残業を減らす仕組みづくりの費用を、国が3/4(条件つきで4/5)助成します。対象は、労務管理ソフトや外部専門家への相談、就業規則の整備などです。
交付申請は、令和8年度は11月30日の午後5時までです。ただし予算がなくなれば、期限の前でも受付が終わります。また交付決定の前に払った費用は、助成の対象になりません。見積もりを取る段階で止め、発注は決定のあとにします。
働き方改革推進支援助成金の要点まとめ
正式名:働き方改革推進支援助成金
だれが
- 申請者
- 中小企業事業主(団体推進コースは事業主団体)
- 対象業種
- 全業種(業種別課題対応コースは建設業など5業種)
- 利用目的
- 時間外労働の削減・年休の取得促進・勤務間インターバルの導入
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 業種ごとに基準あり(卸売業は100人以下など)
いくら
- 補助上限額
- 最大500万円(団体推進コース)
- 補助率
- 3/4(条件により4/5。団体・取引環境改善は実費)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年4月13日〜2026年11月30日(午後5時)
- 事業の完了
- 2027年1月31日まで(団体・取引環境改善は2月14日)
うちの会社は対象になる?どのコースを選ぶ?
コースは5つあります。会社の規模や業種で、選べるものが変わります。
| コース | 対象になる人 | 取り組む内容 |
|---|---|---|
| 労働時間短縮・年休促進支援 | 全業種の中小企業事業主 | 時間外労働の削減、年休の計画的付与 |
| 勤務間インターバル導入 | 全業種の中小企業事業主 | 勤務間インターバルの新規導入・拡大 |
| 業種別課題対応 | 建設業、運送業等、病院等、砂糖製造業、情報通信業と宿泊業 | 時間外労働の削減、休日の増加など |
| 団体推進 | 事業協同組合、商工会議所などの団体 | 構成する事業主のための調査やセミナー |
| 取引環境改善 | 荷主、倉庫事業者、運送事業者の集団 | 荷待ち・荷役時間の短縮 |
ここからは、個別の企業向けの3コースを中心に説明します。次の5つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
労災保険は、仕事中のけがや病気を補償する国の保険です。年休管理簿は、従業員ごとの年次有給休暇の取得日を記録する帳簿です。10人以上の事業場は、年休の時季指定を定めた就業規則を、交付申請の前に労働基準監督署へ届け出ておきます。
中小の基準は、主たる事業ごとに決まっています。資本金か従業員数の、どちらか一方を満たせば足ります。
| 主たる事業 | 資本金・出資の総額 | 常時使用する労働者 |
|---|---|---|
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 病院・診療所など | 基準なし | 300人以下 |
| その他の事業 | 3億円以下 | 300人以下 |
次のどれかに当たると、交付が受けられません。
- ✕ 同じ成果目標で過去に交付を受けた
- ✕ 同じ年度に2回目の申請をする
- ✕ 過去1年に労働法令違反が明らか
- ✕ 労働保険料の滞納が続いている
- ✕ 国や自治体の同じ事業に補助金を受けた
成果目標は、助成を受けるために達成を約束する目標です。時間外労働の削減や、年休制度の導入などから選びます。同じ成果目標は過去に使っていると選べません。すでに年休の計画的付与の労使協定がある会社は、その成果目標を選べません。時間単位年休も、すでに導入していると選べません。
勤務間インターバル導入コースは、さらに条件があります。36協定を結んでいて、原則として過去2年間に月45時間を超える残業の実態が必要です。36協定は、残業や休日労働をさせるために労使で結び、労働基準監督署に届け出る協定のことです。
いくら助成される?
