この補助金は、物流事業者が単独で申し込むものではありません。自治体と組んで協議会等をつくるところから始まります。災害時に施設を使わせる協定を、自治体と結べるかが最初の分かれ目です。
もう1つ、電源の中身にも条件があります。外部からの電気が止まっても、3日間以上は支援物資の受け入れや仕分けを続けられる容量が要ります。発電機でも蓄電池でも構いません。
物流拠点機能強化支援事業費補助金の要点まとめ
正式名:物流拠点機能強化支援事業費補助金(非常用電源設備の導入補助事業)
だれが
- 申請者
- 事業者(自治体と物流事業者で構成する協議会等)
- 対象業種
- 倉庫・運送・トラックターミナル等の物流事業者
- 利用目的
- 物流拠点への非常用電源設備の導入
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 公式ページに記載なし(規模の指定なし)
いくら
- 補助上限額
- 1,500万円(1事業者あたり)
- 補助率
- 対象経費の1/2以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 2026年10月1日〜2026年11月30日(二次公募)
- 事業の完了
- 交付決定の日〜2027年2月10日
この記事は、非常用電源設備の導入補助事業を中心に書いています。同じ公募には、自治体と物流事業者が行う支援物資輸送訓練への補助(1/2以内、上限500万円)もあります。こちらは本文の終わりで触れます。
自分の事業は対象になる?
次の項目をすべて満たす協議会等と施設が対象です。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 自治体が占有する備蓄倉庫
- ✕ リースでの導入
- ✕ 避難所になる庁舎・学校・体育館
- ✕ 補助金の停止措置を受けた事業者を含む
協議会等には、少なくとも都道府県か市区町村と、物流事業者の2者がいれば足ります。形式は問われません。協定、連絡会、検討会など、すでにある協力体制でも構いません。
申請主体は、自治体と物流事業者のどちらか一方で構いません。物流事業者が自分で申請書を出す形も取れます。
協議会は、次の5点について合意している必要があります。
- 災害時に自治体から協力要請があれば、対応可能な範囲で応じる
- 自治体と災害時の施設利用協定を結ぶ
- 自治体が行う訓練に参加する
- 自治体が行う施設利用の調査に協力する
- 自治体が、協議会負担額のうち国交付額の1/2以上を負担する
5つ目は、自治体の予算が要るということです。自治体の担当部署に話を持ち込む時期が、申請準備の山になります。
施設の基準は、ほかにもあります。屋根があること(エアテントも可)。フォークリフトが使える床の強度があること。原則として浸水地域の外にあること。この3つです。
電源の条件は、外部からの電気が止まっても、3日間以上は拠点の作業を続けられることです。対象の設備は、ディーゼル発電機などの発電設備と蓄電池です。事務局のFAQは、拠点のすべての設備を3日間動かす必要はないとしています。最低限動かす設備を選び、必要な電力の根拠を示します。
- 発電機の例:燃料消費が1時間10Lなら、10L × 72時間 = 720L以上の燃料が要る
- 蓄電池の例:出力50kWなら、50kW × 72時間 = 3,600kWh以上の容量が要る
燃料は原則として3日分を拠点に置きます。近隣のガソリンスタンドと、災害時に優先して給油を受ける協定を結んでいれば、この限りではありません。
いくら補助される?
補助率は経費の1/2以内で、上限は1,500万円です。申請が予算を上回ると、要望額の全額が出ないことがあります。
- 設備費と工事費の合計が2,000万円:2,000万円 × 1/2 = 1,000万円
- 設備費と工事費の合計が4,000万円:4,000万円 × 1/2 = 2,000万円 → 上限の1,500万円
1つ目の例では、国が1,000万円を出します。自治体の負担は、その1/2以上の500万円以上です。残りは物流事業者などの負担になります。
自己負担の見積りは、国費ではなく事業費全体で考えてください。税抜の金額で計算する点にも注意が必要です。消費税は対象経費に入りません。
何に使える?
