おむつの補助は国の一律の制度ではなく、市区町村がそれぞれ独自に出しています。赤ちゃん向けは購入券や補助券で配る形が多く、神奈川県中井町は1歳6か月未満の子どもに最大5万4,000円分、千葉県旭市は0歳・1歳の子どもに月3,000円分の紙おむつ購入券を出しています。高齢者向けは要介護度と所得の条件つきで、横浜市は要介護4・5で市民税非課税世帯などの人に、月8,000円分の紙おむつを自己負担1割で届けています。
「世田谷区 おむつ 支給 子供」で調べている方へ先にお答えすると、世田谷区の公式ページで確認できた紙おむつの支給は、高齢者向けと、障害のある3歳以上65歳未満の人向けの2つでした。赤ちゃん全員を対象にしたおむつの支給は区のページに見当たりません。令和7年4月以降に都内で生まれた子どもには、東京都の「赤ちゃんファースト」で育児用品を選べるギフトが届きます。
この記事では赤ちゃん・高齢者・障害のある人の3つに分けて、自治体の公式ページで確かめた金額と条件を並べます。医療費控除で戻るお金と、施設や病院に入っているときの扱いもあわせて書きました。
おむつの補助は誰が対象か:赤ちゃん・高齢者・障害のある人で制度が別
同じ「おむつの補助」でも、赤ちゃん向けは子育て支援の担当課、高齢者向けは高齢福祉や介護保険の担当課、障害のある人向けは障害福祉の担当課が受け持ち、申請先も条件もまったく違います。どれも市区町村が自分の予算で決めている制度なので、隣の市にあるものが自分の市にもあるとは限りません。
まずは、この記事で取り上げた制度を一つの表にまとめます。
| 対象 | 自治体 | 内容 | 主な条件 | 自己負担 |
|---|---|---|---|---|
| 赤ちゃん | 神奈川県中井町 | 補助券3,000円×18回(最大5万4,000円分) | 1歳6か月未満。子と養育者が町に住民登録 | なし(指定店で利用) |
| 赤ちゃん | 千葉県旭市 | 紙おむつ購入券 月3,000円分 | 0歳・1歳の子と同居して養育 | なし(指定店で利用) |
| 赤ちゃん | 長野県箕輪町 | おむつ用品購入券3万円分(0歳・1歳で各1回) | 出生月・1歳の誕生月に町に住所 | なし(町内の取扱店で利用) |
| 赤ちゃん | 福岡市 | おむつと安心定期便(育児用品を自宅に配達) | 子育て施設・サービスの利用でスタンプを集める | なし |
| 高齢者 | 横浜市 | 紙おむつ月8,000円分(要介護4・5)/6,000円分(要介護1〜3で区が必要と認めた人) | 在宅。市民税非課税世帯等 | 1割(生活保護世帯等は無料) |
| 高齢者 | 世田谷区 | 紙おむつを月1回配達(40点分まで) | 要介護3〜5。2か月以上おむつを使用 | 月500円 |
| 高齢者 | 練馬区 | 指定の紙おむつを月1回配達 | 要介護1以上。介護保険料所得段階が第8段階以下 | 6,000円までは1割 |
| 高齢者 | 江東区 | 紙おむつを月1回配送(75点まで) | 65歳以上で要介護3〜5など。介護保険料段階が第1〜8段階 | 75点まで無料 |
| 高齢者 | 葛飾区 | 要介護度に応じて35〜70ポイント分を配送 | 住民税非課税で常時失禁。要介護2以上など | なし |
| 高齢者 | 神戸市 | 年2万5,000円〜10万円分(支給決定日で変わる) | 要介護4以上。世帯全員が市民税非課税 | なし |
| 障害のある人 | 世田谷区 | 紙おむつを月1回配達(50点分まで) | 3歳以上65歳未満。身体障害者手帳1・2級など | 月500円 |
表のとおり赤ちゃん向けは所得を問わず、出生や健診の時期に券を配る形が目立ちます。高齢者向けは要介護度と所得の両方で絞り、毎月決まった量を配達する形が中心です。
介護保険ではおむつ代が出ない:在宅・施設・入院で扱いが変わる
介護保険には住宅改修費(上限20万円)や福祉用具の購入費(年度ごとに上限10万円)の給付がありますが、紙おむつは購入費の対象になる品目に入っていません(種目は厚生労働省の告示で決まっていて、腰掛便座・入浴補助用具・歩行器などが並びます)。要介護認定を受けていても在宅で使う紙おむつは自分で買うのが基本で、その負担を軽くするために市区町村が独自の支給事業を設けています。介護保険の給付全体は介護の補助金まとめで整理しています。
