補助金を受けることはできます。ただし同じ経費について、国(特殊法人等を含む)の他の制度と重複して支援を受けることはできません。併願や併用に迷うときは、事前に事務局へ相談するよう求められていました。応募にかかった書類づくりの費用は、この補助金の対象外です。
補助金はいつ支払われますか?
原則として、事業が終わってからの精算払です。実績報告書を出し、確定検査で金額が決まってから支払われます。確定額が交付決定額に届かない場合もあります。特に必要と認められるときに限り、事業の途中で概算払を受けられる場合があります。実績報告は、設計や採算評価が終わって経費の支払いも済んだ日から30日か、2027年2月26日のどちらか早い日までです。
どんな事業が採択されましたか?
事務局の一覧には、川崎市、兵庫県、山口県の17件が載っています。製造プロセス転換ではバイオエタノールからC3や水素、アンモニアをつくる計画や、使用済みタイヤのケミカルリサイクル、燃料転換では複数の自家発電設備を共同電源にまとめる計画などがあります。共用設備・施設では、スタートアップの拠点づくりや水素の共用インフラも選ばれています。
問い合わせ先はどこですか?
コンビナート等再生Pre-FEED補助金事務局です。事務局サイトのお問い合わせフォームから送ります。電話の窓口はありません。公募は終了しているため、次の公募の有無もこのフォームで確かめられます。資料について聞くときは、資料名、様式名、該当ページを書く決まりでした。
