輪島塗の工房はこの補助金を使えるのか。使えません。対象は石川県が指定した伝統的工芸品と稀少伝統的工芸品で、輪島塗など国が指定する伝統的工芸品は、国の伝統的工芸品産業支援補助金(災害復興事業)が窓口です。県のページも、国の制度は国のホームページで確かめるよう案内しています。
この記事は公募が終わった第7次募集(2026年6月8日〜7月31日17時必着)の内容にもとづきます。第8次以降の募集は、県の公式ページに記載がありません。次の募集に備えて、対象の線引きと見落としやすい対象外の経費を整理します。
伝統工芸事業者再建支援補助金の要点まとめ
正式名:石川県伝統工芸事業者再建支援事業費補助金
だれが
- 申請者
- 県指定品の製造事業者・グループ・製造協同組合
- 対象業種
- 石川県指定・稀少伝統的工芸品の製造業
- 利用目的
- 被災した設備・道具・原材料の購入費と修繕費
- 対象地域
- 石川県内で被災した事業者
- 従業員数
- 規定なし(中小企業者が対象)
いくら
- 補助上限額
- 1,000万円(下限なし)
- 補助率
- 3/4以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 第7次募集は2026年7月31日まで(受付終了)
うちの工房は対象になる?
次の5つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
対象の災害は、令和6年能登半島地震と令和6年9月21日から23日の奥能登豪雨です。中小企業者とは、中小企業基本法で業種ごとに資本金と従業員数の上限を決めた事業者のことです。製造業その他なら、資本金3億円以下または従業員300人以下のどちらか一方を満たせば当たります。製造協同組合は、中小企業等協同組合法にもとづく組合が対象です。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 国指定の伝統的工芸品(輪島塗など)
- ✕ 災害と関係のない設備の更新
- ✕ 県税に未納がある
指定の区分は県の公式ページに載っている「石川県指定伝統的工芸品・稀少伝統的工芸品の一覧」で確かめられます。一覧では、県指定が和紙・美川仏壇・桐工芸・檜細工・珠洲焼・加賀毛針の6業種です。稀少伝統的工芸品は大樋焼・加賀竿・加賀獅子頭・加賀象嵌・加賀提灯・加賀水引細工・金沢表具・金沢和傘・郷土玩具・琴・三弦・太鼓・竹細工・茶の湯釜・鶴来打刃物・手捺染型彫刻・銅鑼・七尾和ろうそく・能登上布・能登花火の20業種です。参考として載る国指定は、輪島塗・山中漆器・加賀友禅・九谷焼・金沢仏壇・金沢箔・七尾仏壇・金沢漆器・牛首紬・加賀繡の10業種で、九谷焼もこちらに入ります。自分の品目がどちらに入るか迷うときは、伝統産業振興室(076-225-1526)に電話するのが早道です。区分を取り違えたまま書類を作っても、申請はできません。
国の制度と県の制度、何が違う?
同じ被災工房でも、扱う品目で窓口が分かれます。
| 区分 | この補助金 | 国の補助金 |
|---|---|---|
| 対象の品目 | 石川県指定・稀少の伝統的工芸品(珠洲焼など) | 国指定の伝統的工芸品(輪島塗など) |
| 窓口 | 石川県 経営支援課 伝統産業振興室 | 経済産業省の所轄の経済産業局(石川県は中部経済産業局) |
| 対象の災害 | 能登半島地震・奥能登豪雨 | 能登半島地震・奥能登豪雨 |
国の補助金の金額や補助率は、県の公式ページに書かれていません。経済産業省のページによると、令和8年度の公募は2026年2月20日から5月29日17時まででした。条件や次の公募は、経済産業省のページか中部経済産業局に確かめてください。
同じ県のページには、なりわい再建支援補助金など、別の被災事業者向けの制度も並んでいます。工房ではなく店舗や事務所の被害が大きい場合は、そちらが合う可能性があります。内容は今回の一次情報では確認できていないので、経営支援課に聞くのが確実です。
いくら戻ってくる?
