国内の工場や店舗の省エネ設備を替えたくて、「脱炭素 設備 補助金」で調べたらこの名前が出てきた。そういう方に先にお伝えします。JCM設備補助事業は、日本国内の設備には使えません。
環境省が、公益財団法人地球環境センター(GEC)を通じて行っている補助で、設備を置く場所は海外です。日本が二国間クレジット制度(JCM)を結んでいる32のパートナー国が優先されます。初期投資費用の2分の1を上限に補助します。令和8年度の公募は、2026年9月30日正午で終了しました。申請できるのは、現地の企業と組んだ国際コンソーシアムの代表になる日本法人で、設備の設置先は海外です。
JCM設備補助事業の要点まとめ
正式名:二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業(JCM設備補助事業)
だれが
- 申請者
- 国際コンソーシアムの代表事業者になる日本法人
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- JCMパートナー国での脱炭素設備の導入
- 対象地域
- JCMパートナー32か国を優先(日本国内は対象外)
- 従業員数
- 公式ページに記載なし
いくら
- 補助上限額
- 1件あたり20億円以下が目安(5か年の総予算は105億円を想定)
- 補助率
- 初期投資費用の1/2を上限
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年4月17日〜2026年9月30日正午(令和8年度の公募は終了)
- 事業の完了
- 最長で2031年1月31日まで
自分の事業は対象になる?
次の4つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
パートナー国は、モンゴル、ベトナム、インドネシア、フィリピン、タイ、サウジアラビア、インドなど32か国です。全部の国名は、環境省の公募開始のページに載っています。パートナー国以外の国でも応募はできますが、採択はパートナー国が優先されます。
国際コンソーシアムとは、日本法人と外国法人などが組む、事業を進めるための共同体です。日本法人が代表事業者になり、補助金の交付を受けます。代表以外は共同事業者と呼ばれ、民間企業、国営会社、地方自治体などが入ります。
温室効果ガスの年間削減量は、原則として1万トン以上の事業が採択されます。ただし、環境省の都市間連携事業や、他省庁を含む実証・調査の支援を受けて、その成果をもとに応募した案件は、1万トン未満でも例外的に採択されることがあります。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 設備を日本国内に置く
- ✕ 太陽光発電だけの提案
- ✕ 外国法人が代表になる
太陽光発電は、蓄電池がない単独の事業は応募できません。太陽光と蓄電池を合わせる提案は、太陽光の設備を補助の対象から外し、蓄電池だけで削減量の基準を満たせば応募できます。シリコン型の電池が対象で、ペロブスカイト型は別の技術として扱われます。
国内の設備更新を探している場合は、国内向けの補助金を調べる方向になります。
いくら補助される?
補助の上限は、設備や工事、事務費などを含む初期投資費用の2分の1です。1件あたりの交付額は、公募要領で20億円以下が目安とされています。ただし、20億円は目安で、確定した上限ではありません。
補助率の上限は、同じ国で似た技術がすでに何件採択されているかで変わります。0件なら50%、1〜3件なら40%、4〜7件なら30%、8〜9件なら20%が上限で、10件以上になると採択されません。複数の技術を入れる場合は、技術ごとに上限が決まります。
仮に似た技術の採択が0件で、初期投資費用が2億円の事業なら、上限は 2億円 × 50% = 1億円 です。実際の率は、費用対効果や予算に合わせて上限より低くなることがあり、交付決定のときに決まります。
撤去する既存設備の費用、土地の取得費、建屋の建設費、予備品は、補助の対象になりません。
審査では、費用対効果と投資回収年数も見られます。温室効果ガスを1トン減らすのに必要な補助金は4千円以下が基準で、小水力発電は1千円以下が原則です。投資回収年数は3年以上が目安と書かれています。
