経験の浅い人を3か月ためし雇用し、仕事に合うかを見てから無期雇用に進めます。そのための助成金が、トライアル雇用助成金です。1人あたり月4万円(母子家庭の母等と父子家庭の父は月5万円)が、最長3か月分出ます。ハローワーク等の紹介で雇った人だけが対象で、自社に直接応募してきた人は対象外です。
無期雇用に移らなくても、試行期間の分は支給の対象になります。この記事は、事業主が使う一般トライアルコースを扱います。
トライアル雇用助成金の要点まとめ
正式名:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
だれが
- 申請者
- 事業主(法人・個人事業主)
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 就職が難しい人の試行雇用(人材確保)
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 規定なし
いくら
- 補助上限額
- 1人あたり最大15万円(月5万円×3か月。一般は月4万円)
- 補助率
- 定額(月額×支給対象期間。出勤日数で調整)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 締切なし(開始日から2週間以内に計画書、終了翌日から2か月以内に申請)
うちの会社は対象になる?
次の6つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 6
紹介の前に、トライアル雇用の求人をハローワークなどに出しておきます。ハローワーク等には、地方運輸局と、助成金の取扱いに同意した職業紹介事業者も入ります。
所定労働時間は、自社の通常の労働者と同じにします。ただし30時間以上が条件です。日雇労働者・ホームレス・住居喪失不安定就労者を雇う場合は20時間以上で足ります。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 自社に直接応募してきた人
- ✕ 紹介の前に選考を始めていた
- ✕ 派遣のトライアル求人
- ✕ 3親等以内の親族
- ✕ 過去3年に自社で働いていた人
過去3年の中身は、雇用・請負・委任のほか、出向や派遣で自社の事業所で働いた人です。選考は、書類ではなく面接で行うよう勧められています。
雇う人はどんな人?
雇う人が、次のどれかに当たる必要があります。確認の基準は、ハローワーク等の紹介日です。
- 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
- 紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超える(パートやアルバイトも含めて一切働いていない)
- 妊娠、出産、育児を理由に離職し、安定した職業に就いていない期間が1年を超える
- 1968年4月2日以降の生まれで、ハローワーク等で担当者による個別支援を受けている
- 生活保護受給者、母子家庭の母等、父子家庭の父、日雇労働者、季節労働者、ホームレス、生活困窮者など
安定した職業とは、期間の定めのない契約で、通常の労働者と同程度の時間で働く仕事です。本人が、無期雇用とトライアル雇用の両方を希望していることも条件です。
紹介日にすでに安定した職業に就いている人は、対象になりません。自分で事業をしている人や役員で、週30時間以上働く人も同じです。学校に在籍中の人も対象外です。ただし卒業年度の1月1日を過ぎていて、卒業後の就職の内定がない人は対象です。
いくらもらえる?
1人につき月4万円です。母子家庭の母等と父子家庭の父を雇う場合は月5万円です。支給は1か月単位で最長3か月分です。出勤した日数が予定の75%に届かない月は、その月の額が下がります。
- 一般の対象者を3か月雇う:4万円 × 3か月 = 12万円
- 母子家庭の母等を3か月雇う:5万円 × 3か月 = 15万円 → 最大額
- 1か月目に予定22日のうち16日出勤(73%):4万円 → 3万円。残り2か月は満額で、合計11万円
- 2か月で無期雇用に移る:4万円 × 2か月 = 8万円
出勤の割合ごとの月額は、次のとおりです。有給休暇は、出勤した日に数えます。
| 出勤の割合 | 一般 | 母子・父子家庭 |
|---|---|---|
| 75%以上 | 4万円 | 5万円 |
| 50%以上75%未満 | 3万円 | 3.75万円 |
| 25%以上50%未満 | 2万円 | 2.5万円 |
| 0%超25%未満 | 1万円 | 1.25万円 |
| 0% | 支給なし | 支給なし |
途中で無期雇用に移ったときは、移行日の前日までが対象です。本人の都合で辞めたときは辞めた日までです。どちらの月も、その期間の出勤日数で額が決まります。
母子家庭の母等と父子家庭の父を、試行のあとも続けて雇うときは、特定求職者雇用開発助成金の一部も受けられる場合があります。
申請の流れ
- トライアル雇用求人を出す(事業主→ハローワーク等。紹介を受けるより前に)
- 紹介を受けて面接し、雇い入れる(事業主。原則3か月の有期雇用契約)
- 実施計画書を出す(事業主→紹介元のハローワーク。民間の紹介は管轄の労働局かハローワーク。開始日から2週間以内)
- 試行雇用を行う(事業主。出勤簿と賃金台帳をつける)
- 支給申請書を出す(事業主→事業所を管轄するハローワークか労働局。終了日の翌日から2か月以内)
期限は日数で決まっています。開始日が11月1日なら、トライアル雇用は翌年1月31日までです。支給申請の期限は、2月1日から数えて3月31日になります。
計画書の期限は、末日が行政機関の休日なら次の開庁日です。申請の期限を過ぎると助成金は受けられません。
必要な書類
準備できた 0 / 7
紹介証明書と対象者確認書類は、民間の職業紹介事業者から紹介を受けたときに使います。ハローワークの紹介なら要りません。
支給申請には、受理印のある計画書の写しも添えます。無期雇用に移ったときは、移行後の雇用契約書も出します。母子家庭の母等や父子家庭の父として計画書を出すときは、児童扶養手当証書などの確認書類を添えます。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 紹介より前に選考を始めた:紹介の前に、その人への採用選考を始めた事業主は支給されません。
- 期限に間に合わなかった:計画書は開始日から2週間以内、支給申請は終了日の翌日から2か月以内です。
- 賃金や書類に不備があった:試行期間中の賃金を払っていないと、不支給になります。出勤簿、労働者名簿、賃金台帳も、そろえて保管しておきます。
- 事業主の都合で人を辞めさせた:試行を行った事業所で、基準期間に事業主の都合で被保険者を辞めさせていると、対象外です。
- 試行のあと、続けて雇う人が少なかった:過去3年に試行して無期雇用にならなかった人が3人を超え、移った人より多い事業主も、対象外になります。
基準期間は、試行の開始日の前日から6か月前の日から試行の終了日までです。
よくある質問
自社のサイトで応募してきた人を雇った場合も対象になりますか?
対象になりません。この助成金は、トライアル雇用の求人をハローワーク等に出し、その紹介を受けて雇った場合に限られます。自社サイトや求人媒体への応募者、知人の紹介は対象外です。紹介の前に、その人への採用選考を始めていた場合も、支給されません。人手を探す段階で、トライアル求人として出すかを決めておいてください。
無期雇用に移らないと助成金はもらえませんか?
移らなくても、試行期間の分は対象です。支給は、試行雇用の期間に対して月額で行われます。途中で無期雇用に移ったときは、移行日の前日までが対象になります。試行のあとに続けて雇わなかった場合は、過去3年の人数で不支給になることがあります。無期雇用に移ることを前提にした制度なので、計画書には移行の要件も書きます。
母子家庭の母は、月5万円になりますか?
なります。対象者が母子家庭の母等か父子家庭の父なら、月額は5万円で、3か月分で最大15万円です。確認には児童扶養手当証書などの書類を使います。ハローワークの紹介では、この区分を優先して確認すると実施要領に定められています。試行のあとも続けて雇うときは、特定求職者雇用開発助成金の一部も受けられる場合があります。
欠勤があった月の助成金は、減りますか?
出勤した日数の割合で減ります。1か月に就労を予定していた日数のうち、75%以上出勤すれば満額です。たとえば予定22日のうち16日なら73%で、月4万円が3万円になります。有給休暇は出勤に数えます。本人の都合の休みや、事業主の都合の休業があった月も、同じ計算です。割合が0%の月は、支給されません。
試行雇用の期間は、3か月でないといけませんか?
原則は3か月です。対象者と事業主が合意すれば、1か月か2か月にすることもできます。支給の対象は、開始日から1か月単位で、最長3か月です。期間を短くすれば、その分だけ支給も減ります。1週間の所定労働時間は、通常の労働者と同じ30時間以上にします。試行期間中の労働条件は、原則として無期雇用に移ったあとと同じです。
実施計画書は、いつまでに誰に出しますか?
トライアル雇用を始めた日から2週間以内に、紹介を受けたハローワークへ出します。末日が行政機関の休日なら、次の開庁日までです。雇用契約書など、労働条件が分かる書類を添えます。民間の職業紹介事業者の紹介なら、出し先は事業所を管轄する労働局かハローワークで、紹介証明書と対象者確認書類も出します。この計画書の受理が、支給申請の前提です。出し忘れると申請できないので、開始日に日付を控えておいてください。
支給申請の期限はいつですか?
トライアル雇用が終わった日の翌日から、2か月以内です。提出先は、事業所を管轄するハローワークか労働局です。途中で無期雇用に移った場合は、移行日の前日の翌日から数えます。本人の都合で辞めた場合は、辞めた日の翌日からです。起算日が変わるので、イレギュラーが起きたら、紹介を受けたハローワークにすぐ連絡してください。
派遣の求人でも、トライアル雇用にできますか?
できません。派遣の求人を、トライアル雇用の求人にすることはできないと、厚生労働省のリーフレットに書かれています。ほかにも、選考中の人数が求人数の5倍以上になると、それ以降の紹介は止まります。求人の人数を超えるトライアル雇用も、開始できません。求人を出すときの人数は、何人まで試すかを考えて決めてください。
障害のある人を雇う場合も、同じ助成金ですか?
コースが違います。この記事の一般トライアルコースは、障害のある人の雇用を対象にしていません。障害のある人を雇いたい事業主向けに、別のリーフレットが用意されています。金額や期間も一般とは異なるため、この記事の数字は使えません。障害者の雇用を考えているときは、ハローワークか労働局で、障害者向けのコースの案内を受けてください。
学生を雇う場合は対象になりますか?
在学中の人は、原則として対象外です。ただし卒業する年度の1月1日を過ぎていて、卒業後の就職の内定がない人は対象です。学校を卒業する前の人の試行雇用は、卒業日の翌日以降に始めます。専修学校の学生も、在籍中なら同じ扱いです。判断に迷うときは、紹介日の状況を、ハローワークの窓口で確かめてください。
親族や、前に働いていた人を雇えますか?
次の人は対象外です。事業主か取締役の3親等以内の親族、試行を始める日の前日から過去3年以内に、その事業所で雇用・請負・委任の関係にあった人、出向や派遣で働いたことがある人です。同じ人に職場適応訓練をした事業主も、対象になりません。関係が古い場合の扱いは、紹介を受けるハローワークに確かめてください。
問い合わせ先はどこですか?
支給申請の窓口は、都道府県の労働局とハローワークです。厚生労働省のページに、窓口の一覧へのリンクがあります。対象者の確認や計画書の出し方は、トライアル求人を出したハローワークで聞けます。電子申請の案内もページにあります。細かい要件は、雇用関係助成金に共通の要件にも定められているので、あわせて確認してください。
