建設会社が35歳未満の人か女性をトライアル雇用すると、一般トライアルコースの助成に月4万円が上乗せされます。ただしこの助成金は単独で申請できません。一般トライアルコースか障害者トライアルコースの支給決定を受けた人だけが対象です。
支給は1人につき月4万円で、最長3か月です。申請するのは、雇用保険料率が「建設の事業」の中小建設事業主に限られます。
トライアル雇用助成金(若年・女性建設労働者トライアルコース)の要点まとめ
正式名:トライアル雇用助成金(若年・女性建設労働者トライアルコース)
だれが
- 申請者
- 事業者(中小建設事業主)
- 対象業種
- 建設業(雇用保険料率が「建設の事業」の事業主)
- 利用目的
- 一般・障害者トライアルコースへの上乗せ支給
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 資本金3億円以下または常時雇用300人以下
いくら
- 補助上限額
- 最大12万円(1人あたり月4万円×最長3か月)
- 補助率
- 定額
いつ・どこへ
- 申請受付
- 通年(トライアル雇用の終了日の翌日から2か月以内)
自社と採用する人は対象になるか
事業主と労働者の両方が条件を満たす必要があります。事業主の条件は次の4つです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
資本金と常時雇用する労働者の数は、どちらか一方を満たせば足ります。雇用管理責任者は、建設労働者の雇用の改善等に関する法律で選ぶことが定められた責任者です。
労働者の条件は次の3つです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 3
「主として」は、実際に働いた時間の半分を超えることを指します。現場作業は左官、大工、鉄筋工、配管工などです。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 障害者短時間トライアルコースの人
- ✕ 主に設計・測量・経理・営業の人
- ✕ 一人親方
- ✕ 同居の親族だけで営む事業主
一人親方と、同居の親族だけを使う事業主は、そもそも建設労働者を雇う事業主に当たりません。女性なら年齢は問われません。35歳未満という条件は「または」でつながっています。
土台になる一般トライアルコースの条件
この助成金は上乗せなので、土台のコースの条件を満たす人でなければ使えません。一般トライアルコースの対象は、次のような人です。
- ハローワークか民間の職業紹介事業者に求職申込をしている人
- 紹介の時点で、安定した職業に就いておらず、学校にも在籍していない人
- 離職や転職を繰り返している、離職が1年を超えているなど、就職が難しい事情がある人
雇入れは、ハローワーク等の紹介を受けて、原則3か月のトライアル雇用として行います。週の所定労働時間は、通常の労働者と同じ30時間以上です。上乗せだけを狙って、紹介を受けていない人を雇っても対象になりません。
いくら受け取れるか
1人につき、トライアル雇用を始めた日から1か月単位で、最長3か月分が支給されます。
- 3か月とも満額:4万円 × 3か月 = 12万円
- 1か月だけ出勤が予定の6割:4万円 × 2か月 + 3万円 = 11万円
- 一般トライアルの月4万円と合わせる:(4万円 + 4万円)× 3か月 = 24万円
- 一般トライアルが月5万円の人と合わせる:(5万円 + 4万円)× 3か月 = 27万円
一般トライアルコースは月4万円ですが、母子家庭の母等と父子家庭の父の場合は月5万円です。上の24万円と27万円は、一般トライアル側の額も満額のときの合計です。
月の途中で離職した場合や、休暇や休業があった場合は、予定していた日数に対する実際に働いた日数の割合で月額が下がります。
| 出勤の割合 | 1か月の額 |
|---|---|
| 75%以上 | 4万円 |
| 50%以上75%未満 | 3万円 |
| 25%以上50%未満 | 2万円 |
| 0%より多く25%未満 | 1万円 |
| 0% | 支給なし |
年次有給休暇のように就業規則で定めた休暇は、割合を下げる休暇に入りません。
申請の流れ
- トライアル雇用で雇い入れる(事業主→労働者。ハローワーク等の紹介を受けた人を、原則3か月)
- 現場作業か施工管理に就かせる(事業主。設計や経理が中心にならないようにする)
- 支給申請書を用意する(事業主。建ト様式第1号。電子申請なら「支給申請書」)
- 管轄の労働局に出す(事業主→都道府県労働局。トライアル雇用の終了日の翌日から2か月以内)
- 支給決定の通知を受ける(労働局→事業主。通知書が届く)
提出先は、トライアル雇用を行った雇用保険適用事業所を管轄する労働局です。一般トライアルコースか障害者トライアルコースの支給申請と、同時に出すこともできます。
途中で離職した場合は離職日から、常用雇用に移った場合は移行日の前日の翌日から数えて2か月以内です。
必要な書類
準備できた 0 / 5
結果報告書の写しは、一般または障害者トライアルコースの申請と同時に出すなら要りません。年齢・職種がわかる書類は、求人票、雇用契約書、雇入通知書、作業員名簿、資格の免許証や修了証の写しなどです。このほか労働局が必要と認める書類を求められることがあります。
労働保険料の申告書(または納入通知書)の写しと、中小建設事業主だと確認できる書類(建設業許可番号や資本金・労働者数がわかる書類)は、愛知労働局のチェックリストと申請書の注意書きに挙がっています。令和8年4月版の支給要領の添付書類欄には出てこないため、提出先の労働局に確かめてください。雇用関係助成金の共通の要件では、支給要件確認申立書を申請のたびに出すともされています。
もらえなくなるのはどんなとき
- 土台のコースが支給されない:一般か障害者のトライアルコースの支給決定が前提です。そちらが不支給なら、この助成金も出ません。
- 職種が現場作業・施工管理でなくなる:支給対象外の職種へ配置転換した場合は、その日の前日までの分だけが対象です。
- 常用雇用に移った:トライアル期間の途中で常用雇用になると、移行日の前日までの分だけです。
- 出勤が少ない月がある:予定日数に対する出勤割合で、月額が3万円、2万円、1万円と下がります。
- 申請が遅れた:トライアル雇用の終了日の翌日から2か月を過ぎると申請できません。
- 労働保険料を滞納している:支給申請日の属する年度の前年度より前の保険年度の労働保険料を納めていないと、受給できません。申請日の翌日から2か月以内に納めた場合は除かれます。
- 直近1年に労働関係法令の違反があった:支給申請日の前日から1年前までの間に違反があると、雇用関係助成金の共通の要件で対象外になります。
- 不正受給と判断された:支給決定の取消しと返還に加えて、不支給の決定日か取消日から5年間は雇用関係助成金を受けられなくなります。
同じ建設分野の別のコースとの違い
厚生労働省の「建設事業主等に対する助成金」のページには、ほかにもコースが並んでいます。若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース、作業員宿舎等設置助成コース、建設キャリアアップシステム等活用促進コース、建設労働者認定訓練コースなどです。
これらは別の助成金で、申請先や条件も別です。この記事のコースは、トライアル雇用の賃金に上乗せするものだけを扱います。
よくある質問
この助成金だけで申請できますか?
