大学の研究室と組んで新しい技術を製品に近づけたい。そう考えても、研究費と連携先探しが壁になります。大分県の先端技術挑戦プロジェクトは、この両方を後押しする県の補助金です。
申請できるのは、県内に事業所を持つ中小企業が代表になるチームです。研究開発枠は補助率2/3以内・上限1,500万円で、令和8年度分の受付は4月10日に終わっています。事前調査にあたる可能性調査枠は補助率1/2以内・上限100万円で、受付は11月13日(金)17時までです。大学や高等専門学校と組むことが必須なのは研究開発枠だけで、可能性調査枠は自社単独で申請できます。
大分県 先端技術挑戦プロジェクト補助金の要点まとめ
正式名:令和8年度先端技術挑戦プロジェクト産学連携創出支援事業費補助金
だれが
- 申請者
- 県内の中小企業者(法人・個人事業主)が代表申請者
- 対象業種
- 業種の指定なし(5つの先端技術テーマが対象)
- 利用目的
- 研究開発・試作品開発、事前の可能性調査
- 対象地域
- 大分県内(県内に事業所がある中小企業)
- 従業員数
- 業種ごとの資本金か従業員数の上限以下
いくら
- 補助上限額
- 研究開発枠1,500万円/可能性調査枠100万円
- 補助率
- 研究開発枠2/3以内/可能性調査枠1/2以内
いつ・どこへ
- 申請受付
- 可能性調査枠は2026年11月13日17時まで(研究開発枠は終了)
- 事業の完了
- 交付決定日から2027年3月31日まで
自分の会社は対象になる?
次のすべてに当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 5
5つのテーマは、ロボティクス・AI、航空・宇宙、次世代半導体、環境・エネルギー、新素材・バイオです。高等教育機関は、大学・大学院・高等専門学校・省庁大学校をさします。専門学校と農業大学校は含まれません。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 県外の企業が代表になる
- ✕ 販路開拓だけで研究開発がない
- ✕ 一般社団法人・医療法人・任意団体
- ✕ 開業日が申請日より後の創業予定者
- ✕ 前年度に可能性調査枠で採択済み
最後の項目は可能性調査枠だけの条件で、内容にかかわらず対象外です。対象の中小企業は、資本金か従業員数のどちらか一方が上限以下なら該当します。
| 業種 | 資本金 | 常時使用する従業員 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業・その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
ゴム製品製造業(3億円以下または900人以下)、旅館業(5,000万円以下または200人以下)、ソフトウェア業・情報処理サービス業(3億円以下または300人以下)は別の基準です。業種は産業分類ではなく、実際の事業内容で判断されます。会社役員(従業員との兼務役員を除く)、個人事業主本人と同居の親族、休業中・休職中の社員は従業員数に数えません。
2つの枠は、どちらで動く?
調査の段階か、開発に入る段階かで枠を選びます。
| 区分 | 可能性調査枠 | 研究開発枠 |
|---|---|---|
| 向く段階 | 市場や技術の調査、連携先探し | 事業化につながる研究開発・試作品開発 |
| 申請の形 | 単独で申請できる | 大学・高専を含む2者以上のコンソーシアム |
| 補助上限額 | 100万円 | 1,500万円 |
| 補助率 | 1/2以内 | 2/3以内 |
| 補助事業期間 | 1年度 | 1〜2年度 |
| 採択予定件数 | 最大5件 | 最大2件 |
| 審査 | 書面審査 | プレゼンテーション審査 |
| 受付 | 2026年11月13日17時まで | 2026年4月10日17時で終了 |
コンソーシアムとは、企業と大学などが協定書を交わして共同で事業を進める体制のことです。採択予定件数は公募開始時点の想定で、変わることがあります。
可能性調査を1年目、研究開発を2〜3年目に進めれば、最長3年の支援になります。可能性調査枠から研究開発枠へ進むには、調査の内容を先端技術挑戦協議会に報告して評価を受ける必要があります。評価を受けても、研究開発枠の採択が約束されるわけではありません。
いくら戻ってくる?
対象経費に補助率をかけた額が補助されます。上限に届くのは、可能性調査枠で対象経費が200万円以上、研究開発枠で2,250万円以上のときです。千円未満は切り捨てになります。
- 可能性調査枠で市場調査と連携先探しに180万円:180万円 × 1/2 = 90万円
- 可能性調査枠で外注調査を含め220万円:220万円 × 1/2 = 110万円 → 上限の100万円
- 研究開発枠で試作と評価に900万円:900万円 × 2/3 = 600万円
- 研究開発枠で試作機の製作に2,400万円:2,400万円 × 2/3 = 1,600万円 → 上限の1,500万円
研究開発枠の2年度目以降は、中間評価で継続が認められると、1年度あたりこの上限の範囲で交付申請できます。採択後も、予算の都合で申請した額が減ることがあります。
大学側の経費には特例があります。コンソーシアム内の高等教育機関の経費は補助率10/10までですが、その分は補助金全体の額の1/2が上限です。公募要領には次の例があります。企業(代表)が対象経費900万円で600万円を申請し、大学が900万円で900万円を申請すると、申請の合計は1,500万円です。ところが大学分は補助金全体(1,200万円)の半分の600万円までに抑えられ、交付決定額は1,200万円になります。大学に多く配分する計画を立てるときは、先にこの計算を確かめておくと手戻りを防げます。
何に使える?