助成額は、次の2つのうち低いほうです。
・成果目標ごとの上限額に、加算額を足した額 ・対象経費の合計 × 3/4(30人以下の会社が設備を入れる場合は4/5)
4/5になるのは、常時使用する労働者が30人以下で、労務管理用ソフトや機器などを入れ、費用の合計が30万円を超えるときです。
成果目標ごとの上限額
| コース | 成果目標 | 上限額 |
|---|---|---|
| 労働時間短縮・年休促進支援 | 36協定の時間外・休日労働を月60時間超から減らす | 50万〜150万円 |
| 労働時間短縮・年休促進支援 | 年休の計画的付与を新規導入 | 25万円 |
| 労働時間短縮・年休促進支援 | 時間単位年休と特別休暇を新規導入 | 25万円 |
| 勤務間インターバル導入 | 新規導入(労働者の1/2超) | 100万円(9時間以上)・150万円(11時間以上) |
| 勤務間インターバル導入 | 新規導入(労働者の1/4超1/2以下) | 50万円(9時間以上)・75万円(11時間以上) |
| 業種別課題対応 | 36協定の時間外・休日労働を減らす | 150万〜250万円 |
| 業種別課題対応 | 所定外労働を1人5時間以上減らす | 50万円・100万円(10時間以上) |
| 業種別課題対応 | 勤務間インターバルの導入 | 120万〜170万円(業種で異なる) |
| 団体推進 | 構成する事業主の1/2以上に活用 | 500万円 |
| 取引環境改善 | 運送事業者の1/2以上で時間短縮 | 100万円 |
業種別課題対応コースには、建設業の「4週で休日を1日以上増やす」(25万〜100万円)と、病院等の「医師の働き方改革」(50万円)もあります。年休と時間単位年休の成果目標は、業種別でも各25万円です。
業種別のインターバルは、業種で時間と上限額が変わります。建設業と情報通信業・宿泊業、砂糖製造業は9時間以上で、9時間以上11時間未満が120万円、11時間以上が150万円です。運送業等は10時間以上で、10時間以上11時間未満が150万円、11時間以上が170万円です。病院等は、9時間以上10時間未満が120万円、10時間以上11時間未満が150万円、11時間以上が170万円です。砂糖製造業は鹿児島県と沖縄県が対象で、事業は2027年3月14日まで実施できます。
上限額に足せる2つの加算
賃金の引上げ加算は、時間当たりの賃金を3%、5%、7%以上上げると付きます。引上げ人数は30人までです。労働者が30人を超える会社の額は、次のとおりです。
| 引上げ率 | 1〜3人 | 4〜6人 | 7〜10人 | 11〜30人 |
|---|---|---|---|---|
| 3%以上 | 6万円 | 12万円 | 20万円 | 1人2万円(上限60万円) |
| 5%以上 | 24万円 | 48万円 | 80万円 | 1人8万円(上限240万円) |
| 7%以上 | 36万円 | 72万円 | 120万円 | 1人12万円(上限360万円) |
10人以上30人以下の会社は、5%と7%の加算が2倍になります。10人未満の会社は、5%と7%が2.5倍です。3%は人数によらず同じ額です。加算を付けるには、就業規則などの変更と施行が必要です。引上げ後の賃金を、1か月分以上払う必要もあります。
割増賃金率の引上げ加算は、残業代の割増率を上げると付きます。月60時間以内の割増率を5%以上上げると25万円です。月45時間超60時間以内を5割以上にして、残業を1人10時間以上減らすと75万円です。両方なら100万円です。
業種の違う3つの計算例
- 学習塾(8人)が年休の計画的付与を導入。外部専門家への相談と就業規則の整備に40万円:40万円 × 3/4 = 30万円 → 上限の25万円
- 製造業(28人)が勤務間インターバルを導入。労務管理ソフトと勤怠機器に80万円:80万円 × 4/5 = 64万円 → 上限150万円の内側
- 建設業(22人)が積算システムを入れ、36協定の残業を月80時間超から60時間以下へ。システム導入に150万円:150万円 × 4/5 = 120万円 → 上限250万円の内側
上限が足りなくなるのは、経費が大きいときです。製造業の例で、従業員3人の賃金を5%以上上げたとします。上限に48万円が加わり、198万円になります。経費が250万円なら、250万円 × 4/5 = 200万円なので、上限の198万円が助成額です。
何に使える?