予算は、令和8年度から始まる事業に対して5か年で105億円を想定しています。令和8年度の分は、原則として第1回の審査案件で使い切る予定でした。1年目の予算が必要な案件は、第1回に応募するよう案内されていました。
応募の流れ(令和8年度)
- 応募の相談をする(事業者→GEC。相談は随時受け付け)
- 案件の事前登録と、電子申請システムのアカウント登録をする(事業者→GEC。事前登録は提案書の締切の2週間前まで)
- 現地の企業と国際コンソーシアムを組み、パートナー国の政府関係者に事業を説明する(事業者)
- 電子申請で応募する(事業者→GEC。締切は第1回5月22日、第2回7月24日、第3回9月30日。いずれも正午)
- 採否の連絡を待つ(GEC→事業者。第1回・第2回は2か月を目処)
- 交付決定のあとに事業を始め、MRV(測定・報告・検証)を行う(事業者。最長で2031年1月31日まで)
補助事業を始められるのは、交付決定日以降です。交付決定より前の発注や契約は、補助の対象期間に入りません。
MRVは、設備を入れたあとに、温室効果ガスの削減量を測り、報告し、第三者の検証を受ける作業です。代表事業者は、設備の購入、設置、試運転までを行い、MRVも実施します。
必要な書類
準備できた 0 / 13
経理状況説明書は、直近3決算期の監査済みの貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書です。設立から日が浅い法人は、事業計画と収支予算で代えます。コンソーシアム協定書は、応募時は案で足り、署名は採択後の交付申請で求められます。配分合意書(様式5)は、署名済みのものを出します。
PINは、Project Idea Note for the JCM Projectの略で、様式3-16にあたります。配分合意書は、JCMクレジットの配分を取り決める書類(様式5)です。削減量算定ファイルは、小水力発電、風力発電、ヒートポンプエアコン、ボイラ、蓄電池など、設備の種類ごとに16種類が用意されています。リースを使う場合は、エコリース用の様式が別にあります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 太陽光発電だけの提案:蓄電池のない太陽光単独の事業は、応募を受け付けません。
- 代表事業者の財務:最近期の貸借対照表で債務超過、営業利益が2年続けて赤字、GECか環境省に未履行の債務がある日本法人は、代表事業者の要件を満たしません。
- 国の別の補助金を受けている:導入する設備に日本の他の補助金を受けていると、対象になりません。
- 削減量が小さい:年間1万トン未満は、例外にあたらなければ採択の対象になりません。
- 相手国の事情:JCMの承認手続きを検討中の国や、ITMOs(国際的に移転される削減量)の移転費用を徴収する検討中の国では、採択が留保される場合があります。
- 予算が先に尽きた:応募と採択の状況によっては、公募が早く終わったり、第2回・第3回の公募自体が行われなかったりします。
- 交付決定の前に始めた:補助の対象期間は交付決定日以降です。
次の公募はあるの?
この補助は、令和8年度から令和12年度までの5か年事業として始まっています。令和9年度以降の公募日程は、確認した公式ページには載っていません。公募の案内は、GECの公募情報のページで確かめられます。
令和8年度の公募では、第1回・第2回が不採択でも、不採択の理由となった要件が満たされれば、同じ年度のうちに再応募できる扱いでした。
よくある質問
国内の工場の省エネ設備に使えますか?
使えません。対象は、JCMのパートナー国における脱炭素設備の導入事業です。日本国内の工場や店舗の設備更新は含まれません。事業の目的が、パートナー国の温室効果ガスを減らし、その削減への日本の貢献をJCMクレジットとして得ることにあるためです。国内の設備を替えたいときは、国内向けの補助金を調べます。
中小企業でも申請できますか?
企業の規模による制限は、確認した公式ページに書かれていません。補助対象者は、国際コンソーシアムの代表事業者になる日本法人で、民間企業、地方公共団体、独立行政法人なども含まれます。代表事業者には、債務超過でないことなどの財務の条件もあります。実際の条件は、年間1万トン以上の削減見込みと、現地の企業などとのコンソーシアムづくりです。応募する前に、GECの相談窓口で見込みを確かめます。
補助上限額はいくらですか?