対象にならないものを先に挙げます。
- 生産が目的の機械装置(研究開発と併用する場合も含む)
- 販売する製品・商品の生産費
- 事務所の家賃・光熱水費・通信費
- パソコン・プリンタ・自動車など汎用性のあるもの
- 中古品の購入費(原則)
- 税理士・弁護士への支払い、申請書類の作成費
- 交付決定日より前に発注・契約したもの
パソコンなどの汎用品は、研究開発に真に必要で相応の理由があれば対象にできる場合があります。振込手数料も、取引先が負担して取引価格に含まれていれば計上できます。可能性調査枠では、取得価格が1件50万円以上の設備備品が対象外です。
対象になるものは次のとおりです。
- 物品費(設備備品費は耐用年数1年以上かつ10万円以上、10万円未満は消耗品費)
- 人件費・謝金(事業に直接従事した時間のみ。総事業費の7割未満に収める努力が必要)
- 旅費
- 外注費(各年度の補助対象経費総額の1/2以下)
- 印刷製本費・会議費・通信運搬費・光熱水料・設備施設料
- 知的財産権の取得費、通訳・翻訳費、展示会出展費などのその他の経費
研究開発の中核部分をコンソーシアムの外に外注することはできません。外注費の上限もあるため、見積の段階で内訳を分けておくと確認しやすくなります。
申請から報告までの流れ
- 県に相談する(事業者→先端技術挑戦課。可能性調査枠は11月10日(火)まで、平日の10時〜12時と13時30分〜17時)
- コンソーシアムの相手と役割を決める(研究開発枠は協定書の締結が前提)
- 申請書類を電子申請で出す(代表申請者→県。可能性調査枠は11月13日17時まで)
- 審査を受ける(県の協議会→事業者。可能性調査枠は書面、研究開発枠はプレゼン)
- 交付申請をして、交付決定通知書を受け取る(事業者→県。発注・契約はこの後)
- 事業を実施し、実績報告を出す(事業者→県。2027年3月31日まで。報告後に補助金額が確定して精算払い)
郵送・持参・FAX・メールでの提出は受け付けていません。電子申請システムのみです。交付決定を受けたあとは、交付決定の年度の10月末現在の状況を翌月5日までに報告します(交付決定が10月以降なら不要です)。実績報告は、事業の完了から30日を過ぎた日か、翌年度の4月20日のどちらか早い日までです。採択は補助金を受け取る候補者になることで、交付決定の通知とは別です。年度の1月頃には、進捗を先端技術挑戦協議会に報告する中間評価があります。この報告をしないと、次年度の交付申請ができません。
必要な書類
準備できた 0 / 8
別紙2〜4は認定申請書のWordファイルに入っています。別紙4は暴力団に関わりがない旨の誓約書で、法人は代表者の氏名・生年月日を書きます。不正行為等の誓約書は別のファイルで、コンソーシアムの全メンバーの名義で出します。決算書は貸借対照表・損益計算書・個別注記表などで、決算書がない場合は最近1年間の事業内容の概要を書いた書類で代えます。
人件費は、経済産業省の事務処理マニュアルにある令和8年度適用の等級単価一覧表で積算します。積算内訳の例は、県のページの参考様式にあります。人件費の根拠資料だけは、コンソーシアム内で共有しにくい場合に代表申請者以外が別のURLから出せます。様式が古いものや記載漏れがあると、審査されないことがあります。
認定のあとの交付申請では、事業計画書・収支予算書・見積書・カタログ・決算書に加えて、法人は登記事項全部証明書の写し、個人は住民票の写しが要ります。研究開発枠はコンソーシアム協定書の写しも出します。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に発注した:交付決定通知書を受け取る前の発注・購入・契約は、補助対象になりません。
- 研究開発の中核を外に出した:研究開発の本質的な部分をコンソーシアム外へ委託・外注することはできません。
- 営利活動をした:補助対象の設備を使った製品の販売や試作品の有償譲渡は認められません。サンプル出荷で原価相当に限る場合は例外です。
- 中間報告をしなかった:可能性調査枠と研究開発枠の1年目は、報告がないと次年度の交付申請ができません。
- 虚偽の申請など不正があった:交付決定が取り消され、受け取った補助金に年10.95%の加算金を加えて返すことになります。名称と内容が公表されることもあります。
- 見積が1社だけ:単価50万円(税抜き)以上の発注は、原則2者以上から見積を取ります。難しい場合は随意契約の理由書が必要です。
補助金を受けたあとの義務と税金
補助金は、受け取った事業年度の収益として計上します。法人税などの課税対象です。事業化などで収益が出たと認められると、収益の一部を県に納付する必要があります(補助金額が上限)。
買った設備は、県が定める期間のうちは勝手に売ったり貸したりできません。処分するときは事前に県の承認が要ります。帳簿や証拠書類は、事業が終わった年度の終了後5年間は保管します。消費税は、課税事業者の場合は仕入控除税額を除いて申請するのが原則です。免税事業者や簡易課税事業者などは含めて申請できますが、後から返還が生じることがあります。
採択された事業者は、県の制度融資「チャレンジ中小企業応援資金 おおいた未来創造融資」も使えます。採択されたプロジェクトは「おおいたDXラボ認定」も受けます。
よくある質問
大学と組まなくても申請できますか?
