千代田区の「中小企業販路拡大事業支援補助」は、区内中小企業が展示会(オンライン開催を含む)に出展した経費の3分の2、上限10万円(条件を満たせば20万円)を補助する制度です。ただし申請できるのは出展のみという点が最大の注意点です。

千代田区中小企業販路拡大事業支援補助とは

この補助金は、千代田区内に本店・主たる事業所があり、実際に区内で事業を営んでいる中小企業者が、販路拡大のために展示会へ出展した際の費用の一部を補助する制度です。

対象になる事業者の要件は次のとおりです。

  • 区内に登記上の本店所在地(個人事業者の場合は主たる事業所)があり、かつ営業実態がある中小企業者であること
  • バーチャルオフィスは対象外(実態のある事業所が必要)
  • 中小企業基本法上の中小企業者の定義に該当すること(製造業その他は資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業は資本金1億円以下または100人以下、小売業は資本金5,000万円以下または50人以下、サービス業は資本金5,000万円以下または100人以下、など業種ごとに基準が異なる)

補助率と上限額は次のとおりです。

区分補助率補助上限額
基本補助対象経費の3分の2(千円未満切捨て)10万円
加算あり(下記いずれかに該当)補助対象経費の3分の2(千円未満切捨て)20万円
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加算要件(いずれか一方に該当すれば20万円が上限になります)は次の2パターンです。

  1. 申請時点で創業後10年以内であり、かつ区が認定した商工関係団体(認定団体)に所属していること
  2. (公財)まちみらい千代田が実施する「千代田ビジネス大賞」のいずれかの賞を受賞して1年以内であり、かつ認定団体に所属していること

認定団体として明記されているのは、東京商工会議所千代田支部(一般社団法人)東京中小企業家同友会千代田支部千代田区商工業連合会の3団体です。創業間もない事業者やビジネス大賞受賞企業は、まずこれらの団体への所属状況を確認しておくと補助上限を引き上げられる可能性があります。

対象になる経費・ならない経費を費用構造で整理する

展示会出展にかかる費用は、小間料・装飾費・什器レンタル・輸送費・カタログ制作費・人件費など多岐にわたりますが、この補助金で対象になるのは「出展小間料」「装飾費」「備品レンタル費」の3項目のみです。

費目対象/対象外補足
出展小間料対象展示会主催者に支払うブーススペースの利用料
装飾費対象展示会のために作成・使用したもの(ブース看板等)に限る
備品レンタル費対象展示会場で使用する備品のレンタル費用
設営費対象外ブースの組み立て・施工にかかる費用
周知費対象外集客・告知にかかる費用
運送費(輸送費)対象外展示物・什器の輸送費用
人件費対象外出展スタッフの人件費
消費税対象外
カタログ・パンフレット制作費対象外対象経費3項目に含まれないため
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出展料や装飾費に比べて、設営費・運送費・人件費といった付随コストは対象外になる点に注意が必要です。見積もりを取る際は、請求書・領収書の内訳が「出展小間料」「装飾費」「備品レンタル費」として明確に分かれているかを主催者側に確認しておくと、実績報告の段階で困りません。

オンライン開催の展示会も対象です。ただし「期間を定めて開催されている」ことが条件になっており、常時公開型のオンライン展示・バーチャル展示場のようなものは対象外になり得ます。また、次のような展示会はそもそも対象外です。

  • 広く一般に公開されない展示会
  • 一般消費者への販売が主な目的の展示会(催事・物産展など)
  • 千代田区が自ら開催・共催する展示会

事前申請ではなく「事後申請」——出展前に申請しても受け付けてもらえない

多くの展示会出展系の補助金は「出展前の交付決定」を前提にしていますが、この制度は逆で、事前の申請を受け付けていません。千代田区の公式ページでも「交付申請は、展示会出展前には受け付けていませんので、展示会出展後にご申請ください」と明記されています。

つまり実務の流れは次のようになります。

  1. 展示会に出展する(費用は一旦自己負担で立て替える)
  2. 必要書類を揃える
  3. 出展した年度内に交付申請を行う
  4. 審査・交付決定
  5. 実績報告

ポイントは「出展した年度内に申請する」という期限です。年度をまたいで出展した場合は、最終日が属する年度が申請年度になります。たとえば令和8年3月31日〜4月1日にかけて出展した場合は、最終日が4月1日のため令和8年度に申請する扱いになります。出展した年度の年度末が近づいてから慌てないよう、出展直後に必要書類の準備を始めるのが安全です。