介護保険の要介護認定を受けていても、紙おむつの支給は別に申請しないと始まりません。 要介護度は市区町村が把握していますが、この記事で確かめた自治体はすべて、本人か家族の申請を受けてから支給を決めていました。
おむつ代の扱いは、本人がどこで暮らしているかでも変わります。秋田市介護保険課の集団指導資料(令和2年10月)は、国の通知(平成12年老企第54号)にもとづく扱いとして、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・短期入所生活介護・短期入所療養介護(ショートステイ)のおむつ代は介護保険の対象なので、おむつカバー代や洗濯代も含めて一切徴収できないと書いています。同じ資料はデイサービス(通所介護)・グループホーム・介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)・小規模多機能型居宅介護について、おむつ代を利用者から受け取れる費用に挙げています。
| 暮らしている場所 | おむつ代 | 負担を減らす手段 |
|---|---|---|
| 自宅(訪問介護・デイサービスを利用) | 自己負担。デイサービスで使った分は事業所が請求できる | 市区町村の紙おむつ支給、医療費控除 |
| 特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・ショートステイ | 施設は徴収できない | (そもそも請求されない) |
| グループホーム・介護付き有料老人ホーム | 施設が請求できる | 自治体の制度の対象かは窓口で確認 |
| 病院に入院中 | 病院が実費を請求する | 一部の自治体の「入院中のおむつ代助成」、医療費控除 |
特別養護老人ホームなどの請求書におむつ代らしき項目があったら何の費用なのかを施設の相談員に聞いてみてください。自治体の紙おむつ支給は、ほとんどが介護保険施設に入っている人を対象から外しています。
赤ちゃんのおむつ購入費助成の実例
乳児のおむつ購入費助成は高齢者向けよりも実施している自治体が少なく、内容の幅も広くなります。この記事で公式の資料を確かめられたのは次の自治体です。どこも現金ではなく、指定の店で使える券か、品物そのものを届ける形でした。
神奈川県中井町「子育て応援紙オムツ補助事業」
中井町は1歳6か月未満の子どもを育てる世帯に、町が指定した店で使える補助券を渡しています。金額は3,000円×18回で最大5万4,000円分、1歳6か月に達する月の前月までが対象です。
- 対象は1歳6か月未満の子どもで、子どもと養育者の住民登録が中井町にあること(転入した人は住民登録日が基準)
- 補助券は概ね3か月ごとに、新生児訪問・健診・教室・子育て支援センターなどで受け取る
- 使えるのは紙おむつ、おしりふき用ウェットティッシュなどのおむつ用品のほか、粉ミルクなどの授乳関連用品とその他の育児用品
- 有効期限は発行日から4か月で、1,000円未満の買い物には使えない
- 申請には交付申請書と母子健康手帳が要る
所得の条件は町のページに書かれていませんでした。有効期限が4か月と短いので受け取ったら期限内に使い切る計画を立てておくと取りこぼしがありません。
千葉県旭市「乳幼児紙おむつ購入券」
旭市は市に住民登録のある0歳児・1歳児と同居して育てている人に、月3,000円分の紙おむつ購入券を出しています。市の案内では、宝くじの収益金を使った市独自の制度と説明しています。
- 子どもが生まれたときや旭市に転入したときに、子育て支援課へ申請書を出す
- 購入券は出生時と1歳の誕生月の前月に、12か月分ずつ渡される
- 転入した場合は、転入した月から満1歳または満2歳になる前月までの分
- 使えるのは市内の指定取扱店(ドラッグストアやスーパーなど)
0歳と1歳の2年間で計算すると、月3,000円×24か月で最大7万2,000円分になります。ただし旭市の案内に「最大」の金額は書かれていないので、この数字は月額から編集部が計算したものです。
長野県箕輪町「乳幼児おむつ用品購入券」
