社員の奨学金返済を会社が支えると、県がその手当の2/3を補助します。1人あたりの上限はありません。ただし対象になるのは、2026年3月1日以降に採用した、期間の定めのない社員への手当だけです。
「うちは前から奨学金を肩代わりしているのに」という会社も、ここで線が引かれます。誰が対象で、何が対象外か。申請の前に、社員の採用日と雇用形態から確かめてください。
Go!ひろしま奨学金返済支援制度導入企業応援補助金の要点まとめ
正式名:Go!ひろしま奨学金返済支援制度導入企業応援補助金
だれが
- 申請者
- 事業者(中小企業・個人事業主・各種団体)
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 従業員の奨学金返済を支える手当
- 対象地域
- 広島県(県内に本店・本社)
- 従業員数
- 中小企業の規模以内(業種ごとに上限あり)
いくら
- 補助上限額
- 従業員1人あたりの上限なし(返済計画額の範囲内)
- 補助率
- 一般企業枠2/3以内、人的資本開示企業枠3/4以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年4月1日〜2027年2月26日17時(必着)
- 事業の完了
- 補助対象期間は最長2029年3月31日まで
うちの会社は対象になる?
次の6つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 貸付や物品で支援する
- ✕ 大企業の子会社(みなし大企業)
- ✕ 退職時に返還を求める規程
- ✕ 国や自治体が出資・経営に関与
中小企業の規模は業種ごとに決まっています。製造業・建設業・運輸業などは資本金3億円以下か従業員300人以下、卸売業は1億円以下か100人以下、サービス業は5,000万円以下か100人以下、小売業は5,000万円以下か50人以下です。どちらか一方を満たせば足ります。個人事業主やNPO、医療法人、社会福祉法人なども、同程度の従業員規模なら対象です。
みなし大企業は、発行済株式の1/2以上を同一の大企業やその支配下の企業が持つ場合と、役員の1/2以上を大企業の役員や職員が兼ねている場合です。ほかに、過去3年間に労働関係法令違反の重大な事実がないこと、県税の未納がないことも要件です。性風俗関連の営業や、接待を伴う飲食等の営業(それらを受託する営業を含む)は対象外で、国や地方公共団体の助成金で、申請日から3年以内に不正受給をしていないことも誓約書に入っています。令和8年度に、この補助金の新規の交付決定をすでに受けている場合も申請できません。
支援制度は、申請日に社内規程で明文化され、従業員へ周知されている必要があります。支給は原則として年1回以上で、県の補助の有無にかかわらず続ける制度でなければなりません。給与を不当に下げて手当に回すような扱いも認められません。
社員の線引き:誰への手当が補助される?
補助されるのは社員単位の線引きに合う人への手当だけです。
| 区分 | 対象になる | 対象にならない |
|---|---|---|
| 採用日 | 2026年3月1日以降 | それより前 |
| 雇用 | 期間の定めがない(試用期間中も可) | 有期のまま、週20時間未満 |
| 勤務地 | 県内の事業所 | 一時的な県内勤務、恒常的な県外派遣 |
| 立場 | 一般の従業員 | 役員等(事業主と利益が同じ立場の人) |
| 親族 | 一般従業員と同じ労働条件の親族 | 事業主・役員の親族(上の場合を除く) |
| 奨学金 | 本人が返済義務を負う奨学金 | 本人が主たる債務者でないもの |
| 時期 | 採用後3年目まで | 採用後4年目に入った日以降 |
有期雇用から無期に変わった人は、無期になった日が採用日です。採用日が2026年3月1日より前でも、無期になったのが3月1日以降なら、その日から対象になります。試用期間中や多様な正社員も可ですが、無期雇用になる前に払った手当は補助されません。
対象の奨学金は、日本学生支援機構の第一種・第二種のほか、地方公共団体、大学、公益法人、政府系金融機関などの奨学金・修学資金、技能者育成資金融資です。広島県医師育成奨学金などの除外リストにあるものと、会社自身やその関係団体が貸す奨学金は対象外です。
いくら補助される?
