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陸上養殖の補助金は国(水産庁)に専用なし?宮城県や熊本・北海道、助成金を解説

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補助率
2分の1以内

陸上養殖だけを名指しした国の補助金は、水産庁が出している養殖向けの支援事業の一覧では確認できませんでした。国(農林水産省の水産庁)の事業は、海面の養殖も含めた養殖業全体の事業で、その対象に陸上養殖が入る形です。陸上養殖の名前がついた補助金は、宮城県の「陸上養殖システム導入支援事業」(1事業者あたり上限1億円)と、石巻市の同名の事業(1事業者につき1年度あたり上限300万円)が代表的です。

この2つは名前が同じでも別の制度です。県の制度は閉鎖循環式のシステムが対象で、市の制度は半循環式や地下海水を使ったかけ流し式も対象に入ります。上限額も申請先も違うので、混ぜて読むと金額を取り違えます。

もう1つ、先に知っておくと判断が早くなる点があります。水産庁のマーケットイン型養殖業等実証事業は、公募要領に1事業期間以上の養殖実績と1年以上の決算書を求める定めがあり、これから陸上養殖を始める人は対象になりません。新規参入の人が最初に使えるのは、県や市の事業か、ものづくり系の補助金です。

この記事では、国・都道府県・市区町村の制度を並べます。そのあとに、自分の状況で見る制度の判定表、対象になる経費とならない経費、後払いと処分制限の注意、資金調達を書きました。熊本県・北海道・山口県・千葉県・大阪府・福岡県は、確かめられた範囲だけを「熊本・北海道・山口・千葉・大阪・福岡」の章に書いています。

陸上養殖の補助金の全体像

陸上養殖の補助金は、お金を出す側で次の4つに分かれます。

  1. 国(水産庁)の養殖向けの事業
  2. 都道府県の事業(宮城県が代表例)
  3. 市区町村の事業(石巻市、根室市など)
  4. 水産以外の中小企業向けの補助金(ものづくり系)

国の事業は海面養殖と陸上養殖をまとめて扱うため、制度の名前に「陸上」は出てきません。陸上養殖の名前が出てくるのは、県と市の事業です。検索して「陸上養殖 補助金」で出る制度の多くは、この県と市の事業か、国の事業を解説したページです。

国の事業は「養殖業」の中に陸上養殖が入っている

水産庁の「養殖業の振興について」のページは、養殖業の成長産業化に関する情報と、陸上養殖に関する情報を別の見出しで並べています。陸上養殖の見出しの下にあるのは、陸上養殖業の届出と、陸上養殖実態調査の結果です。補助事業は成長産業化の見出しの側にあります。

つまり水産庁は、陸上養殖を補助するための専用の事業ではなく、養殖業全体の事業で陸上養殖も対象にする作りにしています。マーケットイン型養殖業等実証事業の公募要領は、対象になる養殖を次のように書いています。

  • 海面で養殖される魚類、貝類、藻類、甲殻類等
  • 陸上で養殖される海産の魚類、貝類、藻類、甲殻類等とサケ・マス類
  • 内水面で養殖されるサケ・マス類とアユ

陸上で養殖するものは、海産の魚介類かサケ・マス類に限られています。陸上でウナギや淡水魚を育てる場合は、この事業の対象種に入るかを先に確かめます。

補助金の前に必要な「届出」

陸上養殖は、補助金の有無にかかわらず、始める前に届出が要ります。水産庁の説明では、陸上養殖業は「届出養殖業」に指定されています。養殖を始める日の1か月前までに、「届出養殖業の開始届出書」を2部、養殖場のある都道府県の知事に出します。すでに営んでいた人は、令和5年(2023年)4月1日から6月30日までの間に出す決まりでした。

届出をしなかったり、うその届出をしたりすると、10万円以下の罰金が科されることがあります。毎年度、4月1日から翌年3月31日までの実績を、4月30日までに養殖場ごとの「実績報告書」として出す義務もあります。

届出の対象になるのは、食用の水産物を次のように養殖している場合です。

  • 海水、または淡水に塩分を加えた水などを使っている
  • 閉鎖循環式で養殖している
  • 餌や糞などを取り除かずに排水している

マス、アユ、コイなどの淡水かけ流し式の養殖や、種苗生産は対象外です。水産庁が把握している届出件数は、令和8年1月1日時点で808件です。令和6年度に陸上養殖で生産された水産物の出荷数量は、合計6,907トンでした。

補助金の申請書類に届出の控えを求める制度があるかは、制度ごとに違います。宮城県の交付要綱の添付書類の一覧には、届出の控えは入っていませんでした。ただ、届出なしに養殖は始められません。設備を発注する時期に合わせて、県の水産担当課に届出の手続きを聞いておきます。

補助金・助成金・融資の呼び方

陸上養殖の設備に出るお金は、国も県も市も「補助金」と呼んでいます。制度名に「助成金」とついた陸上養殖向けの制度は、この記事の調査では見つかりませんでした。助成金と呼ばれる制度の多くは、従業員の雇用や賃上げに対して出る国の制度で、水槽やポンプの購入費には使えません。

補助金は、事業計画が審査されて認められた人に、かかった費用の一部が後から支払われる制度です。融資は借りるお金で、返す義務があります。補助金で費用の半分が出ても、残りは自分で用意するか借りることになります。補助金と融資は組み合わせて考えます。融資は「補助金だけでは足りない分をどうするか」の章で触れます。

