水道や下水道の設備更新に、国の補助金は使えるのか。使えます。環境省の「水インフラにおける脱炭素化推進事業」は、再エネ設備や省エネ設備を入れる費用の1/3〜1/2を補助します。上限は設備導入が事業期間全体で1億円、電力の地産地消モデルが2.5億円です。
令和7年度予算の四次公募は、2026年9月18日17時必着で受付を終えています。公募要領の条件は回ごとに変わっていて、四次公募でも一次・二次からの変更点が示されています。次回の日程は一次情報に書かれていません。契約・発注は交付決定のあとで、先に動くと補助の対象外になります。
水インフラ脱炭素化推進事業の要点まとめ
正式名:水インフラにおける脱炭素化推進事業
だれが
- 申請者
- 水インフラの管理者・自治体・民間企業
- 対象業種
- 上下水道・工業用水道・集落排水・ダム等の施設
- 利用目的
- 再エネ・省エネ設備の導入、電力の地産地消
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 規定なし
いくら
- 補助上限額
- 最大2.5億円(地産地消)、設備導入は1億円
- 補助率
- 設備導入1/3〜1/2、地産地消1/2
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年6月18日〜2026年9月18日17時(必着)
- 事業の完了
- 令和8年度分は2027年2月19日まで
うちの施設は対象になる?
事業は2種類あり、それぞれ公募要領が別です。設備導入は、水道・下水道などの施設に再エネ設備や省エネ設備を入れる事業です。地産地消モデルは、水インフラで使い切れないほど発電できる場合に、民間事業者が発電して周辺地域へ電気を供給する事業です。
設備導入が対象になるのは、次のすべてに当てはまる場合です。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 施設の外に設置する設備
- ✕ 運転に関係ない照明・空調
- ✕ 災害時にしか使わない蓄電池
- ✕ 売電する前提の設備
申請できる者は、水道事業者・水道用水供給事業者、公共下水道管理者・流域下水道管理者、工業用水道事業者、地方公共団体です。民間企業は、これらと共同で申請する場合に限られます。地産地消モデルは、民間企業や地方公共団体、水道事業者、工業用水道事業者が申請できます。
設備導入にはCO2の削減要件もあります。太陽光発電は、施設全体のCO2排出量を10%以上減らせることか、パネルとPCS(パワーコンディショナ。発電した電気を使える形に変える装置)の出力がどちらも250kW以上であることが条件です。省エネ設備は、導入前と比べてCO2排出量を15%以上減らせることが条件です。
設備導入と地産地消のちがい
| 区分 | 設備導入 | 地産地消モデル |
|---|---|---|
| 内容 | 再エネ設備・省エネ設備を入れる | 小水力発電で余った電気を周辺へ供給する |
| 対象施設 | 水道・下水道・工業用水道・集落排水・ダム | 水道・工業用水道・河川管理施設・砂防施設 |
| 補助率 | 1/3または1/2 | 1/2 |
| 上限 | 事業期間全体で1億円 | 事業期間全体で2.5億円 |
| 事業期間 | 原則単年度(2年度以内も可) | 2年度以内が基本(3年度も可) |
いくら補助される?
補助額は、対象経費に補助率を掛けた額以内です。1,000円未満は切り捨てます。補助率は設備ごとに決まります。
- 太陽光発電設備と、CO2削減率が15%以上30%未満の省エネ設備:1/3
- 太陽光以外の再エネ設備と、CO2削減率が30%以上の省エネ設備:1/2
- 地産地消モデル事業:1/2
上限は、設備導入が事業期間全体で1億円、地産地消モデルが2.5億円です。複数の施設を一体で申請しても、上限は単一施設と同じです。
消費税は、申告で控除できる分(仕入控除税額)を除いて補助額を計算します。確定したあとで精算減額か返還になる場合があります。
上限に届く対象経費は、補助率から逆算できます。
- 太陽光(1/3)で設備導入の上限に届く経費:3億円 × 1/3 = 1億円
- 小水力など太陽光以外(1/2)で設備導入の上限に届く経費:2億円 × 1/2 = 1億円
- 地産地消モデルで上限に届く経費:5億円 × 1/2 = 2.5億円
屋根や野立ての太陽光には、さらに別の上限があります。パネルとPCSのうち出力が低いほうをkWで数え、自己所有なら1kWあたり4万円、オンサイトPPA(事業者が施設の敷地に発電設備を置いて電気を売る方式)やリースなら5万円までです。たとえば250kWなら、自己所有で 250 × 4万円 = 1,000万円が、パネル・PCS・関連工事費の上限になります。
もう一つ、CO2を1トン減らすのに補助金をいくら使うかにも天井があります。省エネ設備は1トンあたり10万円、再エネ設備は4万円を超えると、その単価に削減量を掛けた額が上限になります。計算式は「補助金額 ÷(年間のCO2削減量 × 法定耐用年数)」です。工事費の相場は一次情報に載っていないので、具体的な工事費での試算は載せていません。
何に使える?
