主KW: 岸和田市 奨学金返還 助成金
岸和田市の奨学金返還支援事業助成金には、本人版と企業版の2つがあります。奨学金を返している本人が申請するものと、従業員の返還を支援した企業が申請するもので、それぞれ別の制度です。
金額は、本人版が助成対象経費の3分の2以内・上限12万円、企業版が従業員1人あたり9万円または対象経費の2分の1のいずれか小さいほう・1事業者あたり上限45万円。申請受付はどちらも令和9年1月20日から2月26日までの年1回だけです。
そして重要なのは、この2つは併用できないという点です。会社が代理返還してくれている人は、本人版を申請できません。どちらを使うかは、実質的に会社が制度を導入しているかどうかで決まります。
あなたはどちらを申請するのか
3つの制度を並べます。いちばん右は大阪府の制度で、性格が違うので後で説明します。
| 岸和田市・本人版 | 岸和田市・企業版 | 大阪府・導入促進支援金 | |
|---|---|---|---|
| 申請するのは | 奨学金を返している本人 | 返還を支援した企業 | 制度を導入した事業者 |
| 助成額 | 対象経費の3分の2以内 | 1人9万円または対象経費の1/2の小さいほう | 制度の導入に対して支給 |
| 上限 | 12万円(1,000円未満切り捨て) | 45万円(1事業者あたり) | ― |
| 対象期間 | 令和8年1月1日〜12月31日の返還分 | 令和8年1月1日〜12月31日の返還分 | ― |
| 申請受付 | 令和9年1月20日〜2月26日 | 令和9年1月20日〜2月26日 | 令和7年度分は受付終了 |
| 併用 | 企業版とは併用不可 | 本人版とは併用不可 | 市の制度とは性格が別 |
本人版を選ぶ人:自分で奨学金を返していて、会社からの返還支援を受けていない方。
企業版を選ぶ会社:従業員の奨学金を代理返還している、または手当等として支給している市内の中小企業等。
大阪府の導入促進支援金は、返還額そのものではなく制度を新しく導入したことに対して支給されるものです。第1期・第2期とも受付を終えているため、今から申請することはできません。次期の募集については大阪府商工労働部雇用推進室就業促進課(06-6360-9074)にご確認ください。
どちらを申請するか決まったら、それぞれの制度の詳しい要件は個別の記事にまとめています。
企業版:1人9万円、上限45万円の計算
助成額は、次の小さいほうが適用されます。
- 従業員1人あたり9万円
- 対象経費の2分の1
1事業者あたりの上限は45万円。9万円で割ると、5人分でちょうど上限に到達します。
実際に計算してみます。
従業員3人に、年間15万円ずつ代理返還した場合 1人あたりの対象経費は15万円。その2分の1は7.5万円で、9万円より小さいので7.5万円が適用されます。3人分で22.5万円です。
従業員5人に、年間20万円ずつ代理返還した場合 1人あたりの対象経費は20万円。その2分の1は10万円で、9万円より大きいので9万円が適用されます。5人分で45万円。ここで上限に到達します。
従業員8人に、年間20万円ずつ代理返還した場合 1人あたり9万円で8人分だと72万円ですが、上限45万円で頭打ちです。6人目以降を追加しても助成額は増えません。
逆算すると、1人あたり年間18万円(月1.5万円)を支援すると、その人については9万円の上限に届きます。それ以上支援しても、その人に対する助成額は増えません。5人までなら人数を増やすほど有利、6人以上は上限で止まる、という設計です。
対象になる企業の条件
対象は、市内に事務所を有し、実態を伴う事業活動を行っている中小企業等です。次を満たす必要があります。
- 市税を滞納していないこと
- 雇用保険適用事業所であること
- 暴力団と関係がないこと
助成の対象になるのは、従業員への奨学金返還支援として代理返還(企業が奨学金の債権者に直接返還する方法)または手当等(通常の給与に加算して支給する方法)を実施している場合です。
対象になる従業員の条件
企業版でも、対象になる従業員には条件があります。
- 令和5年4月1日以降に正規雇用で採用されたこと
