「協調支援型特別保証制度」という名前を見て、返済不要のお金がもらえる制度だと思っていませんか。違います。これは借りたお金を返す必要がある信用保証制度です。 国が肩代わりしてくれるのは、融資そのものではなく、金融機関から借りるときにかかる保証料の一部だけです。
対象は、原材料の価格高騰・物価高・人手不足の影響を受けている中小企業者です。保証限度額は2億8,000万円。ただし、使うには2つの条件を両方満たす必要があります。
- 申込金融機関から、この保証付き融資の実行と原則同時に、保証付き融資額の1割以上(融資期間12か月以上)のプロパー融資(信用保証協会の保証が付かない、金融機関がリスクを直接負う融資)を受けること
- 申込金融機関の支援を受けながら自ら経営行動計画を策定し、計画の実行と進捗の報告を行うこと
保証付き融資だけで完結する制度ではなく、金融機関のプロパー融資と組み合わせて使う設計になっている点が、一般的な信用保証制度との大きな違いです。
協調支援型特別保証制度の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(中小企業者) |
| 制度名 | 協調支援型特別保証制度 |
| 対象業種 | 全業種(信用保証協会の保証対象業種。原材料価格高騰・物価高・人手不足の影響を受けていること) |
| 利用目的 | 資金繰り・省力化投資など、経営課題解決に向けた資金調達(信用保証) |
| 対象地域 | 全国 |
| 従業員数 | 中小企業者(中小企業信用保険法上の中小企業者。業種ごとに資本金・従業員数の基準が定められています) |
| 補助上限額 | 保証限度額2億8,000万円。国が補助するのは融資額ではなく信用保証料の一部 |
| 補助率 | 保証料率0.45%〜1.90%のうち、申込時期に応じて1/2〜1/4相当を国が補助(下記参照) |
| 申請受付 | 2025年3月14日〜2028年3月31日(3年間の時限措置)。申込先は取扱金融機関 |
| 公式サイト | 中小企業庁「物価高や人手不足等の影響を受けている中小企業者に向けた新しい保証制度の取扱いを開始します」 |
図: 協調支援型特別保証制度の全体像。詳しくは本文で解説します
保証料の補助は「今」が有利【申込時期で1/2→1/3→1/4に下がる】
保証料そのものは0.45%〜1.90%ですが、そのうち国が補助する割合は、申込時期によって段階的に下がっていきます。
| 保証申込の時期 | 保証料補助の割合 |
|---|---|
| 2025年3月14日〜2026年3月31日 | 1/2相当 |
| 2026年4月1日〜2027年3月31日 | 1/3相当(現在この期間) |
| 2027年4月1日〜2028年3月31日 | 1/4相当 |
※プロパー融資の併用要件を満たさず、経営行動計画の策定・報告のみで申し込む場合は、時期を問わず1/4相当になります。
本記事の執筆時点(2026年8月)は「1/3相当」の期間にあたります。1年前に申し込んでいれば1/2相当の補助を受けられていたことになり、逆に来年4月以降は1/4相当まで下がります。使う予定があるなら、先送りするほど不利になる制度です。
対象になる/ならないの線引き
| 対象になる | 対象にならない |
|---|---|
| 保証付き融資と同時に、その1割以上のプロパー融資を金融機関から受けられる中小企業者 | プロパー融資を組み合わせられず、保証付き融資だけで資金調達したい事業者(一般の保証制度の対象にはなり得ます) |
| 自ら経営行動計画を策定し、進捗を報告できる事業者 | 経営行動計画の策定・報告を行う体制が取れない事業者 |
プロパー融資の併用が前提の制度なので、金融機関側が「保証付き融資だけでよい」と判断した場合は使えません。申込の際は、この制度を使いたい旨を先に金融機関に伝え、プロパー融資の可否を確認しておく必要があります。
似た名前の制度との違い
同じ中小企業庁の案内ページには、コロナ禍で借入が過大になった事業者向けの「経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)」という別の保証制度も掲載されています。こちらは経営サポート会議や中小企業再生支援協議会等が作成した再生計画にもとづく制度で、自分だけでは申し込めません。物価高・人手不足への対応が目的の協調支援型特別保証制度とは、対象者も申込の流れも異なります。
よくある質問
Q. この制度でもらえるお金はありますか?
A. ありません。借りた融資は全額返済が必要です。国が補助するのは、信用保証協会に支払う保証料の一部だけです。
Q. プロパー融資を受けられる金融機関の取引がない場合はどうすればよいですか?
A. この制度の要件を満たせません。まずは取引金融機関にプロパー融資の可否を相談し、応じてもらえない場合は他の保証制度の利用を検討してください。
Q. 経営行動計画は自分で書けますか?
A. 「自ら策定する」ことが要件ですが、申込金融機関の支援を受けながら作成する前提の制度です。金融機関に相談しながら進めてください。