対象にならないもの
- 法令で義務づけられている措置
- 単なる経費削減が目的のもの
- 作業の快適化だけが目的のもの
- 日本国外で実施するもの
- 事業実施予定期間の外に行うもの
- 乗用自動車、パソコン、タブレット、スマホの購入
労務管理の専門知識を自分で使える事業場は、国の支援なしでできる内容も対象外です。社会保険労務士事務所などがこれに当たります。
対象になるもの
- 労務管理担当者や労働者への研修、周知・啓発
- 外部専門家によるコンサルティング
- 就業規則・労使協定の整備
- 人材確保に向けた取組
- 労務管理用ソフトウェア・機器、デジタル式運行記録計の導入・更新
- 労働能率の増進に資する設備・機器の導入・更新
研修には、勤務間インターバルに関するものと業務研修も含まれます。助成の対象になる経費は、謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、原材料費、広告宣伝費、機械装置等購入費、造作費、人材育成・教育訓練費、経営コンサルティング経費、備品費、委託費です。
改善事業(助成の対象になる取組)には、3つの措置がセットで必要です。労使の話し合いの機会の整備、労働時間の苦情や要望を受ける担当者の配置、従業員への事業実施計画の周知です。口頭だけの周知は認められません。
経費には、取組ごとの上限があります。労務管理担当者と労働者への研修は合計30万円まで、周知・啓発、外部専門家によるコンサルティング、就業規則・労使協定の整備、人材確保の取組は各10万円までです。36協定の整備と、届出にかかる経費は各1万円までです。上限を超えて取り組んでもかまいませんが、助成対象になるのは上限までです。
申請の流れ
- 成果目標と改善事業を決める(事業主→自社。働き方改革推進支援センターに相談できる。早めに)
- 交付申請書と事業実施計画を出す(事業主→都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)。11月30日の午後5時まで。Jグランツでも出せる。見積書は2社以上から取る)
- 交付決定を待つ(労働局→事業主。原則1か月以内。決定の前は発注しない)
- 改善事業を実施する(事業主。交付決定から2027年1月31日まで)
- 支給申請書と結果報告書を同時に出す(事業主→労働局。事業実施予定期間の終了から30日後か、2027年2月5日の早いほうまで)
- 助成額が確定し、支給される(労働局→事業主。支給申請から原則1か月以内)
交付決定は、助成を出すと国が決める通知です。これより前の発注・契約・支払いは対象外です。同じ年度に交付決定が出るのは、1つの会社につき1回までです。
必要な書類
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事業実施計画は、様式第1号の別添です。上の書類は、厚労省の支給要領が定める一覧にもとづきます。交付申請と支給申請で、出す書類が分かれています。
交付申請では、上の表のほかに次を出します。改善事業の前の時間外労働や労働時間が分かる書類(36協定、賃金台帳、タイムカード等)、年休の取得状況が分かる書類(年休管理簿、就業規則)、成果目標を選ぶ条件を満たす書類です。36協定の成果目標なら、交付申請日を有効期間に含む36協定が要ります。賃上げ加算か割増賃金率の加算を付けるときは、交付申請日の前月1か月分の賃金台帳の写しも出します。代理人に頼むときは委任状も要ります。
支給申請では、表のほかに次を出します。労使の話合い、担当者の配置、計画の周知を行った証拠(参加者名簿、議事録、掲示の写真等)、改善事業を実施した証拠(研修の記録、納品書、写真等)、成果目標を達成した証拠(変更後の36協定届、就業規則等)です。支出の証拠は、領収書の写しや銀行振込の記録です。就業規則の申立書は、常時10人未満の会社が、就業規則の届出に代えて出します。
36協定は、成果目標で36協定の時間外労働を選ぶ場合に要ります。就業規則の届出が要るのは、常時10人以上の事業場です。計画を変えるときは様式第4号、中止するときは様式第7号を事前に出します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に払った:助成の対象は、交付決定日から支給申請日までに実際に払った費用です。
- 予算がなくなった:11月30日より前でも、予告なく受付が終わることがあります。
- 成果目標を達成できなかった:選んだ成果目標が達成できないと、交付決定が取り消されることがあります。
- 受託者が自社や代理人と同じ:改善事業を受ける業者が、本人や申請代理人と同一視できる場合は、交付されません。
- 支給申請が期限に遅れた:書類に不備があるまま期限を過ぎると、交付決定が取り消されることがあります。
- 賃上げ加算を付けたのに賃金を下げた、解雇した:引き上げ後の賃金を下げると、成果目標を達成できなかった扱いになります。交付申請の3か月前から支給申請までの間に、解雇や退職勧奨をした場合も、取り消しの対象です。
併用・税金・保管
同じ年度に、同じ改善事業や成果目標で国や自治体の別の補助金を受けている場合は、交付されません。
消費税の仕入控除税額は、申請の段階で減らして申請します。額が分からないまま申請した場合は、あとで様式第13号により報告します。返還を命じられることがあります。
経費の帳簿と証拠書類は、交付額が確定した年度の終了後、5年間保管します。令和8年度は、取引環境改善コースが新設されました。
よくある質問
交付申請の締切はいつですか?