- 申請日時点で継続勤務中で、申請日以降6か月以上の継続勤務が見込まれること
- 大学在学中に奨学金の貸与を受け、自ら返還していること
- 助成金の交付年度末日時点で35歳未満であること
- 岸和田市内に住所があり、5年以上定住の意思があること
- 市税を滞納していないこと
35歳未満という年齢の条件と、市内に住所があるという条件が効きます。 市外に住んでいる従業員は、代理返還をしていても助成の対象になりません。何人分申請できるかを数えるときは、まずこの2点で絞り込んでください。
本人版:3分の2以内、上限12万円の計算
本人版の助成額は、助成対象経費の3分の2以内(上限12万円、1,000円未満切り捨て)です。
年間15万円を返還した場合 15万円 × 2/3 = 10万円。上限12万円の範囲内なので、10万円が助成されます。
年間20万円を返還した場合 20万円 × 2/3 = 約13.3万円。上限を超えるので、12万円になります。
逆算すると、年間18万円(月1.5万円)を返還していれば上限12万円に届きます。
対象になる人の条件
- 令和5年4月1日以降に市内企業と正規雇用契約を締結し、継続勤務していること
- 申請日以降6か月以上継続して勤務することが見込まれること
- 大学在学中に奨学金を借り、自ら返還していること
- 助成金の交付年度末で35歳未満であること
- 市内に住所があり、5年以上定住の意思があること
- 市税の滞納がないこと
- 暴力団関係者でないこと
- 他の公的補助や企業の返還支援を受けていないこと
最後の条件が、次の節につながります。
両方は使えません
本人版の要件には「他の公的補助や企業の返還支援を受けていないこと」が入っています。
つまり、会社が代理返還や手当等で支援してくれている人は、本人版を申請できません。会社が企業版で助成を受け、その従業員が本人版でも助成を受ける、という二重取りはできない仕組みです。
どちらになるかは、実質的に会社次第です。
- 会社が奨学金返還支援制度を導入している → 会社が企業版を申請する。従業員本人は本人版を申請できない
- 会社に制度がなく、自分で返している → 本人が本人版を申請する
自分がどちらに当たるか分からない場合は、給与明細を確認してください。奨学金返還にあたる手当が支給されているか、または会社が直接返還機関に振り込んでいるなら、企業版の世界です。
会社に制度がないなら、会社に導入を相談するという道もあります。企業側には、代理返還を行った場合の損金算入や、人材確保・定着といった利点があります。ただし制度の導入は会社の判断なので、この記事では踏み込みません。
60か月の数え方。ここでいちばん外れます
両方の制度に共通する、いちばん間違えやすい条件です。
対象になるのは、正規雇用を開始してから、最初の返還月を起点に60か月以内の返還分です。本人版も「正規雇用後、最初に返還した月から60か月経過する月まで」となっています。
61か月目以降の返還分は、企業が負担していても、本人が返していても、助成の対象になりません。
数え方を具体的に見ます。
令和5年4月に正規雇用され、令和5年5月から返還を始めた場合 起点は令和5年5月です。60か月後は令和10年4月。それ以降の返還分は対象外になります。
令和5年4月に正規雇用されたが、返還開始が令和6年10月だった場合 起点は令和6年10月です。60か月後は令和11年9月になります。返還の開始が遅ければ、その分だけ後ろにずれます。
このカウントは、雇用契約書に記載された日付と返還記録から自動的に進みます。 自己申告で伸ばすことはできません。企業版を申請する会社は、対象従業員それぞれについて返還開始月を把握しておく必要があります。5年目に入る従業員がいるなら、いつまで対象になるかを先に確認しておいてください。
令和8年1月〜12月という対象期間の区切り
助成の対象になるのは、令和8年1月1日から12月31日までに返還されたものです。年度(4月〜3月)ではなく、暦年での区切りである点に注意してください。
そして申請は、その期間が終わった後の令和9年1月20日から2月26日までに行います。1年分の返還実績をまとめて、年1回だけ申請する仕組みです。
