海業のコンテンツはできたのに、現場の設備が追いついていない。長崎県の支援例には、船の乗降場所の手すり、インバウンド向けの案内看板、船釣り用のライフジャケット、貸し出し用の釣り道具が並びます。
長崎県の海業実施体制確保・強化支援事業は、こうした小規模な施設改修と備品の費用を、補助率10分の10で最大100万円まで出す制度です。対象は、海業のコンテンツをすでに開発している漁協・漁業者団体とその構成員だけで、令和8年度の募集は9月30日で締め切られました。
次の募集について、公式ページには何も書かれていません。準備を始めるなら、対象の線引きと申請の順番を先に押さえておくのが近道です。
海業実施体制確保・強化支援事業の要点まとめ
正式名:長崎県海業で稼ぐ漁村の活力創出事業費補助金(海業実施体制確保・強化支援事業)
だれが
- 申請者
- 事業者(漁業協同組合・漁業者団体・その構成員)
- 対象業種
- 漁業(漁協・漁協等が組織する団体・その構成員)
- 利用目的
- 海業のコンテンツ実装に要る小規模な施設改修・装備・備品の配置
- 対象地域
- 長崎県内
- 従業員数
- 規定なし(団体・構成員が申請)
いくら
- 補助上限額
- 100万円
- 補助率
- 定額補助(補助率10分の10)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 令和8年9月30日まで
- 事業の完了
- 令和9年2月22日まで
うちの団体は使える?
海業(うみぎょう)は、海や漁村の地域資源を活かして、地域の収入や雇用をつくる取組です。次の4つに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
団体は、法人でなくても使えます。代表者が決まっていて、組織と運営の規約がある団体であれば対象です。構成員が自分で申請する場合は、所属する団体か漁協の推薦が欠かせません。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ すでに収益が出ている取組の設備
- ✕ 老朽化した設備の単純な修繕・更新
- ✕ 団体がすでに交付を受けている
最後の項目には補足があります。交付は1団体・組織あたり1回(1年度)限りです。構成員が申請した場合も、所属する団体の回数に数えられます。令和8年度は、申請した地域のうち最大4地域を「海業モデル地域」として選んで支援する形で、審査があります(県のチラシ)。
いくら戻ってくる?
補助率は10分の10です。対象経費がそのまま補助され、上限は100万円。1,000円未満の端数は切り捨てられます。
- 手すりと案内看板で60万円:60万円 × 10/10 = 60万円(自己負担なし)
- 貸し出し用の釣り道具とライフジャケットで85万6,500円:85万6,500円 × 10/10 = 85万6,000円(端数500円は切り捨て)
- 乗降場の改修と備品で150万円:150万円 × 10/10 = 150万円 → 上限の100万円(残り50万円は自己負担)
上限を超えた分は補助されません。 見積が100万円を超えそうなときは、今回の対象部分を100万円以内に絞り、残りを別の財源や次の機会に回す手があります。
何に使える?
対象にならないもの
- すでに収益が出ている海業で使っている施設・設備
- 老朽化した施設・設備の、単純な修繕や更新
- 交付決定通知書の日付より前に使った経費
対象になるもの
- 需用費(消耗品費・修繕費)
- 備品購入費
- 工事請負費
対象は、海業コンテンツの実装・事業定着に要る小規模な整備です。公式ページの支援例は、手すり、案内看板、ライフジャケット、貸し出し用の釣り道具の4つでした。修繕費が対象に入る点は見落としやすいところです。ただし古い設備を直すだけの修繕は対象外なので、「新しい海業のために手を入れる」ことが前提です。
申請の流れ
- 事業計画を出す(団体・構成員→長崎県漁政課。募集期間内に郵送か持参)
- 県の審査結果を待つ(県→団体。募集の終了後にまとめて審査)
- 交付申請書を出す(団体→漁政課。審査結果の通知に書かれた期日まで)
- 事業を実施する(団体。県の交付決定通知書の日付以降に着手)
- 実績報告を出す(団体→漁政課。完了から30日後か令和9年2月22日の、早い方まで)
- 交付請求を出す(団体→漁政課。額の確定通知のあと、令和9年3月1日まで)
交付決定通知書の日付より前に使った経費は、対象外です。見積を取るだけなら問題ありませんが、発注や契約は通知のあとにします。契約は、原則として一般競争に付す決まりです。帳簿と証拠書類は、事業の完了した年度の翌年度から5年間保管します。1件の取得価格が50万円以上の財産は、処分制限期間のうちは県の承認なしに目的外の使用・譲渡・貸付ができません。
必要な書類
準備できた 0 / 18
推薦書は、構成員として申請するときだけ要ります。実施設計書は、工事を伴う事業のときに交付申請で添えます。支出証拠書類は、契約書・発注書・請求書・納品書・領収書の写しなどです。事業計画の提出と交付申請の両方に、定款・規約と見積書・カタログを付けます。事業実績書と収支精算書は、事業計画書・収支予算書と同じ様式の実績版です。交付請求を概算払にするときは、様式第12号に代えて交付請求書(様式第14号)を使います。通帳の写しは、表紙と見開き1ページ目をコピーし、請求者と口座名義が違うときは委任状が要ります。誓約書(様式第7号)は、暴力団などに該当しないことを誓う内容で、県が警察本部へ照会することにも同意する書式です。チェック欄に1つでも空きがあると交付決定ができません。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定通知書より前に着手した:通知の日付より前の経費は対象外です。発注や契約は通知を待ちます。
- 収益化済みの設備や単純な更新だった:すでに収益が出ている取組の設備と、老朽化した設備の単純な修繕・更新は対象外です。
- 同じ団体で2回目の申請をした:交付は1団体・組織あたり1回(1年度)限りです。
- 仕入れ控除税額の返納が生じた:消費税の仕入控除税額が1円以上のときは、県から納入通知書が届き、期限までに納めます。
よくある質問
個人の漁業者が一人で申請できますか?
