障害者を10人以上雇う職場の作業場や食堂、設備の整備費を、2/3(特例は3/4)で助成する制度です。上限は5,000万円で、特例が認められると1億円です。正式な申請の前に、事業計画書を出して事前審査で採択される必要があります。
実施するのは、JEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)の都道府県支部です。受付期間は公式ページに書かれていません。申請前に事業所を管轄する支部へ相談することがパンフレットで求められています。
重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金の要点まとめ
正式名:重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金
だれが
- 申請者
- 事業者(重度障害者等を多数雇用する事業主)
- 対象業種
- 全業種
- 利用目的
- 作業施設・管理施設・福祉施設・設備の設置と整備
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 対象障害者10人以上、かつ全労働者の2/10以上
いくら
- 補助上限額
- 上限1億円(特例時。通常は5,000万円)。利息助成は別枠
- 補助率
- 2/3(特例3/4)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 公式ページに記載なし(事前審査が先)
- 事業の完了
- 認定日から1年以内に工事と支払を終える
うちの事業所は対象になる?
次の4つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 賃借による施設の設置
- ✕ 障害者雇用納付金の未納
- ✕ 在宅勤務者だけで人数を満たす
10人以上、かつ全労働者の2/10以上の両方が必要です。 従業員が60人で対象障害者が10人の場合は16.7%なので足りません。12人必要です。従業員が50人で対象障害者が10人なら、ちょうど20%で満たします。
「継続して雇用している」とは、認定申請の日の時点で1年を超えて雇っていることです。障害者作業施設設置等助成金や中高年齢等障害者作業施設設置等助成金の対象になった人は、この人数に数えません。
対象障害者はだれ?
数えられるのは、次の3種類の労働者です。特定短時間労働者(月の所定労働時間が40〜80時間)と在宅勤務者は含みません。
- 重度身体障害者:障害等級が1級か2級の人。3級の障害を2つ以上重ねて2級相当になる人も含みます。
- 知的障害者:児童相談所などの判定機関が、知的障害があると判定した人。重度でない短時間労働者は除きます。
- 精神障害者:障害者雇用促進法の精神障害者です。
短時間労働者は、月の所定労働時間が80時間以上120時間未満の人です。
いくらもらえる?
助成額は「対象費用 × 助成率」です。限度額を超えた分は自己負担になります。
- 作業場を増築する:3,000万円 × 2/3 = 2,000万円
- 作業場と食堂を整備する:7,500万円 × 2/3 = 5,000万円 → 上限の5,000万円
- 特例で作業場を増築する:4,000万円 × 3/4 = 3,000万円
- 特例で上限に届く:1億3,334万円 × 3/4 = 約1億円 → 上限の1億円
銀行や信用金庫から借りて整備する場合は、利息も助成されます。利息助成の限度は「対象費用 × 7/30」か1,750万円の低い方です。3,000万円の整備なら、限度は700万円です。支給期間は借入れの翌月から5年間です。
同じ事業所で過去の重多助成金などを受けた場合は、総額で1億円が限度です。
特例(3/4・上限1億円)が使える条件
助成率3/4の特例は、次のどちらかの事業所が対象です。
- 民間企業と地方公共団体が出資した、第三セクター方式の重度障害者雇用企業
- 特別重度障害者等のうち、対象になる人を3人以上雇い入れる事業所
特別重度障害者等とは、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援(A型を除く)の施設に入所・通所している人などです。上限1億円の特例は、雇入れ数が特に多いなどの要件を満たし、厚生労働大臣の承認を受けた場合に限ります。
何に使える?
対象にならないもの
- 賃借による施設の設置
- 中古品や自社製の施設・設備の購入
- 事業主自身が行う工事
- 親会社、子会社、役員、親族との契約
- 既存の建物や設備の解体・撤去・廃棄費用
- 建築確認申請の費用、設備の保守費用
対象になるもの
- 作業施設(労働者が作業する場所)
- 管理施設(作業施設と一緒に設置する事務所)
- 福祉施設(労働者住宅、休憩室や洗面所、食堂、職業訓練施設)
- 設備(固定資産税などの課税対象になる設備・備品)
管理施設と福祉施設は、作業施設と併せて設置する場合に限ります。1人あたり28㎡が、対象面積の目安です。
申請の流れ
- 事業計画書を出して事前審査を受ける(事業主→JEED都道府県支部。認定申請の前)
- 採択の通知を受け取る(JEED→事業主。様式第501号の通知書)
- 認定申請書を出す(事業主→支部。発注予定日の前日から数えて2か月前の応当日まで)
- 認定通知を待つ(JEED本部→事業主。審査は2〜3か月が目安)
- 認定のあとに入札し、工事を終える(事業主→工事業者。認定日から1年以内)
- 支給請求を出す(事業主→支部。工事と支払の完了後)
- 毎年の決算で報告書を出す(事業主→支部。支給決定から5年間)
認定の前に工事の発注や契約をすることはできません。事前着手申出書で例外を認める第1種作業施設設置等助成金とは、ここが違います。例外は、本体工事とは別契約にした設計図書の作成だけです。
必要な書類
準備できた 0 / 12
重多助成金の様式は、公式ページで配られていません。事前審査の事業計画書も含め、都道府県支部に確認して受け取ります。雇用保険被保険者資格取得等確認通知書の写しや、過去3年分の決算報告書、退職金規程なども要ります。統合失調症、そううつ病、てんかんで精神障害者保健福祉手帳が出せない場合は、主治医の診断書か意見書の写しを出します。
検査済証は、増築や改築、既存の建物の改修で要ります。紛失した場合は市区町村の台帳記載事項証明書などで代えられます。全書類の一覧は、JEEDのパンフレット(110〜113ページ)で確かめられます。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 認定の前に着手した:発注か契約か支払のどれかを先に行うと不認定か認定取消しになります。
- 事前審査で採択されなかった:経営基盤と雇用条件が良好か、障害者雇用のモデルになるかを見られます。
- 納付金を納めていない:納付義務があるのに障害者雇用納付金が未納だと、支給されません。
- 障害者が離職した:請求前に自己都合で離職すると請求できません。代わりの人を機構が認めた場合は除きます。
- 1年以内に完了しなかった:支給請求は認定日から1年以内です。工事と支払をそれまでに終えます。
- 社会保険が未加入:加入義務があるのに未加入、または保険料を払っていない事業主は対象外です。過去1年以内の労働関係法令違反による送検も、支給要件確認申立書で「はい」にすると受給できません。
認定後の義務と他の補助金との併用
支給決定日から5年以上は、施設を対象障害者のために使い、雇用を続けます。実労働時間が月80時間以上(重度でない知的障害者は120時間以上)の月が期間の半分を超えている必要があります。
取得価額が50万円以上の施設や設備は、自社の資産に計上します。法定耐用年数の1/2以上の期間は処分できません。国や自治体の補助金が同じ費用に確定している場合はその額を引いた残りに助成率を掛けます。
よくある質問
事前審査とは何ですか?
正式な認定申請の前に、事業計画書などをJEEDに出して受ける審査です。事業計画、経営状況、モデル性、雇用管理上の問題がないかを確かめます。結果は、採択・不採択の通知書(様式第501号)で届きます。採択された事業計画をもとに、認定申請を行います。申請を考えた段階で、まず事業所を管轄する都道府県支部に相談します。
「10人以上」と「2割以上」はどう数えますか?
対象障害者は重度身体障害者と知的障害者と精神障害者です。認定申請の日の時点で1年を超えて雇っている人を数えます。割合は、現に雇っている労働者のうち対象障害者が占める割合です。従業員が50人なら10人、60人なら12人が必要です。特定短時間労働者と在宅勤務者は、対象障害者に数えません。
作業施設設置等助成金の対象者を、この助成金の人数に入れられますか?