申請にあたって必要な書類は次のとおりです。

  • 交付申請書
  • 実績報告書
  • 会社概要
  • 登記事項証明書(法人)または開業届(個人事業者)
  • 受賞証明書(千代田ビジネス大賞の加算を受ける場合)
  • 納税証明書
  • 支払いを証明する書類(領収書・請求書等)
  • 事業成果が分かる資料(展示会パンフレット、ブースの写真など)

また、次の2点も見落としやすい制約です。

  • 予算に上限があります。「申請総額が予算額に達しし次第、申請受付を終了する」と明記されており、年度後半になるほど枠が埋まっている可能性があります
  • 申請回数の制限があります。1申請者につき1年度中の交付申請は1回まで、かつ1申請あたり1種類の展示会出展費用までしか含められません。複数の展示会に出展した場合は、どの展示会分を申請するか選ぶ必要があります

補助額のシミュレーション:出展費用のパターン別に見る

補助対象経費(出展小間料・装飾費・備品レンタル費の合計)に補助率2/3をかけ、上限額で頭打ちにする形で試算してみます。

  • オンライン展示会に出展するITサービス会社: 出展小間料5万円+オンラインブースの装飾費(バナー・ロゴ制作)4万円=対象経費9万円。補助額は9万円×2/3=6万円
  • 国内の業界展示会にリアル出展する製造業: 出展小間料15万円+ブース装飾費10万円+什器レンタル費5万円=対象経費30万円。本来は30万円×2/3=20万円だが、基本上限は10万円のため補助額は10万円で頭打ちになる
  • 創業8年目・認定団体所属のデザイン事務所: 同じく対象経費30万円のケースでも、創業10年以内かつ認定団体所属の加算要件を満たせば上限が20万円に引き上がり、補助額は20万円を受け取れる

このシミュレーションからわかるとおり、対象経費が15万円を超えるあたりから上限額が実質的な天井になります。装飾費や什器レンタルにこだわりたい場合、創業10年以内・認定団体所属や千代田ビジネス大賞受賞といった加算要件に当てはまらないかを事前に確認しておくと、補助額が2倍になる可能性があります。

展示会出展は国の補助金が使えることもあります。あわせてこちらの記事で解説しています。

あわせて読みたい【全国】小規模事業者持続化補助金とは?何に使える・いくらもらえる・対象は古くなった陳列棚を、動線に合わせた売り場に一新したい。電話とメモ書きでバラバラに管理していた予約を、システムでまとめて効率化したい。展示会に出展して、新しい取引先を開拓したい――。 業種を問わ…12分で読めます

小規模事業者持続化補助金は「販路開拓」の取組として展示会出展そのものを対象経費に含められる場合があり、千代田区の補助金と組み合わせられれば自己負担をさらに圧縮できる可能性があります(併用可否は必ず両制度の最新要領・窓口で確認してください)。

展示会出展以外にも自社が対象になる補助金・助成金がないか気になる方は、3分でできる補助金診断も活用してみてください。

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加算要件への該当有無や、国の補助金との併用設計など実務の進め方に迷う場合は、専門家に相談するのも一つの手です。

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よくある質問

展示会に出展する前に申請しておく必要はありますか?

いいえ、この補助金は事後申請のみです。千代田区の公式ページでも「交付申請は、展示会出展前には受け付けていません」と明記されており、出展後に必要書類を揃えて申請する流れになります。出展前の交付決定を前提とする他の補助金とは仕組みが異なるので注意してください。

オンライン展示会への出展でも対象になりますか?

対象になります。ただし「期間を定めて開催されている」オンライン展示会であることが条件です。常時公開型のバーチャル展示のようなものは対象外になる可能性があるため、出展前に主催者の開催形態を確認しておくと安心です。

個人事業主でも申請できますか?

申請できます。要件は「区内に主たる事業所があり、営業実態がある」ことで、法人・個人事業主を問いません。ただし必要書類が法人は登記事項証明書、個人事業者は開業届と異なる点に注意してください。バーチャルオフィスのみで実態のない事業所は対象外です。


免責事項: 本記事の内容は2026年7月時点で確認できた情報にもとづきます。補助率・上限額・対象経費・申請要件・予算状況は変更される場合があるため、申請前に必ず千代田区の公式ページで最新の内容をご確認ください。

出典: