弘前市がこの補助金を設けた背景には、若者の大都市圏への流出があります。募集要項は、人手不足の緩和と生産年齢人口の増加をねらいに挙げています。
補助の中身は、福利厚生・奨学金返還支援・インターンシップのうち1事業の経費の3分の2(上限50万円)です。対象は令和8年度中に新しく始める取り組みか、広げる取り組みだけで、すでに運用している制度は外れます。
ひろさき人材定着推進事業費補助金の要点まとめ
正式名:ひろさき人材定着推進事業費補助金
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 業種の指定なし(市内に本社か主たる事業所がある)
- 利用目的
- 福利厚生・奨学金返還支援・インターンシップ受入
- 対象地域
- 青森県弘前市
- 従業員数
- 業種ごとの資本金か従業員数の基準(本文に表)
いくら
- 補助上限額
- 50万円(奨学金返還は1人あたり月1万円まで)
- 補助率
- 対象経費の2/3
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年10月14日から随時(予算額に達し次第終了)
- 事業の完了
- 2027年3月31日まで(奨学金返還支援は交付決定日から1年)
うちの会社は対象になる?
次のすべてに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ すでに運用中の制度のまま
- ✕ 同じ区分で過去に交付を受けた
- ✕ 福利厚生と奨学金を同時に申請
- ✕ 風俗営業等や反社会的勢力
中小企業者等の範囲は、業種ごとに決まっています。資本金か常時雇用する労働者の数のどちらか一方が基準以下なら該当します。
| 業種 | 資本金 | 労働者数 |
|---|---|---|
| 小売業(飲食店を含む) | 5千万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
このほか、NPO法人、医療法人、学校法人、社会福祉法人、労働組合、協同組合、一般社団法人、一般財団法人も含まれます。誘致企業は、弘前市の取扱要領にもとづいて市が認定した企業のことです。
令和7年度以前に交付を受けた会社も、今回は違う区分なら申請できます。福利厚生で受けた会社が奨学金返還支援を始める場合が、その例です。
3つの事業は、どれを選ぶ?
申請できるのは1事業だけです。同じ年度に2区分は申請できません。
| 事業 | 補助の対象になる取り組み | 外れやすい点 |
|---|---|---|
| 福利厚生 | 全従業員向けの新しい制度 | 通常業務と切り離せないもの |
| 奨学金返還支援 | 従業員の奨学金返還を助ける手当 | 従業員側にも条件がある |
| インターンシップ | 学生等の就業体験の受入 | 年度内に2回以上が必要 |
1つの事業の中なら、複数の取り組みを束ねて申請できます。スポーツクラブの法人契約と社内レクの開催を、1回の申請にまとめる形です。
福利厚生は、拡充も対象です。すでに法人契約をしている会社が、新たに社員旅行を始める場合も入ります。
インターンシップの拡充は、中身か対象者が広がることを指します。受入人数や日数を増やしただけでは、拡充に当たりません。昨年度は学生向けだった取り組みを、求職者にも広げる場合は対象です。
奨学金返還支援は、この補助金をきっかけに新しく制度をつくる会社が対象です。以前から実施している会社は対象外と、市のQ&Aに書かれています。
奨学金返還支援の対象従業員は、次の5つをすべて満たす人です。
- 正社員である(雇用期間の定めがない)
- 雇用された日から市内に住所がある
- 申請日時点で勤務年数が3年以内
- 役員など、事業者と利益を同じくする立場でない
- 対象の奨学金の返還を滞納していない
いくら戻ってくる?
計算は次のとおりです。対象経費から、市以外が交付する補助金を引きます。その額に3分の2をかけます。
上限の50万円に届くのは、対象経費が75万円以上のときです。
- 休憩室の環境整備に30万円かかった:30万円 × 2/3 = 20万円
- 社員旅行の交通費と宿泊費が90万円かかった:90万円 × 2/3 = 60万円 → 上限の50万円
以下の例は、奨学金返還支援の場合です。市の募集要項に載っている計算を、そのまま写します。補助は従業員1人あたり月1万円までで、交付決定日から1年以内に払った分が対象です。
- 返還月額15,000円の半分(7,500円)を支援する:7,500円 × 2/3 = 5,000円(12か月で6万円)
- 返還月額20,000円を全額支援する:15,000円(上限)× 2/3 = 10,000円(12か月で12万円)
上限の15,000円は、補助の対象になる経費の上限です。2万円を支援しても、対象経費に数えるのは1万5千円までです。
補助金額は百円未満が切り捨てです。上限の50万円が、対象従業員の人数分を合わせた額に掛かるかは、募集要項に書かれていません。人数が多いときは商工労政課に確かめてください。
何に使える?
