「経営者交代型」という枠名は、現行制度にはもう存在しません。これは旧・事業承継・引継ぎ補助金の呼び方です。
現行の事業承継・M&A補助金では、経営者交代型が含まれていた「経営革新事業」という区分ごと、事業承継促進枠という1つの枠に統合されています。旧名称で検索して出てくる補助上限額・要件は、そのままでは使えません。
「経営者交代型」は現行制度にはありません(結論)
事業承継・引継ぎ補助金には、「経営革新事業」という区分の中に3つの類型がありました。
- Ⅰ型:創業支援型(廃業予定者から経営資源を引き継ぎ、新規開業する)
- Ⅱ型:経営者交代型(親族内承継や従業員承継)
- Ⅲ型:M&A型(M&Aによる事業再編・統合)
2025年度(現行の事業承継・M&A補助金)から、この3類型の区分がなくなり、事業承継促進枠という1つの枠にまとめられました。親族内承継・従業員承継の後継者が使う枠という位置づけは、事業承継促進枠に引き継がれています。
旧制度の3類型はどう変わったか(対応表)
| 旧制度(事業承継・引継ぎ補助金)の類型 | 現行(事業承継・M&A補助金)での対応先 |
|---|---|
| 経営革新事業 経営者交代型(Ⅱ型) | 事業承継促進枠 |
| 経営革新事業 創業支援型(Ⅰ型) | 事業承継促進枠(類型区分は廃止) |
| 経営革新事業 M&A型(Ⅲ型) | 専門家活用枠・PMI推進枠に再編 |
| 専門家活用型 | 専門家活用枠(名称は継続。第15次公募で小規模売り手支援類型が新設) |
| 廃業・再チャレンジ型 | 廃業・再チャレンジ枠(名称は継続) |
「経営者交代型」で検索して出てくる補助上限額・応募要件は、現行制度には引き継がれていません。現行の要件は、事業承継促進枠として一本化されています。
実際にあった「経営者交代型」の採択事例
旧制度の事例集には、「経営革新×経営者交代型」として明示的に分類された採択事例が公表されています。
- 株式会社小松写真印刷(印刷業):AI搭載印刷機を導入し、納期を20〜30%短縮
- 株式会社吉野機械製作所(製造業):治工具を購入し、大型部品の納期短縮を実現
- 株式会社龍氣(宿泊業):農園整備・トラクター導入で、体験型アクティビティを展開
3社に共通するのは、親族内承継や従業員承継のあと、設備投資によって新しい取組に踏み出している点です。この考え方自体は、現行の事業承継促進枠にも引き継がれています。
これらは令和5年度補正予算(7次公募)時点の事例で、当時の補助上限額・補助率は現行と同じとは限りません。同じような設備投資を今申請するなら、現行の事業承継促進枠の要件で判断されます。
現行「事業承継促進枠」の金額・要件
現行制度で確認できる、事業承継促進枠の内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 親族内承継・従業員承継で会社を引き継いだ後継者 |
| 補助上限額 | 800万円(賃上げ要件を満たすと1,000万円) |
| 補助率 | 1/2以内(小規模事業者は2/3以内) |
| 対象経費 | 設備費・産業財産権等関連経費・謝金・旅費・外注費・委託費など |
| 必須の手続き | 認定経営革新等支援機関から「経営革新に資する取組」の確認書を取得する |
古い記事に書かれている金額・応募要件は、この表の数値に置き換えて確認してください。
旧名称で検索して出てくる情報の注意点
「事業承継・引継ぎ補助金 経営者交代型」で検索すると、令和3〜5年度当時の解説記事が今も上位に出てきます。そこに書かれている補助上限額・公募スケジュール・提出書類は、現行制度には使えません。
制度は次の順で名称が変わってきました。
- 経営資源引継ぎ補助金(令和2年度第1次補正予算)
- 事業承継・引継ぎ補助金(令和3〜5年度補正予算)※この時期に「経営者交代型」が存在
- 事業承継・M&A補助金(令和6年度以降・現行)
古い記事を読んでいる場合は、必ず現行名(事業承継・M&A補助金)で最新の公募要領を確認してください。