申請できる形は、漁協・漁協等が組織する団体、またはその構成員のどれかです。構成員が申請する場合は、団体か漁協の推薦書が欠かせません。そのため、どこの団体にも属さない個人が単独で出す形は想定されていません。まずは所属する漁協や団体に、推薦書を出してもらえるかを相談します。公式ページには個人単独の申請について触れた記載がなく、迷うときは漁政課に問い合わせるのが確実です。
海業のコンテンツがまだ無くても使えますか?
使えません。事業実施者の要件に、海業のコンテンツを開発していることが入っています。この補助は、海業チャレンジ応援事業や海業取組促進事業などで開発したコンテンツを、実際に動かして定着させるための整備を支えるものです。コンテンツが固まっていない段階では、先に別の事業を使うか、コンテンツづくりを進めてから申請を検討します。
すでに売上のある海業の設備を新しくしたいのですが、対象ですか?
対象外です。すでに収益化している海業の取組で使う施設・設備は、補助の対象になりません。新しいメニューや新しい受け入れの形をつくるために必要な整備なら、対象になり得ます。既存の取組の設備でも、新しい取組のために別に整える部分があるなら、その部分を切り分けて事業計画に書くことになります。線引きに迷う場合は、見積を出す前に漁政課へ相談してください。
古くなった手すりや看板の交換は対象になりますか?
老朽化した施設・設備の単純な修繕や更新は、対象外です。同じ手すりを新品に取り替えるだけ、といった内容がこれに当たります。一方で、これまで手すりがなかった乗降場所に新しく付けるなら、海業の実装に必要な整備として対象になり得ます。古い設備の交換と新設が混ざる工事は、費用を分けて見積を取っておくと、事業計画で説明しやすくなります。
補助は何回まで受けられますか?
交付は1団体・組織あたり1回(1年度)限りです。構成員が事業実施者になった場合も、所属する団体や組織への交付回数に数えられます。同じ団体の複数の構成員が別々に申請すると、団体としての1回を使い切る形になる点に注意が必要です。団体内で誰が申請するか、何を整備するかを先にすり合わせてから、事業計画を出します。
見積が100万円を超えるときはどうなりますか?
補助額は上限100万円で止まり、超えた分は自己負担です。たとえば150万円の見積なら、補助は100万円で、50万円は自己負担になります。事業計画では、全体の見積を示したうえで、この補助でまかなう範囲を決めておくと整理しやすくなります。補助率は10分の10なので、上限に収まる範囲なら自己負担は出ません。なお、1,000円未満の端数は切り捨てです。
交付決定の前に備品を買っても大丈夫ですか?
大丈夫ではありません。県の交付決定通知書の日付より前の経費は、対象外です。事業計画を出した時点や、審査結果の通知が届いた時点では、まだ交付決定ではありません。実際に着手できるのは、交付申請のあとに届く交付決定通知書の日付以降です。見積やカタログを集める作業は問題ありませんが、契約や発注、購入は通知のあとにします。
海業PR等支援事業とは何が違いますか?
同じ長崎県の補助金に、もう一つのメニューがあります。海業PR等支援事業は、SNS動画、チラシ、地元イベントへの出展など、PR費用が対象で、補助率は2分の1です。募集期間は令和8年11月30日までと、公式ページに書かれています。体制確保・強化支援事業は施設・設備側です。両方に申請することも可能ですが、事業計画書や交付申請書などは、メニューごとに別々に作る必要があります。
事業計画を出したあとの流れを教えてください。
事業計画書と添付書類を郵送か持参で出すと、県が審査して結果を通知します。この事業メニューは、募集期間が終わってからまとめて審査される方式です。結果が届いたら、通知に書かれた期日までに交付申請書と添付書類を出します。その後、県の交付決定通知書の日付以降に事業へ着手できます。事業計画を出す段階から、見積書やカタログなど、費用の根拠資料が必要です。
実績報告と請求はいつまでですか?
事業が終わったら、完了した日から30日後か令和9年2月22日の、早い方までに、実績報告書を出します。県が審査して補助金の額が確定すると通知が届き、その後に交付請求書を出します。請求の期限は令和9年3月1日です。精算払のほか、概算払で受け取る方法も選べます。事業の実施期間は交付決定日から令和9年2月22日までなので、工事や納品の日程はそこから逆算します。
仕入控除税額の報告とは何ですか?
補助金で買った物の消費税のうち、事業者が確定申告で差し引く「仕入控除税額」の報告です。事業実績書の消費税の欄で「該当なし」にチェックを入れていなければ、控除税額が0円でも報告書の提出が要ります。1円以上の返納が生じたときは、県から納入通知書が届きます。報告が要るのは、インボイス発行事業者の登録を受けている人、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える人、消費税課税事業者選択届出書を出している人です。提出の要否は、県の案内ページにあるフローチャートで確かめられます。提出期限は、補助金を受けた日が属する会計期間の終了後3か月以内です。
書類の押印と提出先はどうなっていますか?
事業計画は郵送か持参で、長崎県漁政課の地域支援担当(海業)宛てに出します。郵送は簡易書留やレターパックにすると、届いたことを確かめられます。各様式の押印は、発行責任者と発行担当者を書けば省略できます。ただし推薦書の押印は省略できません。問い合わせ先は漁政課(電話 095-895-2811)で、令和8年度の事業計画は郵送か持参のみの受付でした。