入れられません。障害者作業施設設置等助成金や中高年齢等障害者作業施設設置等助成金の対象になった人と、その補充者は、人数に数えません。過去に重多助成金を受けた事業所が再申請する場合は前回の雇用計画の障害者数を、これらの助成金の対象者を除いて満たす必要があります。
特例の3/4は、どんな事業所が使えますか?
2つの場合です。1つ目は、民間企業と地方公共団体が共同出資した第三セクター方式の重度障害者雇用企業の事業所です。2つ目は特別重度障害者等のうち対象になる人を3人以上雇い入れる事業所です。特別重度障害者等には、就労移行支援や就労継続支援(A型を除く)の施設に通所していた人、特別支援学校を卒業して3年以上雇われていない在宅の人などが入ります。
上限の1億円はどんな場合に使えますか?
特例の1億円は、特例の事業所または特例子会社のうち、重度障害者の雇入れ数が特に多いなどの要件を満たし、厚生労働大臣の承認を得た場合です。通常の上限は5,000万円です。過去の同種の助成金の総支給額と合わせて、1億円が限度になります。自社が該当するかは、支部への事前相談で確かめます。
利息助成とは何ですか?
整備費に充てるために、銀行や信用金庫から借りた資金の利息の一部を助成するものです。認定のあとに借り入れたものだけが対象です。つなぎ資金は対象外です。限度は「対象費用 × 7/30」か1,750万円の低い方です。支給期間は、借入れの翌月から5年間です。支給請求は、半年ごとに行います。
工事の発注は、どのように行いますか?
対象費用が150万円以上1,000万円以下なら、原則として3者以上の見積書を取って最も低い金額を対象費用にします。1,000万円を超える場合は原則として一般競争入札等で決めます。入札予定価格の積算は、建築士か建築士事務所が行います。250万円以上の工事は、設計図書も建築士が作ります。
対象にならない費用は何ですか?
中古品や自社製の施設・設備、事業主自身が行う工事、親会社・子会社・役員・親族との契約は対象外です。既存の建物の解体・撤去・廃棄費用、建築確認申請の費用、設備の保守費用も含みません。階段寸法の基準に合っていない階段や、防火設備の改修も対象外です。
障害者が離職したらどうなりますか?
支給決定日から5年以上は、施設を対象障害者のために使い、雇用を続けます。自己都合離職等があった場合は、離職日の翌日から6か月以内に代わりの障害者を雇い、機構の承認を受けます。承認がないと、助成金を返還する場合があります。補充がない事業所は、一定期間この助成金を受けられません。
審査で見られる「モデル性」とは何ですか?
障害者を雇う事業所として模範になるかどうかの確認です。雇用計画と定着状況と労働条件と能力開発と事業の継続性と障害者への配慮を見ます。事業計画に、具体的に書く必要があります。機構は、都道府県労働局にも意見書を求めます。就労系の福祉サービスを行う事業主は、定員に基づく整備に加えて、プラスアルファの措置が必要です。
障害者雇用納付金を滞納していても申請できますか?
できません。支給決定の日が属する年度の前年度に、納付義務があるのに納付金を納めていない事業主には、支給されません。延納中の事業主は、延納分を納めていない場合に対象外です。障害者雇用納付金は、法定雇用率(民間企業は2.7%)を満たさない事業主が納める制度です。納付状況は、事前に確認しておきます。
作業施設設置等助成金とは何が違いますか?
障害者作業施設設置等助成金は、障害者1人ごとの障害特性に配慮した整備が対象で、限度額は1人450万円です。この助成金は、10人以上を多数雇う事業所の施設全体が対象で、上限は5,000万円です。同じ人を両方の対象にすることはできません。少人数なら作業施設設置等助成金を、10人以上かつ2割以上なら、この助成金を検討します。
申請から入金までの期間と、問い合わせ先を教えてください。
認定申請書の受理から審査結果までは、おおむね2〜3か月かかります。入金は工事と支払の完了後に支給請求をして支給決定を受けたあとです。窓口は、事業所の所在地を管轄するJEEDの都道府県支部です。高齢・障害者業務課が担当し、東京と大阪は高齢・障害者窓口サービス課です。