対象にならないもの
- 太陽光発電設備の費用(設備費・工事費とも)
- リースでの導入
- 持ち運べるポータブル電源(固定して、その施設だけで使うと説明できれば対象)
- 消費税及び地方消費税相当額
- 補助の申請に使う事務経費
- 他の補助事業で申請した経費
- 事業中に起きた事故・災害の処理費
対象になるもの
- 設備費(発電機・蓄電池などの購入)
- 工事費(設置と使用開始に必要な設計・工事)
- 付帯工事(床の補強、設備を守る屋根など)
- 燃料タンク(非常用電源と同時に入れる分だけ)
太陽光発電設備は補助の対象外です。太陽光を組み合わせたい場合、その部分は自費で考える必要があります。ただし、蓄電池を同時に入れ、その蓄電池だけで3日間の条件を満たせるなら、蓄電池の費用は対象です。すでに非常用電源がある施設への追加や、古い設備の入れ替えも対象になります。見積書は、非常用電源設備だけを切り分けて取ってください。
申請の流れ
- 自治体と協議会等を組み、協定を結ぶ(事業者→自治体。公募期間内に間に合うよう早めに)
- 設備費と工事費の見積書を3社以上から取る(事業者→施工業者)
- 申請書類を事務局へ出す(申請主体→物流拠点機能強化支援事業費補助金事務局。2026年11月30日まで)
- 交付決定を待つ(事務局→申請主体。申請後1か月以内を予定)
- 交付決定のあとに契約・発注して工事する(事業者→施工業者)
- 2027年2月10日までに設置と支払いを終える(事業者。金融機関の振込に限る)
- 実績報告を出す(完了から30日以内か2027年2月10日の早いほう)
郵送の場合は消印有効、電子メールは必着です。提出先は事務局(執行団体はNTTデータ経営研究所)です。メールの件名の冒頭に「【申請】物流拠点機能強化支援事業費補助金」と付けます。
必要な書類
準備できた 0 / 7
宣誓書は、5つの合意事項について、自治体と物流事業者の代表者が連名で出します。様式の記入例は、事務局サイトにあります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に発注した:交付決定の前に発注を完了させた事業は対象外です。契約は交付決定を待ってください。
- 期限までに終わらなかった:事業の完了は2027年2月10日までです。遅れると補助金が支払われない場合があります。
- 支払いが振込以外だった:割賦払いと手形払いは認められません。金融機関の振込にします。
- 予算を超えた:事務局のページには、先着順で、申請額が予算を超えると交付されない可能性があると書かれています。
- 虚偽の申請をした:交付決定は取り消され、補助金は加算金(年10.95%)つきで返還になります。
国土強靱化地域計画との関係
申請が予算を上回った場合、公募要領は次の優先を定めています。国土強靱化地域計画にこの事業が位置づけられていれば、優先して採択されます。事業の成果を高める工夫がある申請にも、優先して配分することがあります。
協議会に参加する自治体の計画に、この事業が載っているか。申請前に自治体へ聞いておく価値があります。
支援物資輸送訓練の補助も同じ公募にあります
もう1つのメニューは、災害時の支援物資輸送体制構築促進事業です。補助率は1/2以内、上限は500万円です。
対象経費は、訓練の企画制作費、旅費・交通費、外部有識者への謝金、資機材の借上げなどです。協議会等の構成は、都道府県、市区町村、物流事業者の3者が確認できることとされています。電源設備のメニューより、構成員の条件が厳しめです。
訓練を実施する場合は、事務局が用意する物資輸送訓練マニュアルを使えます。使うかどうかは任意です。
よくある質問
物流事業者が1社だけで申請できますか?
自治体が参加する協議会等の形が必要です。ただし、申請主体は自治体と物流事業者のどちらか一方で構いません。物流事業者が申請書を出す形も取れます。少なくとも都道府県か市区町村と、物流事業者等の2者が構成員になっていることが確認できれば、協議会の形式は問われません。協定や連絡会、検討会などの既存の協力体制でも構いません。
二次公募は一次公募と何が違いますか?
違うのは受付期間です。一次公募は2026年5月22日から9月30日まで、二次公募は10月1日から11月30日までです。事務局のページは、制度概要のチラシや公募要領などの書類で、公募期間を二次公募の期間に読み替えるよう案内しています。補助率と上限額は、一次公募の公募要領と同じです。公募要領の本文は一次公募の日付のまま載っています。
太陽光発電も補助の対象になりますか?
太陽光発電設備そのものは対象になりません。公募要領では、非常用電源設備の購入と、その設計・工事のうち、太陽光発電設備を除いた費用が対象です。計画に太陽光が入るなら、その部分を切り分けて見積もります。蓄電池を同時に入れ、蓄電池だけで3日間の条件を満たせるなら、蓄電池の費用は対象になります。ディーゼル発電機や蓄電池は、事務局のFAQで対象の設備と示されています。
対象になる施設の条件は何ですか?