対象にならないもの
- 既存施設の撤去・移設・廃棄・処分の費用
- 必要のないオプション品や予備設備の購入費・工事費
- 交付決定前と事業完了後の支出
- 官公庁への申請・届出の費用
- 補助金への申請手続きに使った費用
対象になるもの
- 設備費(再エネ設備、インバータ、高効率モーター・ポンプ、水運用システム、省エネ型排水処理施設など)
- 工事費(本工事費、付帯工事費、機械器具費、測量及び試験費)
- 業務費と事務費(事務費は工事費・設備費・業務費の合計に応じた率の範囲内)
省エネ設備の対象は、水インフラの運転に直接関わる設備の更新です。部品だけの更新や、運転に関係しない照明・空調は含まれません。一方、水道や工業用水道の原水を熱源にして施設の空調に使うヒートポンプは、再エネ設備として対象に入ります。
よく取り違えるポイント
- 「令和7年度予算」でも工事は令和8年度:四次公募の事業は令和9年(2027年)2月19日までに完了して支払いまで終える必要があります。
- 申請先は環境省ではない:環境省は告知を出す側で、公募と審査は執行団体の一般社団法人静岡県環境資源協会(SERA)が行います。問い合わせも申請もSERA宛てです。
- 公募要領は2種類:設備導入と地産地消で別の文書です。読み違えると要件も上限も変わります。
- 太陽光パネルには導入年度の期限:令和9年度以降に導入する設備費のうち、太陽光パネル(モジュール・アレイ)は補助対象外です。令和8年度中に納入・検収・支払まで終えたパネルは、設置工事が令和9年度にずれても対象に残ります。
- 自家消費が先:地産地消モデルは、自家消費できる分は最大限自家消費したうえで、余った電力を外へ供給する事業が対象です。
申請の流れ
四次公募の日程と手順です。次回以降の日程は公式の案内で確かめてください。
- 公募要領・実施要領・交付規程を読み、SERAにメールで質問する(申請者→SERA 支援センター。件名に法人名と事業名を入れる)
- GビズIDプライム(国の電子申請に共通で使うID。発行に時間がかかります)を取る(申請者→デジタル庁。早めに)
- jGrantsに様式第1・別紙1・別紙2を出し、書類一式を圧縮してメールでも送る(申請者→SERA。2026年9月18日17時必着)
- 採択と交付決定の通知を受ける(SERA→申請者。受付分ごとに第一次7月17日、第二次8月21日、第三次9月18日までの3段階)
- 交付決定のあとに契約・発注・着工し、2027年2月19日までに完了・支払う(申請者→工事業者)
- 完了実績報告書を出し、確定通知のあとに精算払を請求する(申請者→SERA。検収後30日以内か2月末日の早いほうまで)
必要な書類
SERAの申請様式(zip)に、提出書類の一覧表が入っています。全員が出す書類は次のとおりです。
準備できた 0 / 17
該当する場合だけ出す書類もあります。
- 民間企業:3か月以内に発行された履歴事項全部証明書(共同申請者も。地方公共団体は不要)
- 自治体:申請年度の予算書の抄本
- 特別会計で運営し、消費税も補助対象にする場合:特定収入割合計算書
- リースを使う場合:リース契約書案、補助金あり・なしの比較をしたリース計算書、法定耐用年数まで使うことを示す書類
- 系統を使って電気を供給する場合:要件を確認する資料
- 自社調達や関連会社への発注がある場合:利益排除の計算書や取締役会などの決議書
書類の使い方で、つまずきやすい点が3つあります。
- 別紙3の「暴力団排除に関する誓約事項」は読んで同意するだけで、提出するのは別紙4です。
- PDFで出し、WordやExcelのものは計算式を確かめるため、元のデータも出します。
- 見積書は「一式」と書かず、単価と数量に分けます。撤去費など補助対象外の経費も、見積書に含めます。