公募要領では、1件あたりの交付額は20億円以下が目安とされています。補助率は初期投資費用の2分の1が上限で、技術ごとの採択実績で50〜20%に下がります。令和8年度から始まる事業への予算が5か年で105億円と想定されていますが、これは事業全体の予算で、1件の上限ではありません。個別の額は、応募相談の窓口でGECに確かめます。
補助率は2分の1ですか?
初期投資費用の2分の1が上限です。公募要領では、その国で似た技術が採択された件数が0件なら50%、1〜3件なら40%、4〜7件なら30%、8〜9件なら20%が上限で、10件以上は採択されません。実際の率は交付決定のときに決まり、上限より低くなることもあります。補助の対象経費には、工事費、設備費、事務費などが含まれます。
対象の国はどこですか?
日本とJCMを結んでいる32か国が優先されます。モンゴル、バングラデシュ、ベトナム、インドネシア、タイ、フィリピン、サウジアラビア、インドなどが入ります。パートナー国以外でも応募はできますが、採択はパートナー国が優先です。1回の応募で対象にできる国は1か国だけです。スリランカとインドは、パリ協定6条のポジティブリストにある技術のみが対象です。バングラデシュ、ベトナム、タイはリストの技術を優先します。国の事情で採択が留保されることもあります。
年間1万トンの削減に届かない事業は応募できませんか?
原則は、年間の温室効果ガス排出削減量が1万トン以上の事業を採択します。ただし、環境省の都市間連携事業、海外のFS事業・実証事業、経済産業省などの他省庁によるJCMを出口にした事業の支援を受け、その成果をもとに応募した案件は、1万トン未満でも例外的に採択される可能性があります。
太陽光発電の事業は対象になりますか?
太陽光発電だけの事業は、蓄電池がない場合、応募を受け付けません。太陽光発電設備と蓄電池を一緒に入れる事業は、太陽光の設備を補助の対象から外し、蓄電池だけで削減量の基準を満たせば応募できます。対象はシリコン型の電池で、ペロブスカイト型は別の技術として扱われます。
次の公募はいつですか?
令和8年度の公募は2026年9月30日正午で終了しました。事業は令和12年度までの5か年で、令和9年度以降の公募日程は、確認した公式ページに載っていません。公募の案内は、GECのホームページの公募情報に出ます。予算に限りがあり、令和8年度の分は第1回の審査案件で使い切る予定とされていたため、初年度ほど早い応募が求められました。
事業はいつまでに終えればよいですか?
最長5か年の事業です。補助事業は交付決定日以降に始め、原則として2031年1月31日までに完了させます。環境省の資料では、交付決定を受けてから設備の設置工事に着手し、5年以内に完工することと説明されています。代表事業者は、設備の購入、設置、試運転と、削減量のMRVまでを行います。
応募はどうやって行いますか?
電子申請です。GECの公募ページにある応募案件の事前登録フォームで案件の概要を登録し、アカウント申請フォームで電子申請システムのアカウントを申請します。公募提案書などの主な様式は、システムから出力します。申請の手順は、GECが動画のマニュアルを用意しています。応募の相談は、専用のフォームから随時受け付けています。
国際コンソーシアムとは何ですか?
日本法人と外国法人などで構成される、事業を効率よく進めるための組織です。代表となる日本法人が補助金の交付対象者で、代表事業者と呼ばれます。それ以外は共同事業者で、民間企業、国営会社、地方自治体、特別目的会社(SPC)などが入ります。応募には、コンソーシアム協定書の例がGECから出ています。
問い合わせ先はどこですか?
公益財団法人地球環境センター(GEC)東京事務所 事業第一グループです。メールは jcm-info@gec.jp、電話は03-6801-8860です。GECは、電話で相談したいときはメールに電話番号を書くと、折り返しの電話をもらえるとしています。環境省側の担当は、地球環境局のJCM推進室(03-3581-3351)です。