陸上養殖で使える補助金を比べる

令和8年度の公募をもとに、一次情報で確かめた制度を並べます。根室市の事業だけは、市のページの更新が2022年4月のままで、令和8年度の募集は確かめられていません。金額は、補助率の上限で出た場合の話です。実際の交付額は審査と予算で決まります。

制度実施するところ対象者補助率・上限新規参入
マーケットイン型養殖業等実証事業(外部評価費)水産庁(公募は水産業・漁村活性化推進機構)養殖実績のある養殖経営体・グループ定額・上限80万円対象外
同(資材・機材の導入費)同上外部評価費の支援を受けた経営体1/2以内・上限5,000万円対象外
養殖業成長産業化提案公募型実証事業水産庁(公募はマリノフォーラム21)民間企業、組合、養殖経営体、大学、自治体など1/2まで・上限5,000万円公式ページに記載なし
陸上養殖システム導入支援事業宮城県閉鎖循環式で陸上養殖に参入しようとする事業者(県が計画を認定)1/2以内・上限1億円対象
陸上養殖システム導入支援事業費補助金石巻市市内で陸上養殖に取り組む事業者1/2以内・1事業者1年度につき300万円対象
陸上養殖研究促進支援事業補助金根室市(北海道)市内の水産加工業者・漁業経営者など1/2以内・上限300万円(2022年の案内)試験研究が目的
浜の活力再生・成長促進交付金水産庁(地方公共団体・漁協などが事業主体)浜プランに基づく共同利用施設(受益者の漁業者5名以上)1/2以内・事業費500万円以上個人は直接使えない
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この表のうち、陸上養殖を始めたばかりの個人や小さな法人が直接申請できるのは、県と市の事業です。国の事業の対象は、すでに養殖をしている経営体、技術開発をする組織、地域で共同の施設を持つ組織です。

国の補助金

マーケットイン型養殖業等実証事業

水産庁が進めている事業で、需要に応じた養殖業への転換を目指す経営体を、2つの段階で支えます。

1つ目が外部評価費の支援です。養殖業の事業性を外部の機関に評価してもらい、その結果をもとに「養殖業改善計画」を作ります。この評価にかかる費用が定額で出ます(上限80万円)。2つ目が資材・機材の導入費の支援です。認定された計画に沿って機材を入れる費用の2分の1以内が出ます(上限5,000万円)。2つ目は、1つ目の支援を受けた経営体が対象です。

対象者は、1事業期間以上の養殖実績があり、1か年以上の決算書を持つ養殖経営体か養殖経営グループです。ここでいう「1事業期間」は、種苗(稚魚)を入れてから出荷が終わるまでを指します。まだ養殖を始めていない人は、この事業の対象になりません。対象の養殖種も、外部評価の基準になる「養殖業事業性評価ガイドライン」が作られている種に限られます。公募要領は、ガイドラインの区分に陸上養殖を挙げています。水産庁が作った「養殖で活用できる可能性のある支援事業等」の一覧にも、この事業について「新規着業は対象外」と書かれています。

一方で、すでに陸上養殖をしている人が新しい売り先に合わせて設備を入れ替えたり増やしたりするなら、候補になります。個人事業者の応募も想定されています。公募要領の書類の欄に、個人事業者は履歴書や決算書に準じた書類で出せると書かれています。

令和8年度の公募期間は次のとおりでした。

  • 外部評価費支援の1次募集:令和8年4月20日から5月22日(正午必着)
  • 外部評価費支援の2次募集:予算の執行状況による
  • 資材・機材の導入費支援:令和8年8月17日から9月18日(正午必着・予定)

導入費の支援に応募できるのは、外部評価費の支援を受けて事業性評価を済ませた人です。受けた年度は、令和6年度の2次公募、令和7年度の1次・2次公募、令和8年度の1次公募のどれかに限られます。採択の見込みは、外部評価費が1回目で30件程度、導入費が10件程度とされています。導入費の審査は、外部評価費の審査より、内容が充実して実現性の高い計画が求められると公募要領に書かれています。

公募の事務は水産庁ではなく、特定非営利活動法人水産業・漁村活性化推進機構が担います。申請書類は原則として電子メールで出し、郵送や宅配便でも受け付けます。ファックスでは受け付けません。

対象になる機材とならない機材

公募要領の資料2が、対象の例と対象外の例を挙げています。陸上養殖で関係が深いものを拾います。

対象になる例は、給餌機、魚体計測機、自動洗網機、海水冷却装置、養殖管理用のパソコンやソフトウェア、自動活〆機、高鮮度冷凍庫、真空包装機、保冷車などです。設置作業費や運賃のような導入に直接かかる付帯費用も入りますが、事業費の総額の40%未満という上限があります。

対象にならないものは次のとおりです。

  • 単に生産量を増やすための機材、老朽化した機材の買い換え(上位機種も含む)、生産拠点を増やすための機材
  • 種苗、餌、試薬、医薬品などの消耗品
  • 建物の建設や不動産の取得(動かせないコンクリート水槽や建屋は対象外)
  • 機材導入に伴う基礎工事、一次側工事、設計費
  • 特許や商標の取得費

陸上養殖の目線で読むと、水槽そのものが「動かせないコンクリート水槽」にあたるか、持ち運べる水槽にあたるかで扱いが分かれます。ここは公募要領の文面だけでは判断できない場合があるので、見積もりを取る前に水漁機構へ問い合わせて確かめます。

審査で見られること

審査は評価委員会による書面審査で、100点満点で採点されます。総得点が60点に満たない場合と、どれか1項目でも「不可」(0点)がつく場合は、支援候補者から除かれます。見られる項目は次のとおりです。

