工場の壁が崩れた。生産機械が水に浸かって動かなくなった。地震のあと、片づけと事業の再開で頭がいっぱいになり、「補助金の申請」は後回しになりがちです。ですが、この補助金は片づけを始める前の写真が申請の土台になるという特徴があります。動き出す前に知っておきたい制度です。
新潟県の「なりわい再建支援補助金」(正式名称は中小企業特定施設等災害復旧費補助金)は、令和6年能登半島地震で被災した中小企業・小規模事業者の施設・設備の復旧費用を、最大4分の3、上限3億円まで補助する制度です。個人事業主も対象に含まれます。令和8年7月31日時点で16回目の交付決定まで進んでおり、継続的に募集が行われています。
なりわい再建支援補助金の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主) |
| 制度名 | なりわい再建支援補助金(中小企業特定施設等災害復旧費補助金) |
| 対象業種 | 業種指定なし(令和6年能登半島地震で被災した中小企業・小規模事業者・中堅企業) |
| 利用目的 | 施設・設備の災害復旧 |
| 対象地域 | 新潟県(能登半島地震で被災した事業者) |
| 従業員数 | 中小企業基本法上の中小企業者・小規模事業者(業種ごとに資本金・従業員数の上限があり、どちらか一方を満たせば該当。詳細は下記) |
| 補助上限額 | 3億円(補助下限額の記載なし) |
| 補助率 | 中小企業・小規模事業者は4分の3以内、中堅企業(資本金・出資金10億円未満)は2分の1以内 |
| 申請受付 | 次回の公募時期は未公表(2026年8月9日時点)。第10次募集は2026年6月10日〜7月10日で終了済み |
| 公式サイト | 新潟県「新潟県なりわい再建支援補助金について」 |

「中小企業者」とは誰のことか
早見表の対象業種欄にある「中小企業基本法上の中小企業者」は、業種ごとに資本金と従業員数の上限が決まっています。製造業その他は資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業は資本金1億円以下または従業員100人以下、小売業は資本金5,000万円以下または従業員50人以下、サービス業は資本金5,000万円以下または従業員100人以下です。どちらか一方を満たせば該当します。これに加え、資本金・出資金が10億円未満の「中堅企業」も対象に含まれますが、その場合は補助率が2分の1以内に下がります。
何が対象になるのか。壊れた設備だけではありません
対象経費は「資産計上されている施設・設備の復旧に要する経費」です。ここでいう施設とは工場や店舗の建物、設備とは生産機械などを指します。
- 修繕で直せる被害 → 修繕費が対象
- 全壊・大規模半壊の判定を受けた建物 → 建替えも対象になる場合があります。ただし修繕より建替のほうが安価な場合という条件が付きます
- 既に自己資金で復旧工事を終えてしまった場合も対象になります。 これは見落としやすいポイントで、「もう直してしまったから対象外」と思い込んで申請を諦める必要はありません
一方で、罹災証明書(または代替できる証明書)や被災施設・設備の写真が申請の根拠になります。片づけを始める前に、壊れた状態の写真を必ず残しておくことが、あとで申請するかどうか迷ったときの選択肢を残す一番確実な方法です。
補助率のシミュレーション
具体的な数字で見てみます。
例1: 食品製造業(中小企業・小規模事業者) 工場の冷凍設備が地震で故障し、修理費が800万円かかったケース。中小企業・小規模事業者なので補助率は4分の3。800万円×3/4=600万円が補助され、自己負担は200万円で済みます。
例2: 部品加工業(資本金5億円の中堅企業) 生産ラインの復旧に5,000万円かかったケース。中堅企業なので補助率は2分の1。5,000万円×1/2=2,500万円が補助されます。上限3億円にはまだ余裕があるので、被害が大きいほど恩恵も大きくなります。
申請の流れと注意点
申請は郵送のみで、電子申請やGビズIDは不要です。 他の多くの補助金と違うので覚えておくとよいでしょう。提出先は新潟県なりわい再建支援補助金事務局(新潟市江南区曙町)です。
必要書類は交付申請書・補助事業計画書・暴力団排除誓約書・役員名簿・保険加入同意書・罹災証明書・被災状況写真・見積書一覧表など多岐にわたります。見積書は複数社から取っておくと、審査での説明がしやすくなります。
第10次募集は2026年7月10日で締め切られており、2026年8月9日時点で次回の募集時期は公式ページに示されていません。ただしこれまで16回にわたって継続的に交付決定が行われている実績から、次の募集が実施される可能性はあります。申請を考えている場合は、被災状況の記録を今のうちに整えておき、新潟県なりわい再建支援補助金事務局へ直接問い合わせて次回募集の見通しを確認するという手があります。
よくある質問
すでに自己資金で復旧工事を終えていても申請できますか?
できます。「既に実施済みの復旧事業の経費」も対象と明記されています。ただし罹災証明書や被災前後の写真など、被害と復旧の経緯を示す資料は必須です。工事後でも、記録が残っていれば申請の土台になります。
個人事業主でも申請できますか?
できます。早見表のとおり、対象者は中小企業・小規模事業者に加えて個人事業主も含まれます。
次の募集はいつ始まりますか?
2026年8月9日時点で、公式ページに次回募集の時期は示されていません。第10次募集(2026年6月10日〜7月10日)で終了しており、これまで継続的に募集が行われてきた実績から、今後も募集が実施される可能性があります。新潟県なりわい再建支援補助金事務局(025-288-6035)へ直接確認することをおすすめします。