箕輪町は令和6年7月から0歳児と1歳児の保護者に、子ども1人につき3万円分(1,000円×30枚)の購入券を交付しています。令和8年度からは対象の用品が広がり、粉ミルク・液体ミルク・哺乳瓶・乳首も買えるようになりました。0歳児は出生届のときに、1歳児は1歳児健診の通知に同封して申請書が渡されます。
- 対象は、出生日の属する月(0歳児)または1歳の誕生日の属する月(1歳児)に町に住所がある子どもの保護者
- 使えるのは紙おむつ、布おむつ、おむつライナー、おむつカバー、お尻拭きに加えて、令和8年度から粉ミルク、液体ミルク、哺乳瓶、乳首
- 申請期限は出生日または1歳の誕生日の属する月から6か月後の月末まで
- 利用期限は交付日の属する年度の翌年度末まで。紛失しても再交付はない
制度の枠は令和6年6月の町の報道発表、令和8年度の変更は町の英語ニュースレター(令和8年4月号)で確かめました。金額は令和8年度も3万円分で変わっていません。取扱店は町のページで見てください。
福岡市「おむつと安心定期便」
福岡市はおむつなどの育児用品を自宅に届ける「おむつと安心定期便」を2023年8月から始めています。対象は市内に住み、乳幼児を育てる家庭です。子どもプラザ・産後ケア・産後ヘルパーなどの子育て施設やサービスを使うと電子スタンプがもらえ、そのスタンプを専用サイトで育児用品と交換する仕組みです。
券を配るだけの制度と違い施設やサービスを使うことが前提になっています。対象年齢は、市のページ(2024年11月更新)では「0歳から3歳の誕生月まで」です。一方、2026年8月の事業者の発表資料は対象を2歳までの家庭と書いていて、表記が食い違います。対象者には市から順次案内が届くので、自分の子が対象かどうかは届いた案内か事務局(コールセンター)で確かめてください。
東京都「赤ちゃんファースト」(おむつ専用ではないギフト)
東京都は都内で生まれた子どもの養育者に、育児用品や子育て支援サービスを選べるギフトカードを送っています。おむつだけの補助ではありませんが、都内で赤ちゃんのおむつ代の支援を探す人がいちばん受け取りやすい仕組みです。
- 対象は、出生日時点の住所が都内にある子どもの養育者。令和7年度(令和7年4月1日〜令和8年3月31日)生まれの申請は令和8年9月15日で終わり、令和8年度(令和8年4月1日〜令和9年3月31日)生まれが申請できる
- 金額は、これまでの10万円相当に、令和8年1月1日〜令和9年3月31日生まれは「赤ちゃんファースト+」の3万円相当が加わって13万円相当(東京都のリーフレット)。令和7年4月1日〜12月31日生まれは10万円相当(練馬区の案内)
- 東京都の「018サポート」(子ども1人に月5,000円)と同時に申請できる
- 都のページによると、ギフトカードは申請からおおむね2〜4か月で届く
- 専用サイトで初回登録してから6か月が商品の申込期限で、過ぎるとポイントが失効する
令和8年度生まれの子どもの申請期限は令和9年9月15日です。紙おむつがカタログに載っているかは、都の専用サイトの商品カタログで確かめてください。
国の給付はおむつ代に限らない現金
国の制度として全国で受け取れるのは、妊娠と出産のときの「妊婦のための支援給付」です。東京都のページでは、妊婦給付認定のあとに5万円、妊娠している子どもの人数の届出のあとに子どもの人数×5万円と説明しています。使い道は決まっていないのでおむつ代にあてることもできます。出産育児一時金なども含めた全体像は出産の補助金・給付金まとめにまとめています。
世田谷区で子どものおむつ支給は受けられるか
世田谷区で子どもがおむつの支給を受けられるのは、障害を原因として、ねたきり等の状態でおむつを使っている3歳以上の場合です。区の「紙おむつの支給・おむつ代の助成」(障害のある方向け)の対象は次のすべてに当てはまる人です。
- 世田谷区に住所のある3歳以上65歳未満の人
- 身体障害者手帳1・2級、愛の手帳1・2度、脳性麻痺、進行性筋萎縮症のいずれか
- ねたきり等の状態が続き、障害を原因とした失禁のため2か月以上おむつを使っていて、引き続き必要と認められる
- 介護保険施設等に入所しておらず、日常生活用具として紙おむつの交付を受けていない
