ふつうの補助金は、経費を払ったあとで一部が戻ってきます。奈良市の「ふるさと起業家支援事業」は、この順番が逆です。先に市の審査を通過し、それから全国に向けて自分で資金を集めにいく。もらう補助金ではなく、集める補助金です。
対象は、市内で創業後10年未満の個人事業主・法人。集める資金は一般枠で100万〜150万円、店舗整備や設備投資を伴う成長投資枠なら300万〜400万円です。応募の締切は令和8年8月3日23時59分、募集事業者数は一般枠・成長投資枠あわせて2事業者という狭き門です。
検討しているなら、もう時間との勝負に入っています。
奈良市ふるさと起業家支援事業の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主) |
| 制度名 | 奈良市ふるさと起業家支援事業 |
| 対象業種 | 業種指定なし(観光・環境・教育・福祉等の地域課題解決、地域資源活用、地域活性化・雇用創出のいずれかに資する事業) |
| 利用目的 | 起業・創業支援(ふるさと納税型クラウドファンディングによる資金調達) |
| 対象地域 | 奈良県奈良市(市内に住所を有する個人事業主、または市内に事業所を有する法人) |
| 従業員数 | 規定なし(創業後10年未満の者であること) |
| 補助上限額 | 一般枠100万〜150万円/成長投資枠300万〜400万円(目標金額。未達成でも集まった寄附額はほぼそのまま奨励金) |
| 補助率 | 寄附額の100%(市の既存返礼品を使った分は30%を差し引いた額) |
| 申請受付 | 令和8年7月1日〜8月3日23:59(募集事業者数は2事業者)(受付終了) |
| 公式サイト | https://www.city.nara.lg.jp/soshiki/109/118903.html |

まず何をすればいいか
この制度は「申請して待つ」だけでは終わりません。動きは大きく5段階に分かれます。
- プレエントリー〜応募締切(令和8年7月1日〜8月3日23:59): 専用フォームからプレエントリー後、事業計画書一式を提出
- 書類審査・プレゼンテーション審査(8月27日午後予定): 書類審査を通過した事業者だけが進める
- 認定・不認定の通知: 選定結果にかかわらず、申請時のメールアドレス宛に通知
- クラウドファンディング開始(11月2日開始予定・年度内90日間): 「ふるさとチョイス」に事業計画を掲載し、全国から寄附を募集
- 奨励金の受領・事業報告(受領から1年以内、または事業完了時のいずれか早い日)
つまり、審査に通ってからが本番です。採択されたあとに自分で資金を集める広報活動こそが、この制度の中心になります。
自分は対象になるのか
対象になるための条件は、次のすべてです。
- 創業後10年未満であること(開業前の創業予定者は対象外)
- 奈良市内に住所を有する個人事業主、または市内に事業所を有する法人であること
- 観光・環境・教育・福祉等の地域課題解決、地域資源の活用、地域の活性化や雇用創出のいずれかに資する新規事業を行うこと
- 市税等の滞納がないこと
枠はどちらか一方のみ申請できます(同時申請は不可)。
| 枠 | 目標金額 | 対象になる事業 |
|---|---|---|
| 一般枠 | 100万円〜150万円 | 新規事業に挑戦し事業拡大を目指す起業家 |
| 成長投資枠 | 300万円〜400万円 | 上記のうち、店舗整備または設備導入等を伴う事業を行う者 |
成長投資枠の「店舗整備又は設備導入等」は、新規事業の実施に必要な店舗の改修工事や固定資産の取得を指します。単なる備品の購入や、事業の成長に資することが明確でないものは含みません。目標金額そのものは、採択後に奈良市と相談のうえで決めます。
集めた金額がそのまま手取りになるとは限らない
寄附者への返礼品には、認定事業者オリジナルの返礼品と、奈良市の既存返礼品の2種類を使えます。どちらを使うかで、手元に交付される金額が変わります。
| 集まった寄附金額 | 返礼品の内訳 | 交付金額 |
|---|---|---|
| 100万円 | すべて認定事業者オリジナルの返礼品 | 100万円 |
| 100万円 | すべて奈良市の既存返礼品 | 70万円 |
| 100万円 | オリジナル返礼品40万円分+既存返礼品60万円分 | 82万円 |
市の既存返礼品を使った寄附分は、30%が差し引かれて交付されます。自社商品や体験コンテンツを返礼品に用意できるかどうかで、手取りは最大30%変わる計算です。なお「ふるさとチョイス」への掲載手数料は全額奈良市が負担するため、この部分の持ち出しはありません。
つまずきやすいのは「順番」
この制度で最も見落とされやすいのが、認定通知と支出の順番です。
- 「奈良市ふるさと起業家支援事業認定通知書」を受領する前に始めた事業の費用は、対象経費になりません。受領後でないと対象経費になりません
- 奨励金は、受領した日から1年以内に事業報告を行うまでに全額使い切る必要があり、貯蓄はできません
- 一般枠と成長投資枠は同時に申請できません
- 書類提出後の差し替え・追加は認められません
「補助金があるから始める」ではなく、「認定を受けてから始める」という順番を守る必要があります。
提出する書類
応募時に提出する主な書類は次のとおりです。
- 対象事業認定申請書(第1号様式)
- 事業計画書(第2号様式、A4・10ページ以内)
- 直近1か年の決算書の写し(個人事業主は確定申告書の写し。決算前なら直近3か月の売上資料でも可)
- 定款及び履歴事項全部証明書の写し(個人事業主は開業届出書及び住民票の写し)
- 誓約書兼同意書(第3号様式)
- 役員等名簿(第4号様式・個人事業主は不要)
- 市税の納税証明書(前年度分・法人で創業後1年未満の場合は不要)
- 店舗整備または設備導入等の内容がわかる資料(成長投資枠のみ。建物パースや導入予定機材のカタログ等)
事業計画書は10ページ以内で、寄附者の共感を得られる内容にまとめる必要があります。
よくある質問
開業前でも申請できますか?
申請できません。対象者は創業後10年未満の個人事業主・法人に限られ、これから開業する創業予定者はこの制度の対象外です。
寄附金が目標額に届かなかったら奨励金はもらえませんか?
もらえます。この制度は目標金額の達成・未達成にかかわらず、集まった寄附金全額が奨励金として交付されます(既存返礼品を使った分のみ30%が差し引かれます)。
一般枠と成長投資枠はどちらを選べばいいですか?
店舗の改修や設備導入を伴う事業なら成長投資枠(目標300万〜400万円)、それ以外の新規事業なら一般枠(目標100万〜150万円)です。両枠への同時申請はできません。