  • 新たなニーズに対応する計画になっているか
  • 取り組みの内容と、経営状況・実績・実施体制から見て、実現できるといえるか
  • 市場動向、経営事業の継続力、販売力、動産の価値、品質と生産の管理能力、リスクへの対応力、自分の課題を把握できているか
  • 会計処理の体制が組まれているか

公募要領は、単なる増産や実現性の低い計画は認定されないと書いています。「売り先が決まっている」「顧客の要望に合わせた設備更新である」ことを数字で示す計画が求められています。

認定から交付決定まで

導入費の支援は、評価委員会に認められると「認定通知」が届きます。この通知は計画が認定されたことを知らせるもので、補助金の交付が決まったことを意味しません。そのあと水漁機構の指示で事業実施計画申請書を出し、実施計画の承認を受けます。次に交付申請書を出し、交付決定通知が届きます。交付決定までの手続きは、原則として認定から6か月以内に済ませる決まりです。

補助金の支払いは、原則として年度ごとと、機材を導入したあとの精算払いです。資材・機材の導入は、交付決定日から原則1年以内に納品を終えます。実証事業の期間は、導入後から3事業期間・5年以内です。交付決定の通知より前に発注や契約をした機材は、認定を受けた人でも補助の対象になりません。

養殖業成長産業化提案公募型実証事業

こちらは設備の購入ではなく、技術開発と実証にかかる経費の2分の1までを補助する事業です(上限5,000万円)。水産庁の説明では、需要に応じた養殖業の実現に貢献する技術開発だと認定された「養殖業技術開発計画」に基づく開発・実証が対象です。

公募の対象になる研究開発の分野は、水産庁のページに次の6つが書かれています。

  1. 養殖製品の品質保持・管理に関する技術開発
  2. 気候変動など漁場環境の変化に対応できる生産技術の開発
  3. スマート水産業の推進に関する技術開発
  4. 新魚種・新養殖システムの推進に関する技術開発
  5. 養殖水産物の疾病関連対策に関する技術開発
  6. 配合飼料など水産資材に関する技術開発

陸上養殖は、4番の新養殖システム、3番のスマート水産業、5番の疾病対策に重なります。対象者は、民間企業、一般社団法人、一般財団法人、NPO法人、協同組合、養殖経営体・養殖経営グループ、大学、国立研究開発法人、都道府県・市町村・公立試験研究機関などです。自社の水槽を買い足すための補助ではなく、技術開発と実証の経費の補助だと読むと、使える場面が見えてきます。

令和8年度の公募期間は、令和8年6月1日から8月31日でした。公募は一般社団法人マリノフォーラム21が行います。個人事業主が対象者に入るかは、水産庁のページの対象者の一覧に記載がなく、確かめられませんでした。応募を考える場合は、マリノフォーラム21に確認します。

水産庁の一覧にあるそのほかの事業

水産庁の「養殖で活用できる可能性のある支援事業等」には、上の2つ以外にも養殖に使える可能性のある事業が載っています。陸上養殖の人に関係しそうなものを、一覧の記載のまま書きます。

事業名条件
養殖業体質強化緊急総合対策事業(養殖コスト低減対策事業)協業化による生産性向上は1/2以内・200万円/経営体以内。養殖対象種・手法の転換は1/2以内・養殖業者1,500万円/経営体以内。新規着業は対象外
浜の活力再生・成長促進交付金(水産業強化支援事業)1/2以内・事業費500万円以上。浜プランに基づく自治体や漁協などの取組。受益者(漁業者)5名以上の共同利用施設
水産業競争力強化緊急施設整備事業1/2以内・事業費5,000万円以上。広域浜プランに基づく取組
水産業成長産業化沿岸地域創出事業1/2以内。養殖いけす・筏は上限1.5億円。漁労所得10%向上のKPIが条件
スマート水産業推進事業1/3など・上限1,000万円など。スマート機械を導入する取組
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この一覧は、陸上養殖専用の表ではなく養殖全般の表です。海面のいけすや筏を前提にした事業も入っているので、陸上養殖の設備が対象になるかは、それぞれの事業の公募要領で確かめます。

浜の活力再生・成長促進交付金について補足します。この交付金は「浜の活力再生プラン」(地域の漁業者が、5年間で所得を1割以上上げることを目標に、収入向上やコスト削減の取り組みをまとめた計画)を採択の要件にしています。申請の主体は個人の養殖業者ではなく、地方公共団体や漁協などです。陸上養殖の共同施設を地域で持つ構想がある場合に、市町村の水産担当課に相談する先になります。

都道府県の補助金:宮城県の陸上養殖システム導入支援事業

陸上養殖の名前がついた県の制度で、一次情報を確かめられたのは宮城県です。県の水産林政部の事業で、閉鎖循環式陸上養殖を県内に広めるために、参入する事業者の設備費を補助します。

項目内容
対象者閉鎖循環式陸上養殖システムを導入して陸上養殖に参入しようとする事業者で、県が事業計画を認定したもの
対象の方式完全閉鎖循環式に限らず、一部注水を行う半循環式も対象
補助率2分の1以内
補助限度額1事業者あたり1億円
令和8年度の申請期間(2次募集)9月4日から。終わりの日は県の資料で食い違う(下の説明を参照)
窓口水産林政部水産業基盤整備課養殖振興班(電話022-211-2943)
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県の制度は、国のマーケットイン型とは逆に、これから参入する人のための制度です。個人が対象から外れているわけでもありません。交付要綱は、申請書に添える書類を決めています。法人は定款の写し、個人は住民票抄本です。