利用者負担は月500円で合計50点分まで、50点を超えると1点100円です。病院に入院している場合は、配達に代えて月6,000円を上限とするおむつ代の助成を選べます。申請先は住所地の総合支所保健福祉課で、申請した月以降が対象です。
3歳未満の子どもや障害のない子どものおむつについては、区の支給事業は見つかりませんでした。世田谷区に住む家庭が使えるのは、前の章の東京都「赤ちゃんファースト」と、国の妊婦のための支援給付です。
保育園のおむつサブスクへの補助
保育園におむつを持っていく負担を減らすため紙おむつの定額サービス(サブスク)に補助を出す自治体もあります。横浜市の「にもつ軽がる保育園」では、市立保育所の紙おむつ等定額利用サービスを使う保護者に、児童1人あたり月500円を補助します。保護者が申請する必要はなく、事業者が補助額を差し引いた料金を請求する仕組みです。民間の保育所は、市が取り組む施設に助成し、保護者への補助額は施設ごとに違います。
通っている保育園がサブスクを入れているかどうかで使えるかが決まるので、まずは園に聞くのが早道です。
高齢者向け紙おむつ支給・助成の実例
高齢者向けは多くの市区町村が「紙おむつ支給事業」「紙おむつ給付事業」などの名前で行っています。ここでは公式ページで確かめた6つの自治体を、金額の決まり方ごとに見ていきます。
横浜市:月の上限額を単位で決める
横浜市の「高齢者紙おむつ給付事業」はねたきりや認知症の状態にある在宅の要介護者が対象です。要介護4・5の人と、要介護1〜3で区福祉保健センター長が必要と認めた人のうち、生活保護受給世帯等か市民税非課税世帯の人が使えます。
- 要介護4・5:月8,000円(4単位)まで
- 要介護1〜3で必要と認められた人:月6,000円(3単位)まで
- 2,000円を1単位として、上限の範囲で毎月変更できる
- 自己負担は利用基準額の1割(1単位200円、4単位なら800円)。生活保護受給世帯等は無料
申請は区の福祉保健センター(高齢・障害支援課)か地域包括支援センターの窓口と電子申請の2通りです。窓口で申請すると、その月のうちならどの日でも翌々月使用分が翌月中旬から末日までに届きます。電子申請は10日以降に申請すると1か月遅れるので、急ぐ場合は窓口のほうが早く始まります。
世田谷区:点数で選び、月500円を払う
世田谷区の高齢者向けは65歳以上の人か40〜64歳の介護保険第2号被保険者で、要介護3〜5(または65歳以上で入院中)かつねたきり等で2か月以上おむつを使っている人が対象です。介護保険施設に入所している人は外れます。
紙おむつは商品ごとに点数がついていて、月40点分までなら利用者負担は月500円です。40点を超えた分は1点100円、段ボール梱包を希望すると150円かかります。申請先は総合支所保健福祉課か、あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)です。
練馬区:要介護1から対象、所得は介護保険料の段階で見る
練馬区は要介護1以上で常時紙おむつ等を必要とする人が対象で、40〜64歳の要介護認定者も含みます。要介護1〜3の人は、要介護認定の「排尿」または「排便」の項目が全介助・一部介助・見守り等に当たることが条件です。所得は介護保険料所得段階が第8段階以下(本人の前年合計所得320万円以下)で、生活保護受給者と介護保険施設の入所者は外れます。
利用者負担は、注文額が6,000円までならその1割、6,001円以上なら注文額から5,400円を引いた額です。6,000円分を頼めば600円、1万円分を頼めば4,600円を払う計算になります。
江東区:75点まで無料
江東区は65歳以上で要介護3〜5の人か、病院に1か月以上続けて入院している人が対象です。要介護2以下でも、重度の認知症などで常時おむつが必要と書かれた医師の診断書があれば対象になります。介護保険料段階が第1〜8段階であること、施設に入所していないこと、生活保護を受けていないことも条件です。
区のカタログから75点まで選べ、配送先が区内で75点以内なら無料です。75点を超えた分は1点100円かかります。64歳以下で障害者手帳を持っている人は、別の「心身障害者(児)紙おむつ支給」の対象です。
葛飾区:要介護度でポイントが変わる
