地震で傷んだ施設の復旧工事は、保険で払える分を引いても、まとまった額が残ります。令和8年熊本地震で被災した介護サービス事業所・高齢者施設には、建物の復旧費の5/6を国と県が負担する補助金があります。
条件は、保険などで補われた分を引いた復旧額(協議額)が、1件につき80万円以上あることです。協議書の提出期限は2026年9月18日と、追加対象の10月16日(必着)で、どちらも過ぎています。公式ページに追加の締切は載っていません。
社会福祉施設等災害復旧費国庫補助金の要点まとめ
正式名:令和8年熊本地震に係る社会福祉施設等災害復旧費国庫補助金<建物>
だれが
- 申請者
- 事業者(介護サービス事業所・施設の設置者)
- 対象業種
- 医療、福祉(介護サービス事業所・高齢者施設)
- 利用目的
- 被災した建物の災害復旧(協議額80万円以上)
- 対象地域
- 熊本県(熊本市内の事業所は熊本市が窓口)
- 従業員数
- 規定なし
いくら
- 補助上限額
- 公式ページに記載なし
- 補助率
- 5/6(一部の事業所を除く)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 協議書の提出は2026年10月16日(必着)まで
うちの施設は対象になる?
次の4つに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 保険控除後の復旧費が80万円未満
- ✕ 壁掛け式エアコンだけの復旧
- ✕ 職員宿舎の復旧
- ✕ 設備の補助金と重複する経費
対象の施設・事業所は、老人デイサービスセンター、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、認知症高齢者グループホーム、小規模多機能型居宅介護事業所、訪問看護事業所、地域包括支援センターなどです。設置者の種類(市町村・社会福祉法人・医療法人・営利法人)で対象になる施設が分かれます。県の「補助対象施設及び補助率一覧表」で自分の施設を探してください。
80万円は事業所ごとに数えます。電気工事と水道工事のように工事が分かれても、合算して80万円以上あれば足ります。同じ場所で複数の施設を運営しているときは、複合施設として合算します。
熊本市内の事業所は、県ではなく熊本市が窓口です。
老人短期入所施設は、営利法人(株式会社など)が対象になるのは虐待のほか要介護者の急な疾病等に対応する緊急ショートステイに限られます。有料老人ホームは、平成28年4月14日(前回の熊本地震の発生日)以前から運営しているか、要介護3以上の人などを入居対象とする「登録有料老人ホーム」相当のものが対象です(国の特例措置通知)。
いくら戻ってくる?
協議額に補助率5/6を掛けた額が補助の目安で、残りの1/6は設置者の負担です。公式ページに上限額の記載はありません。
- 協議額120万円 × 5/6 = 100万円
- 協議額600万円 × 5/6 = 500万円
- 修繕費300万円のうち保険が100万円:協議額200万円 × 5/6 = 約166万円
- 修繕費の見積が合計78万円:80万円に届かないので対象外
協議額は、保険などで補われる分を引いた金額です。寄付金や保険金を受け取ったときは、受け取った日と金額が分かる資料を協議書に付けます。補助率が5/6でない行も県の一覧表にはあります。実際の額は国の査定で決まるため、ここの数字は目安として読んでください。
何が対象で、何が対象外?