認定が先、補助金の申請が後

宮城県の制度は、補助金を申請する前に、県の事業計画の認定を受ける2段階です。実施要領は、認定にあたって知事が事業審査会を置き、次の点を審査すると定めています。

  • 事業の目的や内容の実現可能性と妥当性
  • 導入する機器の妥当性
  • 売上と収支の計画の妥当性
  • 資金計画の妥当性
  • 事業の実施体制の妥当性
  • 県の水産業への波及効果など

認定の要件は、生産販売計画・収支と資金繰りの計画・機器の整備計画が適切であることのほか、次の3点です。

  1. システムを入れる地区の関連漁業者と調和が図られていること
  2. 既存の養殖業者の市場と重複しない、または重複しても単価を著しく下げないこと
  3. 種苗の供給や原料の確保などで、県内の漁業者や水産加工業者にメリットがあること

実施要領には、認定件数は1年度につき1件と書かれています。ただし予算の範囲内で、事業者の所要見込額に応じて件数を増やすことがあります。審査基準に満たない事業者しかいない場合は、認定が0件になることもあります。上限1億円という数字の大きさに対して、認定は1年度に1件が基本なので、競争は厳しいと見るのが安全です。

複数の事業者が申請した場合の優先順位も、実施要領の別表に書かれています。県内に住所のある漁業協同組合等が先、その次が県内に住所のあるその他の事業者、最後が県外に住所のある事業者です。県外の法人や個人も申請できますが、優先順位は最後です。

令和8年度の2次募集は、終わりの日が県の資料で食い違っています。県の募集ページは11月26日(金曜日)までと書き、同じ県のチラシは令和8年11月6日(金)までと書いています。11月26日は木曜日にあたるため、6日が正しい可能性が高いと見られます。確かめる先は窓口です。補助金の活用を希望する場合は、申請期間が終わる前に、先に水産業基盤整備課養殖振興班へ連絡します。

要綱の主な決まり

交付要綱から、申請前に知っておくと困らない点を拾います。

  • 交付決定前に発注などの着手をした経費は、補助の対象にならない(実施要領第9条)
  • 他の国や県の補助金の対象になった機器は、補助対象経費から除かれる
  • 県税に滞納や未納がある人は、交付を申請できない
  • 補助事業を30%以内で減らす場合などを除き、内容や経費の配分を変えるには事前の承認が要る
  • 補助事業が完了した日から1か月を過ぎた日か、事業実施年度の3月5日のどちらか早い日までに、実績報告を出す
  • 補助金は、補助金額が確定したあとに交付される。必要があれば、事業の出来高に応じて概算払ができる
  • 消費税等の仕入控除税額は、申請時と実績報告時に減額する。申告で確定したあとに返還を命じられることがある
  • 取得価格が50万円以上の機械や器具は、法定耐用年数に相当する期間、処分が制限される
  • その期間は、天災の補償を含む建物共済や損害保険、動産総合保険に加入する
  • 事業の完了後も、実施要領により5年間は毎年度の実施状況を報告する

最後の5年間の報告は、補助金をもらって終わりではなく、事業を続けていく前提の制度だということを示しています。県のページの事業要件の5つめに「本県の水産業の発展に貢献するもの」とあるのも、同じ考え方です。

詳しい申請の手順や、令和8年度の募集回ごとの違いは、制度の記事にまとめています。

市区町村の補助金

石巻市の陸上養殖システム導入支援事業

宮城県の石巻市にも、同じ名前の事業があります。市の事業は県の事業とは別に募集され、書類も窓口も別です。

項目内容
対象者市内で、閉鎖循環式・半循環式、または地下海水等を用いたかけ流し型の陸上養殖システムを導入し、陸上養殖に取り組む事業者
補助対象経費陸上養殖に必要なシステムを構成する機器の導入費。運営費の削減につながる機器(ソーラーシステム機器、蓄電池など)は、前者と併せて導入する場合に限る
補助率1/2以内
補助限度額1事業者につき1年度あたり300万円。補助対象事業を続ける場合は3か年度が限度
令和8年度の募集期間令和8年5月15日から11月30日(申請額が予算額に達した時点で終了)
窓口産業部水産課水産資源環境係(電話0225-95-1111)
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県の事業との大きな違いは4つあります。

  1. 上限が県は1事業者1億円で、市は1年度につき300万円
  2. 県が閉鎖循環式(半循環式を含む)に限るのに対し、市はかけ流し式も対象
  3. 県が認定を受けてから申請するのに対し、市は申請額が予算に達した時点で受付が終わる先着の形
  4. 市の設備は市内に設置するものに限る

市の上限は1年度につき300万円で、補助を続ける場合は3か年度が限度です。交付要綱は、同じ事業者への交付を連続する3か年度までと定めています。300万円を3年度続けて受けると、通算で最大900万円になる計算です。ただし公式の文面は「1事業者につき1年度にあたり300万円」で、900万円という上限の記載はありません。1年度の上限は300万円と読みます。

補助対象外なのは、建物と用地の賃借・取得費、種苗代や餌代、人件費や電気代などの運転経費です。

同じ日に複数の申請があり、補助金の合計が予算を超える場合は、予算の残りを交付額の割合で按分します。いったん交付が決まった額は、予算が追加されても変更されません。補正予算が確保できるのは、早くても9月補正予算以降と、市のページに書かれています。申請を考える場合は、期間に余裕をもって手続きを始めます。