対象にならないもの
- 社員研修旅行(通常業務の研修とみなされます)
- 住宅手当や通勤手当(給与にあたります)
- 商品券や映画鑑賞券など換金性の高いもの
- 退職金、財産形成貯蓄、貸付などの資産形成制度
- トイレの設置(通常業務でも使うため)
- 可動式パーティションで区切った休憩室
- 古いエアコンの処分費
- 市外のオフィスで行うインターンシップ
- 交付決定の前に契約した経費
対象になるもの(福利厚生)
- 社員旅行の交通費・宿泊費
- スポーツクラブの法人契約費
- レクリエーションイベントの損害保険料
- 育児・介護サービスの利用補助費
- 自己啓発・資格取得セミナーの参加助成費
- 休憩室など福利厚生スペースの工事費・備品費
- 制度見直しのコンサルティング費、システム改修費
対象になるもの(インターンシップ)
- 参加学生等に支給する交通費
- 準備と運営に従事した職員の人件費(業務日誌で時間が確認できる分)
- 賃金、需用費、役務費、委託料、会場借上料
- 制度見直しのコンサルティング費、システム改修費
エアコンは、休憩や福利厚生だけに使う部屋に付ける場合に対象です。今のエアコンが役目を果たしていなければ、交換も認められます。
住宅手当そのものは対象外です。ただし新しい手当を払うための給与システムの改修費は対象になります。
交通費と宿泊費は、市の一般職の職員の例で計算した額が上限です。見積りどおりの額が出るとは限りません。
資格取得の助成は、昇給や手当に反映される資格と、会社の命令による資格が対象外です。業務に直接関係すると判断されるためです。
申請の流れ
- 募集要項と様式を取る(事業者→弘前市のホームページ。令和8年10月14日から随時受付)
- 申請書類を出す(事業者→商工労政課 雇用支援係。郵送か持参。先着順)
- 交付決定を待つ(弘前市→事業者。決定の通知まで契約や発注をしない)
- 事業を実施して支払う(事業者。令和9年3月31日まで。奨学金返還支援は交付決定日から1年)
- 実績報告を出す(事業者→商工労政課。完了の翌日から30日以内か令和9年4月9日の早い日まで)
- 額の確定後に請求する(事業者→弘前市。請求書は様式第15号。支払いは口座振込)
奨学金返還支援の実績報告は、完了の翌日から30日以内か令和10年4月10日の早い日までです。
市外の業者に工事や購入を頼むときは、交付決定後、購入の前に理由書(様式第5号)を出します。できるだけ市内の業者を使うよう求められています。
必要な書類
準備できた 0 / 9
事業別の計画書は、福利厚生が別紙様式1、奨学金返還支援が別紙様式2、インターンシップが別紙様式3です。
就業規則から住民票までの4つは、奨学金返還支援の書類です。このほか従業員名簿か組織図、返還額が分かる口座振替の通知、延滞していないことの誓約書なども要ります。採用内定者がいるときは内定承諾書も出します。
福利厚生で環境整備をする場合は、設計図書、市内業者3社以上の見積書、位置図と配置図が要ります。賃貸の建物を改装するなら、賃貸借契約書の写しも出します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に動いた:契約や発注、コンサルティング費の契約も含めて対象外です。決定の通知を待ってから進めます。
- 2つの区分を申請した:同じ年度に申請できるのは1事業です。福利厚生と奨学金返還支援を両方出すことはできません。
- 予算額に達した:先着順で、予算額に達した時点で受付が終わります。募集要項には、申請総額が予算額を超えると抽選になる区分がある、とも書かれています。受付状況は公式ページで確かめます。
- 対象従業員が退職する:退職の前に、事業中止(廃止)承認申請書(様式第6号)を出します。決まったら早めに市へ相談します。
- 退職時の返還を条件にした:従業員が辞めたら支援額を返させる条件を付けた制度は、奨学金返還支援の対象外です。
- 交付決定から1年を過ぎて払った:奨学金返還支援は、決定日から1年以内の支払いだけが対象です。12か月目が遅れると外れます。
併用と税金
青森県の「あおもり若者定着奨学金返還支援制度」のサポート企業に登録している会社は、市の補助金と併用できます。ただし支給額が減ることがあります。県の担当課に先に確かめます。
市以外から交付される補助金は、対象経費から差し引かれます。
奨学金返還の手当が、給与として損金に入るかどうかと、受け取る従業員の所得税の扱いは、市のQ&Aに答えがありません。市の回答は「税務署へ」です。
よくある質問
福利厚生と奨学金返還支援を同時に申請できますか?