対象にならないもの
- 既存建物の買収(買収のほうが復旧より効率的と認められる場合を除く)
- 借りている土地・施設の復旧(維持管理の責任が設置者にあると証明できる範囲は除く)
- 職員宿舎の費用
- 設備災害復旧費補助金と重複している経費
- 「くまもと事業者再出発支援補助金」(県商工振興金融課)を受ける分
- 耐震などの強化工事(原形復旧が原則。原形復旧の額に自己負担を足して強化する工事は妨げない)
- 壁掛け式のエアコン(天井や壁に埋め込まれたエアコンは対象)
- 明らかな設計ミスや施工の粗漏が原因の災害
対象になるもの
- 建物と、建物と一体の設備の復旧に要する工事費・工事請負費
- 工事事務費(設計監理料など。総工事費の2.6%が限度)
- 見積の諸経費(工事費の15%が限度)
- 井戸の調査・洗浄・検査(県のQ&Aで対象とされています)
申請の流れ
順番でいちばん気をつけたいのは、写真です。復旧作業は協議書を出す前に始めて構いませんが、被害が確認できないと国の査定で対象外になります。
- 被害を撮影する(設置者→施設。メジャーを当てて、窓ガラスは割れた全部を。動画も有効)
- 修繕の見積を取る(設置者→工事業者。公式ページは3社以上を取って保管するよう案内)
- 協議書を県に出す(設置者→熊本県 高齢者支援課 施設介護班。郵送・持参・メールのいずれか。2026年9月18日または10月16日必着)
- 国の承認を待つ(県が厚生労働大臣に協議する。協議額は国の査定で決まる)
- 承認後に県へ交付申請する(申請額一覧表・事業計画書・収支予算書など。提出期限は県が別に定める)
- 着工と完了を10日以内に報告する(設置者→県。県の別紙4の様式)
- 実績報告と精算交付申請を出す(設置者→県)
協議書は市町村を通さず、県に直接出します。
必要な書類
準備できた 0 / 10
理由書は、見積書が1者分だけのときに付けます。面積按分表は、複数の施設が同じ建物にあるとき、施設ごとの面積(専有部分と、専有面積の比で按分した共用部)で協議額を出すために使います。罹災証明書は市町村から受け取っているとき、修理不能証明書は機械内部の故障など写真で被害が確認できないとき、保険金などの資料は受け取ったときに付けます。見積書は、写真の被災箇所と数量が合うように、共通の番号を付けてください。被害写真には、撮影した場所を図面に書き込みます。設備の被害は、備品台帳と突き合わせて確認できる写真が必要です。協議額は税込みでも税抜きでも構いませんが、税込みで出すと、完了後に消費税の仕入控除税額の報告と返還が生じることがあります。
補助が出なくなるのはどんなとき?
- 被害の写真がない:被害が確認できないと、国の査定で補助の対象外になります。
- 保険控除後の額が80万円に届かない:保険などで補われた分を引いて80万円未満になると対象外です。
- 提出期限を過ぎた:協議書は2026年10月16日(必着)が最後の期限として案内されています。
8月に対象施設が増えている
県のページには、当初の対象(9月18日期限)と、8月28日に追加された対象(10月16日期限)があります。追加分には、医療法人・一般社団法人などが設置するデイサービスセンターや短期入所施設、一定の要件を満たす有料老人ホーム、訪問介護、訪問入浴介護、福祉用具貸与、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、居宅介護支援の各事業所が入ります。
公式ページには、9月18日に間に合わない場合は10月16日でも可能とあります。ただし提出が10月16日の間際になると、資料の修正を短期間で求められると書かれています。
よくある質問
協議書の提出期限は過ぎていますか?
県のページに載る期限は、当初の対象が2026年9月18日、追加された対象が10月16日(必着)です。9月18日に間に合わない場合も10月16日まで受け付けると案内されており、どちらも過ぎています。公式ページに追加の期限は載っていません。被災した建物の復旧がこれから決まる場合は、県の高齢者支援課(電話 096-333-2217)に、受け付けが続いているかを確かめてください。
保険に入っていても使えますか?
使えます。ただし対象になる金額は、保険などで対応される分を引いた額です。県のQ&Aでは、復旧に要する費用から保険等で対応する金額を引いた額が80万円以上であれば補助対象になると答えています。たとえば修繕費が300万円で保険が100万円出るなら、協議額は200万円です。保険金の見込みは、協議書を作る前に保険会社に確かめておくと、金額を決めやすくなります。
協議書を出す前に修理を始めてもいいですか?
