ものづくり補助金やIT導入補助金に採択されても、設備や経費の自己負担は残ります。その残りが重くて、賃上げまで手が回らない会社は少なくありません。熊本県のこの補助金は、国や県の補助事業を使った事業者の自己負担を、さらに1/10まで軽くします。
対象は、熊本県内に主たる事業所がある中小企業等(法人・個人)です。上限は1件あたり最大200万円。申請期間は2026年2月2日から2027年1月29日までで、予算額に達した場合は期限前でも受付が終わります。この補助金は単独では申請できず、国・県の補助事業で採択と交付確定を受けていることが前提です。
熊本県 生産性・売上げ向上後押し事業補助金の要点まとめ
正式名:【第2弾】熊本県中小・小規模事業者生産性・売上げ向上後押し事業補助金
だれが
- 申請者
- 事業者(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 国・県の補助事業の自己負担分の軽減(賃上げが要件)
- 対象地域
- 熊本県(県内に主たる事業所があること)
- 従業員数
- 公式ページに記載なし(事務局へお問い合わせください)
いくら
- 補助上限額
- 最大200万円(1件あたり。補助事業ごとに上限あり)
- 補助率
- 補助事業ごとに異なる(7/30、2/5、3/20など)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年2月2日〜2027年1月29日(予算額に達し次第終了)
- 事業の完了
- 公式ページに記載なし(事務局へお問い合わせください)
手元の補助金は、この制度の「土台」になる?
最初に確かめるのは、すでに使った(または使っている)国・県の補助事業です。県が指定した補助事業は次のとおりです。
- 熊本県:くまもと型小規模事業者経営発展支援事業補助金、後継ぎ応援事業補助金
- 国:小規模事業者持続化補助金、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金、IT導入補助金/デジタル化・AI導入補助金、中小企業省力化投資補助金、事業再構築補助金、事業承継・引継ぎ補助金/事業承継・M&A補助金、中小企業新事業進出補助金、中小企業成長加速化補助金、大規模成長投資補助金(中小企業者に限る)、業務改善助成金(令和7年度事業以降のもの)
名前が載っていても、枠やコースによっては対象にならないものがあります。くまもと型応援補助金は、この補助金の対象になりません。名前が似ているので取り違えやすい点です。
うちの会社は対象になる?
次の5つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ くまもと型応援補助金を使った
- ✕ 採択が令和6年5月23日より前
- ✕ 過去に本補助金の対象になった事業
採択日は、令和6年5月23日以降であることが条件です。そのうえで、交付の確定まで受けている必要があります。交付の確定とは、補助事業の実績報告が終わり、最終的な支給額が正式に決まった状態のことです。採択されただけでは足りません。
賃金の引き上げは、令和7年9月4日以降に、令和7年度の熊本県最低賃金を超える額(時給1,035円以上)まで上げていることを指します。すでに最低賃金を超えていた会社は、さらに上げた場合が対象です。ここでいう従業員には、役員、個人事業主本人、事業専従者、産休・育休・介護休業・休職中の人は入りません。パートやアルバイトは入ります。従業員がいなかった事業者でも、令和7年9月4日以降に新しく雇って賃金を引き上げていれば対象です。
パートナーシップ構築宣言とは、取引先との適正な取引や共存共栄に取り組むことを自社で宣言し、専用のポータルサイトに登録する仕組みです。
中小企業者等の業種ごとの基準は、公式ページに載っていません。申請要領か事務局(096-223-6801)で確かめられます。
いくら戻ってくる?