補助率は、会社が社員に払った手当等の2/3以内(一般企業枠)か3/4以内(人的資本開示企業枠)です。1人あたりの上限額はありません。ただし補助の対象は、その社員が最初に計画していた返済の月額・年額の範囲内で払った分に限られます。
県の資料では、補助の申請があった企業の給付は、月に換算した平均で約1万円です。奨学金の返済月額は、平均で約1万5,000円とされています。社員1人に月1.5万円(年18万円)を払う場合の補助額は、次のとおりです。
- 一般企業枠:18万円 × 2/3 = 12万円(会社の負担は6万円)
- 人的資本開示企業枠:18万円 × 3/4 = 13.5万円
上限に当たる例もあります。返済月額が1万5,500円の社員に、月2万円の手当を払う場合です。
- 補助の対象は返済月額までなので、月1万5,500円 × 12か月 = 18万6,000円
- 一般企業枠:18万6,000円 × 2/3 = 12万4,000円(手当の合計は24万円)
実際の補助額は、手当の合計にこの率を掛けた額以内です。県の補助額は、補助対象経費から他の助成を除いた額を超えられません。つまり会社の自己負担額が上限です。
何に使える?
対象にならないもの
- 採用後4年目に入った日以降の給付
- 無期雇用になる前の期間への給付
- 県外へ異動・退職した日以降の給付
- 返済計画を大きく超える給付(大幅な繰上返済)
- 貸付や物品の支給
- 交付決定日より前の給付
対象になるもの
- 現金や口座振込で払う手当
- 奨学金の債権者へ会社が直接払う代理返済
「交付決定日より前の給付は対象外」には例外が1つあります。2026年7月31日17時までに申請した場合に限り、2026年4月1日から交付決定日までの給付もさかのぼって申請できました。それより後の申請は、交付決定日以降の給付だけが対象です。
給与の締め日ではなく、実際の支払日で数えます。令和8年度分は2027年3月31日までに払ったものが対象です。たとえば毎月20日締め・翌月10日払いなら、3月10日払いの2月分までが令和8年度分で、4月10日払いは令和9年度分になります。
取り違えやすいところ
- 「上限なし」は青天井ではない:社員が計画した返済額を超える手当は対象外なので、高い手当を設定してもその全額は補助されません。
- 枠の切り替えは一方通行:一般企業枠で交付決定を受けたあと、人的資本開示企業枠の条件を満たしても、補助率は変えられません。人的資本開示企業枠に一度でも申請すると、一般企業枠には申請できなくなります。条件を満たす見込みだけでの申請も受理されません。
- 旧制度との通算3回:一般企業枠の申請は、令和6年度の旧制度「中小企業等奨学金返済支援制度導入応援補助金」と合わせて計3回までです。人的資本開示企業枠に回数の制限はありません。
- 市町の補助は別:三原市、尾道市、世羅町は、広島県の交付決定を受けた事業者への補助です。福山市は、新たに従業員への奨学金返済支援制度を導入する事業者への補助です。申請先も内容も市町ごとに違います。
人的資本開示企業枠は、「広島県人的資本経営研究会」の会員であることと、研究会の開示ツールで作った開示レポートを自社サイトなどで公開していることが条件です。入会から公開まで数か月かかる場合があるので、使いたい場合は広島県人的資本経営促進課(082-513-3340)へ早めに相談してください。
申請の流れ
- 支援制度を社内規程にする(事業者。支給の対象範囲・時期・金額を書く。県のモデル規程が使えます)
- 申請書類をそろえ、県へ持参か郵送で出す(事業者→広島県 雇用労働政策課。2027年2月26日17時必着)
- 交付決定の通知を受ける(県→事業者。書類審査のあと。決定額が予算額に達すると期間内でも受付終了)
- 社員に手当を払う(事業者。交付決定日以降。年1回以上)
- 年度末の翌4月5日までに実績報告書を出す(事業者→県。賃金台帳の写しなどを付ける)
