太陽熱温水や地中熱ヒートポンプ、バイオマスボイラー、工場の廃熱回収の設備費に、国が最大1億円(補助率1/3か1/2)を補助する制度です。公募は一次(2026年5月28日正午)と二次(7月16日正午)のどちらも終わっています。
対象は「熱」の設備が中心で、太陽光発電設備は対象外です。もう一つ外せない点は、交付決定の日より前に契約や発注をした経費は補助されないことです。ここでは今年度の公募の内容をもとに、3つの事業区分と要件、申請の流れを整理します。
再エネ等熱利用設備導入事業(再エネ熱)の要点まとめ
正式名:再エネ等熱利用設備導入事業(再エネ熱)
だれが
- 申請者
- 事業者(民間企業・法人など)
- 対象業種
- 業種の指定なし
- 利用目的
- 脱炭素・省エネ(再エネ熱・廃熱利用設備の導入)
- 対象地域
- 全国
- 従業員数
- 規定なし
いくら
- 補助上限額
- 1億円(区分Aは2か年の合計、区分B・Cは各年度)
- 補助率
- 区分Aは1/3、区分B・Cは1/2
いつ・どこへ
- 申請受付
- 一次公募は2026年5月28日に終了。二次公募は7月16日に終了
- 事業の完了
- 原則は当該年度の1月31日まで(2か年も可)
うちの会社は対象になる?
次の4つにすべて当てはまれば、対象の見込みです。
当てはまるものにチェックを入れてください。0 / 4
法人の範囲は、民間企業のほか、社会福祉法人、医療法人、学校法人、協同組合、一般社団法人なども含みます。債務超過とは、負債が資産を上回る状態のことです。公募要領は、直近の決算が債務超過の場合は原則として対象外としています。
CO2削減コストとは、補助対象経費を、設備の耐用年数の間に減らせるCO2の量(t)で割った値です。熱源ごとに基準があり、これを下回る計画でなければ応募できません。くわしくは「何に使える?」の表にあります。
次のどれかに当たると対象外です。
- ✕ 太陽光発電設備を入れる
- ✕ 散水方式・地下水還元方式の地中熱
- ✕ 個人事業主(温泉関係の設備以外)
- ✕ 建物や事務用パソコン、照明
- ✕ 交付決定の前に発注した
設備を使うのが別の会社(需要家)なら、その会社と共同で応募します。需要家とは、設備から供給されるエネルギーを使う者のことです。
いくらもらえる?
補助率と上限額は、事業区分で変わります。
| 区分 | 対象の設備 | 補助率 | 上限 |
|---|---|---|---|
| A | 太陽熱、バイオマス熱、自家消費型の再エネ発電(太陽光を除く) | 1/3 | 1億円(2か年は合計) |
| B | 地中熱、温泉熱、河川熱、海水熱、下水熱、雪氷熱 | 1/2 | 各年度1億円 |
| C | 工場廃熱等の利用、温泉供給設備の更新時の省エネ設備 | 1/2 | 各年度1億円 |
補助額は、補助対象経費に補助率をかけた額です。消費税は補助対象経費から除いて計算します。免税事業者や簡易課税を選んでいる事業者などは、含めて計算できます。上限に届くのは、区分Aで3億円、区分B・Cで2億円の補助対象経費のときです。
- 工場の給湯に太陽熱を使う(区分A):6,000万円 × 1/3 = 2,000万円
- 事業所に地中熱ヒートポンプを入れる(区分B):1億5,000万円 × 1/2 = 7,500万円
- 工場の廃熱回収を大きく整える(区分C):2億5,000万円 × 1/2 = 1億2,500万円 → 上限の1億円
計算例は公募要領の式に当てはめたもので、公式の例ではありません。補助対象にならない経費は、先に差し引きます。
何に使える?