根室市の陸上養殖研究促進支援事業

北海道の根室市にも、陸上養殖向けの補助があります。陸上養殖の起業に向けた実証試験や研究のために、水槽などを整備する費用を補助する事業です。

  • 対象者:市内に本社または事業所があり、継続して5年以上水産食料品製造業を営んでいる事業者のほか、漁業を営んでいる漁業経営者など
  • 要件:暴力団関係者でないこと、市税を滞納していないこと、直近の決算期で債務超過でないこと
  • 補助率と上限:2分の1以内・上限300万円
  • 条件:原則として設備を整備した年を含めて3か年は試験を続け、費用対効果や生産効率を検証する

市の案内ページの更新日は2022年4月で、受付は令和4年4月18日からと書かれています。令和8年度の募集の有無や予算の残りは、ページから読み取れませんでした。問い合わせ先は根室市水産研究所です。この事業は「起業に向けた試験」が目的なので、商業規模の養殖施設を一気に建てるための補助ではない点を押さえておきます。

熊本・北海道・山口・千葉・大阪・福岡の陸上養殖の補助金

検索では「陸上養殖 補助金 熊本」「陸上養殖 補助金 北海道」と、都道府県名を足した語がよく出てきます。確かめられた範囲を書きます。

  • 熊本県:制度データベースと検索で、陸上養殖向けの県の補助金は見つかりませんでした。農林水産部の水産担当課と、設備を置く予定の市町村の水産担当課に直接聞くのが確実です。
  • 北海道:道の水産林務部成長産業課の「養殖関係」のページに、同課の「補助金関係」の入口があります。ページの中身の制度までは読み取れませんでした。市町村では、上で書いた根室市の事業が一次情報で確かめられました。
  • 山口県・千葉県・大阪府・福岡県:陸上養殖向けの県の制度は、確かめていません。

「見つからなかった」ことは、制度が無いことの証明にはなりません。自治体の補助金は、年度ごとの予算で始まったり終わったりします。陸上養殖を検討している場所の県庁と市町村の水産担当課に、次の3つを聞くと、短時間で状況がわかります。

  1. 陸上養殖の設備に使える県・市町村の補助金があるか
  2. 養殖業全般の補助金のうち、陸上養殖の設備が対象に入るものがあるか
  3. 陸上養殖の届出の窓口はどこか(届出も県の窓口です)

制度が無い地域でも、国の事業や、次の章のものづくり系の補助金は全国どこでも探せます。

ものづくり補助金・事業再構築補助金は陸上養殖に使えるか

「ものづくり補助金 陸上養殖」の語で調べる人もいます。水産以外の中小企業向けの補助金は、名前が変わったり終わったりしているので、先に状況を整理します。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金

令和8年度は、中小企業基盤整備機構が「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」を公募しています。公式ページは、従来の「中小企業新事業進出補助金」「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」とは異なる補助金だと注記しています。枠は3つです。

枠補助率補助上限額
革新的新製品・サービス枠中小企業者1/2(条件により2/3)、小規模企業・小規模事業者2/3最大2,500万円(賃上げ特例で最大3,500万円)
新事業進出枠中小企業者1/2(条件により2/3)最大7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円)
グローバル枠中小企業者2/3最大7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円)
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上限額は従業員数で変わります。たとえば新事業進出枠は、従業員1〜20人の基本の上限が2,500万円です。

共通の条件は3つあります。補助事業の終了後3〜5年の事業計画で、付加価値額を年平均4.0%以上増やすこと。1人あたりの給与支給総額を年平均3.5%以上増やすこと。事業場内の最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高くすることです。目標に届かない場合は、補助金の一部または全額を返す義務が生じることもあります。

令和8年度の第1回公募は、2026年10月30日18時で受付を終えています。次の公募の予定は、事務局の公募スケジュールのページで確かめます。

陸上養殖がこの補助金の対象になるか、水槽やポンプが対象経費になるかは、公式ページの範囲では確かめられませんでした。上位の解説ページには、ものづくり系の補助金を陸上養殖に使えると書くものがあります。ただ、公募要領で該当箇所を確かめられていないので、この記事では「使える」とは書きません。新事業進出枠は、既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出が条件なので、水産加工や別業種の会社が陸上養殖に新規参入する場面なら検討する価値があります。公募要領を読み、事務局の電話相談(予約制)で、養殖業での申請ができるかを確かめます。

制度の仕組みは、新事業進出補助金の記事にまとめています。

事業再構築補助金は新規の募集が終わっている

事業再構築補助金は、事務局の公式ページに「本補助金の公募は終了しております」と書かれていて、新しく申請することはできません。解説記事の中には、この補助金を使える制度として載せているものがあります。そこに書かれた上限額は以前の公募のものなので、見積もりや資金計画に使わないでください。

補助の対象になる経費・ならない経費

陸上養殖の補助金で、いちばん差が出るのが経費の線引きです。3つの制度の公式資料で、共通する点と違う点を並べます。

経費宮城県石巻市マーケットイン型(導入費)
飼育水槽、循環ポンプ、ろ過槽、殺菌装置など対象対象生産の機材は対象(陸上養殖専用の例示はなし)
太陽光パネル、蓄電池などの省エネ機器対象(システム機器と併せて導入する場合)対象(同左)例示なし
自動給餌機、魚体測定装置などの省力機器実施要領で対象(システム機器と併せて導入する場合)例示なし給餌機・魚体計測機が対象
建物・用地の賃借や取得対象外対象外対象外(コンクリート水槽・建屋は不可)
種苗代・餌代対象外対象外対象外(消耗品)
人件費・電気代などの運転経費対象外対象外記載なし
基礎工事・設計費実施要領に記載なし記載なし対象外
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表で記載なしとしたところは、公式資料の文面にその経費の扱いが見当たらなかったところです。対象かどうかを推測で決めず、申請の前に窓口で個別に確認します。