- 確定通知のあとに請求書を出して、補助金を受け取る(事業者→県。年度ごとに支払われる)
郵送は書留か特定記録郵便で、封筒の表に「Go!ひろしま奨学金返済支援制度導入企業応援補助金」と赤字で書きます。持参の受付は9時〜12時、13時〜17時です(土日祝・年末年始を除く)。
必要な書類
準備できた 0 / 10
人的資本開示の申告書(別紙4)は、人的資本開示企業枠で申請する場合だけ要ります。労働条件通知書など(雇用関係と雇用形態を確かめる書類)と雇用保険の取得確認通知書は、対象の社員1人ごとに必要です。令和7年度に交付決定を受けていて内容が変わらない会社は、企業概要の資料、支給規程の写し、別紙4、広報の同意書を省けます。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 条件を満たさなくなった:補助対象期間の途中でも、会社の要件を満たさなくなると補助が取り消されることがあります。
- 社員が県外へ異動・退職した:異動や退職の日以降に払った手当は補助されません。
- 支給内容を無断で変えた:支援制度の重要な変更や、県以外の助成の有無の変更は、変更承認が要ります。事象の発生後30日以内に変更申請を出します。
- 虚偽の申請や不正があった:県は補助金の返還を求めることがあります。
- 実績報告や書類の保存を怠った:報告は年度末の翌年度4月5日までです。経理の帳簿と証拠書類は、事業完了から5年を過ぎた日の属する県の会計年度の末日まで保存します。
変更承認・税金・併用
社員を新しく採用したり、在職者に新たに支給したりして対象の社員が増える場合は、令和8年度内に変更承認を受けます。令和9年度以降の採用は、その年度に新規で申請します。対象の社員が減る場合は、一部の退職なら承認は要りません。全員が退職した場合は、中止または廃止の承認や実績報告が要ります。
日本学生支援機構の代理返還(会社が機構へ直接返す仕組み)を使う場合は、「企業等の返還支援(代理返還)システム」への登録が必要です。県の案内では、会社は法人税で給与として損金に入れられるほか、賃上げ促進税制の対象になり得ます。社員は、支援された額について所得税が非課税になり得て、原則として社会保険料の算定のもとになる報酬にも含まれません。詳しくは日本学生支援機構(奨学事業総務課 03-6743-6029)へ問い合わせてください。
また、広島県から補助金等の交付決定を受けた法人は、通知を受けた日から1年間、県議会議員や知事の候補者を推薦・支持・反対する政治団体へ、政治活動に関する寄附をできません。この補助金も制限の対象です。
よくある質問
1人あたりの上限額はいくらですか?
上限額は設けられていません。ただし補助の対象は、その社員があらかじめ計画していた返済月額・年額を超えない範囲で払った手当に限られます。大幅な繰上返済をさせるような手当は、計画を大きく超えるため対象になりません。また県の補助額は、補助対象経費から他の助成を除いた額が上限なので、会社が自己負担する分を超えて受け取ることはありません。
2026年2月に採用した社員は対象になりますか?
なりません。対象は2026年3月1日以降に採用した社員です。ただし有期雇用で採用した人を期間の定めのない雇用に変えた場合は、無期にした日を採用日として扱います。2026年2月に採用した人が、3月1日以降に無期雇用へ切り替わったなら、その日から対象になります。切り替える前の期間に払った手当は補助されません。
パートや契約社員の手当は補助されますか?
期間の定めのない雇用であることが条件です。有期雇用のままの人は対象になりません。無期雇用でも、勤務時間が週20時間未満の人は対象外です。申請年度内に正社員など無期雇用へ登用する予定の人は事前に申請できますが、補助されるのは無期雇用になって以降の給付です。試用期間中の人や多様な正社員は、期間の定めがなければ対象になります。
会社が貸している奨学金の返済も対象ですか?
