訪問介護の人手不足に対して、岩手県は取組ごとに基準額を決めて費用を補助します。一番大きいのは、通所介護の事業所が訪問機能を足す多機能化です。導入費150万円に訪問1回ごとの上乗せがつき、最大330万円になります。人口が減る地域に出張所(サテライト)を置く支援も、1か所で250万円までです。
使える区分は、事業所の種類で決まります。通所介護の事業所が使えるのは、訪問機能を足す多機能化の枠だけです。募集は予算の上限に達し次第終わるため、令和9年1月29日の締切より前に閉まることがあります。
訪問介護等サービス提供体制確保支援事業費補助金の要点まとめ
正式名:訪問介護等サービス提供体制確保支援事業費補助金
だれが
- 申請者
- 事業者(訪問介護・定期巡回・夜間対応型・通所介護の事業所)
- 対象業種
- 介護(訪問介護等の事業所)
- 利用目的
- 人材確保・経営改善・多機能化・サテライト設置
- 対象地域
- 岩手県内
- 従業員数
- 公式ページに記載なし(長寿社会課へお問い合わせください)
いくら
- 補助上限額
- 多機能化は最大330万円/サテライト1か所250万円
- 補助率
- 基準額と実支出額の低い方(上限までは実費)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 第三弾 令和8年7月16日〜令和9年1月29日(予算がなくなり次第終了)
- 事業の完了
- 最長で令和9年2月28日まで
うちの事業所は対象になる?
次の3つに当てはまれば、対象になる可能性があります。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 3
人材確保と経営改善の枠は、訪問介護・定期巡回・夜間対応型の3種の事業所が対象です。サテライト設置は訪問介護事業所が対象です。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 通所介護で多機能化以外の枠を使う
- ✕ 予算の上限に達したあとで申請する
- ✕ 他の補助金に出した費用を重ねる
- ✕ 交付決定前に契約や実施をした分
交付決定より前に始めた事業は、原則として対象外です。やむを得ず先に始めるときは、県と事前着手の協議をします。申請様式に「事前着手届」のシートがあります。着手日は令和8年4月1日以降で、3月31日以前の実施は対象外です。協議をしても交付が決まらなければ、補助は出ません。
他の補助金で申請した費用は、この補助金に含められません。県の説明会資料は、介護サービス継続支援事業で申請した費用を例に挙げています。
ケアマネジャーの事業所向けには、県が別の補助金ページを用意しています。この記事の制度とは別です。
いくらもらえる?
額は取組ごとに決まっています。公式ページでは「補助基準額」と書かれ、補助率の記載はありません。ただし交付要綱は、補助額を次の3つのうち最も少ない額と定めています。1,000円未満は切り捨てです。
- 補助基準額
- 補助対象経費の実支出額
- 総事業費から寄附金などの収入を引いた額
つまり、実費が基準額に届かなければ、実費までしか出ません。基準額は上限として読みます。
| 取組 | 補助基準額 |
|---|---|
| 研修体制の構築 | 1事業所10万円 |
| 採用活動のかかり増し経費 | 1事業所30万円 |
| 経験の浅い職員への同行支援 | 1回3,500円または5,000円(実費が低ければ実費) |
| 周辺事業所の休廃止への対応 | 区分ごとに最大30万・20万・10万円、引継ぎは10万円 |
| 専門家への委託(経営改善) | 1事業所40万円 |
| 登録訪問介護員の常勤化 | 1人1月10万円(3月分30万円まで) |
| 協働化・大規模化 | 1グループ200万円 |