このため、期中にやっておくことがあります。支払いの記録を残しておくことです。奨学金の貸与機関が発行する入金一覧表など、返還の実績が分かる書類が申請時に必要になります。年末になってから1年分を揃えようとすると手間がかかるので、代理返還のたびに記録を残しておくと楽になります。
申請は年1回。令和9年1月20日から
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受付期間 | 令和9年1月20日(水)〜2月26日(金) |
| 受付時間 | 午前9時〜午後5時30分(土日祝日を除く) |
| 窓口 | 岸和田市役所別館4階 産業政策課 労働政策担当 |
| 電話 | 072-423-9621 |
年1回しかありません。 この期間を逃すと、その年の返還分については申請できなくなります。1月20日から2月26日までの約5週間しかないので、年明けの予定に入れておいてください。
なお、企業版は令和8年度から新設された制度です。制度としては新しいので、過去に申請したことがある企業はありません。市内の中小企業で従業員の奨学金返還支援をしている場合は、今回が最初の機会になります。
必要書類と、期中に残しておくもの
企業版の主な提出書類
- 交付申請書
- 履歴事項全部証明書
- 対象従業員の労働条件通知書
- 雇用保険被保険者証の写し
- 奨学金貸与機関の入金一覧表(返還実績が分かるもの)
本人版の主な提出書類
- 交付申請兼実績報告書(様式第1号)
- 直近3か月以内の住民票
- 完納証明書または非課税証明書
- 在職証明書(様式第2号)
- 貸与機関からの入金一覧表等
- 誓約書(様式第3号)
どちらも共通して要るのが、貸与機関からの入金一覧表です。日本学生支援機構(JASSO)の場合は、スカラネット・パーソナルなどから返還状況を確認できます。発行に時間がかかることもあるので、申請期間に入る前に取り寄せておくと安心です。
本人版で必要な完納証明書または非課税証明書は、市税の滞納がないことを示す書類です。市役所の窓口で取得します。住民票は直近3か月以内のものが必要なので、早く取りすぎても使えません。1月に入ってから取得するのが確実です。
企業が代理返還を選ぶか、手当を選ぶか
企業版の対象になるのは、代理返還と手当等の2つの方法です。どちらでも助成の対象になりますが、実務上の違いがあります。
代理返還は、企業が奨学金の債権者(日本学生支援機構など)に直接返還する方法です。従業員の給与を経由しません。日本学生支援機構には、企業が返還残額の一部または全額を従業員に代わって直接送金する仕組みがあります。送金方法は払込取扱票と口座振替の2つで、口座振替の場合は1件あたり135円の手数料が企業負担になります。利用には専用ページでの手続きが必要で、電話またはFAXで申請してから2週間以内にログイン情報が郵送される流れです。口座振替を使う場合、支援期間は支援開始年月から1年(12か月)以内に制限されており、1年経過後は改めて登録が必要になります。
手当等は、通常の給与に加算して支給する方法です。給与に上乗せする形なので、従業員が実際に返還しているかどうかは本人任せになります。
岸和田市の助成では、どちらを選んでも1人あたり9万円または対象経費の2分の1のいずれか小さいほうという計算は変わりません。ただし手当等を選んだ場合、従業員が本当に返還に充てたかを示す入金一覧表が必要になる点は同じです。返還実績が確認できなければ、対象経費として認められません。
なお、代理返還と手当等では税務上の扱いが異なることがあります。この点は補助金の要件とは別の話なので、顧問税理士にご確認ください。
従業員が退職したらどうなるか
企業版の要件には「申請日時点で継続勤務中」「申請日以降6か月以上の継続勤務が見込まれる」が含まれています。
つまり、令和8年中に代理返還をしていても、申請する令和9年1月〜2月の時点でその従業員が退職していれば、その分は申請できません。年の途中で退職した従業員の返還分は、対象から外れることになります。