計算の形は、国・県の補助事業の対象経費に、補助率をかけます。千円未満は切り捨てです。
国・県の補助率とこの補助金の補助率を合わせて9/10、上限は200万円と決まっています。残る自己負担は1/10です。補助率と上限は、国・県の補助事業の種類ごと、枠ごとに別の表(別表2)で決まっています。
| 補助事業 | この補助金の補助率 | 上限額 |
|---|---|---|
| くまもと型小規模事業者経営発展支援事業補助金 | 7/30 | 70万円 |
| 後継ぎ応援事業補助金 | 7/30 | 35万円 |
| 中小企業新事業進出補助金 | 2/5 | 200万円 |
| 大規模成長投資補助金(中小企業者に限る) | 17/30 | 200万円 |
表の4行は一例です。ほかの補助事業は、枠やコースごとに7/30、2/5、3/20、1/10などに分かれます。
- 補助率2/5・上限200万円の枠で、対象経費が400万円:400万円 × 2/5 = 160万円
- 同じ枠で、対象経費が600万円:600万円 × 2/5 = 240万円 → 上限の200万円
- 補助率7/30・上限35万円の枠で、対象経費が90万円:90万円 × 7/30 = 21万円
- 同じ枠で、対象経費が200万円:200万円 × 7/30 = 46万6,000円(千円未満切り捨て) → 上限の35万円
上限に届くのは、2/5の枠なら対象経費が500万円のときです。7/30で上限35万円の枠なら、150万円で届きます。国・県の補助事業に対象経費の上限があるときは、その上限までの経費で計算します。
申請の流れ:つまずきやすいのは順番
- 国・県の補助事業で採択と交付確定を受ける(事業者→国・県の事務局。令和6年5月23日以降の採択)
- 全従業員の賃金を引き上げる(事業者。令和7年9月4日以降、時給1,035円以上に)
- パートナーシップ構築宣言を登録する(事業者→ポータルサイト)
- 書類をそろえて電子申請する(事業者→熊本県の電子申請フォーム。2027年1月29日まで)
一番時間がかかるのは1です。採択から交付確定までは補助事業の側の進み方で決まり、この補助金の側からは動かせません。賃金の引き上げは令和7年9月4日以降のものだけが数えられます。それより前に上げた賃上げは、対象になりません。
必要な書類
準備できた 0 / 9
採択日の資料は、採択通知書か採択者一覧です。最終の経費の資料は、業務改善助成金以外なら実績報告詳細(Jグランツ上)など、業務改善助成金なら国庫補助金精算書です。賃金台帳は連続する2か月分で、引き上げ前と引き上げ後を出します。給与明細・出勤簿・源泉徴収簿では受け付けてもらえません。セルフチェックシートは月給・日給の従業員がいるときだけ、本人確認書類は個人事業主のときだけ要ります。審査の中で、ここにない書類を求められることもあります。申請フォームは途中保存ができないので、入力内容は画面を印刷して残しておきます。
申請の前に、申請要領(ver.3)を確かめてください。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 対象外の補助事業だった:県が指定した補助事業でも、枠やコースによっては対象になりません。くまもと型応援補助金も対象外です。
- 採択日が古かった:令和6年5月23日より前に採択された補助事業は対象になりません。
- 以前に使った補助事業を重ねた:過去に本補助金の交付対象になった補助事業は除かれます。
- 賃上げが一部の従業員だけだった:対象は全従業員の賃金の引き上げです。最低賃金を超えていたときも、さらに上げた場合に限ります。
- 予算が先になくなった:期限は2027年1月29日ですが、予算額に達すると前でも終了します。
よくある質問
この補助金だけを単独で申請できますか?
できません。国・県の補助事業で採択と交付確定を受けた事業者が対象です。まだ何の補助金も使っていない事業者は、先に対象の補助事業への申請を検討する必要があります。そのうえで全従業員の賃金の引き上げとパートナーシップ構築宣言も要ります。3つがそろって初めて申請できる、二階建ての制度です。
どの国・県の補助金が土台になりますか?
県が指定した補助事業です。熊本県のくまもと型小規模事業者経営発展支援事業補助金と後継ぎ応援事業補助金、国の小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金、IT導入補助金、中小企業省力化投資補助金などが並びます。ただし枠やコースによっては対象にならないものがあります。手元の補助金が当てはまるかは、申請要領か事務局(096-223-6801)で確かめてください。
採択日にも条件はありますか?