| 広報(HP・チラシ) | 1事業所30万円 |
| 通所介護の多機能化 | 150万円+訪問1回1,000円(訪問分は最大180万円) |
| サテライト設置 | 1か所150万円+100万円 |
同行支援は、30分未満が上限3,500円、30分以上が上限5,000円です。経験の浅い職員1人につき、通算30回までです。県の同行訪問シートは、同行した時間に担当者の時給をかけて支出額を出し、1回の上限と比べる作りです。交通費は申請できません。
計算例です。
- 時給2,500円の担当者が1時間同行する:2,500円 × 1時間 = 2,500円(上限5,000円より低いので2,500円)
- 時給6,000円の担当者が1時間同行する:6,000円 × 1時間 = 6,000円 → 上限の5,000円
- 登録ヘルパー1人を常勤にして3月分:10万円 × 3月 = 30万円(上限)
- 常勤化して2月分で終わる:10万円 × 2月 = 20万円
- 専門家への委託に25万円かかる:基準額40万円に対して実費25万円 → 25万円
- 通所介護が月100回の訪問を6か月続ける:1,000円 × 100回 × 6か月 = 60万円(導入費150万円と合わせて210万円)
- 通所介護が月300回の訪問を6か月続ける:1,000円 × 300回 × 6か月 = 180万円(導入費と合わせて330万円)
- サテライトを1か所置く:150万円 + 100万円 = 250万円(実費が届けば)
多機能化の訪問分は、月300回まで、導入後6か月までと公式ページにあります。月300回を6か月続けると、訪問分だけで180万円です。回数の数え方は、交付要綱にも様式にも書かれていません。担当課に確かめてください。
常勤化で常勤とみなす勤務時間は、就業規則で定めた1週間の勤務時間です。それが32時間を下回る場合は32時間として扱います。申請様式の注記にあります。
何に使える?
対象にならないもの
- 上の表にない取組の経費
- 通所介護事業所が多機能化以外の枠に出す経費
- 他の補助金で申請した費用
- 同行支援の交通費
- 本事業だけに使ったと切り分けられない消耗品(マスク、コピー用紙など)
- 他のサービス分を含むホームページの改修費(訪問介護事業所の分だけが対象)
対象になるもの
- 研修計画の作成など、研修体制づくりの経費
- 採用活動で地理的条件から余計にかかった経費
- 専門家(コンサルタントや社会保険労務士)への委託費
- 委託の事務をする臨時職員の雇用費
- 登録訪問介護員を常勤にするための経費
- ホームページの開設・改修、チラシの作成・印刷
- 訪問機能やサテライトの備品購入などの初期費用(サテライトは敷金・礼金や賃借料も例に挙がっています)
説明会資料には、研修で自家用車のガソリン代は対象外、公共交通機関の運賃と駐車場代は対象と書かれています。内部研修に出る職員の人件費も、原則として対象外です。
周辺事業所が休止・廃止したときの引き受け費用も、人材面と利用者の引き継ぎ面の2つが対象です。人件費や契約の事務費など、一時的なかかり増しの経費が当たります。この枠は、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームなどに併設された事業所を除きます。要綱の別表では、人材面は採用等30万円、時間外労働20万円、応援10万円、引継ぎ10万円が上限です。休廃止以外の理由で受け入れるときの引継ぎは3万円です。説明会資料には「最大10万円」とだけあり、要綱の別表と食い違うため、この枠は申請前に担当課へ確かめてください。
取得価格が30万円を超える機械や重要な器具を買うと、補助事業が終わったあとも処分に制限がかかります。交付要綱第7に定めがあります。
協働化・大規模化の枠は、どんな法人が組める?