できません。一般トライアルコースか障害者トライアルコースの支給決定を受けたトライアル雇用労働者について、上乗せして支給されます。先に土台のコースの要件を満たし、支給申請を進める必要があります。両方を同時に出す方法もあるので、申請の段取りは管轄の労働局に聞いておくと安心です。障害者短時間トライアルコースは、上乗せの対象になりません。
女性なら年齢は関係ありませんか?
関係ありません。条件は、トライアル雇用を始める日の時点で35歳未満の人、または女性であることです。年齢と性別はどちらか一方を満たせば足ります。45歳の女性でも、現場作業か施工管理に主に就くなら対象になりえます。男性の場合は、35歳未満である必要があります。
設計や経理の仕事で採用した人は対象ですか?
対象になりません。トライアル雇用の期間中に、主として建設工事現場での現場作業か、施工管理に就く人が対象です。主として設計、測量、経理、営業などに就く人は外れます。現場と事務を兼ねる人は、実際に働いた時間の半分を超える業務で判断されます。判断に迷うときは、都道府県労働局に相談するよう案内されています。
「主として」はどう判断されますか?
実際に働いた時間の半分を超える業務で判断します。たとえば週の勤務のうち、半分を超える時間を現場で過ごしていれば、現場作業に主として従事していることになります。事務所での段取りや図面確認が多く、現場にいる時間が半分以下なら外れます。現場作業の例は、左官、大工、鉄筋工、配管工などです。
一人親方や家族だけの会社でも申請できますか?
できません。建設労働者を雇わずに自分で建設業を行う一人親方は、この助成金の事業主に当たりません。同居の親族だけを使って建設事業を行っている場合も同じです。同居の親族は、形の上で賃金を受けていても、事業主と利益を一にしていると見なされ、原則として労働者に数えないためです。
建設業以外の会社でも使えますか?
使えません。申請できるのは、建設労働者を雇って建設事業を行い、雇用保険料率が「建設の事業」として適用されている中小建設事業主です。雇用保険料率が建設の事業以外で適用されている会社は、要件を満たしません。自社の区分に迷うときは、管轄の労働局かハローワークに聞くのが確実です。
「中小」の基準はいくらですか?
資本金の額か出資の総額が3億円以下、または常時雇用する労働者が300人以下です。どちらか一方に当てはまれば中小建設事業主になります。常時雇用する労働者の数は、雇用保険適用事業所台帳の被保険者数などで確認されます。労働局から、資本の額や労働者数に関する資料の提出を求められることもあります。
いつまでに申請すればよいですか?
トライアル雇用の終了日の翌日から2か月以内です。募集の締切が決まっているわけではなく、トライアル雇用ごとに期限が決まります。途中で離職した場合は離職日から、途中で常用雇用に移った場合は移行日の前日の翌日から数えます。一般トライアルコースの申請と同時に出せば、期限の管理を一本化できます。
3か月ずっと満額でないともらえませんか?
満額でなくても支給されます。予定していた就労日数に対する出勤日数の割合が75%以上なら、その月は4万円です。50%以上75%未満は3万円、25%以上50%未満は2万円、25%未満は1万円で、0%だと支給されません。ただし、年次有給休暇のように就業規則に定めのある休暇は、割合を下げるものとして扱われません。
トライアル雇用の途中で社員にした場合はどうなりますか?
常用雇用に移った日の前日までの分が対象になります。たとえば3か月の予定で雇い、2か月目の途中で正社員にした場合、移行日の前日までの期間が支給の対象期間です。その月の額は、出勤の割合に応じた額になります。申請の期限も、移行日の前日の翌日から2か月以内に変わるので注意してください。
電子申請と紙の申請のどちらでもできますか?
支給要領には、電子申請の場合の書き方が示されており、雇用関係助成金ポータルから申請できます。紙で出す場合は、建ト様式第1号の支給申請書を、管轄の労働局へ提出します。ハローワークを経由して出すこともできます。どちらの方法でも、必要な添付書類は同じです。
問い合わせ先はどこですか?
トライアル雇用を行った事業所を管轄する都道府県労働局です。厚生労働省のリーフレットにも、判断に迷う場合は最寄りの労働局へ相談するよう書かれています。対象の労働者かどうか、一般トライアルコースとの同時申請の段取り、必要書類の準備などは、申請の前に聞いておくと出し直しを減らせます。