逆に言えば、申請時点で在籍していて、その後6か月以上続く見込みがあれば対象になります。「見込み」なので、申請後にやむを得ず退職したケースまで遡って取り消されるとは書かれていませんが、判断が微妙な場合は産業政策課労働政策担当(072-423-9621)へ確認してください。
この条件があるため、企業版は定着している従業員に対して使う制度という性格になります。人材の確保と定着を促すという制度の狙いが、要件に表れています。
大阪府内の他市町村にも同じ制度があります
大阪府が公表している一覧によると、府内では次の自治体が奨学金返還支援制度を設けています。
| 市町村 | 制度名 | 対象 |
|---|---|---|
| 岸和田市 | 奨学金返還支援事業助成金(本人版) | 本人 |
| 岸和田市 | 奨学金返還支援事業助成金(企業版) | 企業 |
| 茨木市 | 大学奨学金利子補給事業給付金 | 本人 |
| 松原市 | 中小企業奨学金返還支援事業補助金 | 企業 |
| 大東市 | 未来人材奨学金返還支援補助金 | 企業 |
| 和泉市 | 奨学金返還支援補助金 | 企業 |
| 富田林市 | 奨学金返還支援助成金 | 企業 |
| 守口市 | 奨学金返還助成金 | 企業 |
| 岬町 | 奨学金返還支援事業助成金 | 企業 |
本人が申請できる制度を持っているのは、府内では岸和田市と茨木市だけです(岸和田市は助成、茨木市は利子補給)。他はすべて企業向けで、従業員本人が直接申請できるものではありません。
大阪府のページには「掲載している自治体以外にも、制度を導入している場合があります」という注記があります。岸和田市以外にお住まいの方、または他市に事業所がある企業は、その市町村の商工担当課に直接お問い合わせください。
岸和田市には、事業者向けの補助金が他にもあります
企業版を検討している市内の事業者向けに、岸和田市が実施している他の制度も挙げておきます。
- 「がんばる岸和田」企業経営支援補助金(デジタル化促進):上限30万円、対象経費の2分の1(千円未満切り捨て)。受付は令和9年1月29日まで
奨学金返還支援は人材の確保・定着に効く制度ですが、業務のデジタル化や設備投資には別の制度があります。同じ経費に複数の補助金を重ねることはできませんが、別々の経費であればそれぞれ申請できます。窓口はいずれも産業政策課です。
国の制度では、従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)であれば小規模事業者持続化補助金が使えます。こちらは販路開拓の取組が対象で、補助率2/3・上限50万円(特例で最大250万円)です。奨学金返還支援とは目的が違うので、あわせて検討する価値があります。
よくある質問
会社が代理返還してくれています。本人版も申請できますか?
できません。本人版の要件に「他の公的補助や企業の返還支援を受けていないこと」が含まれています。会社が代理返還または手当等で支援している場合、その従業員は本人版の対象外です。この場合は会社が企業版を申請することになります。
助成はいくらもらえますか?
本人版は助成対象経費の3分の2以内で上限12万円(1,000円未満切り捨て)です。企業版は従業員1人あたり9万円または対象経費の2分の1のいずれか小さいほうで、1事業者あたり上限45万円です。企業版は5人分で上限に到達します。
返還を始めて6年目です。まだ対象になりますか?
なりません。対象になるのは、正規雇用の開始後、最初の返還月を起点に60か月以内の返還分です。61か月目以降は、企業が負担していても本人が返していても対象外になります。起点は返還を始めた月なので、返還開始が遅かった方は残り期間が長くなります。
市外に住んでいる従業員の分も申請できますか?
できません。対象になる従業員の条件に「岸和田市内に住所があり、5年以上定住の意思があること」が含まれています。市内に事務所を有する企業であっても、従業員が市外在住であれば、その分は対象になりません。
申請はいつでもできますか?
できません。受付期間は令和9年1月20日(水)から2月26日(金)までで、年1回のみです。受付時間は午前9時から午後5時30分(土日祝日を除く)。対象になるのは令和8年1月1日から12月31日までに返還されたもので、1年分をまとめて申請します。
