オフィスの賃貸借契約を結んでから、市の優遇制度があると知った。この順番だと、使えない優遇が出てきます。小郡市の立地申出書は、賃貸借契約日の前日、または事業開始の30日前までに出す決まりだからです。
小郡市内に事業所を新設・増設する事業者が対象です。工業系は設備投資1億円以上(用地費を除く)で常時10人超、オフィス系は常時3人以上が目安になります。出る優遇は、固定資産税の3年度間免除、新規雇用1人20万円(上限1,000万円)、賃料の1/2(年150万円まで)などです。立地申出書は、契約や事業開始より前に出します。受付期間の記載はなく、手続きごとの期限があります。
小郡市 企業立地優遇制度の要点まとめ
正式名:小郡市事業所等設置奨励条例に基づく企業立地優遇制度
だれが
- 申請者
- 事業者(市内に事業所を新設・増設する者)
- 対象業種
- 製造業9分野、データセンター、オフィス系6業種
- 利用目的
- 事業所の新設・増設(工場・オフィス・データセンター)
- 対象地域
- 福岡県小郡市
- 従業員数
- 工業系は常時10人超、オフィス系は常時3人以上
いくら
- 補助上限額
- 最大1億円(企業立地奨励金)
- 補助率
- 優遇ごとに異なる(本文参照)
いつ・どこへ
- 申請受付
- 通年(受付期間の記載なし。手続きごとに期限あり)
- 公式サイト
- 小郡市「企業立地優遇制度」
うちの事業は対象になる?
次の5つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 工業系で事業所を借りるだけ
- ✕ 暴力団または暴力団員と関係がある
基準の人数は、工業系が10人超、オフィス系が3人以上です。工業系の投資額に、土地の取得価格は含みません。常時の従業員数は、障害者雇用促進法の障害者が働くとき、1人を1.5人として数えます。
対象の業種は次のとおりです。
- 製造業:半導体など(グリーンデバイス)、蓄電池、自動車、ロボット・AI・IoT、環境エネルギー、次世代産業(水素・有機EL)、バイオ、航空宇宙、食料品の9分野
- データセンター(顧客のサーバを預かり、回線や保守・運用を提供する事業):投資額と従業員数の要件は製造業と同じ
- オフィス系:ソフトウェア業、情報処理・提供サービス業、学術・開発研究機関、デザイン業、機械設計業、コンタクトセンター
優遇を受けるには、このほかに2つの前提があります。市の企業誘致推進本部会議で「誘致企業」と決まること。そして市と立地協定・環境保全に関する協定を結ぶことです。業種が合っても、誘致企業として決まらなければ優遇は始まりません。
どの優遇が、いくら出る?
優遇は4種類あります。どれが使えるかは、工業系かオフィス系か、事業所を取得するか借りるかで決まります。
| 優遇の種類 | 工業系(取得) | オフィス系(取得) | オフィス系(賃借) |
|---|---|---|---|
| 固定資産税の免除(3年度間) | ○ | ○ | × |
| 雇用奨励金 | ○ | ○ | ○ |
| 事業所設置奨励金 | × | × | ○ |
| 企業立地奨励金 | ○ | ○ | × |
企業立地奨励金は、市または市の土地開発公社が造成・分譲する工業団地に新設する場合に限ります。オフィス系は自社所有の償却資産も、固定資産税の免除の対象です。
金額の決まり方は、次のとおりです。
- 固定資産税の免除:事業開始日の属する年度の翌年度から3年度間
- 雇用奨励金:市内に住所のある人を新たに常用雇用した人数 × 20万円。1回限りで上限1,000万円
- 事業所設置奨励金:年間の賃料(敷金などを除く)× 1/2。1年度150万円が上限で、3年度間
- 企業立地奨励金:固定資産税額に相当する額。1回限りで上限1億円
「常用雇用」は、雇用期間に定めがなく、雇用保険に入る従業員のことです。対象は、事業開始日から1年以内に雇った人です。
計算の例です。賃料などは仮の数字です。
- 市内在住者を8人、新たに常用雇用:8人 × 20万円 = 160万円
- 市内在住者を60人、新たに常用雇用:60人 × 20万円 = 1,200万円 → 上限の1,000万円(50人で上限に届く)
- ソフトウェア業が事務所を借りる、年間賃料240万円:240万円 × 1/2 = 120万円(3年度間で360万円)
- 同じ業種で年間賃料400万円:400万円 × 1/2 = 200万円 → 上限の150万円(賃料が年300万円以上で上限に届く)
