工場の建物に機械設備を入れるだけでも、刈谷市の産業立地促進補助金は使えるのか。使えます。ただし対象にできるのは、土地を除く取得費の合計が5,000万円以上の投資で、契約か発注の30日前までに認定申請を出していることが前提です。先に契約すると、この前提から外れます。申請書より前に発注した資産があるときは、誓約書で先行発注理由書の提出を求められます。
倉庫や物流施設が中心の建物は、補助の対象になる「工場」に入りません。補助率と上限額は、企業規模と愛知県の補助金に通るかどうかで変わります。
刈谷市産業立地促進補助金の要点まとめ
正式名:刈谷市産業立地促進補助金
だれが
- 申請者
- 事業者(法人)。中小・中堅・大企業とも対象
- 対象業種
- 製造業など、工場・研究所を市内に新増設する企業
- 利用目的
- 工場・研究所の新増設・改修、機械設備の設置
- 対象地域
- 愛知県刈谷市
- 従業員数
- 操業開始から5年間、常用雇用者10人以上を維持
いくら
- 補助上限額
- 10億円(愛知県補助金と併用の場合。市単独は5億円)
- 補助率
- 1/25〜3/20
いつ・どこへ
- 申請受付
- 認定申請 2024年4月1日〜2027年3月31日
- 事業の完了
- 2029年3月31日までに工事完了・操業開始
- 公式サイト
- 刈谷市「刈谷市産業立地促進補助金」
自社の投資は対象になる?
次の4つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 倉庫・物流施設・事務所が中心の建物
- ✕ 取得費の合計が5,000万円に届かない
- ✕ リースで導入する設備
- ✕ 契約・発注の30日前を過ぎている
常用雇用者とは、雇用保険の被保険者のうち、期間の定めなく雇われている人か、契約の更新を前提に1年以上雇われている人です。
大企業とみなし大企業には、もう1つ条件があります。同じ工場等の同じ業種で、この補助金と旧「中小企業投資促進補助金」の交付を受けていないことです。みなし大企業とは、大企業が株式や役員の一定割合を占めるなどして、規模は中小企業でも大企業として扱われる会社のことです。中小企業は、中小企業基本法が業種ごとに資本金と従業員数の基準を定めている会社です。中堅企業は、中小企業の範囲を超え、産業競争力強化法が中堅企業者として定める規模の会社です。代表者や従業員が暴力団と関わりのないことも条件に入っています。
対象になる施設・ならない施設の線引き
| 対象になる | 対象にならない | |
|---|---|---|
| 工場 | 製造や開発の機能が建物の半分より多い施設 | 物流施設・倉庫・事務所などが半分より多い施設 |
| 研究所 | 製品の研究開発や試作品づくりが中心の施設 | 量産や収益を直接の目的にする施設 |
| 工事 | 新設・拡張・改修。既設の建物に新しく機械設備を置く工事 | 土地の取得 |
製造や開発の機能がない施設が過半を占めると、工場として扱われません。研究所も、量産で稼ぐ施設なら対象から外れます。
いくら補助される?
補助額は、土地を除く取得費の合計に補助率をかけた額です。1,000円未満は切り捨てになります。
| 区分 | 立地・条件 | 補助率 | 上限額 |
|---|---|---|---|
| 中小・中堅企業(県の補助金にも採択) | 工業系新市街地で用地取得等を伴う | 3/20 | 10億円 |
| 中小・中堅企業(県の補助金にも採択) | 上記以外 | 1/10 | 10億円 |
| 中小・中堅企業(市の補助金のみ) | 工業系新市街地で用地取得等を伴う | 1/10 | 5億円 |
| 中小・中堅企業(市の補助金のみ) | 上記以外 | 1/20 | 5億円 |
| みなし大企業・大企業 | 工業系新市街地で用地取得等を伴う | 1/25 | 5億円 |
上限額は、同じ工場等1つにつきの額です。「県の補助金」は愛知県の新あいち創造産業立地補助金のAタイプで、市と県の両方に採択されると補助率が上がります。
「工業系新市街地」は、一里山地区と野田町二ツ池地区に限ります。敷地に面する道路の反対側の境界線から9メートルを確保して工場等を新増設することも条件です。「用地取得等を伴う」とは、2015年1月1日以後に、その土地を新たに取得するか借り受けることです。
大企業の行は、新市街地の場合しか市のページにありません。それ以外の場合の扱いは書かれていないため、該当する会社は先に商工業振興課へ確かめてください。
計算例
- 中小企業が、新市街地ではない場所で2億円の設備を入れ、市の補助金のみに採択:2億円 × 1/20 = 1,000万円
- 同じ投資で県の補助金にも採択:2億円 × 1/10 = 2,000万円
- 新市街地で用地取得を伴い、県の補助金にも採択:2億円 × 3/20 = 3,000万円
- 県の補助金にも採択、新市街地ではない場所で取得費が100億円:100億円 × 1/10 = 10億円(上限の10億円)
県の補助金にも採択されると、同じ2億円でも補助額は新市街地以外で2倍(1,000万円から2,000万円)、新市街地で1.5倍(2,000万円から3,000万円)になります。県の補助金への申請も、市の認定申請とあわせて計画してください。
何が対象経費になる?