対象経費の3/4が補助されます。下限はありません。上限の1,000万円に届くのは、対象経費が1,334万円以上のときです。
- 窯の修繕に300万円かかった工房:300万円 × 3/4 = 225万円
- ろくろと道具一式を買い直した工房:100万円 × 3/4 = 75万円(県の公式例と同じ計算)
- 漆や下地材の再調達に20万円かかった工房:20万円 × 3/4 = 15万円(下限がないので申請できる)
- 設備と型の製作に1,500万円かかった工房:1,500万円 × 3/4 = 1,125万円 → 上限の1,000万円
過去にこの補助金を受けた事業者は第7次との合計額が上限を超えない範囲で、追加の経費も対象になります。数量は、累計で被災した量を超えられません。
補助金は事業が終わったあとの精算払です。業者への支払いは、補助金が入る前に自分で済ませます。
何に使える?
対象にならないものを先に挙げます。
- 被災して壊れた設備の撤去費・処分費
- 不動産の購入費、建物の建設費
- パソコン・サーバの購入費
- 陳列していた商品や在庫品の再購入、廃棄費
- 風評被害などによる逸失利益
- 消費税・地方消費税(免税事業者などは対象にできる)
- 振込手数料
撤去費と処分費は、壊れた設備を片付けるための費用です。新しい設備の購入費や設置費は対象ですが、古い設備を処分する費用は入りません。見積書では、この2つを分けておきます。
対象になるものは、製造の再開に必要な次の2区分です。
- 設備・機器・道具(窯、ろくろ、刷毛、工具など)の購入費(設置費を含む)と修繕費
- 原材料の購入費と、型などの試作・製作費
原材料は被災した量の範囲で、被災前1年間の使用量に当たる量までです。型の試作では、企画会議や調査にかかる通信費・輸送費・専門家の謝金・外注費なども入ります。ECサイトなどWeb上の事業も対象です。
申請の流れ
- 公募要領と交付要綱を取る(事業者→県の公式ページ。募集が始まったら)
- 被害が分かる資料と見積書をそろえる(事業者。写真か罹災証明書など)
- 申請書類を出す(事業者→伝統産業振興室。電子メール・郵送・持参。第7次は7月31日17時必着)
- 審査を受け、採択の通知を待つ(県→事業者。採択された事業は事業者名が公表される。交付決定のあとに取り下げるなら、通知から15日以内)
- 事業を実施する(事業者。補助事業期間は交付決定日から2027年3月12日まで)
- 実績報告を出す(事業者→県。事業の完了から30日以内、または県が定める日のいずれか早い日まで)
- 補助金の額が確定し、精算払で入金される(県→事業者)
必要な書類
準備できた 0 / 7
本人確認の資料は、資本関係・事業概要・工芸品の製造が生業だと分かるものです。グループは規約と構成員の名簿を、組合は定款か登記簿謄本と名簿を出します。
被害の資料は、写真・罹災証明書・宣誓書のいずれかです。写真と罹災証明書で個々の物品の被害が分からないときに、宣誓書を使います。奥能登豪雨で被災した場合は、豪雨の罹災証明書も要ります。旅費や謝金が出るときは、その規程も出します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定日より前に発注した:原則として対象外です。ただし能登半島地震の発災日(令和6年1月1日)、奥能登豪雨の発災日(令和6年9月21日)以降の事業は、さかのぼって対象になります。
- 現金で払った:支払いは原則として銀行振込です。現金は、事前に県へ相談して理由書を出さないと対象外になることがあります。
- 原材料を買いすぎた:被災した量の範囲で、被災前1年間の使用量が限度です。受払簿で購入・使用・在庫の数量を管理します。
- 計画の変更を届けなかった:補助対象経費が20%を超えて減るときや、事業の内容が大きく変わるときは、変更の交付申請が要ります。事業を中止・廃止するときも、先に県の承認を受けます。
- 実績報告が遅れた:期限までに正当な理由なく出さないと、交付決定が取り消されることがあります。
- 帳簿や現物を確認できない:額の確定のときに確認できない経費は対象外です。帳簿などは事業終了後5年間保存します。
- 取得した財産を勝手に処分した:単価50万円(税込み)以上の財産には、処分制限の期間があります。処分には知事の承認が要ります。
よくある質問
輪島塗の工房は申請できますか?
申請できません。輪島塗は国が指定する伝統的工芸品なので、この石川県の補助金ではなく、国の伝統的工芸品産業支援補助金(災害復興事業)が窓口です。県の公式ページも、国のホームページで確認するよう案内しています。国の制度の金額や条件は県のページに書かれていないため、国のページか伝統産業振興室に確かめてください。
製造事業者のグループや協同組合でも申請できますか?