固定資産税の免除は、開始の時期に注意が要ります。事業開始日が令和9年4月1日から令和10年1月1日までなら、免除は令和10年度から令和12年度までの3年度間です。事業開始日が1月2日から3月31日のときは、免除の始まりが1年遅れます。令和10年2月に始めると、免除は令和11年度からです。
固定資産税の免除と企業立地奨励金は、工業系の表で両方に「○」が付いています。同じ税の分を重ねて受けられるかは、公式ページに記載がありません。市の窓口で確かめてください。
申請の流れ(順番に注意)
事業所を借りる場合と取得する場合で、流れが違います。取得するほうは、土地の手続きを挟みます。
事業所を借りる(オフィス系)
- 立地申出書を出す(事業者→小郡市 都市開発課。賃貸借契約日の前日、または事業開始の30日前まで)
- 誘致企業に決まる(小郡市が内部協議で決定)
- 立地協定などを結ぶ(事業者→小郡市。事業開始の前)
- 事業を始める(事業者)
- 優遇制度を申請する(事業者→小郡市。事業開始届や各申請書を出す)
事業所を取得する
- 立地申出書を出す(事業者→小郡市 都市開発課。手続きの初期段階で)
- 誘致企業の候補になる(小郡市が内部協議で決定)
- 土地の手続きを進める(事業者。都市計画、農振除外、農地転用など)
- 誘致企業に決まる(小郡市が内部協議で決定)
- 協定を結ぶ(事業者→小郡市)
- 着工して竣工する(事業者)
- 事業を始める(事業者)
- 優遇制度を申請する(事業者→小郡市)
賃貸借契約日の前日と事業開始の30日前は、どちらが先に来る日を指すのか公式ページに書かれていません。早いほうに合わせておけば外れません。
必要な書類
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立地申出書は、工業系とオフィス系で様式が分かれています。投下固定資産明細書と従業者・市内居住者調書は、各申請書に添える書類です。市の案内ページには、事業休廃止届、申請書記載事項変更届、事業承継届も載っています。
立地申出書の添付書類は、事業所を借りるか取得するかで違います。借りるときは、事業所位置図、賃貸借が行われていることを証する書類、役員等調書兼照会承諾書、法人登記簿謄本、会社案内などです。取得するときは、土地利用計画平面図、全体計画スケジュール、開発区域内の地権者同意書、開発区域の区長意見書などが加わります。役員等調書は、法人登記簿に載る役員全員を書き、小郡警察署への照会に同意する書類です。
優遇の申請書には、次の書類を添えます。
- 雇用奨励金:会社概要と事業の概要、従業者・市内居住者調書、投下固定資産明細書、市税納税証明書、法人登記簿謄本、雇用保険に加入していることを示す書類。従業者調書には、住所が分かる資料の写しも付けます
- 事業所設置奨励金:雇用奨励金と同じ書類(雇用保険の書類を除く)に、賃貸借契約書の写しを加えます。2年度目と3年度目は、従業者調書、市税納税証明書、賃貸借契約書の写しだけです
- 固定資産税の免除:雇用奨励金と同じ書類(雇用保険の書類を除く)に加えて、貸借対照表、損益計算表、確定申告書の写し、減価償却資産の償却額の計算に関する書類、平面見取図などの図面、製造工程表など。2年度目と3年度目は、投下固定資産明細書と市税納税証明書だけです
もらえなくなるのはどんなとき?
- 事業を休止・廃止した:市長が認めると、奨励措置が取り消されます。免除した固定資産税は課税され、交付済みの奨励金は返します。
- 5年以内に事業を休廃止した:事業開始から5年以内に休廃止すると、事業所設置奨励金の一部または全部を返納します。
- 虚偽その他の不正があった:不正な方法で優遇を受けたときも、取消しと返納の対象です。
- 協定を結んでいない・市税が未納:奨励措置を受ける条件です。市と協定を結び、市税を完納している必要があります。
- 事業を承継した届出がない:事業を引き継ぐ人は、速やかに市へ届け出ます。事業が続いている場合に限り、引き継いだ人に優遇が行われます。
福岡県の制度との関係
小郡市の案内ページは、福岡県の優遇制度のページへのリンクも載せています。県には、企業立地促進交付金(投資額の最大10%、最大50億円と案内)があります。市の優遇と重ねて受けられるかは、市の案内ページに記載がありません。県の相談窓口(092-643-3441)と市の都市開発課の両方に確かめると確実です。
よくある質問
工場を借りて操業する場合も対象になりますか?