対象にならないもの
- 土地の取得費
- リースで導入する設備
- 消費税相当額
- 償却資産課税台帳に載らない資産
- 合計が5,000万円に届かない投資
対象になるもの
- 工場・研究所の新設・拡張・改修に伴う、土地を除く固定資産の取得費
- 既設の建物に新たに設置する機械設備の取得費(設置に必要な既設建物の改修を含む)
- 中古で取得した資産
5,000万円は、対象になる固定資産の取得費を合計した額で判定します。1件ごとの金額ではありません。税抜きの額で数えます。
既存の機械を新しい機械に入れ替える場合に、新設にあたるかどうかは要綱に書かれていません。迷う場合は、見積もりを取る前に商工業振興課へ聞いておくと安全です。
申請の流れは?
この補助金は、工事の前に「認定」を受け、完成後に「交付」を申請する二段構えです。
- 認定申請を出す(企業→刈谷市 商工業振興課。契約日か発注日の早いほうの30日前まで)
- 認定を受ける(市→企業。認定の通知が届く)
- 着手届を出す(企業→市。工場等の新増設(着手)届、様式第6号)
- 工事を終えて完了届を出す(企業→市。同じ様式第6号の完了届)
- 操業を始めて操業開始届を出す(企業→市。様式第7号)
- 操業開始から1年以内に交付申請を出す(企業→市。様式第8号)
- 交付決定を受け、補助金を請求する(市→企業。補助金は2年に分けて交付される場合がある)
認定申請の期間は2027年3月31日までです。工事の完了と操業開始は2029年3月31日までに済ませます。
必要な書類
準備できた 0 / 12
ここまでが認定申請の書類です。認定申請書(様式第1号)には、ほかの補助金への申請の有無を書く欄があります。誓約書には、申請書の提出前に発注した償却資産があれば先行発注理由書を提出した、という項目も入っています。登記事項証明書は、申請日の前3か月以内に発行されたものが要ります。土地・家屋は、賃貸借契約書の写しでも構いません。決算書類は貸借対照表・損益計算書・事業報告・法人事業概況説明書などで、市長が必要と認めた書類を追加で求められることもあります。
交付申請書(様式第8号)には、市が課税資料を閲覧することに同意する一文が入っています。交付申請では、上の表のうち登記事項証明書と土地・家屋の書類を出し直します。位置図などは、認定のときから変更がある場合だけです。そのほかに、建築基準法の検査済証の写し、取得費の請求書・領収書の写し、完成後の写真が要ります。
よく誤解されるポイント
「着工」は工事の開始日ではない
着手日は、契約日か発注日の早いほうです。市のチラシでは、事業計画で発注を含む最初の契約をした日と書かれています。工事の開始日ではないため、設計や設備の発注を先に済ませていると、30日前の期限はすでに過ぎています。
5,000万円は税抜きで数える
要綱は、消費税相当額を除いた額を取得費としています。税込みで5,000万円ちょうどの見積もりは、届かない可能性があります。
似た名前の別制度がある
市の同じ分類に「小規模企業者設備投資促進補助金」と「魅力ある個店創出支援補助金」があり、どちらも別のページです。5,000万円に満たない投資は、それらで条件が合うかを調べてください。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 契約・発注を先にした:認定申請の期限は契約か発注の30日前です。すでに契約した場合の扱いは、要綱には書かれていません。誓約書には先行発注理由書の項目がありますが、理由書の様式は市のページにないため、早めに商工業振興課へ相談してください。
- 5年以内に操業をやめた:操業開始から5年以内に操業を中止・廃止すると、交付の決定が全部または一部取り消され、返還を求められます。
- 補助で取得した財産を目的外に使った:目的外の使用・譲渡・交換・貸付・担保提供は、操業開始から5年のあいだ制限されます。担保にするには市長の承認が要ります。
- 抵当権を無断で付けた:抵当権を設定する場合は、事前の承認申請が必要です。対象は市の補助金のみに採択された企業で、県のAタイプに採択された企業は承認の対象外です。
- 交付申請が遅れた:交付申請は操業開始から1年以内です。工事の完了が遅れると、この期限に影響します。
要綱の失効日と今回の改正
要綱は2027年3月31日で失効します。同日以前に認定の申請をし、2029年3月31日までに交付の決定を受けた人は、従来どおりの扱いです。市のページは「認定申請期間中に認定を受けた後」と書いており、要綱の書き方とずれています。締切の間際に出す場合は、商工業振興課に確かめてください。
2026年4月1日以後に認定申請をした分から、補助金を2年に分割して交付できるようになりました。
県の補助金との併用以外に、ほかの補助金との併用を禁じる記載は、市のページにも要綱にもありません。
よくある質問
機械設備を入れるだけでも対象になりますか?