見積書の取り方も、制度で違います。マーケットイン型は原則3社以上の見積書を求め、取れない場合は理由書を出します。宮城県の実施設計書や収支予算書は、県の様式を使います。設備会社に見積もりを頼むときは、補助の対象にならない工事(建屋・基礎・配管の一次側)と、対象になる機器の費用を、見積書の中で分けてもらいます。あとの手間が減ります。

個人・副業・新規参入の人は何が使えるか

「陸上養殖 個人」「陸上養殖 副業」の語で調べる人もいます。補助金の側から見た答えを、状況別の表にまとめます。

状況見る制度理由
宮城県内で、新しく陸上養殖を始める法人宮城県の事業、石巻市の事業(市内の場合)どちらも参入を想定している
宮城県内で、新しく陸上養殖を始める個人事業主宮城県の事業交付要綱が個人の場合の添付書類(住民票抄本)を定めている。事業を行う個人であることが条件
すでに養殖をしていて、新しい売り先向けに機材を入れたいマーケットイン型養殖業等実証事業1事業期間以上の養殖実績と決算書が要る
技術開発や実証を行う企業・組合・大学養殖業成長産業化提案公募型実証事業技術開発・実証の経費が対象
北海道の根室市内で、水産加工や漁業を5年以上営んでいる根室市の事業試験研究のための設備が対象(令和8年度の募集は未確認)
地域の漁業者5名以上で共同利用施設を作る浜の活力再生・成長促進交付金自治体や漁協などが事業主体
他県で新規参入する県・市町村の水産担当課、ものづくり系の補助金、融資陸上養殖専用の制度は確かめられなかった
趣味の水槽、家庭の観賞魚対象外事業として食用の水産物を育てる場合の話
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副業として小さく始める場合も、届出の対象になる養殖であれば、届出と実績報告は要ります。県と市の事業は、事業を行う個人も対象に含めています。ただし、機器の導入費が数百万円から数千万円になる前提の制度です。月に数万円の副収入を目指す規模では、補助金を使う前に、自己負担を回収できるかの収支計画が先に必要になります。

補助金だけでは足りない分をどうするか

補助金は設備費の一部しか出ない

補助率の上限が2分の1以内なので、補助金を満額受けても、残りの半分は自分で用意することになります。上限額に届かない小さな案件も、上限を超える大きな案件も、同じ考え方で計算できます。

設備の見積額(税抜)ごとに、補助率の上限どおりに出た場合の額を計算した表です。実際の額は、審査・予算・対象経費の範囲で決まります。

補助対象の設備費宮城県(1/2以内・上限1億円)石巻市(1/2以内・1年度300万円)マーケットイン型の導入費(1/2以内・上限5,000万円)
2,000万円1,000万円300万円1,000万円
6,000万円3,000万円300万円3,000万円
2億円1億円300万円5,000万円
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石巻市は、設備費が600万円を超えたところで1年度の上限300万円に当たります。県は2億円を超えたところで上限に当たります。上限を超えた部分は、全額が自己負担です。

建屋や土地、種苗、餌、電気代は補助の対象になりません。補助金の額は、設備費の半分以下になるのが普通で、事業全体の資金の半分にはなりません。

補助金は後払い

県の要綱も、マーケットイン型の公募要領も、補助金の支払いは原則として事業が終わって補助金額が確定した後の精算払いです。必要があれば概算払の道もあるとされていますが、概算払は事業の出来高に応じた額までで、全額を先にもらえるわけではありません。

つまり、水槽やポンプの代金は、いったん全額を自分で払う必要があります。つなぎの資金を、自己資金か融資で用意しておきます。

融資の選択肢

水産庁の「養殖で活用できる可能性のある支援事業等」には、補助金のほかに融資や助成も載っています。陸上養殖の資金に関係しそうなものを、一覧の記載のまま書きます。

名称窓口内容
漁業近代化資金JFマリンバンク貸付上限:養殖業者(法人)3億6千万円、養殖業者(個人)9千万円。償還期限15年以内(据置3年以内)
農林漁業施設資金(対象:陸上養殖施設)日本政策金融公庫融資限度額は負担する額の80%または3億円のいずれか低い額。償還期限15年以内(据置3年以内)
漁業経営改善支援資金日本政策金融公庫漁業経営改善計画の認定を受けた漁業者が対象。負担額の80%または(個人)3,000万円・(法人)3億円のいずれか低い額
新規開業・スタートアップ支援資金日本政策金融公庫融資限度額7,200万円(うち運転資金4,800万円)。設備資金は返済期限20年以内
農林水産業みらい基金一般社団法人農林水産業みらい基金法人または任意団体への助成。限度額は審査で決まる
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陸上養殖の設備にいちばん近いのは、表の1行目の農林漁業施設資金です。水産庁の一覧は、この資金の対象に「陸上養殖施設」を挙げています。申請の条件や金利は一覧に書かれていないので、日本政策金融公庫の窓口で確かめます。

融資の審査では、補助金と同じく収支計画が見られます。マーケットイン型の公募要領は、外部評価費の支援で得た事業性評価書を融資の相談に使える場合があると書いています。ただし、金融機関によっては評価を受け直す必要があるので、先に金融機関へ相談するよう求めています。