葛飾区は区内在住で住民税非課税かつ常時失禁状態の人のうち、要介護2以上の人(65歳未満で特定疾病により認定を受けた人を含む)、または65歳以上で身体障害者手帳1・2級か愛の手帳1・2度を持つ人、65歳以上で脳性まひか進行性筋萎縮症の人が対象です。
- 要介護4以上:70ポイント
- 要介護3:47ポイント
- 要介護2:35ポイント
- 身体障害者手帳などを持つ人:70ポイント
自己負担はありません。配送は1人月1回で、残ったポイントで追加注文はできません。練馬区や江東区は要介護度で対象かどうかを分けていますが、葛飾区は要介護2から対象に入れたうえで、量に差をつけています。
神戸市:年額を先に決め、申請が遅いほど減る
神戸市の「紙おむつ支給事業」は在宅で介護を受けている要介護4以上の人と、その人を介護している家族が対象です。世帯全員が市民税非課税で、生活保護等を受けていないことが条件で、入院中や施設に入所している人は外れます。
2026年度の支給額は、支給決定日によって次のとおり変わります。
| 支給決定日(予定) | 申請書の締切(必着) | 年間の支給額 |
|---|---|---|
| 4月1日〜6月15日 | 5月29日 | 10万円分 |
| 6月30日〜9月15日 | 8月31日 | 7万5,000円分 |
| 9月30日〜12月15日 | 11月30日 | 5万円分 |
| 1月5日〜3月12日 | 2月26日 | 2万5,000円分 |
決定が遅いほどその年度に受け取れる額が減ります。翌年度も続けて使うには毎年申請が要り、受付は3月から始まります。相談先は担当のケアマネジャーで、申請書は市の福祉局高齢福祉課に郵送します。
月の上限で決める自治体(横浜市・練馬区など)と年額で決める自治体(神戸市)があるので、金額を比べるときは月あたりか年あたりかをそろえてください。
対象になる人の条件:要介護度と所得
高齢者向けの条件は、要介護度と所得の2つで決まるのがほとんどです。要介護度の線は自治体によってかなり違います。
| 自治体 | 要介護度の条件 | 所得の条件 |
|---|---|---|
| 横浜市 | 要介護4・5(1〜3は区が必要と認めた人) | 市民税非課税世帯・生活保護受給世帯等 |
| 世田谷区 | 要介護3〜5(65歳以上の入院中の人は認定不要) | 区のページに記載なし |
| 練馬区 | 要介護1以上 | 介護保険料所得段階が第8段階以下 |
| 江東区 | 要介護3〜5(診断書があれば2以下も) | 介護保険料段階が第1〜8段階 |
| 葛飾区 | 要介護2以上 | 住民税非課税 |
| 神戸市 | 要介護4以上 | 世帯全員が市民税非課税 |
要介護1・2の人は自治体によって対象かどうかが分かれます。江東区のように診断書で例外を認める自治体もあるので、要件で外れそうに見えても窓口に一度聞いてから判断してください。要介護度の決まり方は要介護認定の基準で解説しています。
「介護保険料段階」で所得を見る自治体
練馬区と江東区は所得の条件を住民税非課税ではなく介護保険料の段階で示しています。介護保険料の段階は、住民税の課税状況と本人の合計所得金額などで市区町村が区分するもので、練馬区の第8段階以下は本人の前年合計所得320万円以下にあたります。
住民税を払っている世帯でもこの形の自治体なら対象に入ることがあります。自分の段階は、毎年届く介護保険料の決定通知書に書かれています。
支給の方法は現物・券・現金の3つ
おむつの補助の受け取り方は、おおむね次の3つです。
| 方法 | 内容 | この記事の例 |
|---|---|---|
| 現物支給 | 区市町村が選んだ業者が、毎月自宅におむつを届ける | 横浜市・世田谷区・練馬区・江東区・葛飾区(高齢者) |
| 購入券・補助券・利用券 | 指定の店や業者で、券と引き換えにおむつを買う | 神戸市(高齢者)、中井町・旭市・箕輪町(赤ちゃん) |
| 現金の助成 | 買ったおむつの領収書を出して、上限まで振り込みを受ける | 世田谷区・練馬区・江東区・葛飾区の入院中のおむつ代助成 |
現物支給はカタログの中から商品を選ぶ形が多く、普段使っているメーカーの品がないこともあります。申請の前に自治体のカタログを取り寄せて、使っている商品やサイズがあるかを見ておくと、届いてから困らずに済みます。