「創業支援型」「M&A型」は今どこにあるか
経営者交代型と同じ「経営革新事業」にあった、他の2類型も現行制度で場所が変わっています。
- 創業支援型:廃業予定者から経営資源を引き継ぐ形も、現行では事業承継促進枠に統合されています
- M&A型:M&Aの専門家費用は専門家活用枠、成約後の統合投資はPMI推進枠に、費目ごと再編されています
「経営革新事業」という大きな区分がなくなり、目的別の枠に整理し直されたというのが、この改定の実態です。
今の自分はどの枠を見ればいいか
旧・経営革新事業の3類型のどれに近かったかで、見るべき現行の枠が変わります。
- 親族・従業員に会社を継がせ、設備投資や新しい取組をしたい → 事業承継促進枠
- 会社を買う・売る、その手数料や調査費用が必要 → 専門家活用枠
- M&A成約後、統合作業を進めたい → PMI推進枠
- 事業を畳みたい → 廃業・再チャレンジ枠
枠別の詳しい金額・シミュレーションは、事業承継・M&A補助金はいくらもらえる?にまとめています。
よくある質問
「経営者交代型」で今も申請できますか?
いいえ。この枠名は現行制度にはありません。親族内承継・従業員承継の後継者向けの内容は、現行の「事業承継促進枠」に引き継がれています。申請する際は、この枠名で公募要領を確認してください。
昔の記事に書いてあった補助上限額は使えますか?
使えません。令和3〜5年度当時の金額と、現行の事業承継促進枠の金額(800万円、賃上げ要件で1,000万円)は別物です。必ず現行の公募要領で最新の数値を確認してください。
なぜ類型区分がなくなったのですか?
現行制度では、経営革新事業という大きな区分を廃止し、事業承継促進枠として一本化しています。公式に確認できるのはこの再編の事実までです。区分をなくした理由の詳細な説明は、公表資料からは確認できていません。
事業承継促進枠で必須の「経営革新に資する取組」の確認書取得は、認定経営革新等支援機関との相談がカギになります。どう相談を進めれば計画がまとまりやすいかは、GRANTOS公式LINEの登録者限定ページで紹介しています。
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この補助金の概要(早見表)
| 検索項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 事業承継・M&A補助金(旧・事業承継・引継ぎ補助金「経営者交代型」は現行の事業承継促進枠に統合) |
| 対象業種 | 全業種 |
| 利用目的 | 事業を引き継ぎたい |
| 対象地域 | 全国 |
| 従業員数 | 中小企業・小規模事業者(業種により資本金・従業員数で判定。目安300人以下) |
| 補助上限額 | 事業承継促進枠は800万円(賃上げ要件で1,000万円)。他枠含め特例で最大2,000万円 |
| 補助率 | 1/2以内(小規模事業者は2/3以内) |
| 申請受付 | 第15次公募は2026年7月24日(金)17:00に終了。次回(16次)は公式サイトで随時発表 |
| 公式サイト | 事業承継・M&A補助金 公式サイト |
※この表の項目(対象業種・利用目的・対象地域・従業員数)は、GRANTOSの補助金診断の検索軸に対応しています。
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自社の状況がどの現行の枠に当てはまるか迷う場合は、専門家に無料相談するのも一つの方法です。
※補助上限額・補助率・公募スケジュールなどの制度内容は、公募要領の改定により変更される場合があります。申請前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。
出典(一次情報): 事業承継・M&A補助金 公式サイト/令和7年度補正予算(15次公募)/事業承継・引継ぎ支援センター全国本部 事例集/事業承継・引継ぎ等補助金(経営革新)令和3年度補正予算/中小機構「補助金活用ナビ」事業承継・M&A補助金のご案内