県のQ&Aでは、補助金の申請前に復旧作業を行ってよいとされています。ただし、被害の状況が分かる写真や必要な証明書を残しておく必要があります。被害が確認できないと、国の査定で補助の対象外になります。工事の前に建物全体と傷んだ箇所を、メジャーを当てて撮影してください。動画から静止画を切り出した写真でも構いません。
80万円は工事ごとに必要ですか?
工事ごとではありません。電気工事で80万円、水道工事で80万円と別々に求められるのではなく、合算して1件につき80万円以上あれば足ります。単位は事業所ごとです。同じ場所で複数の社会福祉施設等を運営している複合施設では、施設全体で80万円以上かどうかを見ます。金額は保険で対応される分を引いたあとの額です。
補助率はどのくらいですか?
県のページでは5/6(一部の事業所を除く)です。国と県が5/6を負担し、法人の負担は1/6という表になっています。県の一覧表には3/4の行もあります。施設の種類で率が変わるため、自分の施設がどちらに当たるかは県の「補助対象施設及び補助率一覧表」で確かめてください。上限額は公式ページに記載がありません。
壁掛け式のエアコンは対象になりますか?
壁掛け式のエアコンは対象外です。県のQ&Aでは、施設の復旧と一体的に復旧されるものに当たらないとされています。天井や壁に埋め込まれたエアコンは対象です。空調の入れ替えを復旧に含めたいときは、見積書でエアコンの種類を分けて書いてもらうと、協議額に入れる分と入れない分を整理しやすくなります。
熊本市内の事業所はどこに出しますか?
熊本市内の事業所は、県ではなく熊本市が窓口です。県のページにもそう書かれています。このページの協議書の提出先は、熊本県健康福祉部 長寿社会局 高齢者支援課 施設介護班(熊本市中央区水前寺6丁目18-1)で、市町村を経由せず直接提出します。熊本市の事業所は、市の担当課に提出方法と期限を確かめてください。
見積書は何社分が必要ですか?
県のページは、修繕にあたって見積を3社以上取り、保管しておくよう案内しています。協議書に付ける見積書は1者から3者の分で、1者分だけのときは理由書を付けます。見積の内訳は、工事の種類が分かる形にしてもらうと、協議額の確認が進みやすくなります。工事の遠方からの出張費やガソリン代は、労務費や材料費として整理できるものがあります。
協議額は税込みと税抜きのどちらで書きますか?
どちらでも構いません。ただし税込みで書いた場合、補助事業の完了後に消費税の申告で仕入控除税額が確定し、県へ報告します。その結果、補助金に係る分の全部または一部を返還することがあります。税の扱いに迷うときは、県の担当課に確かめてから金額の書き方を決めると安心です。
井戸の修繕や調査も対象になりますか?
県のQ&Aでは、井戸等(配管を含む)が被害を受けた場合の、業者による井戸調査、井戸の洗浄、検査も対象になるとされています。遠方の業者に頼んだときの出張の交通費や宿泊費は労務費、機材を運ぶガソリン代は材料費として整理されます。見積書には、経費の性質が分かるように書いてもらってください。
営利法人(株式会社など)でも対象になりますか?
施設の種類によります。県のページでは、老人デイサービスセンターは市町村と社会福祉法人が対象で、認知症対応型だけは営利法人も対象です。老人短期入所施設の営利法人は、緊急ショートステイなどに限られます。設置者の種類ごとに対象かどうかが県の一覧表に載っているので、自分の法人形態の欄を確認してください。一覧表には、法人形態によって別の補助金(県商工振興金融課所管の自治体連携型補助金)の対象になると書かれた施設もあります。迷うときは県の高齢者支援課に確かめてください。
着工と完了の報告は必要ですか?
必要です。県の交付要領では、補助事業者は工事の着工と完了について、10日以内に別紙4の様式で県に報告します。やむを得ない理由で事業が年度内に終わらないときは、別紙5で県の承認を受けます。完了後は、実績報告と精算交付申請を出します。工事の日程を決めたら、報告の期限も予定表に入れておくと忘れにくくなります。