対象外です。申請者自身が貸す奨学金や修学資金、申請者が主な出資者の団体や、代表者が同じなど関係性が深い団体が貸す奨学金は、除外対象に入っています。広島県医師育成奨学金、広島県介護福祉士修学資金等貸付、福山市未来創生人材育成奨学ローンなど、公募要領の別紙に挙がっている奨学金も対象外です。対象かどうか迷うときは、雇用労働政策課に確かめてください。
個人事業主でも申請できますか?
できます。県内に本店・本社を置く中小企業と、同じ従業員規模の個人事業主、NPO、公益法人、医療法人、社会福祉法人、事業協同組合などが対象です。個人事業主やこれらの団体は、中小企業の規模(資本金や従業員数)に準じた従業員規模以内であることが条件になります。学校法人は、保育所・幼稚園・認定こども園などを運営している部門に限られます。
人的資本開示企業枠を使うには何が必要ですか?
申請日に3つの条件を満たす必要があります。広島県人的資本経営研究会の会員であること、研究会の開示ツールで作ったレポートが事務局の事前確認を済ませていること、そのレポートを自社サイトや県サイトで公開していることです。公開する指標は、人材の獲得・惹き付け、人材の成長・活躍、人材の貢献に報いる報酬の3分野から3指標以上です。数か月かかるので、早めに相談してください。
一般企業枠は何回まで使えますか?
3回までです。令和6年度の旧制度「中小企業等奨学金返済支援制度導入応援補助金」の申請回数と、この補助金の申請回数を合わせて数えます。人的資本開示企業枠に申請したことがある会社は、回数が3回に達していなくても一般企業枠には申請できません。人的資本開示企業枠には回数の制限がありません。どちらの枠で出すかは、申請前に決めておく必要があります。
申請はいつまでにすればよいですか?
2027年2月26日17時必着です。ただし交付決定額が予算額に達したら、期間内でも募集が終わります。手当は交付決定日以降の給付が対象なので、申請が遅れるほど対象になる給付が少なくなります。2026年7月31日17時までの申請に限り、4月1日以降の給付もさかのぼって申請できました。社員が増える予定があるなら、変更承認の期限は令和8年度内です。
補助金はいつ支払われますか?
年度ごとに支払われます。各年度の終了後と、補助期間全体の終了後に、実績報告の内容を確かめてから払う仕組みです。実績報告書は、年度末の翌年度4月5日までに出します。賃金台帳の写しなどを付けます。手当を払ってすぐ入金されるわけではないので、会社は先に手当を立て替える資金が必要です。
手当を現金で払わず、代理返還にしてもよいですか?
できます。日本学生支援機構の奨学金を返している社員がいる場合、会社が機構へ直接返す代理返還も補助の対象です。支援制度の条件では、手当等(現金や口座振込)と、奨学金の債権者へ会社が直接返す代理返済をあわせて「給付」と呼んでいます。代理返還を使うには「企業等の返還支援(代理返還)システム」への登録が要ります。
補助の途中で社員が退職したらどうなりますか?
退職の日以降に払った手当は補助されません。対象の社員が一部だけ減る場合は、承認の手続きは要りません。対象の社員が全員いなくなった場合は、令和8年度内なら中止または廃止の承認、令和9年度以降なら実績報告が必要です。実績報告は、事象が起きてから30日以内か翌年度の4月5日のどちらか早い日までに出します。
問い合わせ先はどこですか?
補助金全般は、広島県 商工労働局 雇用労働政策課 雇用労働企画グループ(電話 082-513-3424、受付は9時〜12時、13時〜17時)です。メールは syokoyou@pref.hiroshima.lg.jp です。人的資本開示企業枠や研究会、開示ツールについては、人的資本経営促進課 人的資本グループ(電話 082-513-3340)に問い合わせます。申請書の提出先は雇用労働政策課(広島県庁東館3階)です。