工業系は、事業所を取得する場合が対象です。市の案内の表では、工業系の賃借型は固定資産税の免除・雇用奨励金・企業立地奨励金のすべてが「×」になっています。賃借でも使えるのはオフィス系で、雇用奨励金と事業所設置奨励金です。借りるつもりの工業系事業者は、先に都市開発課に相談すると選択肢が見えます。
投資額1億円以上には、土地代も含まれますか?
含まれません。工業系の要件は、土地の取得価格を除いて1億円以上の投資額です。建物や機械設備などが数えられます。製造業とデータセンターに、この要件があります。オフィス系には投資額の要件がなく、常時3人以上の従業員が条件です。何を投資額に含めるかの細かい扱いは、公式ページに記載がありません。
従業員数は、パートも数えますか?
「常時」の従業員数が条件で、工業系は10人超、オフィス系は3人以上です。障害者雇用促進法の障害者が働いているときは、1人を1.5人として数えます。パートタイムを何人に数えるかは、公式ページに記載がありません。雇用奨励金の「常用雇用」は、雇用期間に定めがなく雇用保険に入る人なので、申請の前に市に確かめてください。
雇用奨励金の対象になる人は、誰ですか?
市内に住所がある人を、新たに常用雇用した場合です。雇用期間に定めがなく、雇用保険に入る従業員が「常用雇用」にあたります。事業開始日から1年以内に雇った人が数えられます。1人につき20万円で、1回限り、上限は1,000万円です。市外在住の人を雇っても、人数には入りません。
固定資産税は、どの期間が免除されますか?
事業開始日の属する年度の翌年度から3年度間です。事業開始日が1月2日から3月31日の場合は、翌々年度から3年度間になります。令和9年10月に始めれば令和10年度から、令和10年2月に始めれば令和11年度からです。免除の対象は、新設・増設に伴って取得または移設した固定資産に課す固定資産税です。
事業所設置奨励金は、いくらまで出ますか?
年間賃料(敷金などを除く)の1/2で、1年度あたり150万円が上限です。支払いは、事業開始日の属する年度の翌年度から3年度間に限られ、3年度の上限を足すと450万円になります。対象はオフィス系6業種の事業所を1年以上借りたときです。事業開始から5年以内に休廃止すると、一部または全部を返します。
企業立地奨励金の対象は、どんな場所ですか?
市または市の土地開発公社が造成・分譲する工業団地に、事業所を新設する場合です。固定資産税額に相当する額を、事業開始日の属する年度の翌年度分(1月2日から3月31日に始めたときは翌々年度分)について、1回限りで交付します。上限は1億円です。それ以外の場所に立地する場合は、この奨励金は出ません。
立地申出書は、いつまでに出しますか?
事業所を借りるオフィス系は、賃貸借契約日の前日、または事業開始の30日前までに出します。事業所を取得する場合は、手続きの初期段階で出します。都市計画や農地転用の手続きより前です。どちらの日付が先に来る日を指すかは書かれていないので、早いほうに合わせます。契約を急ぐ前に市に連絡しておくと安心です。
受付期間や締切はありますか?
公式ページには、受付期間や締切の記載がありません。立地申出書の提出時期と、事業開始後の各申請書の提出時期が、手続きごとに決まっています。各申請書の提出期限は、公式ページに記載がありません。事業開始の前から市の都市開発課に相談しておくと、提出期限を取りこぼしにくくなります。
優遇を受けたあとに事業をやめたら、どうなりますか?
事業を廃止または休止すると、市長が奨励措置を取り消せます。免除した固定資産税の全部または一部が課税され、交付済みの奨励金の全部または一部を返すことになります。事業所設置奨励金は、事業開始から5年以内の休廃止が返納の対象です。休廃止をするときは、事業休廃止届を出します。
事業を他社に引き継ぐ場合、優遇は続きますか?
事業が続いていれば、引き継いだ人に優遇が行われることがあります。相続や譲渡などで事業を承継した人は、速やかに市へ届け出ます。市の案内ページに、事業承継届の様式があります。引き継ぐ前の人が受けた優遇が、そのまま続くかどうかは、個別の事情で変わります。早めに都市開発課に確かめてください。
問い合わせ先はどこですか?
小郡市役所の都市開発課 開発推進グループ(電話 0942-73-9119)です。市役所は西別館2階で、住所は小郡市小郡255番地1です。平日の午前8時30分から午後5時までの対応です。業種が対象か、工業団地の企業立地奨励金に当たるかなど、迷ったときは契約や着工の前に確かめてください。
