社員が育休を14日取っただけで、奨励金はもらえるのか。答えは「はい」です。千代田区の「中小企業仕事と家庭の両立支援制度」は、条件を満たせば3万円が交付されます。
制度は全部で6メニューあります。育休・介護休暇・子の看護等休暇の取得で2〜3万円、代替要員の確保で上限15万円、休暇制度そのものの導入で15万円です。
対象は区内に本店がある法人です。個人事業主は対象外という点に注意してください。以下、メニューごとの金額と申請のタイミングを整理します。
中小企業仕事と家庭の両立支援制度の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人のみ。会社法上の「会社」「特例有限会社」、一般社団・一般財団法人。個人事業主は対象外) |
| 制度名 | 千代田区中小企業仕事と家庭の両立支援制度 |
| 対象業種 | 業種指定なし(資本金3億円以下かつ常時雇用従業員300人以下) |
| 利用目的 | 育児・介護と仕事の両立支援(休暇制度の導入・利用促進) |
| 対象地域 | 東京都千代田区(区内に本店及び雇用保険適用事業所があること) |
| 従業員数 | 常時雇用する従業員300人以下 |
| 補助上限額 | 最大15万円(制度導入奨励金、または代替要員等給与・経費助成金) |
| 補助率 | 定額(休暇日数・時間に応じて2万〜15万円) |
| 申請受付 | 通年。各奨励金は休暇等の最終取得日の翌日から6か月以内、かつ年度あたり各5件まで |
| 公式サイト | 千代田区「中小企業 仕事と家庭の両立支援」 |

6つのメニューと金額
制度は次の6種類です。いずれも育児・介護休業法(正式には育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)に基づく休暇・休業制度が土台になっています。
| メニュー | 交付金額 | 主な要件 |
|---|---|---|
| ①配偶者出産休暇・育児目的休暇奨励金 | 3万円 | 配偶者出産休暇2日以上、または育児目的休暇3日以上の取得 |
| ②子の看護等休暇奨励金 | 2万円 | 子の看護等休暇を1年以内に3日以上取得 |
| ③男性の育児休業・育児短時間勤務奨励金 | 3万円 | 育休合計14日以上、または育児短時間勤務30日以上 |
| ④介護休業・介護休暇・介護短時間勤務奨励金 | 3万円 | 介護休業14日以上、介護休暇3日以上、または介護短時間勤務30日以上 |
| ⑤引継期間代替要員等給与・経費助成金 | 1時間1,000円・上限15万円 | 代替要員の新規雇用または派遣受入。同時勤務日が5日以上 |
| ⑥制度導入奨励金 | 15万円(1回限り) | ①〜④のいずれかを有給の特別休暇として就業規則に規定 |
いずれも共通する条件があります。休暇を取得した従業員が、申請日時点で雇用保険の被保険者として継続雇用されていること。退職済みの従業員の分は対象になりません。
いちばん大きい15万円、2種類の中身が違う
15万円が出るメニューは2つありますが、性質はまったく違います。
⑤代替要員等給与・経費助成金は、育休・介護休業を取る従業員の穴を埋めるための費用です。代替要員の勤務時間×1,000円で計算し、上限15万円まで実費に近い形で助成されます。
⑥制度導入奨励金は、休暇制度そのものを就業規則に新しく規定したことへの奨励金です。定額15万円で、1事業者につき1回限りしか受け取れません。導入した日から2年以内に、実際に1人以上の従業員がその休暇を取得している必要があります。休暇制度を作っただけでは対象になりません。
子の看護等休暇は複数回申請できる
子の看護等休暇奨励金と介護休暇奨励金は、同一年度内なら複数回申請できます。例えば2人の子を育てる従業員が、子の看護等休暇を6日取得すれば2件分、4万円として申請可能です。ただし同じ子・同じ対象家族への休暇は重複して申請できません。
申請は「休暇の最終取得日から6か月以内」
申請受付期間はメニューごとに固定ではなく、休暇取得日から起算した期限で管理されています。
- 就業規則に対象の休暇制度を規定し、労働基準監督署へ届出
- 従業員が対象の休暇・休業を取得
- 休暇等の最終取得日の翌日から起算して6か月以内に交付申請
- 千代田区事業者ポータルサイト、電子メール、郵送・持参のいずれかで提出
必要書類は、交付申請書のほか、商業・法人登記事項証明書(発行から3か月以内)、労働保険料の申告書の写し、就業規則の写し、対象従業員の雇用保険被保険者資格取得等確認通知書などです。制度導入奨励金は、導入直前の就業規則の写しも追加で必要です。
補助額のシミュレーション
- ITサービス業(従業員20人): 男性社員が育休14日取得。③の奨励金3万円のみを申請
- 製造業(従業員80人): 従業員2人が介護休業をそれぞれ14日ずつ取得し、引継ぎのために代替要員を90時間投入。④の奨励金3万円×2人=6万円+⑤の助成金9万円(90時間×1,000円)=合計15万円
- 卸売業(従業員45人・令和8年度に子の看護等休暇制度を新設): 制度導入から半年で従業員が子の看護等休暇を3日取得。⑥の15万円+②の2万円=合計17万円
代替要員の助成金は、同時勤務が5日未満だと対象外になります。引継ぎ期間を短く設定しすぎないよう、申請前に日数を確認してください。
よくある質問
個人事業主でも申請できますか?
対象外です。この制度は会社法上の「会社」「特例有限会社」、一般社団・一般財団法人が対象で、個人事業主は含まれません。
6つのメニューを同時に申請できますか?
要件を満たせば同時申請できます。例えば代替要員助成金と、休暇取得者本人の奨励金は別のメニューとして併せて申請可能です。
休暇を取得してから半年以上経ってしまいましたが申請できますか?
できません。各奨励金は休暇等の最終取得日の翌日から起算して6か月以内が申請期限です。期限を過ぎると対象外になります。