対象になります。工場等の新増設には、既設の工場の建物内に新たに機械設備を設置することも入り、設置に必要な建物の改修も含みます。ただし取得費の合計が5,000万円以上であることと、契約か発注の30日前までに認定申請を出すことが条件です。既存の機械を入れ替える場合が新たな設置に当たるかは書かれていないため、見積もりの前に市へ確認してください。
倉庫や物流施設を建てる場合は対象ですか?
対象外です。補助の対象は工場と研究所で、物流施設・倉庫・事務所など製造や開発の機能がない施設が建物の過半を占めると、工場として扱われません。製造ラインと倉庫を併設する場合は、製造や開発の機能がある部分が半分より多いかどうかが分かれ目です。判断がつかないときは、図面を持って商工業振興課に見てもらうのが確実です。
土地の購入費は補助されますか?
補助されません。対象になるのは、土地を除いた固定資産の取得費です。工業系新市街地で用地を取得する場合は補助率が上がりますが、建物や設備の取得費にかける率が高くなるという意味で、土地代が対象に入るわけではありません。資金計画では、土地代は全額が自己負担になる前提で見ておいてください。
中古の設備やリースは対象ですか?
中古資産の取得は対象です。リースは対象外で、導入の方法によって扱いが分かれます。同じ設備でも、購入するかリースにするかで補助の有無が変わるため、設備を選ぶ段階で契約の形を決めておく必要があります。リースを予定していた設備を購入に切り替えると、取得費に含められます。
5,000万円は税込みで数えますか?
税抜きです。要綱は、消費税相当額を除いた額を固定資産の取得費用としています。複数の設備や工事の取得費を合計して5,000万円以上になればよく、1件ごとの金額ではありません。見積書は税抜きの金額が分かる形で集めておくと、明細を出すときに整理しやすくなります。税込みでちょうど5,000万円の見積もりは、届かない場合があります。
常用雇用者10人は、どの範囲で数えますか?
新増設する工場等で、操業開始から5年間、10人以上を維持できることが条件です。数えるのは雇用保険の被保険者のうち、期間の定めなく雇われている人と、契約の更新を前提に1年以上雇われている人です。雇用保険に入っていない人は数えません。5年間の人員計画は、認定申請の書類で事業の見通しとして出すことになります。操業開始後に10人を下回ったときの扱いは、要綱に書かれていません。
大企業でも申請できますか?
申請できます。対象は中小企業・中堅企業・みなし大企業・大企業です。ただし大企業とみなし大企業は、同じ工場等の同じ業種で、この補助金か旧「中小企業投資促進補助金」の交付を受けたことがないことが条件です。市のページに補助率と上限額が載っているのは、工業系新市街地で用地取得等を伴う場合の1/25、上限5億円だけです。
愛知県の補助金との両採択とは何ですか?
愛知県の新あいち創造産業立地補助金のAタイプと、市の補助金の両方に採択されることです。両方に通ると、中小・中堅企業は補助率が上がり、上限額も5億円から10億円になります。県の補助金の条件や申請の時期は、県の案内で確かめる必要があります。県への申請の準備も、市の認定申請とあわせて早めに進めてください。
補助金はいつ受け取れますか?
操業を始めたあとです。工事の完了届と操業開始届を出し、操業開始から1年以内に交付申請をします。市が審査して交付を決定し、企業が請求して受け取ります。補助金は2年に分けて交付される場合があり、全額を一度に受け取れるとは限りません。工事費は先に払う前提で、資金繰りを組んでください。
申請はいつまでにすればよいですか?
認定申請の期間は、2027年3月31日までです。ただし個別の工事では、契約か発注の30日前までに出す必要があります。工事の完了と操業開始は2029年3月31日までです。この日程から逆算すると、設計や設備の発注に入る前に、認定申請の書類をそろえることになります。書類は11種類あるため、早めの準備が欠かせません。
認定を受けたあとに計画が変わったらどうなりますか?
計画変更の手続きは、市のページにも要綱にも書かれていません。一方で、着手と完了、操業の開始・中止・廃止は、そのつど届出が必要です。位置図などが認定のときと変わる場合は、交付申請で出し直します。計画を変えそうなときは、動き出す前に商工業振興課へ相談してください。
相談窓口はどこですか?
刈谷市役所 産業環境部の商工業振興課(電話 0566-62-1016)です。市のページにも、申請を考えている場合は商工業振興課へ相談するよう書かれています。専用の問い合わせフォームもあるため、図面や見積もりを手元に置いて、対象になる施設かどうかを事前に確かめておくと話が早く進みます。