入院中のおむつ代助成
病院の多くは紙おむつの持ち込みができず病院が用意したおむつの代金を請求します。この場合に、配達の代わりに現金で助成する自治体があります。
- 世田谷区:月5,000円まで(高齢者)。障害のある人向けは月6,000円まで。4か月に1度、領収書を添えて請求する
- 練馬区:月5,400円まで(実費がそれ未満なら実費)。年3回、4月・8月・12月に振り込み
- 江東区:月7,500円まで。1か月以上続けて入院していることが条件
- 葛飾区:要介護4以上と身体障害者手帳などを持つ人は月1万円、要介護3は月7,000円、要介護2は月5,000円まで(令和7年4月以降の使用分)。年3回振り込み
世田谷区と江東区は退院後にさかのぼって申請できないと明記しています。練馬区と葛飾区は同じ月に配達と助成の両方は受けられません。入院が長引きそうなら入院中に申請を済ませてください。病院の領収書は請求に使うので、捨てずに取っておきます。
障害のある人・子どものおむつ:日常生活用具と区市の支給事業
障害のある人のおむつは障害者総合支援法の地域生活支援事業である「日常生活用具給付」で、紙おむつを支給品目にしている市区町村があります。対象の障害や年齢、基準額は自治体ごとに決めています。
- 千葉県船橋市:3歳以上で、二分脊椎による排便・排尿機能障害、18歳未満に発症した脳性麻痺等で排泄の意思表示が難しい人などが対象。基準額は月1万4,000円。令和8年4月から、身体障害者手帳と最重度・重度の知的障害の判定がある人も加えた
- 東京都江戸川区:3歳以上で手帳を持ち、脳性麻痺など脳原性運動機能障害か、二分脊椎による排尿・排便機能障害のある人。基準額は月1万2,000円
- 東京都世田谷区:日常生活用具とは別に、区の紙おむつ支給事業(3歳以上65歳未満、月500円負担)がある。日常生活用具で紙おむつの交付を受けている人は、こちらを使えない
どの例も3歳以上を条件にしています。3歳未満は障害の有無にかかわらず紙おむつを使う時期なので、障害福祉の支給は3歳からと考えておくと窓口での話が早く進みます。申請先は市区町村の障害福祉の担当課です。
おむつ代の目安と、助成でどこまで減るか
高齢者の紙おむつ代は使う量と商品で大きく変わります。全国の平均を示す公的な統計は見つからなかったので、ここでは自治体の上限額を目安にします。横浜市が要介護4・5に月8,000円分、葛飾区が入院中の要介護4以上に月1万円を上限にしているのは、自治体が重い要介護の人のおむつ代をそのくらいと見ていることの表れです。
助成を使うと、自己負担は次のように変わります。
- 横浜市の要介護4・5:8,000円分を800円で受け取れる(生活保護世帯等は0円)
- 練馬区:6,000円分なら600円、1万円分なら4,600円
- 江東区:75点以内なら0円
- 世田谷区:40点分までなら500円
上限を超えた分は自己負担になりますが、その分は次の章の医療費控除に入れられることがあります。
おむつ代と医療費控除
高齢者などのおむつ代は条件を満たせば医療費控除の対象になります。国税庁のタックスアンサー No.1122 は、傷病によりおおむね6か月以上寝たきりで医師の治療を受けている人がおむつを使う必要があると認められるときのおむつ代を対象とし、医師が発行した「おむつ使用証明書」が必要としています。
- 介護保険の要介護認定を受けている一定の人は、市町村長等が交付するおむつ使用の確認書等をおむつ使用証明書の代わりに使える
- 2年目以降は、主治医意見書か市町村が主治医意見書の内容を確認した書類で代えられる場合がある(厚生労働省の通知による取扱い)
自治体の紙おむつ支給と医療費控除は併用でき、自分で払ったおむつ代を控除に入れられます。 ただし医療費控除は払った医療費から保険金などで補てんされた額を引いて計算します。入院中のおむつ代助成のように現金で戻ってきた分は差し引いて、残った自己負担分で計算してください。
計算の例を一つ挙げます。月1万5,000円のおむつ代を12か月払うと年18万円です。ほかに医療費がなければ、18万円から10万円を引いた8万円が控除額になり、所得税率10%の人なら所得税が約8,000円戻ります。住民税も医療費控除で同じように下がり、税率10%なら約8,000円です。10万円の線は、その年の総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%になります。