補助金の申請で失敗しやすい点

制度ごとの詳しい手順は制度の記事にまとめているため、ここでは陸上養殖の補助金に共通する注意点だけを挙げます。

  • 交付決定の前に発注しない:宮城県の実施要領もマーケットイン型の公募要領も、交付決定より前に発注・契約をした経費は補助の対象にならないと書いています。審査に通ったあとでも、交付決定の通知が届くまでは、設備会社に発注を出しません。「納期が長いから先に注文したい」と業者に言われたときも、同じです。
  • 認定と交付決定は別:宮城県の事業計画の認定も、マーケットイン型の認定通知も、補助金の交付が決まったという意味ではありません。
  • 申請額と予算:石巻市のように先着で、予算に達したら終わる制度は、期限より前に受付が終わります。県の制度は、認定が1年度に1件が基本です。
  • 処分制限:補助で入れた設備は、売却、廃棄、他の目的への使用、貸付けや担保にするときに、事前の承認が必要です。県の要綱は取得価格50万円以上の機械や器具が対象で、期間は法定耐用年数に相当する期間です。
  • 消費税の扱い:消費税の仕入控除税額(課税事業者が申告で控除できる消費税)は、補助金の額から減らして申請します。免税事業者か課税事業者かで、受け取れる額の計算が変わります。
  • 報告と書類の保管:宮城県の要綱は、補助金に関する書類を会計帳簿とともに、交付決定日の属する年度の翌年度から5年間保管するよう求めています。マーケットイン型も、事業終了の年度の翌年度から5年間の保管です。
  • 国の他の補助との重複:宮城県の要綱は、国や県の他の補助金の対象になった機器を補助対象経費から除きます。マーケットイン型は、他の国庫補助事業で補助を受けている経費の重複を認めません。

見積もり・契約の前に業者へ確かめること

陸上養殖の設備は、水槽、ポンプ、ろ過槽、殺菌装置、温度調整装置など、複数の機器とその設置工事で構成されます。補助金を使う場合、見積書の作り方が申請の可否に直結します。契約の前に、設備会社へ次の点を確かめておきます。

  1. 見積書が、機器の本体費、運搬費、設置作業費、基礎工事、建屋に分かれているか
  2. 補助金の交付決定の前に発注を求められていないか、納期が交付決定の後に始められる日程になっているか
  3. 機器の保証期間と、故障したときの交換の扱い(処分制限期間中は、勝手に撤去・更新できないため)
  4. 電気代、水の入れ替えにかかる費用の見込みが、収支計画に使える根拠のある数字か
  5. 見積書を、複数の会社から取れるか(マーケットイン型は原則3社以上)
  6. 申請書類づくりの手伝いが、見積額に含まれているか、別の費用がかかるか

申請書の作成を報酬を得て業として代行できるのは、行政書士などの資格を持つ人に限られます。設備会社の営業担当が「申請も全部やります」と言ったら、誰が書類を作るのか、費用はいくらかを、契約の前に書面で確認します。

よくある質問:陸上養殖の補助金

陸上養殖に使える国の補助金はありますか?

陸上養殖だけを対象にした国の補助金は、水産庁の一覧では確認できませんでした。養殖業全体の事業のうち、マーケットイン型養殖業等実証事業と養殖業成長産業化提案公募型実証事業の対象に陸上養殖が入っています。マーケットイン型は上限5,000万円(補助率1/2以内)、提案公募型は上限5,000万円(補助率1/2まで)です。どちらも公募の時期は年度ごとに決まります。

陸上養殖の補助金は、いくらまでもらえますか?

制度で違います。宮城県の事業は1事業者あたり上限1億円(補助率1/2以内)、石巻市は1事業者につき1年度あたり300万円(補助を続ける場合は3か年度が限度)、根室市は上限300万円(2022年の案内)です。国のマーケットイン型は導入費で上限5,000万円です。補助率の上限は、どの制度も2分の1以内なので、設備費の全額が出ることはありません。

新しく陸上養殖を始める人でも、国の補助金は使えますか?

水産庁のマーケットイン型は、1事業期間以上の養殖実績と1か年以上の決算書が要るため、新規参入の人は対象外です。水産庁の一覧にも「新規着業は対象外」とあります。提案公募型は技術開発の補助で、設備の購入費ではありません。新規参入の人は、宮城県や石巻市のような県・市の事業、ものづくり系の補助金、融資を中心に探します。

個人事業主や副業でも補助金を使えますか?

宮城県の事業は、事業を行う個人も対象で、申請書に住民票抄本を添える決まりがあります。ただし、機器の導入費が大きい制度で、県が事業計画を認定する審査もあります。マーケットイン型は、養殖実績がある個人事業者の応募を想定した書類の定めがあります。趣味の水槽や観賞魚の飼育は、事業ではないため補助の対象外です。

宮城県以外の県にも、陸上養殖の補助金はありますか?

一次情報で確かめられた県の陸上養殖向けの制度は、宮城県だけです。熊本県と北海道は、県の制度は見つかりませんでした。北海道は根室市の市の事業が確かめられています。山口県・千葉県・大阪府・福岡県は確かめていません。自治体の補助金は年度ごとに始まったり終わったりするため、県と市町村の水産担当課に直接聞きます。

陸上養殖の「助成金」はありますか?