できません。同じ年度に申請できるのは、福利厚生、奨学金返還支援、インターンシップのうち1つだけです。一方で福利厚生の中でスポーツクラブの法人契約と社内レクの開催を一緒に申請するように、同じ区分の複数の取り組みはまとめられます。その場合の補助対象経費は、各取り組みの実支出額の合計です。
令和7年度に交付を受けた会社は、また申請できますか?
区分が違えば申請できます。令和7年度以前に交付を受けた区分と、同じ区分は申請できません。たとえば福利厚生で受けた会社が、奨学金返還支援の制度を新しくつくる場合は対象です。ただし令和8年度にすでに本補助金の交付を受けた会社は申請できません。過去にどの区分で受けたかを、申請前に控えと照らして確かめてください。
すでにスポーツクラブの法人契約をしています。対象になりますか?
その契約だけでは対象になりません。補助の対象は令和8年度中に創設するか拡充する取り組みです。ただし福利厚生には拡充も含まれ、法人契約を続けたまま新たに社員旅行を始めるような場合は対象になります。既存の取り組みの経費は含まれず、新しく始めた分だけが対象です。どこからが拡充に当たるか迷うときは、申請前に商工労政課へ相談します。
社員旅行は、全員が参加しないと対象外ですか?
全員が参加できる旅行であれば、結果的に参加者が少人数でも対象です。特定の従業員だけを対象にした旅行は外れます。また研修として位置づけた旅行は、通常業務の一部とみなされて対象になりません。対象経費は交通費と宿泊費で、市の一般職の職員の例で計算した額が上限になります。見積りの額がそのまま補助されるとは限りません。
住宅手当や通勤手当は補助されますか?
手当そのものは補助されません。給与にあたるためです。ただし新しい手当をつくり、その支払いに必要な給与システムを改修する費用は対象になります。たとえば住宅手当を増額するためのシステム改修費です。
事務所にエアコンやトイレを付ける費用は対象ですか?
トイレは通常業務中にも使うため、対象外です。エアコンは、休憩や福利厚生だけに使う部屋に設置する場合に限って対象です。休憩室のエアコンが古く効きが悪い場合は、交換も認められます。ただし古いエアコンの処分費用は対象外です。業務スペースを可動式のパーティションで区切っただけの部屋は、休憩室と認められません。壁で独立させる必要があります。
奨学金返還支援は、どんな奨学金が対象ですか?
日本学生支援機構の奨学金と、地方公共団体、大学、民間企業などが貸与する奨学金が対象です。従業員本人が主たる債務者になっている必要があります。資格に必要な費用を貸し付け、その資格の業務に就くと返還が免除される修学資金貸付のような奨学金は対象外です。また対象従業員は、正社員で、勤務年数が3年以内など5つの条件を満たす人に限られます。
奨学金返還の支援は、制度ができる前の返還分もさかのぼれますか?
さかのぼる規定にすれば、遡及分も対象です。ただし市の補助の対象になるのは、令和8年4月以降の分で、交付決定の日から1年以内に支出する額です。制度ができる前の返還分すべてが補助されるわけではありません。また決定額の増額は認められません。交付決定のあとに採用した従業員は、申請時の名簿にないため、補助の対象外になります。その分は事業者の負担になります。
インターンシップは、オンラインでも対象になりますか?
実施する拠点が市内であれば対象です。補助事業は市内で行う必要があるため、市外のオフィスで行うインターンシップは対象外です。また異なる学生等を対象に、年度内に2回以上行う取り組みの全部または一部であることが要件です。同じ学生に2回行っても1回と数えます。参加者に学年や年齢の制限はなく、求職者も対象です。
補助金はいつ振り込まれますか?
事業が終わってから、実績報告を出して審査を受けたあとです。市が補助金の額を確定して通知し、事業者が請求書(様式第15号)を出すと、口座振込で支払われます。振込日の目安は、募集要項に書かれていません。そのため先に事業費を自社で全額払う前提で、資金繰りを組む必要があります。奨学金返還支援は、実績報告の期限が令和10年4月10日までと長めです。
申請を取り下げることはできますか?
できます。ただし募集要項は取り下げができるのを交付決定通知書の送付を受けた日の翌日から数えて14日を経過した日と定めています。この記載は読み方が難しいため、取り下げを考える場合は、期限を商工労政課に確かめてください。事業の内容や経費の配分を変えるときも、軽微な変更を除いて市長の承認が要ります。ただし申請額を増やすことはできません。
問い合わせ先はどこですか?
弘前市 商工部 商工労政課 雇用支援係です。電話は0172-35-1135、受付時間は平日の午前8時30分から午後5時までです。対象になるかどうか、拡充に当たるかどうかなど、判断が分かれる点は申請前に聞いておくと安全です。市の一般職の例で計算する交通費や宿泊費の上限額も、あわせて聞けます。