小さな法人が中心のグループで、人材育成や経営改善に取り組む枠です。1グループ200万円です。中心になる法人は、次のどれかに当たる必要があります。
- 1法人が1つの事業所だけを運営している
- 事業所の月の延べ訪問回数が平均200回以下
- 事業所の職員が常勤換算で平均5人以下
- 事業所がすべて中山間地域か離島にある
常勤換算とは、非常勤職員の勤務時間も常勤職員の何人分かに直して数える方法です。公式ページの注に、岩手県は全域が中山間地域等か離島等地域に当たるとあります。4つ目の条件は、県内の事業所なら満たす扱いです。
申請の流れ
- 申請書類をそろえる(事業所→県。様式はExcelで県のページにあります。事業所が2つ以上なら、事業計画書は事業所ごとに作ります)
- メールで県に出す(事業所→長寿社会課 介護福祉担当。郵送は事前に連絡)
- 交付決定を待つ(県→事業所。審査のあと通知書が届きます。事業はこの日から始めます)
- 取組を実施して、実績報告と請求書を出す(事業所→県。事業完了から1か月以内、最終は令和9年2月末日)
- 審査のあと、補助金が振り込まれる(県→事業所。補助金は事業が終わったあとの後払いです)
提出先のメールアドレスは houmon-kaigo@pref.iwate.jp です。受付の締切は令和9年1月29日ですが、予算の上限に達すれば前に終わります。
必要な書類
準備できた 0 / 8
職員名簿と履歴書は、同行支援と常勤化を申請するときに付けます。名簿には訪問介護に従事し始めた日を書きます。同行訪問シートは参考様式で、同行支援を申請するときに使います。取組ごとの添付資料(研修の日程と金額が分かるもの、HPの改修予定箇所が分かるものなど)は、申請様式の添付書類チェックシートにまとまっています。
説明会資料の注記には、見積書について「当初交付申請日を基準として1か月以内のもののみ認める」とあります。
実績報告では、納品書・請求書・領収書など支払いが分かる書類(写し)と、収支決算書の抄本を付けます。同行支援は、シフト表や訪問記録表など、同行を確かめられる書類も付けます。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 予算の上限に達した:上限に達した時点で募集は終わります。令和9年1月29日より前でも同じです。
- 完了報告が間に合わなかった:請求書の提出は令和9年2月末日までです。令和9年2月末までに終わらない事業は、補助を受けられません。
- 同行支援の回数が上限を超えた:経験の浅い職員1人につき、通算30回までです。
- 枠の対象外の事業所だった:通所介護は多機能化の枠だけ、サテライトは訪問介護事業所だけです。
- 交付決定額を超えた:実績が交付決定額を上回っても、増額変更は一切認められません。
- 他の補助金と重ねた:ほかの補助金で申請した事業は、この補助金では申請できません。
第一弾・第二弾との違いと、併用の考え方
この補助金は募集を3回に分けています。第一弾は令和8年4月1日〜5月15日、第二弾は5月16日〜7月15日で、どちらも終わりました。第三弾は7月16日〜令和9年1月29日です。
先の回で申請した事業所が、第三弾で別の取組を足せるかは公式ページに書かれていません。長寿社会課(019-629-5435)に聞いてください。複数の取組を1回の申請で出すことは、様式が前提にしています。事業計画書と所要額調書には、研修・採用・同行・経営改善・常勤化・多機能化・サテライトなど区分ごとの行と、合計の欄があります。
公式ページのQ&Aは、令和7年6月4日が最終更新です。令和8年4月13日の説明会資料には、新しいQ&Aがあります。増額変更は認めない、他の補助金で申請した事業は不可、といった内容です。額や様式が違うときは、担当課の回答を優先します。
補助金を受け取ったときの税の扱いは、公式ページに書かれていません。税理士か税務署で確かめてください。
よくある質問
通所介護の事業所も対象になりますか?
対象になりますが、使える枠は多機能化だけです。通所介護と地域密着型通所介護の事業所が、訪問機能を新しく足すときに、備品の購入などの初期費用として150万円を上限に受け取れます。訪問1回につき1,000円の上乗せもあります。研修や採用、経営改善の枠は、訪問介護・定期巡回・夜間対応型の事業所向けです。
複数の枠を同時に申請できますか?
公式ページには、同時申請の可否が明記されていません。ただし、申請様式の事業計画書と所要額調書には、区分ごとの行と合計の欄があり、複数の取組を1通で出す作りです。たとえば、同行支援と専門家への委託を同じ時期に進める事業所は、1通にまとめて載せる形です。事業所が2つ以上あるときは、事業所ごとに計画書を作ります。迷うときは長寿社会課の介護福祉担当(019-629-5435)に電話してください。
第一弾や第二弾で申請済みですが、第三弾でも申請できますか?
公式ページには、先の回で申請した事業所の扱いが書かれていません。第一弾と第二弾は終わっており、第三弾が令和9年1月29日までの募集です。別の取組を足したい場合に、前の交付決定との関係をどう見るかは、担当課の判断になります。メール(houmon-kaigo@pref.iwate.jp)か電話で、先に確かめてから書類を作ってください。
申請の締切はいつですか?