対象にならないもの
- 建物(建屋の建設費を含む)
- 車両、事務用パソコン、照明、家電に近いもの
- 防犯設備、昇降機、消火設備
- 既存設備の撤去費・処分費、残土の処分費
- 中古品・リユース品(熱利用設備と発電設備)
- 消耗品費、工事会社への振込手数料
- 系統(電力会社の送電網)からの受変電に係る経費
対象になるもの
- 区分A:太陽熱集熱器、バイオマスボイラー、熱交換器、ヒートポンプ、ポンプ、熱導管、蓄熱システム、定置用蓄電池
- 区分B:地中熱や温泉熱などの熱交換器、ヒートポンプ、ポンプ、熱導管、蓄熱システム
- 区分C:工場廃熱を使うヒートポンプ、熱交換器、蓄熱タンク、廃熱利用の発電設備、温泉供給設備の高効率化部品
熱を取り出したあとに使う室内機などは、対象外です。
設備ごとの主な要件は、次のとおりです。
| 熱源 | 設備の要件 | CO2削減コストの基準 |
|---|---|---|
| 太陽熱 | 集熱器の総面積が10㎡以上 | 73千円/tCO2 |
| バイオマス(木質系) | バイオマス依存率60%以上 | 21千円/tCO2 |
| バイオマス(農作物残渣) | バイオマス依存率60%以上 | 47千円/tCO2 |
| 温泉熱・河川熱・海水熱・下水熱・雪氷熱 | 河川熱・海水熱・下水熱は熱供給能力0.10GJ/h以上 | 240千円/tCO2 |
| 地中熱(地下水熱が主) | ヒートポンプは熱供給能力10kW以上 | 240千円/tCO2 |
| 地中熱(上記以外) | 同上 | 400千円/tCO2 |
| 工場廃熱(2種類の設備) | ヒートポンプ・熱交換器などを2種類以上導入 | 90千円/tCO2 |
| 工場廃熱(3種類以上) | 同上 | 136千円/tCO2 |
| 温泉供給設備の更新 | 稼働中の設備の改修で、償却資産に登録 | 57千円/tCO2 |
基準は1tのCO2を減らすために使える補助対象経費の上限です。たとえば太陽熱で補助対象経費が7,300万円なら、耐用年数の間に1,000tを超えるCO2を減らす計画が要ります。
申請の流れ
次の公募の予定は、確認した公式ページに載っていませんでした。ここでは、今年度の公募の流れを示します。
- GビズIDを取る(事業者→GビズID運営。申請の2週間以上前に)
- 公募要領とQ&A集を読む(事業者→協会のページ。応募前に)
- 見積書をそろえる(事業者→工事業者。押印つきで有効期限のあるもの)
- jGrantsで応募する(事業者→環境技術普及促進協会。公募期間の正午必着)
- 審査を受ける(協会→事業者。書面審査と、必要に応じて対面やWebのヒアリング)
- 採択のあと交付申請を出し、交付決定を受ける(事業者→協会)
- 交付決定のあとに契約・発注して工事する(事業者→工事業者。当該年度の1月31日までに検収と支払いまで)
- 完了実績報告を出す(事業者→協会。完了後30日以内か2月10日の早いほう)
- 額の確定のあと、精算払の請求をする(事業者→協会)
GビズIDとは、国の電子申請に共通で使うIDです。jGrantsの応募には、プライムかメンバーのアカウントが要ります。エントリーアカウントでは応募できません。発行に2週間程度かかります。
必要な書類
準備できた 0 / 17
要件の根拠資料は、熱源ごとの設備要件(上の表)を満たすことを示す資料です。登記事項証明書は、発行後6か月以内のものに限ります。決算書は貸借対照表と損益計算書で、定款も添えます。見積明細書は「一式」と書かず、設備費や材料費を具体的に書きます。
補助対象設備を災害時に稼働させる場合は導入量算出表、発電設備を災害時に稼働させる場合は運用説明資料も出します。蓄電池にIP通信の機器を使う場合は、JC-STARのラベルを取得した製品だと分かる資料も要ります。
もらえなくなるのはどんなとき?
- 交付決定の前に契約・発注した:契約日や発注日が交付決定日より前の経費は、補助対象になりません。見積合わせなどの準備は、決定前でもできます。
- 補助対象外の経費を入れた:建物、撤去費、消耗品費などは対象外です。見積書の備考欄に「補助対象外」と書いて、区別します。
- 設備を勝手に処分した:処分制限期間のうちに、承認なしで譲渡や廃棄をすると、補助金の返還が条件になることがあります。
- CO2削減量が目標に届かなかった:完了後3年間、削減効果の報告が要ります。目標と大きく離れると、返還を求められる可能性があります。
- 期限までに終わらなかった:当該年度の1月31日までに、検収と支払いを済ませる必要があります。
令和8年度の変更点と併用
令和8年度の公募では、区分Bの地中熱のうち、熱交換器を土壌に埋める方式のCO2削減コストが引き上げられました。区分Cの工場廃熱では、2種類の設備を入れる場合の基準が引き下げられています。3種類以上の場合は据え置きです。
二次公募からは、蓄電池システムに使うIP通信機能のある機器に、JC-STARの★1以上の適合ラベルが必須になりました。JC-STARとは、IPAが運営する、IoT製品のセキュリティ適合を示すラベル制度です。
国の他の補助金の対象経費は、補助対象経費に含められません。同じ設備に別の国の補助金を使う計画は、組めないと考えてください。自治体の補助金は併用できる場合があります。その交付額は収入として引かれるので、応募のときに自治体の交付要綱を添えます。
よくある質問
今から申請できますか?
申請できません。一次公募は2026年4月23日から5月28日正午、二次公募は6月18日から7月16日正午で、どちらも終了しています。二次公募は、一次公募の応募状況によっては実施しない場合があるとされていました。次の公募の予定は、確認した公式ページには載っていません。過去の公募は、協会の公募情報ページで告知されました。
太陽光発電設備は対象になりますか?