赤ちゃんのおむつ代は、この「6か月以上寝たきりで医師の治療を受けている」という条件に当たらないので、ふつうは医療費控除に入りません。申告の手順は医療費控除はいくら戻るかで解説しています。
申請の前に確かめることと必要書類
申請の細かな手順は自治体ごとに違うので、ここでは申請の前に確かめておくと手戻りが減る点を挙げます。
- 対象になる要介護度と所得の線(介護保険料段階か、住民税非課税か)
- 在宅か施設か入院中か
- 現物支給か券か入院中の現金助成か
- 申請した月から始まるのか、決定日から始まるのか(さかのぼりの有無)
- カタログに使っている商品・サイズがあるか
確かめた自治体で求められた書類は次のようなものでした。
- 申請書(江東区は紙おむつ注文票も、練馬区は介護保険の保険証も)
- 入院中の助成では、口座の情報(本人名義)と病院の領収書
- その年の1月1日に別の自治体に住んでいた人や転入した人は、住民税の課税・非課税証明書
- 要介護度が条件に届かない人は、医師の診断書(江東区)
- 赤ちゃん向けでは、母子健康手帳(中井町)や本人確認書類(箕輪町)
世田谷区・江東区・練馬区・葛飾区は申請した月より前のおむつ代は対象にならないとしています。編集部としては、おむつを使い始めたら要件を満たすかどうか分からなくても先に窓口に相談することを勧めます。申請が1か月遅れればその月の分はもらえません。
自分の自治体の制度の探し方
制度の名前は「紙おむつ支給事業」「紙おむつ給付」「おむつ代助成」「おむつ用品購入券」など自治体ごとにばらばらです。検索するときは「市区町村名 紙おむつ 支給」「市区町村名 おむつ 助成」のように名前を変えて何通りか試すと見つかりやすくなります。
窓口は対象によって違います。
- 高齢者:市区町村の高齢福祉・介護保険の担当課、地域包括支援センター(世田谷区は「あんしんすこやかセンター」)、担当のケアマネジャー
- 赤ちゃん:子育て支援の担当課、こども家庭センター。出生届のときや新生児訪問・健診で案内されることが多い
- 障害のある人:障害福祉の担当課
要介護認定を受けている人は担当のケアマネジャーに聞くのがいちばん早い方法です。神戸市のように、ケアマネジャーが申請書を渡す流れになっている自治体もあります。
よくある質問
介護保険でおむつ代は出ますか?
在宅で使う紙おむつは、介護保険の給付の対象になっていません。住宅改修費や福祉用具の購入費の給付はありますが、紙おむつは購入費の対象品目に入っていないためです。使えるのは市区町村が独自に行う紙おむつの支給やおむつ代の助成で、要介護認定とは別に申請が要ります。特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・ショートステイのおむつ代は介護保険の対象として扱われ、施設は利用者から徴収できません。
乳児のおむつ購入費助成はどこの自治体にありますか?
全国一律の制度はなく、実施している市区町村だけにあります。この記事で確かめた例では、神奈川県中井町が1歳6か月未満に最大5万4,000円分、千葉県旭市が0歳・1歳に月3,000円分、長野県箕輪町が0歳・1歳で各3万円分の購入券を出しています。自分の市区町村にあるかは「市区町村名 乳児 おむつ」「市区町村名 おむつ 購入券」で検索するか、子育て支援の担当課に聞いてください。
世田谷区で子どものおむつの支給は受けられますか?
障害を原因としておむつを使っている3歳以上65歳未満の人なら、区の紙おむつ支給を受けられる場合があります。身体障害者手帳1・2級、愛の手帳1・2度、脳性麻痺、進行性筋萎縮症のいずれかに当たり、ねたきり等の状態で2か月以上おむつを使っていることが条件で、負担は月500円(50点分まで)です。障害のない乳幼児向けのおむつ支給は区のページで見つかりませんでした。令和7年4月以降に都内で生まれた子どもは、東京都の赤ちゃんファーストのギフトで育児用品を選べます。
赤ちゃんのおむつ補助に所得制限はありますか?