可能性調査枠なら、県内中小企業の単独申請ができます。上限は100万円、補助率は1/2以内です。研究開発枠は、大学・大学院・高等専門学校・省庁大学校のいずれかを含む2者以上のコンソーシアムが必須です。可能性調査枠の目的には連携先の検討も入っているため、相手がまだ決まっていない段階の調査に向いています。研究開発枠に進む場合は、そのとき協定書を交わせる相手を選びます。
個人事業主でも対象になりますか?
商工業を営む個人事業主は対象になります。ただし申請時点で開業している必要があります。開業届を出していても、届けの開業日が申請日より後なら創業予定者として対象外です。法人では、株式会社・合同会社などの営利法人や企業組合・協業組合が対象です。一般社団法人・医療法人・農事組合法人・社会福祉法人・任意団体などは対象になりません。
研究開発枠は、令和8年度分を申請できますか?
令和8年度の研究開発枠の受付は、2026年4月10日17時で終わっています。県のページでは可能性調査枠だけが11月13日17時まで受付です。次年度の公募日程は、県のページに書かれていません。公募要領の改訂履歴を見ると、令和7年度版は2025年2月25日、令和8年度版は2026年2月26日に策定されています。例年2月下旬に公開されてきたため、早めに先端技術挑戦課に確かめておくと準備を始めやすくなります。
可能性調査枠を使えば、研究開発枠に自動で進めますか?
自動では進めません。調査の内容を先端技術挑戦協議会に報告して評価を受ける必要があります。評価を受けても、次年度以降の研究開発枠で採択されることは約束されません。研究開発枠の審査では、可能性調査枠で取り組んだ内容の事業化状況報告や、県のフォローアップ調査への回答の状況・内容も見られます。1年目の報告を丁寧に残しておくと、次の申請に生かせます。
補助率2/3は、どの経費にも同じ割合ですか?
大学などの高等教育機関の経費だけ特例があります。コンソーシアム内の高等教育機関の経費は補助率10/10以内ですが、その分は補助金全体の額の1/2が上限です。たとえば企業と大学が900万円ずつ使う計画で、大学分に900万円を申請しても、交付決定額は全体で1,200万円、大学分は600万円になります。大学への配分を決める前に、この上限を計算しておくと安心です。
いつから発注してよいですか?
交付決定通知書を受け取ってからです。採択は補助金の交付候補者になったという意味で、正式な交付決定は別の手続きです。通知書を受け取る前の発注・購入・契約や、事業期間が終わった後の納品・検収は対象経費になりません。支払いは銀行振込が原則です。1取引10万円超(税抜き)の現金払いはできません。業者へ先に口頭で発注しないよう、日程の組み方にも注意します。
補助金はいつ振り込まれますか?
原則は、事業が終わって実績報告書を出し、補助金額が確定した後の精算払いです。国の交付金を活用しているため、3月31日まで事業を行う場合に限り、進捗を確認したうえで途中で全額を支払うことも可能とされています。確定検査で物品や帳簿が確認できなかったり、計画が履行されていなかったりすると、その経費は対象外になり、支払い済みの超過分は返納します。
申請書類は郵送でも出せますか?
出せません。電子申請システムでのみ受け付けています。代表申請者が申請し、締切の17時までにシステム上の処理を終える必要があります。17時以降は相談にも応じてもらえず、締切前は相談が混み合うことがあります。可能性調査枠の相談対応は11月10日(火)までです。書類に記載漏れがあると審査されない場合があるため、余裕をもって相談しておくと安心です。
審査では何が見られますか?
可能性調査枠は、事業の趣旨との整合、技術、調査方法、働き方改革、経営革新を見ます。研究開発枠は、技術、事業性、将来性、実施体制などです。働き方改革では、くるみん認定やしごと子育てサポート企業の認定、パートナーシップ構築宣言をしている企業が含まれているかも評価されます。経営革新計画の承認を受けている企業が含まれているかも見られるため、該当する認定があれば申請書に書いておきます。
問い合わせ先はどこですか?
大分県商工観光労働部 先端技術挑戦課 先端技術・DX推進班です。電話は097-506-2892、メールは a14290@pref.oita.lg.jp です。受付は平日の9時〜12時、13時〜17時です。公募要領では、相談は10時〜12時と13時30分〜17時と案内されています。申請書の書き方、枠の選び方、経費の区分で迷ったときは、早めに相談すると書類の出し直しを避けられます。