対象になりません。この事業は、太陽熱やバイオマス熱などの熱利用設備と、太陽光以外の自家消費型再エネ発電設備が対象です。自家消費型とは、発電した電力の30%以上を設置場所で使うことを指します。太陽光発電を入れたいときは、別の公募で対象になるか、協会の公募情報ページで確かめてください。
補助率と上限額はいくらですか?
区分Aは補助率1/3で上限1億円(2か年で実施する場合は2か年の合計)です。区分B・Cは補助率1/2で、上限は各年度1億円です。補助額は、補助対象経費に補助率をかけて決まります。撤去費や消耗品費などは補助対象経費に入らないので、見積書の段階で、対象になる経費とならない経費を分けておくことが大切です。
個人事業主でも申請できますか?
温泉関係の設備に限って申請できます。個人事業主が対象になるのは、温泉熱利用設備、温泉熱発電設備、温泉供給設備更新時の省エネ設備等の導入です。太陽熱や地中熱、工場廃熱の設備は、個人事業主では申請できません。法人であれば、民間企業のほか、医療法人や社会福祉法人、協同組合なども申請できます。
債務超過だと申請できませんか?
原則として対象外です。公募要領は、事業を確実に行うための経営基盤と、事業の継続性が認められる者を対象とし、直近の決算が債務超過の場合は原則として対象外としています。申請では、直近2期分の貸借対照表と損益計算書を出します。設立から日が浅い法人は、事業計画と収支予算を出す扱いです。関連企業が事業の継続を確約する書面と、その企業の直近2期分の決算書(どちらの期も債務超過でないこと)を出せば、応募できる場合があります。事前に協会へ相談してください。
太陽熱の設備にはどんな要件がありますか?
集熱器の総面積が10㎡以上であることが要件です。集熱器は、JIS A 4112で決まる太陽集熱器と同等以上の性能が必要で、面積は小数点以下を切り捨てます。CO2削減コストは73千円/tCO2を下回る必要があります。設備に付随する熱交換器やヒートポンプ、ポンプ、蓄熱システムも補助の対象ですが、熱を使う側の室内機は対象外です。
バイオマスボイラーの要件は何ですか?
バイオマス依存率が60%以上であることが要件です。依存率は、バイオマスの発熱量を、バイオマスと非バイオマスの発熱量の合計で割った値です。木質バイオマスを使う場合は、燃料の出所が分かる由来証明書などを出します。CO2削減コストは、木質系で21千円/tCO2、農作物残渣で47千円/tCO2が基準です。
地中熱はどんな条件で対象になりますか?
熱交換能力を、熱応答試験などの原位置試験で予測した設備であることが条件です。地下水や地盤環境のモニタリング機器を備え、流量を調節する機能も要ります。ヒートポンプは熱供給能力10kW以上が必要です。散水方式と地下水還元方式は対象外で、基準は地下水熱が主なら240千円/tCO2、それ以外は400千円/tCO2です。
既存の施設への導入でも対象ですか?
新設でも既設でも対象です。ただし評価の方法が変わります。既設の施設は実績値に対するCO2削減効果で評価され、新設の施設は想定条件に対するCO2削減効果で評価されます。実施計画書や算出表には、設備を入れる前と後のシステム図を用意し、水温や流量を書いて、熱の使い方が具体的に分かるようにします。
交付決定の前に見積もりや発注をしてもいいですか?
見積もりや入札、見積合わせといった準備は、交付決定の前でもできます。ただし、契約日や発注日が交付決定日より前になる経費は、補助対象になりません。相手先は、著しく困難な場合を除き、競争原理が働く手続きで決めます。発注の時期は、協会から交付決定の通知を受けたあとにしてください。
事業の期間は何年ですか?
原則は単年度で、交付決定の日から当該年度の1月31日までです。この日までに検収と支払いを終えます。単年度で実施が難しい事業は、応募時に年度ごとの経費を分けた計画を出せば、2か年にできます。2か年の場合、交付申請は年度ごとに出します。翌年度の予算の状況によっては、内容の変更や減額を求められることがあります。
補助を受けたあとの義務はありますか?
あります。事業完了の翌年度から3年間、年度ごとにCO2削減効果などの事業報告書を出します。取得した設備には、環境省の補助事業で取得した財産であることを表示します。処分制限期間が過ぎるまでは、承認なしに譲渡や廃棄をしてはいけません。この期間の削減効果を、カーボン・クレジットとして登録することも禁じられています。
問い合わせ先はどこですか?
環境技術普及促進協会です。公募全般の問い合わせは、協会のホームページの問い合わせフォームから送ります。電話での質問は受け付けていません。資料を添付する場合は、netsu_shin@eta.or.jp にメールを送り、件名を「【団体名】再エネ熱事業について」とします。回答に1週間以上かかることがあるため、早めに送ってください。
