海外で自社の技術やブランドを守る手続きには、お金がかかります。出願だけでなく、現地代理人への依頼や翻訳も必要になるためです。大分県発明協会が実施する令和6年度中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)は、この費用の半分を補助する制度でした。2024年6月28日で募集を終了しています。
この補助金の性格を理解するうえで押さえておきたいのは、実施主体が県庁ではなく一般社団法人大分県発明協会という点です。知的財産の専門機関が窓口になっている補助金は、審査でも実務でも特許・商標の専門知識を前提にした運用になりやすい傾向があります。次回募集でも同じ窓口が担当する可能性が高いため、事前相談の段階から発明協会とのやり取りを想定しておくとよいでしょう。
大分県中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主) |
| 制度名 | 令和6年度中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業) |
| 対象業種 | 業種指定なし(外国出願を予定する中小企業者等) |
| 利用目的 | 販路開拓・海外展開(外国特許庁への特許・実用新案・意匠・商標出願) |
| 対象地域 | 大分県内 |
| 従業員数 | 中小企業基本法上の中小企業者等(業種ごとに資本金・従業員数の上限があり、どちらか一方を満たせば該当します。詳しくは大分県発明協会へお問い合わせください) |
| 補助上限額 | 1企業あたり300万円(特許は案件あたり150万円、実用新案・意匠・商標は各60万円が上限) |
| 補助率 | 1/2以内 |
| 申請受付 | 2024年5月31日〜6月28日(終了) |
| 公式サイト | Jグランツ「令和6年度中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)」 |

何にいくら使えるのか
補助対象になるのは、外国特許庁への出願手数料、現地代理人・国内代理人への費用、翻訳費用です。上限額は権利の種類ごとに分かれています。
- 特許:案件あたり150万円まで
- 実用新案・意匠・商標:各60万円まで
- 冒認対策(他人による不正な商標登録を防ぐための出願):別枠あり
このように権利の種類で上限が違うのは、出願にかかる実費の水準が権利ごとに大きく異なるためです。特許は明細書の翻訳量が多く費用がかさむ一方、商標は比較的軽い手続きで済みます。同じ補助率でも上限額を分けることで、実費に近い補助になる設計です。
複数の権利を同時に出願する場合でも、企業単位の年度内上限は300万円です。特許1件と商標2件を同時に進める、といった使い方も想定されています。
対象になる/ならないの境目
この補助金は「海外展開を計画している」ことが前提です。国内出願だけを考えている場合や、すでに海外で出願手続きを終えて費用も支払い済みという場合は対象になりません。交付決定より前に契約・支払いを済ませた経費は対象外になるのが一般的な運用です。
一方で、海外進出の具体的な計画がまだ固まっていなくても、「これから外国出願を予定している」段階であれば相談の余地があります。実施機関である大分県発明協会に、事業計画とあわせて早めに相談するのが安全です。
次回募集に備えて準備すべきこと
令和6年度分は終了しましたが、知的財産の海外出願支援は特許庁の補助事業を原資に、多くの都道府県で毎年度実施されています。大分県でも例年、年度当初に募集がかかる傾向があります。
次回に備えて準備しておきたいのは次の3点です。
- 出願を予定している権利の種類と対象国を明確にする(特許・実用新案・意匠・商標のどれか、複数国か単一国か)
- 見積もりを早めに取る(代理人費用・翻訳費用は交付申請の根拠資料になります)
- 交付決定前に契約・支払いをしない(フライングでの発注は対象外になりがちです)
よくある質問
国内での特許出願費用も対象になりますか?
対象になりません。この補助金は外国特許庁への出願にかかる費用が対象です。国内出願は別の支援制度(国の特許料減免制度等)を確認してください。
令和6年度分の申請はまだできますか?
できません。令和6年度分の受付は2024年6月28日で終了しています。次回募集の有無や時期は、大分県発明協会の公式ページで確認してください。
補助率1/2以内とありますが、必ず満額支給されますか?
いいえ。補助率1/2以内という上限が示されているだけで、対象経費や審査の結果によって実際の交付額は変わります。上限額(権利の種類ごとの上限、企業単位で年度300万円)を超えることもありません。
