海外で自社製品を売りたいのに、現地で商標を先に取られてしまう。そんな「抜け駆け出願」のリスクは、海外展開を考える中小企業ほど身近な問題です。茨城県中小企業等海外展開支援事業(海外出願支援事業)の令和7年度募集は2025年6月20日で終了していますが、令和8年度分は2026年6月30日17時まで受付中です。
運営は公益財団法人いばらき中小企業グローバル推進機構。国内で既に出願している特許・実用新案・意匠・商標を基に、外国へ出願する際の費用の一部を助成する制度です。補助率は対象経費の1/2以内、1企業あたりの上限は300万円。特許出願なら1件150万円、実用新案・意匠・商標は1件60万円、抜け駆け対策商標は1件30万円が出願ごとの上限になります。
茨城県海外出願支援事業の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主。茨城県内に主たる事業所を有する中小企業者、または中小企業で構成されるグループ) |
| 制度名 | 令和8年度茨城県中小企業等海外展開支援事業(海外出願支援事業) |
| 対象業種 | 業種指定なし(既に国内出願している特許・実用新案・意匠・商標を持つ中小企業者) |
| 利用目的 | 外国出願にかかる費用の一部助成(特許・実用新案・意匠・商標の海外出願、知的財産) |
| 対象地域 | 茨城県内(主たる事業所が県内にあること) |
| 従業員数 | 中小企業基本法上の中小企業者(みなし大企業は除く)。個人事業主も対象 |
| 補助上限額 | 1企業あたり300万円(特許出願は1件150万円、実用新案・意匠・商標は1件60万円、抜け駆け対策商標は1件30万円) |
| 補助率 | 対象経費の1/2以内 |
| 申請受付 | 令和7年度分は終了(~2025年6月20日)。令和8年度分は2026年6月30日17時必着 |
| 公式サイト | いばらき中小企業グローバル推進機構「令和8年度茨城県中小企業等海外展開支援事業(海外出願支援事業)募集のご案内」 |

「国内出願がある」ことが前提の制度
この助成金の対象は、既に国内で出願している産業財産権(特許・実用新案・意匠・商標)を基に行う外国出願に限られます。国内出願をせずにいきなり海外出願だけを考えている場合は対象になりません。海外展開の順番としては、まず国内で権利を固めてから、必要な国に絞って外国出願を進める、という流れを前提にした制度設計です。
対象になる出願は次の4種類です。
- 特許出願
- 実用新案登録出願
- 意匠登録出願
- 商標登録出願(抜け駆け対策商標を含む)
「抜け駆け対策商標」とは、自社の商標を第三者が先回りして現地で出願・登録してしまう事態を防ぐための出願です。海外の代理店や模倣業者が自社ブランド名を先に商標登録してしまうと、進出後に自社の商標が使えなくなるおそれがあります。 対策商標だけの出願でも助成対象になる点は、海外展開のごく初期段階の企業にとって使いやすいポイントです。
対象になる経費
助成対象経費は、外国出願にかかる次の費用です。
- 外国特許庁への出願に要する経費(出願手数料等)
- 現地代理人に要する経費
- 国内代理人に要する経費
- 翻訳に要する経費等
助成対象となる期間は、補助金の交付決定日から令和8年12月31日までです。この期間内に外国出願を完了させる必要があります。交付決定前に発注・契約した費用は対象外になるため、交付決定の通知を受け取る前に代理人へ発注してしまうと、その分の費用は助成されません。
審査は書類だけでなくプレゼンテーションもある
この助成金は書類審査だけで完結しません。審査委員会で申請者自身によるプレゼンテーションとヒアリングが行われ、その結果を踏まえて選考されます。 審査委員会を欠席すると選考上不利益が生じる可能性があると案内されているため、日程はあらかじめ確保しておく必要があります。
選考基準として次の3点が示されています。
- 先行技術調査等の結果から見て、外国での権利取得の可能性が明らかに否定されないと判断される出願であること
- 権利が成立した場合の事業展開計画、または抜け駆け出願対策の意思があること
- 外国出願に必要な資金能力・資金計画があること
賃上げ・両立支援に取り組む企業は加点がある
審査には加点措置も用意されています。
| 加点項目 | 内容 |
|---|---|
| 賃上げ実施企業 | 申請後1事業年度または1年(暦年)で、給与総額または1人あたり平均受給額が2.5%以上増加する計画があること |
| ワーク・ライフ・バランス推進企業 | えるぼし認定・くるみん認定・ユースエール認定等、いずれかの認定を受けていること |
賃上げの加点を希望する場合は「従業員への賃金引上げ計画の表明書」の提出が必要です。両立支援系の加点は認定書の写しが必要になります。これらの書類は任意提出ですが、審査で有利に働く可能性があるため、該当する企業は準備しておくと良いでしょう。
令和8年度の事業スケジュール
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年6月30日 | 募集締切 |
| 2026年7月下旬頃(予定) | 審査委員会・交付決定 |
| 2026年12月31日 | 外国出願完了期限 |
| 2027年1月29日 | 実績報告書の提出期限 |
| 2027年3月末まで | 補助金額の確定・交付 |
交付決定から出願完了まで半年弱しかありません。海外出願は現地代理人とのやり取りや翻訳に時間がかかるため、申請前から出願準備を並行して進めておくことが、期限内に完了させるコツです。
よくある質問
令和7年度の申請はまだできますか?
できません。令和7年度の受付は2025年6月20日17時で終了しています。 令和8年度分(2026年6月30日17時必着)が現在の募集です。
個人事業主でも申請できますか?
できます。応募資格に「個人事業主を含む」と明記されており、茨城県内に主たる事業所がある個人事業主も対象です。
国内出願がまだの場合は申請できますか?
対象外です。この助成金は、既に国内に出願している産業財産権を基に行う外国出願が対象です。まずは国内での出願を済ませる必要があります。