決算書類は貸借対照表と損益計算書で、設立から日が浅い法人は事業計画や収支予算で代えます。事業者である証明書は、自治体の申請と自治体との共同申請では不要です。PPA事業では、契約書案か覚書も出します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に契約・発注した:交付決定日より前に生じた経費は補助の対象外です。着工も交付決定日以降です。
- 国の他の補助金と重ねた:導入する設備に国の他の補助金を受けること、固定価格買取制度(FIT)で売電することは認められません。
- 撤去・処分費を補助対象に入れた:既存施設の撤去や処分の費用は、必ず補助対象外の経費として計上します。
- 期限までに完了・支払いができなかった:令和8年度分は2027年2月19日までに終えて支払う必要があります。
- 設備を勝手に処分した:法定耐用年数のうちに売る・貸す・壊すときは、事前にSERAの承認が要ります。財産処分納付金を国庫に納める場合があり、有償で譲るなど所有権が移ったときは、原則として補助金の返還です。
四次公募の変更点と税金
一次・二次公募から変わった点は次のとおりです。
- 採択と交付決定が第一次分から第三次分までの3段階になりました。
- 交付額が100万円に満たない場合は交付決定しない、という条件が削除されました。
- 太陽光発電設備や蓄電池、その出力を制御するEMS(エネルギー管理システム)にIoT製品を使う場合は、IPAのセキュリティ評価制度「JC-STAR」の★1以上のラベルを取った製品に限られます。
- 太陽光パネルを建物に置く場合は、設置場所の追加荷重の許容量が10kg/㎡以下でないことが要件になりました。
- 地産地消モデルでは、系統を使って外部へ供給するとき、小売電気事業者が電気の5割以上を売る地域が「発電設備のある市区町村内」から「都道府県内」に変わりました。
この補助金は国庫補助金なので、法人は圧縮記帳(補助金で買った固定資産の取得価額を補助金の分だけ減らして記帳し、課税を先送りする仕組み)を使えます。個人は総収入金額に入れない規定が使えます。ただし事務費にはこの規定が使えません。手続きは税務署に確かめてください。
よくある質問
民間企業だけでも申請できますか?
事業によって違います。設備導入では、民間企業は水道事業者や下水道管理者、工業用水道事業者、地方公共団体と共同で申請する場合に限られます。地産地消モデルでは、民間企業が申請者になれます。PPAやリースで設備を入れる場合は、リース事業者やPPA事業者が代表事業者で、施設の管理者が共同事業者になる形です。区分「その他」に当たるときは、申請前にSERAへ相談が必要です。
補助率と上限額はいくらですか?
設備導入は、太陽光発電設備とCO2削減率15%以上30%未満の省エネ設備が1/3、それ以外の再エネ設備とCO2削減率30%以上の省エネ設備が1/2です。上限は事業期間全体で1億円です。地産地消モデルは補助率1/2で、上限は事業期間全体で2.5億円です。どちらも予算の範囲内で採択され、審査の結果、減額や不採択になることがあります。
太陽光発電は対象になりますか?
設備導入では対象です。施設全体のCO2排出量を10%以上減らせるか、パネルとPCSの出力がどちらも250kW以上であることが条件で、設置場所の耐荷重が10kg/㎡以下でないことも要ります。パネルとPCS、関連工事費には、自己所有で1kWあたり4万円、PPAやリースで5万円という別の上限があります。令和9年度以降に導入するパネルは補助対象外です。
省エネ設備はどのくらいCO2を減らす必要がありますか?
導入前と比べて、年間のCO2排出量を15%以上減らせることが条件です。減らす割合が15%以上30%未満なら補助率1/3、30%以上なら1/2になります。対象はインバータ、高効率モーター・ポンプ、水運用システム、省エネ型排水処理施設などの更新で、部品だけの更新や運転に関係しない照明・空調は含まれません。削減量は算出の過程も含めて根拠を示します。
古い設備の撤去費も補助されますか?