第三弾の受付は令和9年1月29日までです。ただし予算の上限に達し次第、募集は終わります。上限に達したかどうかは、県のページの案内で確かめることになります。年末に準備を始めて間に合わせる計画だと、先に枠が埋まる場合があります。事業の実施は最長で令和9年2月28日までなので、取組の日程から逆算して、早めに書類を出すほうが安全です。
申請はどうやって出しますか?
原則はメールです。宛先は岩手県保健福祉部長寿社会課 介護福祉担当で、アドレスは houmon-kaigo@pref.iwate.jp です。郵送で出したい場合は、事前に連絡するよう公式ページに書かれています。様式はExcelなので、県の案内ページから取って入力します。書き方に不安があれば、県が公開している説明会の資料と録画が参考になります。
同行支援はいくらもらえますか?
経験の浅い職員に、経験の長い職員が付き添って指導する取組です。経験の浅い職員は、原則として訪問業務に従事した期間が1年未満の人です。1回の上限は、30分未満が3,500円、30分以上が5,000円です。同行した時間に担当者の時給をかけた額が、この上限より低ければ、その額になります。経験の浅い職員1人につき、短い同行と長い同行を通算して30回までです。30分以上だけで30回行っても、1人あたり15万円が上限です。回数を記録する参考様式として、同行訪問シートが県のページにあります。
常勤化の支援は、いくらもらえますか?
登録訪問介護員を常勤にするために要する経費が対象です。1人につき1月10万円で、1人あたり3月分の30万円が上限です。2人を常勤にして、それぞれ3月分の支援を受ければ、60万円になります。常勤とみなす勤務時間は、就業規則で定めた1週間の勤務時間以上で、32時間を下回る場合は32時間です。事業計画書には、実施前後の勤務時間と、常勤で働く月数(1人あたり3月まで)を書きます。
多機能化の支援は、いくらもらえますか?
通所介護の事業所が訪問機能を足すとき、1事業所あたり導入費として150万円が上限です。これに、訪問1回につき1,000円が加わります。訪問分は月300回に達するまでで、導入後6か月が上限です。月300回を6か月続けると訪問分は180万円で、合計は最大330万円になります。月100回なら訪問分は60万円で、合計は210万円です。回数の数え方は、担当課に確かめてください。
協働化・大規模化の枠は、どの法人でも組めますか?
小規模な法人を中心にしたグループが対象です。中心の法人は、1法人1事業所、延べ訪問回数が月平均200回以下、常勤換算の職員が平均5人以下、事業所がすべて中山間地域か離島、のどれかに当たります。公式ページには、岩手県は全域が中山間地域等か離島等地域に当たるとあります。1グループあたり200万円です。
交付決定の前に取組を始めてもよいですか?
原則として対象外です。説明会資料に、交付決定前に着手、契約、実施をした事業は、原則として補助対象外とあります。令和8年3月31日以前に着手した事業も対象外です。やむを得ない事情があるときは、県が個別に事前着手を認める場合があり、申請様式に「事前着手届」があります。協議の文面には、交付が決まらなくても異議を申し立てない旨があります。研修の契約や備品の発注は、先に長寿社会課へ確かめてください。
ケアマネジャーの事業所も使えますか?
この補助金の対象は、訪問介護・定期巡回・夜間対応型・通所介護の事業所です。ケアマネジャーの事業所向けには、県が「ケアマネジメント提供体制確保支援事業費補助金」の別ページを用意しています。同じ時期に説明会が開かれており、書き方の資料や録画も公開されています。該当する事業所は、そちらのページで額と条件を確かめてください。
問い合わせ先はどこですか?
岩手県保健福祉部 長寿社会課 介護福祉担当です。電話は019-629-5435、メールは houmon-kaigo@pref.iwate.jp です。公式ページには、補助金の活用方法や申請方法の相談を受け付けているとあります。対象になるか迷う事業所は、書類を作る前に相談すると、書き直しの手間を減らせます。住所は盛岡市内丸10-1です。