制度名に「助成金」とついた陸上養殖向けの設備の制度は、確かめられませんでした。設備の購入費に出るお金は、国も県も市も「補助金」と呼んでいます。助成金と呼ばれる制度の多くは、雇用や賃上げに出る国の制度で、水槽やポンプの代金には使えません。農林水産業みらい基金のような民間の助成は、法人または任意団体が対象です。

ものづくり補助金や事業再構築補助金は使えますか?

事業再構築補助金は新規の公募が終わっていて、新しく申請できません。ものづくり系は、令和8年度は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」が公募されています。養殖業の設備が対象経費になるかは、公式ページの範囲では確かめられませんでした。公募要領と事務局の電話相談で、申請できるかを確かめてから計画を作ります。

補助金の公募はいつ行われますか?

年度ごとに決まります。令和8年度は、水産庁のマーケットイン型の外部評価費が4月20日から5月22日、導入費が8月17日から9月18日(予定)、提案公募型が6月1日から8月31日でした。宮城県の2次募集は9月4日からで、終わりの日は県のページ(11月26日)とチラシ(11月6日)で食い違っています。石巻市は5月15日から11月30日です。次の年度の日程は、各制度のページで公表されてから確かめます。

設備を先に注文してしまったら、補助金は出ますか?

交付決定の前に発注や契約をした経費は、補助の対象になりません。宮城県の実施要領は、入札・発注を含めて、事業の着手は交付決定後に行うと定めています。マーケットイン型も、交付決定の通知より前に発注した経費を対象外としています。審査に通っても、交付決定の通知が届いてから発注します。

補助金はいつ入金されますか?

原則として、事業が終わって補助金額が確定したあとの精算払いです。宮城県の要綱は、必要があれば事業の出来高に応じて概算払ができると定めていますが、出来高を超える額は払えません。マーケットイン型も、年度ごとと、資材・機材を導入したあとの精算払いが原則です。設備代金はいったん全額を自分で払うので、つなぎの資金を用意します。

補助金だけで陸上養殖の施設は建てられますか?

建てられません。補助率の上限は2分の1以内で、建屋や土地、種苗代や餌代、人件費、電気代は対象外です。宮城県の上限1億円も、石巻市の年300万円も、設備の一部への補助です。残りの設備費に加えて、建屋や運転にかかる資金は自分で用意します。融資を組み合わせる計画を、補助金の申請と同時に立てておきます。

陸上養殖を始めるのに、届出は必要ですか?

食用の水産物を、海水や塩分を加えた水などで養殖していたり、閉鎖循環式であったり、餌や糞などを取り除かずに排水していたりする陸上養殖は、届出養殖業にあたります。養殖を始める日の1か月前までに、開始届出書を2部、養殖場の所在地を管轄する都道府県知事に出します。届出をしないと、10万円以下の罰金が科されることがあります。

土地や建物の費用、餌代、電気代は補助されますか?

宮城県も石巻市も、建物と用地の賃借や取得の経費、種苗代や餌代、人件費や電気代などの運転経費は対象外としています。マーケットイン型も、種苗や餌などの消耗品と、建物の建設や不動産の取得、動かせないコンクリート水槽や建屋を対象外にしています。対象になるのは、水槽やポンプなど、システムを構成する機器の導入費が中心です。

補助で入れた設備を売ったり、やめたりするとどうなりますか?

宮城県の要綱では、取得価格が50万円以上の機械や器具は、法定耐用年数に相当する期間、処分が制限されます。処分するときは、事前に知事の承認が必要で、収入があれば県への返還を求められることがあります。補助事業を途中でやめる場合も、事前の承認が要ります。マーケットイン型も、処分制限期間中の処分は事前の承認が必要です。

窓口 | 内容について、専門家に相談する

対象になるか、いくら出るか、いつまでに何を用意するか。 申請の可否で迷ったら、補助金を扱う専門家に確認するのが確実です。相談は無料です。

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まとめ:新規参入は県と市の事業、既存の養殖業者は国の事業から確かめる

陸上養殖だけを対象にした国の補助金は確認できず、国の事業は養殖業全体の中に陸上養殖が入る形です。これから始める人が最初に確かめるのは、宮城県の陸上養殖システム導入支援事業(上限1億円)や、石巻市の同名の事業(1年度あたり300万円)のような、県や市の事業です。すでに養殖を営んでいる人は、水産庁のマーケットイン型養殖業等実証事業が候補になります。

どの制度も、補助率は2分の1以内で、後払いです。交付決定の前に発注した経費は対象になりません。建屋や土地、餌代、電気代も対象外です。補助金の申請と同時に、残りの半分と、つなぎの資金をどう用意するかの計画を立てます。熊本県や北海道など、陸上養殖の制度を確かめられなかった地域では、県庁と市町村の水産担当課に、陸上養殖の設備が対象になる補助があるかを直接聞くことから始めます。

免責事項: 本記事の内容は2026年11月に確認できた一次情報にもとづきます。補助金の有無・上限額・補助率・募集期間は、年度ごとの予算や要綱の改正で変わることがあります。申請の前に、各制度の実施機関の公式ページと公募要領で最新の内容をご確認ください。

出典(一次情報)

この記事を書いた人
GRANTOS編集部
補助金メディア編集部

中小企業・個人事業主の「次の一手」を後押しするため、国・自治体の補助金情報をわかりやすく整理してお届けします。掲載内容は公募要領などの一次情報をもとに編集しています。

本記事は情報提供を目的としており、補助金の採択・交付を保証するものではありません。 補助上限額・補助率・締切等の内容は変更される場合があります。申請にあたっては、必ず 公式サイト・最新の公募要領をご確認ください。