不妊治療や月経・更年期に伴う体調不良は、これまで「個人の事情」として職場では語られにくいテーマでした。このコースは、そうした女性特有の健康課題に対応する制度を整備し、労働者が実際に利用した事業主に助成金を支給する、比較的新しい制度です。
両立支援等助成金(不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース)の要点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請者 | 事業者(法人・個人事業主) |
| 制度名 | 両立支援等助成金(不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース) |
| 対象業種 | 業種指定なし |
| 利用目的 | 不妊治療・月経に起因する症状・更年期に起因する症状への対応のための両立支援制度の整備・利用支援 |
| 対象地域 | 全国 |
| 従業員数 | 規定なし |
| 補助上限額 | A・B・Cそれぞれ30万円(合計最大90万円)。各区分1事業主あたり1回限り |
| 補助率 | 定額 |
| 申請受付 | 通年(予算がなくなり次第終了) |
| 公式サイト | 厚生労働省「両立支援等助成金」 |

いくらもらえる?3つの健康課題ごとに30万円
このコースは、A(不妊治療)・B(月経に起因する症状)・C(更年期に起因する症状)の3区分に分かれ、それぞれ独立して申請できます。
| 区分 | 対応する健康課題 | 利用要件 | 支給額 |
|---|---|---|---|
| A | 不妊治療 | 両立支援制度を合計5日(回)利用 | 30万円 |
| B | 月経に起因する症状(PMSを含む) | 両立支援制度を合計5日(回)利用 | 30万円 |
| C | 更年期に起因する症状 | 両立支援制度を合計5日(回)利用 | 30万円 |
A・B・Cはそれぞれ「1事業主あたり1回限り」の支給ですが、区分ごとに独立しているため、同一年度内に複数の区分を申請することも、異なる労働者が異なる区分の制度を利用した場合に複数申請することも可能です。3区分すべてで要件を満たせば、合計90万円まで受け取れる計算になります。ここで言う「両立支援制度」とは、休暇制度・所定外労働制限制度・時差出勤制度・短時間勤務制度・フレックスタイム制度・在宅勤務等を指します。
承認までの重要なタイミングと必要書類
このコースは、制度の整備と担当者の選任が支給要件の土台になっています。
- 制度利用の開始前:A〜Cそれぞれの両立支援制度、制度利用の手続きや賃金の取扱い等を就業規則等に規定する
- 労働者からの相談に対応する「両立支援担当者」を選任する
- 対象労働者が、制度利用の開始日から申請日まで雇用保険被保険者として継続雇用されている状態で、両立支援制度を合計5日(回)利用する
- 支給申請を行う
就業規則等への規定が先で、制度利用の実績はその後という順序を守る必要があります。すでに個別に休暇を認めていたとしても、就業規則等に制度として明文化されていなければ支給要件を満たしません。相談を受けてから慌てて規定を整備するのではなく、あらかじめ制度化しておくことが実務上重要です。
対象になる取組・ならない取組
- 対象になる例:就業規則に不妊治療のための休暇制度を規定し、両立支援担当者を選任したうえで、対象労働者が実際に5日利用した
- 対象になる例:更年期症状への対応として時差出勤制度を規定し、対象労働者が利用した
- 対象にならない例:制度化せず、個別の口頭了承だけで休暇を認めていた(就業規則等への規定が必要)
よくある質問
Q. 男性の不妊治療(不妊治療に伴う通院等)でも対象になりますか?
対象労働者の性別を限定する規定は公表情報の範囲では確認できていません。制度利用の実態に即して労働局が判断するため、対象労働者の該当性は事前に確認することをおすすめします。
Q. すでに導入している休暇制度に上乗せする形でも申請できますか?
既存の休暇制度とは別に、A〜Cの健康課題に対応する制度として明確に規定されている必要があります。既存制度の運用実態によって扱いが変わるため、社会保険労務士等に相談しながら制度設計するのが安全です。
Q. この助成金はいつから始まりましたか?
比較的新しいコースとして令和7年度に創設されています。今後の年度改正で要件が変わる可能性があるため、申請前に必ず最新の支給要領を確認してください。