令和8年度は、2026年11月30日の午後5時です。ただし国の予算に限りがあるので、締切の前でも予告なく受付を終えることがあります。郵送は期限当日の消印が有効です。電子申請(Jグランツ)は、午後5時までに送信を終えます。申請書の提出から交付決定までは、原則1か月以内です。改善事業は2027年1月31日までに終える必要があります。計画に時間がかかる場合は、早めに労働局へ相談してください。
複数のコースを同時に申請できますか?
できません。同じ年度に、1つの会社に出る交付決定は1回までです。過去に別のコースで使った成果目標を、選び直すこともできません。自社に合うコースを1つ選び、その中で成果目標を1つ以上選ぶ形になります。迷うときは、働き方改革推進支援センターか労働局の雇用環境・均等部(室)に相談してください。
従業員が少ない会社でも使えますか?
使えます。中小企業の基準は、資本金か従業員数のどちらか一方を満たせば足ります。たとえばサービス業なら、資本金5,000万円以下か、常時使用する労働者100人以下です。従業員が30人以下の会社は、設備を入れる場合の補助率が4/5に上がります。賃上げ加算も、小さい会社ほど有利に設計されています。
助成額はどう決まりますか?
2つの額のうち低いほうです。1つは、成果目標ごとの上限額に加算額を足した額です。もう1つは、対象経費の合計に3/4をかけた額です。30人以下の会社で、ソフトや機器などの導入費が30万円を超えるときは、4/5をかけます。経費を使わなければ、上限額は関係ありません。助成額の端数は、1,000円未満を切り捨てます。
パソコンやスマホの購入は対象ですか?
原則として対象外です。乗用自動車、パソコン、タブレット、スマートフォンの導入・更新は、助成の対象になりません。勤怠管理のソフトウェアや、タイムレコーダーなどの労務管理用機器は対象です。パソコンなどは、POSシステムのような特定業務専用のシステムを動かすために導入することが明らかなら、対象に含められます。どの機器が対象になるかは、事業の目的との関係で判断されるので、購入の前に労働局へ聞いておくと安心です。
交付決定の前に発注した費用は対象ですか?
対象になりません。助成の対象は、交付決定日から支給申請日までに実際に払った費用です。交付決定の前に契約や支払いをすると、その分は助成されません。見積もりを取るのは、決定の前でも構いません。発注と支払いは、交付決定の通知を受け取ってから行ってください。
賃上げ加算は、どう付けますか?
時間当たりの賃金を、3%、5%、7%以上のどれかで引き上げます。引上げ人数は30人までで、人数と率で加算額が決まります。交付申請のあとに就業規則などを変更して施行し、引上げ後の賃金を1か月分以上払います。加算を受けた場合は、6か月分の賃金を払った日から30日以内に、支払状況を労働局へ報告します。
36協定の削減を成果目標にする条件は何ですか?
全事業場で、令和8年4月1日以前の2年間に、少なくとも1か月は月45時間を超える残業があったことが条件です。交付申請の前に、月60時間か80時間を超えて協定した36協定を届け出ている必要があります。事業実施期間には、時間外・休日労働を月60時間以下か、月80時間以下に設定した36協定を届け出ます。2026年1月1日以後の期間だけを対象にして、初めて36協定を届け出る会社は、この成果目標を選べません。
年休管理簿や就業規則は、いつまでに必要ですか?
年休管理簿は、全事業場で作っておく必要があります。常時10人以上の事業場は、年休の時季指定に関する定めを入れた就業規則を作り、交付申請の前に労働基準監督署へ届け出ておきます。10人未満で届出をしていない事業場は、支給申請のときに就業規則の申立書を出します。
社会保険労務士に頼めますか?
頼めます。交付申請は、代理人や、社労士の提出代行者・事務代理者を通して行えます。ただし注意点があります。改善事業の受託者が、本人や申請代理人と同一視できる場合は、交付されません。コンサルティングを申請代理人の社労士に発注するときは、事前に労働局へ確かめてください。
支給申請はいつまでに出しますか?
事業実施予定期間の終了日から30日後か、2027年2月5日の、早いほうまでです。支給申請書(様式第10号)と、事業実施結果報告書(様式第11号)を、同時に出します。期限までに不備のない書類を出さないと、交付決定が取り消されることがあります。改善事業は、2027年1月31日までに終えてください。
問い合わせ先はどこですか?
申請の窓口は、事業場の所在地を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。都道府県ごとに設置された働き方改革推進支援センターでも、相談できます。電子申請は、Jグランツで行えます。どのコースと成果目標が自社に合うかは、申請書を書く前にセンターで相談しておくと進めやすくなります。