あります。令和6年5月23日以降に採択を受け、さらに交付の確定を受けていることが条件です。業務改善助成金は令和7年度事業以降のものに限ります。採択通知書や採択者一覧など、採択日がわかる資料を申請に付けます。採択が古い補助事業は、いくら自己負担が残っていても使えません。
賃金はいつから、いくらまで上げればいいですか?
令和7年9月4日以降に、令和7年度の熊本県最低賃金を超える額(時給1,035円以上)まで引き上げていることが条件です。すでに最低賃金を超えていた会社は、さらに引き上げた場合が対象になります。賃金台帳を引き上げ前と引き上げ後の連続する2か月分で出し、引き上げの事実を示します。
役員や家族も賃上げの対象に入りますか?
入りません。この補助金の従業員には、役員、個人事業主本人、事業専従者、産休・育休・介護休業・休職中の従業員などが含まれません。賃上げを確認するのは、これらを除いた全従業員です。家族で営む事業で、従業員が事業専従者だけの場合の扱いは公式ページに書かれていません。事務局へ先に確かめると安心です。
パートナーシップ構築宣言はどこで登録しますか?
専用のポータルサイト(biz-partnership.jp)で登録します。取引先との適正な取引や共存共栄に取り組むことを宣言し、公表する仕組みです。申請には、登録したことを示す資料を付けます。登録がまだの会社は、申請の前に済ませてください。登録にかかる日数は、公式ページに書かれていません。
補助率と上限額はいくらですか?
1件あたりの上限は200万円です。国・県の補助率とこの補助金の補助率を合わせて9/10になるよう、補助事業ごと・枠ごとに率と上限が決まっています。たとえば補助率2/5・上限200万円の枠なら、対象経費が400万円のとき160万円です。自社の補助事業の率は、別表2か申請要領で確かめてください。
申請はいつまでにすればいいですか?
2026年2月2日から2027年1月29日までです。予算額に達した場合は、期限前でも受付が終わります。書類は賃金台帳や通帳の写しなど、そろえるのに時間がかかるものがあります。国・県の補助事業の交付確定が済んでいて、賃上げとパートナーシップ構築宣言も終わっているなら、早めに出すほうが安全です。
くまもと型応援補助金を使った場合はどうなりますか?
この補助金の対象になりません。公式ページに注意書きがあり、「くまもと型応援補助金」は本補助金の対象外です。一方で、くまもと型小規模事業者経営発展支援事業補助金は対象に入っています。名前が似ているので、手元の交付決定通知書で補助金の正式名を確かめてください。
第1弾に申請した事業者は、第2弾も使えますか?
令和8年1月まで実施していた同様の制度を拡充して、2月から第2弾として実施しています。第1弾の申請者が第2弾に申請できるかは、公式ページに書かれていません。ただし過去に本補助金の交付対象になった補助事業は除かれます。第1弾で使った補助事業と別の補助事業なら対象になるか、事務局に確かめてください。
個人事業主でも申請できますか?
できます。対象は熊本県内に主たる事業所を有する中小企業者等(法人・個人)です。個人事業主は、運転免許証(両面)などの本人確認書類を付けます。賃上げの確認の対象に個人事業主本人は含まれません。従業員がいない事業者でも、令和7年9月4日以降に新しく雇って賃金を引き上げていれば対象になると、申請要領に書かれています。国・県の補助事業で採択と交付確定を受けていることは、法人と同じく条件です。
申請方法と問い合わせ先はどこですか?
熊本県のホームページから電子申請フォームで申請します。申請要領(ver.3)を読んで、添付書類をそろえてから出します。問い合わせは、後押し補助金事務局です。電話は096-223-6801で、受付は平日の9時から17時(祝日・年末年始を除く)です。