されません。既存施設の撤去・移設・廃棄・処分の費用は、公募要領で補助対象外の代表例に挙げられています。申請の経費内訳には入れず、必ず補助対象外の経費として分けて計上します。補助対象になるのは、新しく入れる設備の費用と、それに必要な工事費、測量・設計・試験などの費用です。見積書を取るときに、撤去費を別の項目にしてもらうと整理しやすくなります。
下水道の施設はどこまで対象ですか?
省エネ設備の更新では、処理能力が日最大で約5万㎥/日以下の中小規模の下水処理場に限られます。さらに、主たる設備が国土交通省の社会資本整備総合交付金の対象に当たる事業は除かれます。集落排水施設も、農林水産省所管の補助事業では対象にならない場合に限ります。自分の施設が当たるかどうかは、申請前にSERAへ相談するのが確実です。
交付決定の前に契約してもいいですか?
いけません。SERAが交付決定を通知する前に契約・発注して生じた経費は、補助の対象外です。契約・発注・着工は交付決定日以降に行います。設備は、補助事業の遂行上著しく困難な場合を除き、入札や3者見積など競争が働く手続きで調達先を決める必要があります。採択された後も、計画外の設備や工事は対象外になることがあるので、変更があるときは先にSERAへ相談します。
工事はいつまでに終えればよいですか?
令和8年度分は2027年2月19日までに事業を完了し、支払いまで終える必要があります。完了日は検収をした日です。完了実績報告書は、検収後30日以内か2月末日の早いほうまでに出します。設備導入は原則単年度ですが、単年度が難しい事業は2年度以内にできます。ただし初年度に出来高が確認できず補助金が算定されない事業は、対象として認められません。
申請はどこへ、どうやって出しますか?
原則としてjGrants(国の補助金電子申請システム)で、交付申請書・実施計画書・経費内訳を提出します。加えて、必要書類一式を圧縮してSERAの申請資料送付専用メールアドレスにも送ります。件名は「【申請者名】水インフラ推進事業(設備導入)申請」の形です。jGrantsにはGビズIDプライムが要ります。受付期間を過ぎて届いた書類は、遅れがjGrantsやSERAの事情でない限り受け付けられません。
四次公募の次の公募はありますか?
一次情報には、次回の公募予定は書かれていません。SERAのページを見ると、令和7年度は一次公募から三次公募まで終わった後に四次公募が開かれており、三次公募は4月28日から5月29日まで、二次公募は令和7年9月1日から9月26日まででした。毎年同じ時期に出るとは限りません。次の公募の有無は、環境省の水インフラ脱炭素化推進支援サイトとSERAのお知らせで確かめてください。
地産地消モデル事業では何が対象ですか?
水道施設・工業用水道施設・河川管理施設・砂防施設に新しく設置する小水力発電(定格出力1,000kW以下)と、自営線などの付帯設備です。発電した電気は、自家消費できる分を最大限使ったうえで、余った分を外部へ供給する事業が条件です。外部供給は自営線か系統を使い、自己託送は対象になりません。太陽光発電や蓄電池はこの事業の補助対象外です。
補助金をもらったあとにやることはありますか?
事業が終わった年度の翌年度から3年間、年度ごとに過去1年分のCO2削減効果などの事業報告書を提出します。導入した設備には環境省の補助事業であることをプレートやシールで示し、取得財産の管理台帳もつけます。帳簿と証拠書類は、完了年度の終了後5年間か法定耐用年数が過ぎるまでの長いほうの期間、保存します。補助事業で得たCO2削減分は、J-クレジットに登録できません。
問い合わせ先はどこですか?
一般社団法人静岡県環境資源協会(SERA)の省CO2促進事業支援センターです。質問はメールで受け付けていて、件名に法人名と応募予定の事業名(設備導入か地産地消)を入れます。電話は054-266-4161です。環境省の窓口は、地球環境局 地球温暖化対策課 地球温暖化対策事業室(03-3581-3351)が告知に載っていますが、公募の詳細はSERAに問い合わせるよう案内されています。