申請できます。個々の製造事業者に加えて、製造事業者等のグループと製造協同組合等も対象です。グループは規約が整っていて構成員の意思が反映される組織であることが要ります。設備を複数者で共有するときは代表者が申請し、共有者全員から同意書を集めます。申請者は、石川県内に拠点を置く者です。
地震の前から予定していた設備更新も対象になりますか?
対象になりません。この補助金は、令和6年能登半島地震等で生産設備などが被害を受けた事業者のためのものです。対象経費は、災害で使えなくなった設備・道具・原材料の購入費や修繕費に限られます。申請では、被害の写真や罹災証明書で、被災した物品と申請する物品の関係を示します。
第7次の募集は終わりましたが、次の募集はありますか?
県の公式ページに第8次以降の募集の記載はありません。過去には採択結果が令和6年4月から令和7年12月まで6回に分けて公表されており、第7次は2026年6月から始まりました。ただし次回があるかどうかは、一次情報では分かりません。募集が始まれば公式ページに公募要領が載るので、伝統産業振興室への確認とあわせて見ておきます。
壊れた設備の撤去や処分の費用も補助されますか?
補助されません。公募要領は被災して毀損した既存設備・機器の撤去費と処分費を対象から外しています。新しい設備や道具の購入費は、設置にかかる費用を含めて対象です。見積書の段階で、新しい設備の購入・設置費と、古い設備の撤去・処分費を分けて書いてもらうと、対象の経費を整理しやすくなります。
パソコンは補助対象になりますか?
対象になりません。パソコンやサーバの購入費は、公募要領で補助対象にならない経費に挙げられています。不動産の購入費・事務所の家賃・保証金・振込手数料も同じです。ECサイトなどWeb上の事業は対象ですが、その事業で使うパソコンそのものは対象外になるので、費用の分け方には注意してください。
原材料はどのくらいまで補助対象になりますか?
被災した量の範囲内で、被災前1年間の使用量に当たる量までです。購入した原材料は、受払簿などで購入・使用・在庫の数量を日付つきで管理します。最低購入単位が1年分の使用量を上回るときは、申請書にその旨を書くと全量が対象になる場合があります。その際は最低購入単位と1年分の使用見込量の両方を記載します。
補助金はいつ入金されますか?
事業が終わったあとの精算払です。事業の完了から30日以内、または知事が別に定める日のいずれか早い日までに実績報告書を出し、補助金額が確定してから支払われます。つまり、業者への支払いは先に自分で済ませます。補助事業期間は交付決定日から2027年3月12日までで、その間に見積から支払いまでを終える必要があります。
奥能登豪雨で被災した場合も申請できますか?
申請できます。令和6年能登半島地震に加えて令和6年奥能登豪雨で被害を受けた事業者も対象です。豪雨による被害を申請する場合は、公的機関が発行した罹災(被災)証明書を出します。地震と豪雨の両方で被害を受けたときは、被害状況を災害ごとに分けて書きます。災害ごとの区分は、補助事業計画書の様式で求められています。
交付決定の前に買った設備は対象になりますか?
交付決定日より前の発注・購入・契約は、原則として対象外です。ただし、令和6年1月1日(能登半島地震の発災日)と令和6年9月21日(奥能登豪雨の発災日)以降の事業は、さかのぼって対象になると公募要領に書かれています。個々の購入がこの扱いに当たるかどうかは、申請前に伝統産業振興室へ確かめておくのが確実です。
すでにこの補助金を受けた事業者も、追加で申請できますか?
申請できます。これまでに交付を受けた事業者は第7次の公募分との合計額が上限の1,000万円を超えない範囲で、追加の経費が対象になります。ただし数量は、累計で被災した量を超えられません。原材料は、累計で被災前1年間の使用量も超えられません。豪雨で失われた物品の量は、累計に含めなくてよい場合があります。
申請書類はどこへ出しますか?
石川県商工労働部経営支援課 伝統産業振興室に、電子メール・郵送・持参のいずれかで出します。メールは densan@pref.ishikawa.lg.jp で、添付は合計10MBまでです。郵送のときは封筒に赤字で「石川県伝統工芸事業者再建支援事業費補助金 交付申請書在中」と書きます。電話は076-225-1526で、平日の9時から17時です。