営業倉庫、トラックターミナル、貨物自動車運送事業者の集配施設、貨物利用運送事業者の保管等施設、物流不動産のうち、6つの基準を満たす施設です。新耐震基準、屋根、フォークリフトに耐える床、12mトラックが入れる敷地、原則として浸水地域の外、避難所にならない施設の6つです。民間が占有する備蓄倉庫も、要件を満たせば対象になり得ます。
自治体は何を負担するのですか?
協議会の合意事項の5つ目に、自治体の負担が定められています。非常用電源設備の導入に係る協議会の負担額のうち、国が交付した額の1/2以上に相当する額を、自治体が負担します。たとえば国の交付額が1,000万円なら、自治体は500万円以上です。自治体の予算化が必要なので、申請準備の早い段階で担当部署と調整してください。
見積書は何社から取る必要がありますか?
申請時に、設備費と工事費のそれぞれについて、3社以上の見積書の写しを出します。契約の際は、原則として一般の競争などに付し、3者以上の競争で決めます。ただし、メーカーや販売店のホームページで価格が分かる一般的な市販品なら、2者の競争で構いません。この基準は、事業の費用が適正かを見る審査の土台になります。
いつまでに工事を終える必要がありますか?
遅くとも2027年2月10日までに、設備の設置と施工業者への支払いを終える必要があります。事業開始は交付決定の日で、それより前の発注は対象外です。交付決定は、申請後1か月以内を予定しています。納期の長い設備は、交付決定から2027年2月10日までに間に合うかを、申請の前に施工業者へ確認しておくと安心です。
支払いは分割払いでもよいですか?
認められません。補助対象経費の支払いは、金融機関の振込に限られます。割賦払いと手形払いは対象外です。実績報告では、契約書の写し、納品書や請求書の写し、領収書の写し、振込を示す通帳や証明書の写しなどを出します。振込手数料は補助対象経費に含めません。支払い方法は、施工業者と契約するときに決めておいてください。
申請が予算を超えたらどうなりますか?
要望額の全額が出ないことがあります。公募要領は、申請が予算を上回った場合、事業の成果を高める工夫が見られる申請を優先して配分する場合があると定めています。国土強靱化地域計画に位置づけられている事業は、優先的に採択されます。事務局のページには、先着順のため予算を超えると交付されない可能性があるとも書かれています。早めの提出が安全です。
申請書はどこへどう出しますか?
事務局へ、郵送か電子メールで出します。郵送は2026年11月30日の消印まで有効です。メールは同日必着で、件名の冒頭に「【申請】物流拠点機能強化支援事業費補助金」と付けます。メールを送ると受信確認が届き、書類を出してから3開庁日たっても届かなければ、事務局へ照会します。郵送先は東京都千代田区平河町2-7-9のJA共済ビル9階です。
導入した設備は、あとで売ったり入れ替えたりできますか?
自由にはできません。取得価格が単価50万円以上の設備は、財産の処分が制限されます。処分する前に事務局の承認を受ける必要があります。制限の期間は、事務局のFAQで蓄電池が6年、ディーゼル発電機などが15年です。この期間は、設備で支援物資を扱ったときの活動報告も求められます。災害時以外に設備を使うことは構いませんが、使った燃料は早めに補充してください。
ほかの補助金と併用できますか?
同じ経費に、別の国の補助金を重ねて受けることはできません。自治体の補助金も、同じ事業で同じ費目なら、基本的に併用できません。自治体の側が併用を認めていない場合もあるため、その自治体にも確かめてください。ほかの補助金を使う予定があるなら、どの費目にどちらを充てるかを、申請の前に分けておきます。迷うときは事務局に相談してください。
補助金をもらったあと、書類はいつまで残しますか?
補助対象事業が完了する日の属する年度の終了後、5年間保存します。帳簿と証拠書類の両方が対象です。中間報告を求められることがあり、その際は契約書、納品書または請求書、振込明細書の写しを出します。現地調査が入ることもあり、国土交通省のサイトなどで取組が公表される場合があります。
問い合わせ先はどこですか?
申請や手続きは、物流拠点機能強化支援事業費補助金事務局(執行団体はNTTデータ経営研究所)です。電話は03-5676-5302で、受付は平日の10時から17時です。メールはlogi-support@nttdata-strategy.comです。制度そのものについては、国土交通省の物流・自動車局が窓口です。電源設備の補助事業は貨物流通事業課です。