この記事で確かめた中井町・旭市・箕輪町の案内には、所得の条件は書かれていませんでした。東京都の赤ちゃんファーストも、出生日と都内の住所が条件です。高齢者向けが住民税非課税などの所得の線を引いているのとは違い、赤ちゃん向けは住んでいる場所と子どもの年齢で決まる形が多く見られます。ただし旭市のように、ほかの子育て支援で市税の滞納を問う例もあるので、申請書の注意書きは読んでおいてください。
引っ越したら赤ちゃんのおむつ購入券はどうなりますか?
転入した人は、転入した月や住民登録日を起点に対象になるのがふつうです。旭市は転入月から満1歳または満2歳になる前月までの分を、中井町は住民登録日を基準にすると案内しています。転出した場合、前の自治体の券は指定の店でしか使えないため、引っ越し先では使いにくくなります。引っ越し先に同じ制度があるかは、転入の手続きのときに子育て支援の窓口で聞いてください。
要支援1・2でも高齢者のおむつ支給の対象になりますか?
この記事で確かめた6つの自治体は、要介護度で対象を決める場合はどれも要介護1以上で、要支援を対象に入れたところはありませんでした。いちばん広い練馬区で要介護1以上、葛飾区で要介護2以上、世田谷区と江東区は要介護3以上、横浜市は原則要介護4・5、神戸市は要介護4以上です。江東区は要介護2以下でも、重度の認知症などで常時おむつが必要と書かれた医師の診断書があれば対象になる場合があるとしています。
施設に入所していてもおむつの助成は受けられますか?
自治体の紙おむつ支給は、介護保険施設に入所している人をほぼ対象外にしています。そのかわり特別養護老人ホームや介護老人保健施設では、おむつ代は介護保険の対象で施設は徴収できないので、そもそも請求されません。グループホームや介護付き有料老人ホームでは施設がおむつ代を請求できます。こちらは自治体の支給の対象になるかが自治体ごとに違うので、窓口に確かめてください。
入院中でもおむつ代の助成を受けられますか?
自治体によっては受けられます。世田谷区は月5,000円、練馬区は月5,400円、江東区は月7,500円、葛飾区は要介護度に応じて月5,000円〜1万円を上限に、病院のおむつ代を助成しています。神戸市のように入院中を対象外にしている自治体もあります。世田谷区と江東区は退院後にさかのぼって申請できないので、入院が決まった時点で窓口に相談するのが確実です。
申請する前に使ったおむつ代もさかのぼってもらえますか?
確かめた自治体の多くはさかのぼりません。世田谷区・江東区・葛飾区は申請した月から、練馬区は受給登録をした月からが対象です。神戸市は支給決定日によってその年度の支給額が決まり、決定が遅いほど額が減ります。必要になりそうだと思った時点で申請しておくほうが、受け取れる額は多くなります。
おむつ使用証明書は誰に頼めばいいですか?
医療費控除に使うおむつ使用証明書は、寝たきりの状態で治療をしている医師に発行してもらいます。介護保険の要介護認定を受けている一定の人は、市町村長等が交付するおむつ使用の確認書等で代えられます。2年目以降は、主治医意見書の内容を市町村が確認した書類を使える場合があります。発行の手数料は医療機関ごとに違うので、頼むときに聞いておくとよいでしょう。
赤ちゃんのおむつ代は医療費控除の対象になりますか?
ふつうは対象になりません。国税庁が医療費控除の対象にしているおむつ代は、傷病によりおおむね6か月以上寝たきりで医師の治療を受けている人が、おむつを使う必要があると認められる場合のものです。成長の過程で使う赤ちゃんのおむつは、この条件に当たりません。赤ちゃんのおむつ代の負担を減らすには、自治体の購入券や、使い道の決まっていない妊婦のための支援給付をあてる形になります。
保育園のおむつのサブスクに補助はありますか?
一部の自治体にあります。横浜市は市立保育所の紙おむつ等定額利用サービスを使う保護者に、児童1人あたり月500円を補助しています。保護者が自分で申請する必要はなく、事業者が補助額を差し引いた料金を請求します。民間の保育所では、市が取り組む施設に助成し、保護者への補助額は施設ごとに違います。通っている園がサブスクを導入しているかどうかが前提なので、園に聞いてください。
免責事項: 本記事の内容は2026年10月時点で各自治体・国税庁の公式ページと資料で確認できた情報にもとづきます。助成額・対象要件・所得の条件は自治体によって異なり、年度や予算によって変わることがあるため、申請前にお住まいの市区町村の公式ページで最新の内容を確かめてください。
